姉に憑依したシスコンは、妹を愛で尽くす   作:百合好きなmerrick

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2話「寝起き」

 ──フラン⋯⋯レミリアの部屋にて─

 

 いつも通りの日暮れ。ただ、いつもと違う事が1つあった。

 

「お姉様。ご飯の時間だよ。⋯⋯お姉様? お姉様ー!」

 

 ご飯の時間だと言うのに、お姉様が起きてこなかった。いつもは私よりも早く起きて、私の分だけ「手料理を食べさせたい」と作ってるのに。寝るのが遅かったのか、今日は珍しい事に私よりも起きるのが遅かったらしい。だから、ご飯もできてない。

 

 流石の私でも、ご飯を食べないと元気が出ない。いざという時──お姉様に襲われた時とか──に対応できないから、お姉様を起こしに来た。

 

「あと⋯⋯10分⋯⋯」

「はぁ? そう言って私が何度も何度も起きないの見てきたでしょ! お姉ちゃんらしくそこはしっかりしてよね! って、言ってる私も恥ずかしくなるけどっ!」

 

 どれだけ揺さぶっても反応が薄い。起きてる時とは大違いだ。⋯⋯そうだ。もしかしたら、今の寝惚けてるこの状況なら、触ってもバレないかな。き、ききき⋯⋯キスとかしても⋯⋯怒られたりしないかな。やってみる価値はあるかもしれない。だって、こんな状況、なかなか無い。

 

「お、起きないでよ、お姉様⋯⋯」

 

そっと目を閉じ、お姉様の唇に自分の唇を近付ける。それが触れるまで後どれくらいかかるだろう。そんな事を考えながら、胸の高まる鼓動を必死に抑えながら、慎重に、ゆっくりと近付け──

 

「ふわぁぁぁぁ⋯⋯!」

「──っ!? あ、お、おおお、お姉様!?」

 

急にお姉様の声が聞こえ、慌てて離れる。そして目を開けると、ちょうどお姉様の目と合った。どうやら、ちょうど目を開けたみたいだから、本当にギリギリセーフだったらしい⋯⋯。危なかった。

 

「ふぇっ⋯⋯? あれ、フラン⋯⋯?」

「そ、そうだよ。なかなか起きないから起こしに来てあげたの。感謝してよね」

「フランぅ⋯⋯!」

「え、ちょ──」

 

この姉は何を考えてるのか、急に抱き着いてきた。どうやら寝惚けてるらしい。私はベッドへと引き込まれ、逃げられないようにか足を絡められる。最初、何が起きたのか理解できなかった。けど、すぐさま我に返り、引き剥がそうと必死にお姉様を押して抵抗した。

 

「ちょっ、バカ姉! 寝惚け過ぎだって!」

「ふらぁん⋯⋯。私が⋯⋯守って⋯⋯あげるからね⋯⋯」

「おねっ⋯⋯! ⋯⋯うー」

 

それは、私が無理矢理にでも引き離そうとした時だった。私は抗うのをやめ、お姉様に身を委ねる。しかし、幸運なのか不幸なのか。抱き締める以上の行為をされる事は無かった。

 

お姉様は卑怯だ。いつもみたいなヤラシイ行為じゃなくて、姉らしい優しく温かな抱擁。そんな事をされ、しかも「守る」なんて言葉をかけられたら、逃げるに逃げられない。いや、逃げたくないがより正確な言葉だ。

 

「ふらぁん⋯⋯好きぃ⋯⋯」

 

そうだ。ただの変態な姉なら、私が好きになるはずない。たまにこうして、優しくて、自慢できるような姉になるから、私が好きになったんだ。それでも度が過ぎる行為はどうかと思うけど、今ではそれも嬉しく感じてる。それだけ私の事を思ってくれてるという証拠だから。

 

「あ、れ? フラン? え、あっ! ご、ごめんなさい⋯⋯!」

「⋯⋯あぁ、起きたんだ。別にいいよ。何もされてないから。あーあ。ようやく抜け出せたなー」

 

後もう少しで一線を超えるかも、というところで完全に起きちゃった。後一歩というところだったのに、とても残念だ。ホント、お姉様は空気が読めない。良い意味でも、悪い意味でも。

 

「き、嫌いになってない? 大丈夫?」

「大丈夫だよ。それより早く起きてご飯作って。アレが無いと、元気出ない」

「っ! わ、分かったわ! 今すぐ作るわね!」

 

言葉1つで人はここまで元気になれるのか。そう思うくらいの勢いで、お姉様は部屋から出ていった。

 

そして私は、お姉様が完全に離れた事を確認し、お姉様のベッドに倒れ込んだ。

 

「⋯⋯あ、あぁー! だ、抱き合っちゃった⋯⋯! 抱き合っちゃったよぉ⋯⋯! だ、大丈夫。落ち着けフランドール⋯⋯。お姉様はもう気にしてない感じだった。だ、だから、嫌われてはない⋯⋯。それどころか、ワンチャン距離が縮まった可能性も⋯⋯? あぁ、ダメ! 思い出すと恥ずかしくなってくる⋯⋯! へ、平常心平常心!」

 

こんな顔をお姉様に見られたら、もう明日から生きていけない。恥ずかしさで死んじゃいそう⋯⋯。それにしても、お姉様のベッドっていい匂いがするなぁ。お姉様の匂い、とっても落ち着く。このまま堪能して、寝ちゃいたいくらい。

 

「って、私は変態(お姉様)か! ⋯⋯はぁ」

 

自分で突っ込むとなんだか情けなくて、哀れになってくる。いつか愛し合う仲になるかもしれないのに、こんな事で恥ずかしがってたら、後が思いやられるのに。⋯⋯あ、愛し合う仲って、あ、あんな事やこんな事をするのかな。

 

うわぁ、絶対に私じゃ耐えられない気がする。恥ずかしくなって、またお姉様を突き放すような事言っちゃいそうな気がする⋯⋯。

 

「そ、それでも⋯⋯お姉様に、また抱き締められたいなぁ⋯⋯。お姉様の柔らかい身体、もっと味わいたかったなぁ⋯⋯」

 

欲望を口にしないと、この抑えきれない気持ちをどうにかできない。こんな事になったのも、全部お姉様のせいだ。絶対にいつか、責任を取ってもらおうそうしよう。でも、まずはもっと距離を縮めよう。話も色々な事もそれからだ。

 

「⋯⋯つ、次は私がお姉様に起こされよっかな。そ、そしたら寝惚けてた、って事で何しても⋯⋯い、いや。絶対ダメだ。起きた後、恥ずかしさで絶対死ぬ。お姉様としばらく顔合わせれなくなる⋯⋯。はぁ、諦めてご飯食べに行こっ。お姉様に心配かけちゃうし」

 

悩みを忘れ、気持ちを切り替えて、私はお姉様の待つ食堂へと向かった────




気まぐれとモチベで続く話なので、次がいつになるか分かりませんが、これからもよろしくお願いします。
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何かありましたら、ご自由にどぞ。

では、また次回。
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