姉に憑依したシスコンは、妹を愛で尽くす   作:百合好きなmerrick

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はい、シリーズみたいな話の三話目ですね。
なお、ぶっちゃけ起承転結は意識してないので逆転劇は起こらないです()
まぁ、では⋯⋯

魔女との出会いからですね。


13話「魔女」

 ──フラン⋯⋯人間の街にて──

 

「⋯⋯! た、助けて! 追われてるの!」

「⋯⋯へ?」

「お、お願い! 貴女も私と()()なんでしょ!?」

 

 店を出たところでぶつかった紫色の長髪を持つ少女が、慌ただしく私を急かしてくる。何が同じなのか私にはさっぱりだけど、何かに追われてて、私が普通じゃないという事に気付ける不思議な少女というのは分かった。

 

 こういう時って、もれなく追ってる側も追われてる側もただの人間じゃないんだよね。面倒事には関わらない方がいいし、そもそも今はお姉ちゃんの事が先決だから、構ってる暇なんてないのに。

 

「も、もしかして、見えてな──っ!」

 

 少女が何かに気付いて、来た道を振り返る。と、少女の背後から10人ほどの鎧を身に纏った人間が現れる。全員剣や槍などの武器を持ち、更には金色の縁をあしらった奇妙な片眼鏡(モノクル)をかけてる。この人達の主の趣味じゃない限り、ただの装飾やオシャレではなさそうだ。

 

「おいおいおい⋯⋯。手間かけさせるんじゃあないよ。こちとら君みたいな人間の紛い物を、何百何千と追わなきゃあいけないんだ。1人に割いてる時間はないよお?」

 

 リーダーらしき中年のおっさんが1歩前に出て、少女に剣を向ける。大の大人が寄って集って1人の少女を囲むなんて、卑怯で卑屈な奴らだ。ま、私なら1人でも全員壊せるんだけど。

 

「っ⋯⋯! 私は紛い物でもなんでもないわ! わ、私は⋯⋯れっきとした人間よ!」

「はいはいはい⋯⋯。君らはみんなそう言うが、教会の目は誤魔化せんよ。⋯⋯おっと。どうやら、そこのお嬢ちゃんも人間ではないらしいねえ⋯⋯」

 

 あらら、気付かれたか。ん、あー、なるほど。あのモノクル、そういう道具か。だから、私の正体が分かったのかな。という事は、この少女も実は人間じゃないのかな。それで「同じ」なんて言葉を使ったんだね。

 

「その眼鏡ってさ、真実の姿が見えるとか、そんな道具だったりする?」

「それはどういう意味だい? もしや、ただの魔女ではないのかな?」

「あ、違うんだ。なら、なんだろ?」

「⋯⋯私達みたいに──貴女は違うみたいだけど──相手の魔力を見る事ができるモノクルらしいわ」

 

 私の問いに、代わりに少女が答えてくれた。っていうか、騒ぎになったせいでこの街にはもう来れなさそうだな。野次馬もいっぱい集まってきたし、逃げれても私の顔を覚えてる人とか現れそうだし。お姉ちゃんに似たお陰で私も可愛いから、すぐに覚えられそうだしね。

 

「珍しいな、君のような気楽な魔女は。──今から死ぬ者に、珍しいも何もないがな」

 

 その言葉を合図に、私達を囲うように人間達が広がる。みんなこっちに武器を、怖い眼差しを向けてる。とても殺気立って、会話して解決するような状況じゃない。

 

「っ!? し、仕方ないわ! 魔法を使えるなら援護して! 2人で──」

「あー、ごめん。1ついいかな? 魔女ならさ、回復の魔法とか使える? 風邪に効くような」

「か、風邪に効く薬なら作れるけど、今の状況でそんな⋯⋯」

「よし。なら、助けてあげる。その代わりに、私のお姉ちゃんの風邪を治してね。約束だから。私はフランドール・スカーレット。フランでいいよ。貴女は?」

 

 あれ、どうしてだろう。私の名前を聞いてその少女は小さく笑った。そして、納得したような表情で私を見つめ、口を開く。

 

