姉に憑依したシスコンは、妹を愛で尽くす 作:百合好きなmerrick
デレしかないフラン視点ですね
──フラン⋯⋯レミリアの部屋にて──
どうしよう。つい思わず、やってしまった。お姉様があんなに優しくしてくれたから。プレゼントまでくれたから。そのお返しという使命感から、後先考えずに一緒に寝ようとか言っちゃった。
それどころか、高ぶった感情を抑えきれず、思わずお姉様を抱き締めてしまった。更にはお姉様も優しく抱き締めてくれたから、今になってようやく自分がどれだけ恥ずかしい事をしてるのか分かった。
お姉様の胸が私の胸に当たってる。服を挟んで密着してる。それだけに、自分の胸の鼓動がヤバい。お姉様の耳はいいし、胸に脂肪なんてほとんど無いから、いつ気付かれたっておかしくない。
「フランぅ⋯⋯」
「え⋯⋯。ほっ、寝言か⋯⋯」
とか思ってたけど、割と早く寝たらしい。変なところを触られるのも覚悟してたのに、今日のお姉様はどうしたのだろう。私が言う事を聞いて、ネグリジェを着たから、機嫌が良いのかな。もしそうなら、ちょっと嬉しいかも。
ん? もしそうなら、実はお姉様も私の事が⋯⋯。流石に無いか。ただ、プレゼントを受け取ってくれた事が嬉しかっただけだろう。お姉様の事だし、深い事は考えてない可能性の方が高いし。
「それにしても⋯⋯可愛い。お姉様、好きだよ⋯⋯」
お姉様が寝てるのをいい事に、小さな声で呟いてみる。もちろん反応は無いけど、言葉を発する度に自分の顔が熱くなってくる。聞かれてないと分かっていても、目の前に居るとやっぱり恥ずかしい。
「フランぅ⋯⋯」
「んー、また寝言? ふふん、可愛いお姉様。どうしたの?」
寝てると知ってれば、面と向かって話すよりも些か心に余裕が持てる。私は冗談っぽく呟き、寝ているお姉様の反応を伺った。
「⋯⋯結婚、しよ⋯⋯」
「⋯⋯え?」
余裕を持てると思った側から、その余裕を奪うような発言が聞こえた。いや、多分気のせいだろう。幾らお姉様と言えど、そんな言葉を発するはずがない。きっと、いや絶対に空耳だ。
「結婚⋯⋯ずっと、一緒に⋯⋯居たいの⋯⋯」
追い打ちをかけるかの如く、お姉様はその言葉を連発する。心臓の鼓動が更に早まるのを感じた。恥ずかしくて、思わず枕に顔を埋める。それでも、お姉様の手から逃げようとは思わなかった。いや、お姉様から逃げたくなかった。
「け、結婚って⋯⋯。うー⋯⋯。お姉様のバカ。絶対分かって言ってるじゃん⋯⋯」
本当は分かってる。ただの寝言だという事も、お姉様の本心じゃないという事も。それなのに、どうしてこんなにもお姉様の寝言に動揺を隠せないのか。決まってる。お姉様が好きだからだ。お姉様が好きだから、お姉様から逃げたくないし、そんな言葉を言われると恥ずかしくなるんだ。
「⋯⋯フラン、大丈、夫⋯⋯」
「⋯⋯!」
お姉様はいつもそうだ。心を見透かしてるかのように喋って、心を乱すかのように触って、私を揺さぶってくる。だから、私も気持ちを抑えられなくなるんだ。これも全て、お姉様の計略だろうか。否、そうに違いない。
「分かったよ、お姉様。⋯⋯寝てる時くらい、受け入れるね⋯⋯」
思い通りになりたくないけど、気持ちを発散させるためには致し方ない。そう思って、身体を捻って再びお姉様の顔を見る。そして、決意を固め、その唇に一瞬だけ自分の唇を触れて、啄むようなキスを交わした。そして、思い切って、お姉様を強く抱き締め返す。
先ほどよりも強く、そしてより一層密着する。触れる肌から、自分の心音かと勘違いする程大きく、お姉様の心臓の鼓動が聞こえる。そのまま数秒程抱き締めた後、ふと我に返って少し離れた。
「⋯⋯や、やっちゃった。ふぁ、ファーストキス⋯⋯お姉様と、ファーストキス⋯⋯!」
お姉様を起こさないよう、声を殺して感嘆の声を出す。お姉様は気付いてないが、ついに私は、姉妹という枠組みを超え、お姉様との距離を1歩だけ進めた。言うなれば、それは禁忌。私は近親相姦という禁忌に手を出しかけているのだ。
「すぅー、ふぅー⋯⋯。落ち着け、フランドール。わ、私は元からお姉様の事が好きだったんだから、これくらい普通じゃん⋯⋯。べ、別に⋯⋯うぅーっ!」
「⋯⋯ふぁぁぁぁ⋯⋯あ、れ? フラン? まだ起きてたの?」
悶えてる時に、運悪くお姉様が目覚めてしまった。目が虚ろで、完全には起きてない事が幸いか。
「え、あ、う、うん⋯⋯。ちょっと、眠れなくて⋯⋯」
「そっか⋯⋯。なら、寝かせてあげる⋯⋯」
お姉様が抱き締めながら、まるで子供をあやす様に、背中を優しく叩き始めた。小さな声で何か歌ってるが、それが何かはよく聞こえない。平常心を保てれば聞く事もできただろうが、今の私にそんな心を保てる程の余裕は無い。
お姉様に意識されて抱き締められてるという事が、自分で誘った時よりも恥ずかしいという気持ちがのしかかる。その気持ちを紛らわすために、もう何もかも壊れる事を覚悟して、間違いを起こしてもいい気すらしてきた。
「何か考え事でもしてた⋯⋯? 困った時は、お姉ちゃんに⋯⋯頼っていいから⋯⋯」
「っ⋯⋯! うん、分かった。⋯⋯お、お姉ちゃん⋯⋯」
いつもみたいな、よそよそしい呼び方じゃなくて、親しい姉に使える呼び名。それは暗に、更に距離が縮まった事を意味する。その言葉を聞いた瞬間、私の心は安らかな思いで満たされた。お姉様の優しい声が、その安らぎをもたらしてくれた。
今日だけで、どれだけの距離が縮まったのか。いつか、お姉様がしっかりと起きてる時に、本心を打ち明けよう。それで拒否されたら、その時はその時だ。
でも、まだもうしばらくはこのままの関係で良いよね。もう少し、お姉様の本心を知りたいし。ほ、本心を知るのが怖いとかじゃないけど。
「フラン⋯⋯おやすみ⋯⋯」
「うん。⋯⋯お姉ちゃん、おやすみなさい」
今はともかく、お姉様⋯⋯お姉ちゃんのお陰で落ち着いたから、また気持ちが高ぶる前に眠るとしよう。
そう思って、お姉ちゃんの腕の中でゆっくりと目を閉じた────
多分、これの最終回が来るとすれば、一線どころかレミフラが完全な恋人になった時くらいでしょうね。
いつか書くのかなぁ。