そんな訳で耐えきれず朧書いちゃいました的な。
まだ続きそうですし唐突に終わる。
チョイスという
取り返せ。奪え。全てを握る鍵を。
そう命ぜられ、俺は一筋の血風となって疾走る。
が、そう簡単にはいかぬようだ。道を遮られたと同時に己が得物を振るう。きぃぃん、と鋼同士が合わさる不協和音を轟かせ、……漸く自分の欲求が満たされると笑みを乗せた。
その横を緑が過ぎ去っていく。あゝ、アレに任せておけば万事良かろうて。アレは主に忠実な犬。なれば俺はこやつの相手をしていいだろう?
つ、と。其方に目を戻す。
剣の冴え。動き。剣に宿る魂。そしてその色。
間違いなく剣客。良き手合いである。
「ぐ……っ!てめぇ、何モンだぁ゙……!?どれだけ斬りゃあここまで成り果てやがる?!」
蒼の輝きを帯びた銀の剣は、先程の遊戯で見た燕剣に競る程美しく殺伐としている。
「ふ、斬り合いに言葉など……無粋ではないか」
「ああ゙?!」
だが、まだ若いな。笑みを滲ませるとその鈍い
「俺が何者か等どうでも良い。─────さあ、月に踊れ。この俺のように血に酔い、闘争に浸ろうではないか」
「っ、」
狂気は伝播する。然れど銀はそれを良しとしないようで、視線を断つ事で拒否されてしまった。
「……あなや。振られてしまった。ツレない男だ」
一見、淑やかに笑ってみせる。なれば戯れようか。幼子のように。
それにしても……残念だ。
修羅に成れぬ、俺とは異なる意で、愚かで、哀れな者。
いっそ脆く壊してしまおうか。それも一興やもしれぬ。
打てば鳴る鋼の
─────左、右、左。
─────突き、逆袈裟、振り下ろし。
背後に気を散らした瞬間を、
「ほぉら、爆ぜた」
「がっっ!?」
刀の柄頭で
「若いし、甘いな。故に愛い」
「く、そ……っ、抜かせカスがッ!!」
早く身を起こせ。剣を構えろ。
「堕ちぬと云うなら鮮烈に魅せてみよ」
「っ、」
「それとも、─────お主が替わるか?」
俯かせた顔を向ける事なく、殺意が描く線にそっと刀を置いてやるのだ。
がきり。今度の音は酷く鈍い。
荒々しい獣のような殺気。
「……分かりやすくてならんな。が、お主も先の戦いに加われず不完全燃焼と見る」
「ごちゃごちゃ煩いね、キミ。……!」
「お主こそ。本気で殺らぬ癖に手出しするなど、
黒髪を宙に舞わせ
不愉快。不愉快だ。不愉快よなぁ。
得物を掬い上げるように弾き飛ばし、その素っ首目掛けて月色の剣を閃かせる。
「地に伏せよ、獣。貴様に用はない」
「ッ!?」
紅い血を撒き散らせば、幾らかは俺
「ッ退けぇ゙ヒバリ!!」
突き飛ばされた標的は腕を浅く斬られ、その側面を跳ね上げるように剣がぶつけられる。
「おお、護るのか?面白いな」
「何がだクソッタレぇ゙!!」
「ふふ、なに。唯の戯れよ……
───そやつを今より斬り殺す」
「「!!」」
「故、死ぬ気で護れよ?」
そら、と。弾かれた勢いを全身に行き渡らせて、鋭く円弧を振り抜く。それを苦し紛れに受け流した銀の男。
「ははは、まだ往くぞ?抗えぬならば散れ。さもなくば耐えてみせよ。時間稼ぎでもよかろう、俺は寛大に赦してやるさ」
「狂犬が、ナメるなァ゙!!」
「狂犬とは……はははっ。人など皆皆獣よ、俺も、───お前も!」
ああ、あゝ、嗚呼。愉しいなぁ。
執拗く漆の子供に向けて刀を振るう。銀はそれを弾き、邪魔だと吼えた。
「っ!調子に、乗るな……!!」
漆の子供から放たれた紫の焔を宿した銀閃に、俺は漸く子供を見る。
「斬るか、斬ろうか、何もかも」
「ぐ……ッッ」
呪いのような言の葉に、銀は漆の子供の首根っこを掴んで大きく飛び退る。
と同時、独特の音を響かせた上空の機械が彼ら全てを飲み込んで光と消えた。
「ああ……消えてしまったか」
今回のところはお主らの勝ちで良い。
己が頬に飛んだ血を指で掬い、口角を吊り上げる。
「次は主らの頸を貰うとしよう」
その次は、見事幻騎士を討ち取ったあの淡い青色の炎を纏った子供だ。命を奪う事を厭い、潰える様を悲痛の面持ちで見ていたあの燕剣が……憎悪に塗れて俺を殺しに来ると思うと、酷く胸の奥が高鳴る。彼ならば俺
彼の父親のように。
「であるならば……奴らの首魁。沢田綱吉を殺めるのも手か、」
「三日月」
「……うん?ああ、桔梗か」
浮かぶ凶相を指摘されて顔を片手で覆う。
「……戻りましょう。白蘭様に報告せねばなりません」
「ああ。そうであった。姫君が奪われたのであったなあ」
「まさかとは思いますが、今の今まで忘れていたと?」
「あいやすまん。あやつら、中々に通してくれなんだ」
ついつい夢中になってしまった。正直に言えば、姫君なんぞに興味の欠けらも無かったのだが。
それを察したのか、桔梗は重く溜息を吐いてやれやれと呆れてしまった。
「行きますよ」
「うむ」
「三日月」
一刻も早く姫君を奪え、と。
姫君を貶し殺してしまえと無邪気に言ったブルーベルに、煩わしいと言わんばかりの殺意を向けた我が主は、薄ら寒いばかりの昏い声音で俺を呼ぶ。
「なんだ、我が主。一刻も早く姫君を連れて欲しいのだろう?」
「キミ……遊んでただろ」
「何故?」
「キミが本気を出せば、アイツらなんて一瞬で細切れだった筈だ」
心底恨めしいと言いたげだ。
俺は酷く可笑しく思えて、声を上げて笑った。
「これはこれは異な事を言う。……お主、これは
「……」
「笑えよ我が主。遊戯は楽しまねば。もどかしさも一興よ。俺は主が楽しむその一端を味わっているに過ぎんぞ」
奴らは袋の鼠。これより第二回戦、完膚無きまでに叩き潰して勝利の美酒に酔いしれよう。
「……ホントに、キミは無駄口が多いね」
「ははは、お褒めに預かり恐悦至極」
「ふふ♪褒めてないよ」
いつもの笑みを浮かべた主はその指でマシュマロをひとつ摘む。
「いるかい?」
「うむ。賜るとしよう」
さあ、我が主。
勝利を、姫君を、そして奴らの首級を。
叛逆するもの全て頸を撥ねて、主の前にて並べ立てよう。
─────故に命ぜよ、
「奴らを殺せ」
「─────拝命仕った」
参ろうか。
屍山血河築き上げた後の、躯の上の玉座に座る白き悪魔は、酷く空虚で美しかろうて。
そんな訳でした。ふあーちかれた!後で変えるかもーっと