姉に憑依したシスコンは、妹を愛で尽くす   作:百合好きなmerrick

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最新話投稿するとよく間違えるのでこの機に過去編として一番下にするという作戦。
それとしばらく非公開にしてましたが不完全のまま出しちゃったからですね。申し訳ないです。

前回からほんの少し経って。2人の今の関係ができる、その一昔前の過程の話。
ここからしばらく時間が巻き戻り、シリアスなのでご注意を。


過去編
18話「過去──切っ掛け」


 ──レミリア⋯⋯紅魔館、地下室にて──

 

「うぅん⋯⋯お姉ちゃん⋯⋯」

 

 すっかり疲れ切って眠ってしまったフランの隣で、その頬に手を触れる。寒そうで寂しそうな身体に毛布で覆い、腕を回して包み込む。未だ幸せの余韻に浸る妹の顔は至福に満ちていた。それを見てるだけで嬉しい気持ちになり、本当に昔と変わったな、と改めて思う。否、遥か昔に戻ったと言った方が正しいのかもしれない。今よりも小さく、純粋なあの頃に。

 

 とても喜ばしい事だ。それが意味するのは彼女もようやく、本当の意味で吹っ切れたという事だから。なんて考えてるうちに睡魔に襲われる。フラン同様疲れていた私は耐え切れず、妹に身を寄せた。

 

「⋯⋯フラン、おやすみ」

 

 最後の挨拶を告げ、重い瞼をそっと閉じる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──過去の記憶──

 

「お姉ちゃん!」

 

 それは昔の話。フランが私に甘えて「お姉ちゃん」と呼び慕っていた遥か昔の記憶。もう数百年も昔の事なのに、つい昨日のような新しさを感じる記憶。それはその記憶が忘れる事ができない辛い記憶だからか。それとも、忘れてはいけない大切な記憶だからなのか。

 

「なぁに? どうしたのかしら?」

「いっしょに遊ぼ!」

「ええ、いいわよ。何して遊びたいの? お姉ちゃんにできる事なら、なんだってしてあげるわ!」

 

 その時はとても幸せだった。能力はまだ使えずにいたものの、両親はとても優しくて、その愛を私達2人に平等に注いでくれた。前世でよく聞くフランだけを除け者にするようなゲス野郎じゃなかったのは、私にとってもフランにとっても、とても嬉しい事だった。と言っても、それは歪な翼があってもフランに狂気が現れず、未だに能力が発現しなかった影響もあるのだろう。

 

 フランに能力と狂気がなければ、ただの天使のように可愛い女の子。吸血鬼だから他より力は強くとも、意外と力の制御はできてるから問題はない。容姿中身は少女そのものだった。

 

 ──探検ごっこがしたいな──

 

 そんな毎日が充実していたある日、その出来事は起きた。私やフランの運命を変える出来事。あまりにも突拍子で、なんの前触れもなく、それは訪れた。

 

「探検ごっこがしたいな!」

「⋯⋯え?」

「えーっとね、館の中を歩き⋯⋯お姉ちゃん?」

 

 その出来事とは──能力の発現。突然頭痛がしたかと思えば、フランのその言葉が、今の光景が脳裏をよぎる。前世の記憶を持っていた私はその謎の光景を理解できた。数秒先の未来視と微力ながらも、能力が発現したのだと。

 

「フラーン! こんなところに居たのね!」

「あ、お母様! どうしたの?」

 

 唐突な能力の発現に呆然としていると母が来た。私とフラン、どちらにも似ない真っ白な長い髪に雪のような肌。目は私達と同じ真っ赤だけど、少し明るい。今思えば、母は俗に言うアルビノだったのかもしれない。詳しい事は聞きそびれたから分からないけど。

 

「どうしたのじゃないでしょ。今日は一緒に勉強する日よ? レミィと仲がいいのは良い事だけれど、勉強もしないと将来大変よ」

「えー! 勉強つまんなーい!」

「全く、聞き分けの悪い子ねぇ⋯⋯。明日はいっぱい遊んでいいから、今日は頑張りましょ?」

「今日お姉ちゃんと遊びたいの!」

 

 嬉しい事に私のために駄々をこねるフランに母はため息をつく。そして、眺めていただけの私の方へ振り返ると自分に呆れた顔になりながらも口を開いた。

 

「もう⋯⋯。レミィからも言ってあげて。残念ながら私の言う事よりも貴女の方がよく聞くと思うから」

「う、うん。⋯⋯フラン。勉強しよ? 頑張ったら、貴女のお願いごと、なんだって聞いてあげるわ」

「ほんとに⋯⋯?」

 

 フランの目付きが変わる。嫌々だった顔は甘えた表情へ変わり、その目は飢えたように上目遣い。物を欲しがる子供のように。

 

「ええ、本当よ。何でもあげるし、やってあげる」

「なら、約束ね! 絶対だよ!?」

「うん、約束。だからね、勉強も頑張ってね」

「がんばる!!」

 

 元気よく頷き返すと、脇目も振らずに一目散に自分の部屋へと走っていった。それもとても幸せそうに、楽しそうに。

 

「ありがとうね、レミィ。いつも助かってるわ」

「ううん、フランのためだからいいわよ。彼女のためなら命だって賭けるつもりだから」

「責任感が強過ぎるのも考えものだけれど⋯⋯私が生きてるうちは問題ないかしら。レミィはフランよりも勉強がよくできてるから、そのうち教えるって事も考えていいかもしれないわね。その方がフランも集中できるでしょうから」

 

 昔は何故こんなにもフランが私に懐いていたのかは分からない。もしかしたら、何か切っ掛けがあったのかもしれないが、それは覚えてないし思い当たる節もない。ただ、その時はとても嬉しかった。ただそれだけはとても強く覚えている。

 

「じゃあ、そろそろ行くわね。フランが待ちかねてるでしょうから。レミィ。また後でね」

「ええ、また後で」

 

 母と別れを告げ、私はその場を後にした。この時は思いもよらなかった。

 

 私の能力の発現が切っ掛けで、この先の私の──フランの運命を大きく変える、大事件が起きようとは────




幸せはほんの一時。
夢は壊れて⋯⋯。
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