灰色の獅子【完結】 続編連載中 作:えのき
互いに呪文を放った。2つの色の異なる稲妻が衝突し、火花のように周囲へ弾け飛んだ。周囲の瓦礫を細かく破壊し土煙をあげる。不思議と互いの力は互角であった。
「いいぞ!ここに来て、まだ伸びるか。もっとだ!もっと引き出せ!」
ヴォルデモートはウィルの秘められた潜在能力がまだ彼の強さを引き出した。闇の帝王はまだ全力ではない。彼の実力に合わせて加減をしている。しかし少しずつの力を強めていった。父親として手ほどきをしているのだろう。
2人は同時に魔法を切り離すと何度も何度も呪文や呪いを放った。力と力のぶつかり合いというより技の練度を競っているようだ。
呪いには呪い返し、呪文には反対呪文という高度な魔法に彼ら以外が介入する余地などなかった。周りの人達はただ2人の邪魔をせぬようにただ見守るだけだった。
「やはり俺様の子だ!俺様の側に来い。お前は神に選ばれた魔法使いだ。」
ヴォルデモートは機嫌がよくウィルを勧誘する。彼は心の底から楽しんでいた。死んだと思っていた我が子が生きていて、そして図らずもホグワーツで敵として彼の成長を手助けしていたのだと理解した。最後の関門だ。
もう加減なんか必要ない。自身の息子は嵐のような魔力だ。ずっと荒々しくねじれ、渦巻いている。勢いが衰える様子はまるでない。彼は魔力を高い状態で維持し続ける事ができるようだ。
ヴォルデモートより総力、出力が低くとも持久戦に持ち込めば十分に戦い続けられる。ウィルは幼少期から無意識に魔力を封じ込めていた。今まではその魔力を彼は戦闘時に解き放っていた。
しかし彼にはまだ奥に力を隠し持っていたようだ。偶然にも先ほどの守護霊を繰り出す際に他者の魔力を譲渡してもらった。それがトリガーとなり、更なる高みへとウィルを導いた。
ウィルは不思議と冷静だった。しかし今が自分の全盛期だと確信してやまなかった。傲慢にもウィルはこの世で最も自分が強いと過信してしまいそうになる。
しかしそう言えて、誰もが納得する実力が彼にはあった。
「楽しそうだな、トム。」
隙を見つけたウィルはすかさず地面へ杖を突き立てた。一瞬で大地がまるでマグマのように変化する。ブクブクと液体状の炎が沸騰しながら燃えあがる。硫黄の匂いが鼻を貫き、そして肺を焼いた。
自分の周りだけを安全圏にしたウィルはまるで指揮者の様に杖をくるんと渦巻きのように包み混んで前へ押し出すと、マグマがまるで竜巻の様に盛りあがる。地面や瓦礫を巻き込みながら業火のハリケーンはヴォルデモートへ襲いかかる。
ホグワーツでのウィル達の1番最初の授業。マグゴナガルは変身術を“ホグワーツで最も複雑で危険”と言った。なぜならその気になれば気軽に人の命を奪いうる。変身術はその外見だけでなく性質をも変化させる。だからこのマグマは本物と言っても遜色はなに1つない。
ヴォルデモートは杖を振るうとそのマグマの大波を砂にかえてしまう。砂は重力に敗れて地面へ落ちそうになる。地面へ圧縮して巨大な手に変える。
その砂の手は命が吹き込まれたかのようにウィルを捕まえようとする。ウィルは盾の呪文を放ち、それを受け流すとヴォルデモートの方へ走っていく。
「血迷ったか?小僧!」
間合いを詰めるウィルへヴォルデモートは嘲笑うかのように杖を向ける。ウィルの背後からはUターンした砂の巨大な手が迫る。
「“
緑色の閃光が放たれた瞬間、ウィルは身体をひねって避けた。すると彼の背後に迫っていた砂の手を貫いた。生命はないとはいえ、強力な呪文で砂は跡形もなく弾け飛んだ。
ウィルはニヤリと笑う。砂の破片達へ向けて体をねじり杖を円を描くように振るう。
それらの一つ一つが針に変化してヴォルデモートへ襲いかかった。数千本ほどの針が一斉に彼へ迫る。より鋭く、より軽く、そして素早く。
1年生の最初の授業は恩師のマグゴナガル、授業内容はマッチ棒を針に変化させること。当時の世代で一度で成功したのはウィルとハーマイオニーだけであった。
あれから7年経っている。少年が青年となり大人になる年月だ。ウィルにとって無数の散らばった砂達を針に変えて、“
ヴォルデモートは杖を地面に突き刺した。すると地中から木の根の様なものが現れる。ホグワーツに生えていた何処かの木の根だろう。それを操作して自分をドーム状へ覆わせた。
襲いかかる針の群れの全てを木の幹で防ぎきった。針達で少しずつ破壊、剥がされていくものの大樹は再生を繰り返しヴォルデモートを護った。
針の群れが攻撃を終えるとヴォルデモートは木の根を吹き飛ばした。視界が開けた瞬間に彼は黄色の荒々しい閃光を認識すると同時に全身が鈍い痛みと痙攣するのを感じた。
ヴォルデモート卿の判断ミス
ウィルはそれを狙っていた。
無条件で一対一で戦った場合
彼に勝る要素はただ一つ
“戦術の幅”の広さ
ヴォルデモートとウィルが戦えば一瞬の隙が命取りとなる。常に最善の手段を取らなければならない。だから彼は直接的ではない間接的で複雑な戦い方を選び、相手の悪手を狙った。
ヴォルデモートは数メートル後方へ吹き飛ばされ、地面に叩きつけられた。彼は全身が痺れて動けなくなってしまった。
彼は分霊箱により不死身ではある。つまり命を奪う事はできない。
しかし彼に毒は効いた。つまり彼自身の身体は“性質”は無効化できない。だから彼に“
「トム、僕の考えを聞いてくれ。僕は“開心術”なんて使わない。」
ウィルは実の父親の側で座り込んだ。
そして彼は呟いた。
「なぜ君が
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