灰色の獅子【完結】 続編連載中   作:えのき

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二部が始まります!
長らくお待たせして申し訳ないです。
また少しずつ進めていきますね


1章 悪の申し子
プロローグ


 

 

 

 

 

 

森の中で巨大な岩の隙間から男の声が響き渡る。その声は震えており緊迫した様子だ。年齢はそれなりに重ねており、しわがれた声で誰かに訴えかけているようだ。

 

「待ってくれ、お願いだ。」

 

男は岩から見える微かな隙間から手を伸ばして誰かに懇願すると彼は急に大声をあげる。

 

「なぜそんなに酷いことをするんだ!私はお前に全てを授けた。私の叡智をお前に!」

 

男は叫んだ。そして地面へ強く爪を突き立てた。地面は男から放たれた魔力によって砂利は揺れ動くが、弱々しいものだった。

 

「汚い女め、お前達を呪ってやる、呪ってやるぞ!」

 

男の魔力は本来の力ではないようだった。自身の両の手のひらを見つめながらそう言った。自身の力が思うように発揮できないことに苛立ちを覚えた。

 

「ヴィヴィアン!!!」

 

そしてわなわなと怒りに震え、そして激しく歯ぎしりをする。

 

 

 

***

 

 

 

 

およそ1000年後

 

 

 

 

 

 

 

闇の帝王が彼の息子に当たるウィリアム・マルフォイに破れてから12年の月日が経った。その後は平凡なで特に大きな出来事は起きなかった。しかし魔法界の政治改革は目覚しいものだった。今の魔法大臣の尽力によりマグル生まれの魔法使いに関する不利な法律は次々と破棄され、闇祓い局の局長のハリー・ポッターによって闇の勢力の残党は壊滅させられる。教育分野ではホグワーツの校長であるマクゴナガルが時代に合わせた方針を示している。

 

そんな中、長期の休暇を終えてホグワーツ魔法魔術学校は再開する。またこの時期は多くの新入生が学び舎に入学する。そして彼らはキングズクロス駅の9と4/3線の蒸気機関車でホグワーツへ向かっていた。

 

懐かしい汽笛と線路と車輪の擦れる音はこれから学校生活が始まるのだという実感を生徒達に与えた。生徒達は休暇中での出来事やこれからの生活の話で盛り上がっていた。

 

 

 

そんな賑やかな汽車内とは打って変わりあるコンパートメントに1人の少女が本を読みながらチェスを嗜んでいた。彼女は盤面をろくに見る事などなくオートの魔法がかけられた敵の駒が動くたびに盤面をちらりと見て、動かす駒と移動先の盤面を指示する。

 

するといきなり彼女のコンパートメントの扉が勢いよく開いた。ノックされる事が無かったことに苛立ちを覚え、彼女は現れた人を睨みつける。

 

「やぁ、いきなり悪いね。」

 

そこには自分と同年代の男の子がいた。彼はにやにやと薄ら笑いを浮かべながら彼女の許可もなく座席へ座った。

 

「君に挨拶をと思ってね。僕は・・・」

 

そう彼は切り出そうとすると少女がそれを遮るように口を開いた。

 

「はじめまして、ジェニスよ。“騎士(ナイト)”はHの3(・・・)へ。」

 

彼女の様子は冷めているらしく、彼と目を合わせる事はなかった。そして彼女は自分の駒を動かす事の方が大事だと思っているらしい。

 

その様子に面食らったようでその男の子は目をパチパチさせている。するとジェニスと名乗った女の子は茶色の瞳を一度だけ彼へ向けた。とても美しい瞳で男の子は魅了され、そして自分自身が吸い込まれるかのような感覚を覚えた。

 

ただでさえ年齢にしては大人びた美しい容姿だった。手入れされているであろう清らかなブロンドの髪に大きく吸い込まれるような茶色の瞳、そして白く輝いている肌。ほんの少しも隠されていない妖しい色気に惑わされそうになってしまう。

 

「貴方はルドルフ・バーグね、さぁ早く出ていきなさい。」

 

なぜか男の子の名前を当ててみせた。名乗ってなどいないし、今日初めて会った。彼もマルフォイ家と同じくそれなりの名家ではあるが他人に名前を知られている事など一度もなかった。

 

「なぜ僕の名を知ってるんだ?」

 

ルドルフは身体を震わせる。そして彼女の異質さに恐怖と好奇心を抱いていた。それが彼にとってはとても魅力的に映った。

 

「開心術も知らないなんて、仮にも純血の名家の新入生なのにこの程度?」

 

ジェニスは苛立ちを覚えているようだ。彼が自己紹介に訪れただけなら目的を果たしてあげた。自分は早く本とチェスの続きをしなければならない。

 

「【早く去れ】」

 

突如、彼女はシューシューという謎の言語を発した。まるで蛇の言葉、パーセルタングなのだとルドルフは理解した。

 

通常であれば子供も大人も怯むだろう。パーセルタング使いは闇の魔法使いの証拠という迷信があり、ヴォルデモートもその使い手だった。だから邪魔な人間を追い払いたい時にジェニスはあえて使っていた。

 

「凄い!ジェニス、君は天才だよ!さすが英雄の娘だね!」

 

ルドルフは目をキラキラさせて心からの憧れをジェニスへ送った。だが彼女は恐ろしく自分を軽蔑しているかのような表情を浮かべている。彼女が彼を手で払うような仕草をすると、その瞬間に彼は大きな空気の塊のようなものに吹き飛ばされた。そして開かれた扉は勢いよく閉まった。

 

 

父は英雄と呼ばれ、現魔法界で最強の魔法使いとされている。だが同時に彼女の祖父はこう呼ばれている“魔法界史上最も強力な闇の魔法使い”。ジェニス・マルフォイは祖父から才能と野心を色濃く受け継いでいた。

 

 

私は世界最強の魔法使いになってみせる。

これは夢や野望ではなく通過点に過ぎない。

私の人生にとって数多くある

決定事項の1つに過ぎないのだから

 

 

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