姉に憑依したシスコンは、妹を愛で尽くす 作:百合好きなmerrick
もうこのまま結婚まで直進しないかな(真顔)
──レミリア⋯⋯お風呂場にて──
身体の汚れを落とし、仕事の疲れを癒すためにお風呂へやって来た。最近は妹と美鈴に安定した衣食住を提供するためにと働き詰めだったから、今日はより一層疲れていた。
「はーぁ⋯⋯いい湯加減ねぇ⋯⋯」
今はもう身体を洗い終え、湯船に浸かってる。今この時だけは日頃の鬱憤やストレスを忘れる事ができ、静かな時間を過ごす事ができる。もし、この場にフランが居ればその癒しはより一層増す事になるだろう。だけど、いくら昔より仲良くなったとはいえ、一緒にお風呂に入るのは私が恥ずかしい。
だって、一緒にお風呂に入るという事は裸を見せ合う事になるわけだし、それで欲求を抑制しろ、というのも無理な話だ。絶対触りたくなるか、恥ずかしさのあまり動けなくなるかの二択。まあ、今の私に妹を襲うような度胸は無いから、絶対に固まって動けなくなるか。
「はあ⋯⋯いつフランとイチャイチャできるんだろ⋯⋯。もう少し積極的になった方がいいのかしら⋯⋯。でも、そんな事すれば、拗れる可能性も⋯⋯」
「お姉ちゃん、お邪魔するよ」
「ええ。勝手にしなさい。⋯⋯って、えっ?」
「ん? どうしたの?」
私の目の前に、何食わぬ顔で頭を傾げるフランが居る。それも、布1枚纏わない危機感の無い姿で。
「な、なっ!? ど、どうしたの、って! 貴女、せめて入るなら布の1枚くらい羽織りなさいよ! その⋯⋯色々と見えちゃうでしょっ!」
「へ? ⋯⋯あー、なるほどね。ふっ、え? お姉ちゃんってば、妹の身体を見て欲情しちゃってるの? やっらしぃー」
妹は口元を歪めながら、可愛い顔して煽ってくる。
「なっ!? そ、そんなわけ⋯⋯なくもないけど⋯⋯」
「いやそこは否定しようよ。なんで頬赤らめてんのさ」
「あっ。い、いえ! そんなつもりじゃ⋯⋯!」
突っ込まれるまで、素で恥ずかしい言葉を使ってたと気付かなかった。慌てて否定しようにも、フランは呆れたと言わんばかりに首を横に振る。
「はー、全く⋯⋯。何恥ずかしがってるの? もう元に戻れない生活をしていい、って言ったよね? なら、裸を見るくらいどうって事ないんじゃない?」
「それはそうだけど⋯⋯」
「⋯⋯お姉ちゃんってば、本当に奥手だよね。⋯⋯つまんないの」
それからは気まずい空気が流れ、私は疎かフランでさえ無言になってしまった。フランはそのまま何も言わずに髪や身体を洗い始めた。フランが洗ってる最中、私は何もできずに、ただただ妹の後ろ姿を眺めるしかできなかった。
「⋯⋯もうっ。⋯⋯お姉ちゃん。隣、失礼するよ」
「⋯⋯え? あ、ええ⋯⋯」
そうして洗い終えたフランは怒った顔で私の隣に浸かる。それにしても、どうしてだろう。頭がボンヤリする。フランを見たいのに、注意が散漫して、じっと見る事ができない。
「⋯⋯お姉ちゃんってさ、私の事好きだよね?」
「⋯⋯うん、大好き⋯⋯」
「それは真っ直ぐに言えるんだ。ふーん⋯⋯」
注意が散漫してても分かる。フランのご機嫌は斜めらしい。私が優柔不断なせいかな。それとも、恥ずかしがって奥手なせいとか。どれにしても、私に非があるのだろう。それだけは、フランの口調から伝わってくる。
「そう言えばさ、お姉ちゃんは元の関係に戻れなくていいとも言ったけど、具体的に私とどんな関係になりたいと思ってるの? 姉妹以上だから、親友? それとも、恋人とか⋯⋯?」
「そうねえ⋯⋯私は、フランとならどこまでも⋯⋯ずーっと一緒に、居たいわ⋯⋯」
「答えになってないんだけど? あのさ⋯⋯あれ? あの、お姉ちゃん?」
フランの私を呼ぶ声が聞こえる。朧けな視界の中、何故かしっかりとフランの顔だけが見える。
「お姉ちゃん? なんだかいつも以上に顔が赤いよ? もしかして、逆上せ⋯⋯熱っ!? え!?」
フランが私に触れてくれた。でも、なんで? 凄く悲しそうな、辛そうな顔に見える。
「もしや、風邪⋯⋯。お、お姉ちゃん、本当に大丈夫!?」
「何が⋯⋯? フラン⋯⋯」
「マジかこの姉⋯⋯。最近頑張ってるなー、とは思ってたけど、頑張り過ぎでしょ絶対っ! 嬉しいけど、ちょっとは休んで!」
「フラン、なんで⋯⋯怒ってるの⋯⋯?」
「もうっ! 本当にこの姉は⋯⋯!」
フランの怒ってる顔を見ると心が痛む。でも、フランに私の声は届いてないのか、無理矢理私を湯船から引き上げ、私をその小さな背中に背負う。
「すぐに部屋に連れて行ってあげるから、ちょっとだけ耐えて! 吸血鬼って熱とか風邪に強いんじゃないの? あれって嘘なの!?」
何に対して怒ってるか分からない。もう、妹の声すら虚ろになってきた。
「お姉ちゃん⋯⋯後もう少しだけ、頑張って!」
でも、フランの肌の温もりだけは、自分の肌を通して実感できる。柔らかくて、温かい⋯⋯この弾力と触感だけは、絶対にあるものとして実感する事ができる。どれだけ声が聞こえなくとも、見えなくとも、私を導いてくれる。
「フラン⋯⋯ありがと⋯⋯」
もう自分の声すら聞こえなくなり、私の意識はそこで途絶えた────
この続きは、次回にでも。
レミフラ小説とはいえ、そろそろ美鈴さんにも出番あげないと(使命感)