「⋯⋯もしかして、悪魔か何かかしら? それも世間知らずで箱入り娘の。それで、名前を聞くという事は契約をしようとしてるのよね? でも、今はそれが心強いわ。私はパチュリー。パチュリー・ノーレッジよ」

 

 ノーレッジ⋯⋯確か意味は『知識』だったかな。西の島国でよく使われる苗字だったはず。という事は、その国出身かな。遥々遠くまで大変だっただろうに。本当に、大変だったんだろうね。

 

「ふふっ。それじゃ、パチュリー。しゃがんでてね」

「え、ええ⋯⋯!」

「なっ!? ふ、伏せ──」

 

 パチュリーが伏せたと同時に、虚空に巨大な燃え盛る炎の剣──レーヴァテインを召喚し、思い切って横一文字に薙ぎ払う。それは人も建物も関係なく真っ二つに焼け切り、それを目撃した野次馬達によって辺りは騒然となる。生憎と人間の被害なんて気にしてなかったけど、運が良いというのかな。人間の兵士しか切れてないようだ。その兵士のリーダーを除いて、みたいだけど。

 

「くっ⋯⋯! スカーレット⋯⋯まさかとは思ったが、あの吸血鬼館の⋯⋯あの悪魔の妹か⋯⋯!」

「お姉ちゃんを知ってるんだ。有名人なんだね、私のお姉ちゃんって」

 

 お姉ちゃんが有名人というだけで、なんだかとっても誇らしいし、とっても嬉しい。やっぱり、私のお姉ちゃんは凄いんだ。強いかどうかは知らないけど、優しいから当たり前か。

 

「ふっ、魔女狩りに、大物に出会えるとは、な⋯⋯。俺の命運もここまでか。が、王の命令! それに従わずして、手柄無くて帰るつもりはない! 例え負けようが、魔女の1人くら──あ」

 

 言葉を言い終える前に、その兵士は内側から破裂し、肉片を撒き散らし、原型を留めずに死に絶える。もちろん、私の能力で『目』を手のひらに移動させ、握っただけなんだけど。

 

「静かになったね。⋯⋯じゃ、パチュリー。私と一緒に行こうか。あ、もしお姉ちゃんの病を治せなかったら、貴女もこうなるからね?」

「怖い脅しね。⋯⋯それと、重いわね。愛というか、絆というか⋯⋯」

「うーん、そうかな?」

 

 重い愛ってどういう事なんだろう。普通じゃない、って意味なのかな。私も普通じゃないのは重々承知してるし、むしろ普通じゃなくていいんだけど。だって、普通じゃなければ、お姉ちゃんを愛せるんだから。

 

「ま、いいや。お姉ちゃんは今も尚苦しんでるの。だからね、すぐに連れて行ってあげる。病を治した後は⋯⋯ま、それはその時に考えるとして、今は急ごうか。ね?」

「⋯⋯ええ、そうね。私もこんな場所にずっと居たくはないわ」

 

 騒々しい人間達をパチュリーは怪訝な目で見渡す。その目に宿るものは嫌悪というよりも恐怖に近いように見える。何か嫌な事でもされたのかな。もしそうなら、原因となるものくらい⋯⋯消しちゃえばいいのに。

 

「⋯⋯ま、いっか。さ、パチュリー。急いで飛ぶから背中に掴まって。振り落とされないでよ?」

「それはいいけど、咄嗟の時に飛べるか分からないから、万が一落ちそうになったら助けてよ」

「はいはい。わがままなお姫様だなー」

 

 なんて、グダグダ言っても仕方ないか。そう思って、パチュリーを背に乗せる。そして、暗い空へ、紅魔館までへの帰路についた────




はい。というわけでまぁ、原作キャラ加入イベントでした。
次回はこの一連の流れの結末。

レミフラ小説なんでね。最後はやっぱり2人だけの⋯⋯

ちなみにフランさん、箱入り娘なので真面目だったり常識人に見えます(?)が意外と疎いです。
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