灰色の獅子【完結】 続編連載中 作:えのき
「マルフォイ・ジェニス!!!」
その少女は名を呼ばれると素早く立ちあがり、周りの生徒たちを蹴散らすように早足で前へ進む。側にいた新入生達は恐れをなして道を開ける。まるで王の凱旋のようである。
彼女は母譲りの長く艶やかなブロンドの髪をなびかせる。最上級のシルクのような美しさ、不純物のないさらさらの髪質。そして父譲りの美しい顔だ。大きく茶色の鋭い瞳、ニキビやそばかすとは無縁の白い肌。更にその容姿を引き立たせる妖しい雰囲気だ。そのオーラと魔力、人格は祖父から受け継いだ。
彼女の家系は複雑だ。最悪の魔法使いヴォルデモート、そして英雄のウィリアム・マルフォイの血を引く唯一の存在。世間はそれを周知した上で彼女に好奇の目を向けた。悪人か善人か、偉大か凡庸か、その浅い好奇心を前に彼女は言い放つ。
【私はジェニス、世界最強の魔女になる】
ジェニスは無駄な言葉を交わさない、なぜなら彼女の野望に彼等は必要ないから。世間に偉大さを認めさせるには言葉は不要、必要なのは実績だと彼女は知っている。そして今、彼女の知る最強はひとり。誰よりも近く、そして遠い血を分けた父親。
“英雄”ウィリアム・マルフォイ。現最強の魔法使いと誰もが認める。マーリン勲章一等をはじめとして数多くの称号を持ち、世界最強の杖、“死の秘宝”の1つに数えられるニワトコの杖の所有者。彼はこのホグワーツで副校長にして“闇の魔術に対する防衛術”の教鞭をとりながら、多種多様の分野で論文を発表し続け各学会に多大な影響を与えている。
そんな父親から産まれた一人娘、彼女は冷たく教壇の上に座っている男性を睨みつける。その瞳には敵対心と嫌悪を滲ませていた。彼は軽く笑みを浮かべている、余計に彼女は苛立ちを募らせる。
彼女は壇上にあがり、中心にぽつんと置かれた椅子に座る。そしてグリフィンドールの寮監、薬草学を担当しているネビル・ロングボトムから古ぼけた黒い帽子を被らされる。
壇上の椅子に我が物顔で座るジェニスは自分の組分けの結果をそわそわとした様子で待ちわびる生徒達の視線を見て鼻で笑う。彼女にとって寮、組分けは過程に過ぎない。どこであっても自分が最強である未来は揺るがない。
『おぉウィルとルーナの子か。異質の両親から産まれた君の適正は意外にもシンプル、会話を楽しみたかったが君の適正は1つ。』
組分け帽子が穏やかな声で語りかける。彼女は不機嫌そうに鋭くなる。
『1つしかないってこと?気に入らないわね。この程度で私を測ろうとしないで。』
吐き捨てるように頭の中で言い放つ。その言葉に嘘がないことを組分け帽子は見抜いた。
『違う、全ての才能がズバ抜けている。それらを踏まえた上で君には一つの強い意志がある。』
帽子は言葉の意味を訂正する。
『野心だ、やがて自分が世界最強になるという確信、そしてそうなるべく意識を持っている。』
祖父から受け継いだ野心、そして父から受け継いだ意志、更に自分の負けず嫌いな性格から彼女の人間性が形成されている。
『一番強く“闇の帝王”と同じ魂を感じる。危険な香り、しかしそこが魅力的だ。』
ジェニスはその言葉を聞いて意味深に微かに笑みを浮かべた。自分の入る寮がわかったからだ。彼女は適正としてどの寮でも構わなかった。しかし希望の寮があった。父親への当てつけには持ってこいの寮がある。
『進みたまえ、君は最強への道へ。近道ではなく覇道を歩むがいい・・・。
ーーー、君の寮は決定した。』
「スリザリンッッッっっ!!!」
組分け帽子は息を大きく吸い込み叫んだ。
〜プロフィール①〜
【ウィリアム・マルフォイ】
年齢→37歳
戦闘力→SSS(73話、作者の考える戦闘ランクと同じ基準)
職業→ホグワーツの副校長、ホグワーツの“闇の魔術に対する防衛術”教授、闇祓い、魔法薬剤士、医療術師、忘却術師、開心術師、閉心術師
家族構成→妻ルーナ・マルフォイ(ラブグッド)、娘ジェニス・マルフォイ
趣味→魔法の鍛錬、学問全般の研究
最近の悩み→娘の反抗期、妻のクイズに答えられない