姉に憑依したシスコンは、妹を愛で尽くす 作:百合好きなmerrick
なら、デートですね。
っていう話。
──レミリア⋯⋯人間の街にて──
今日は尽きた食料を調達するために、フランと一緒に人間の街にやってきた。そのついでに、他の色々な物も買いに来た。何を買うかは決めてないから、見て決めるつもりだけど。
フランを連れてきた理由は2つある。1つは容姿をフランが新しく覚えたらしい魔法を使って変えているから。彼女が居ないと気軽に出歩けない。どうしてそんな魔法を覚えてたのかは知らないけど、本人は言おうとしないし、こうして役に立ったのだから、深くは聞かないつもりだ。
2つ目は、家に1人で居させたくないから。家には頼れる人も居ないし、何かあればすぐに向かえない。そろそろ原作キャラである美鈴が来てもおかしくないのに、まだ来てない。1人で何処かに行くには、まず美鈴が居る事が前提になる。2人でもっと外に出かけれるように、早く来てほしい。
「ふーらーんっ! どう? あれって綺麗な衣装じゃない?」
「⋯⋯そうだね」
それはともかく、初めて2人で買い物に行くのに、 フランの機嫌がよろしくない。どうしてかは⋯⋯まあ、うん。察しがつく。
「それよりさ、人前でこんなにも腕にしがみつくってどうかしてると思うよ。周りから変な目で見られるし、すっごく恥ずかしいんだけど⋯⋯」
「そうかしら? みんな可愛い姉妹だなあ、とか思ってるんじゃないかしら」
「そうだといいね⋯⋯」
フランは可愛過ぎて、変な男に捕まる可能性がある。だから、離さないようにしてただけなんだけど⋯⋯フランにはそれが逆効果だったらしい。無闇に引っ付き過ぎたせいで、フランが恥ずかしそうに周りを気にしてる。
姉妹なんだし、そこまで気にする必要は無いと思うんだけどなあ。
「フラン、楽しいわね」
「⋯⋯別に、楽しくないし」
「うーん⋯⋯本当に機嫌悪いわね。帰った後、いつもみたいにイチャイチャする?」
「いつもしてないし。っていうか、もう少し離れて」
いつも以上に冗談に手厳しい。それに段々周りの目も痛くなってきたし、そろそろ手を繋ぐ程度に抑えよう。これ以上やって、フランに嫌われるのも嫌だしね。
「え⋯⋯?」
「あら、どうかした? もしかして、手を繋ぐよりもしがみつく方が良かったかしら?」
「ばっ⋯⋯! ち、違うからっ! 私は⋯⋯あ。あのお店が気になったからだよ、うん」
あからさま過ぎて、本当に図星だったのかと思ってしまった。でも、流石にそれは有り得ないし、不意に話しかけたからビックリしただけだろう。図星だったら、両思いなのになあ。繋ぐ事は許されてるから私としては全然嬉しいんだけど。
「ふーん。⋯⋯洋服屋? さっきは服に興味無さそうにしてのに、おかしいわね?」
「⋯⋯⋯⋯」
「え、あ、謝るから、手に力込めないで! い、痛いから、ストップ! ストッププリーズ!」
「ふんっ。⋯⋯お姉様ってさ、私よりも弱いのにいっつも馬鹿みたいな事して、私に怒られてるよね? そういうのが好きなの?」
若干トゲのある言い方。矛盾を指摘したせいで、機嫌を損ねてしまった。こういうところは子供っぽいのに、質問自体は子供とは言えないもの。どうしてこんな性格になったのか。やっぱり、私のせいなのかな。
「⋯⋯フランにされるなら、何でも好きよ。貴女はたった1人の家族なんだから。嫌いになるわけないじゃない」
「ふーん⋯⋯変態さんだね」
「うっ。フランだけよ? こんな気持ちになるの⋯⋯」
「余計酷いわ。妹なんだよ? ⋯⋯ま、一途なのはいいんじゃない?」
「ほえ? ⋯⋯うん、そっか。そうね」
今日初めて、フランに褒められた気がする。もちろん、フランにその気があるわけじゃないだろうけど。ただ純粋に、そう思ってるだけだろう。
「⋯⋯あら、これ可愛いわね」
会話をしながら通りかかったある店で、可愛い紅のシュシュを見つけた。いつもはリボンで髪を留めてるけど、フランなら何でも似合うはずだ。だから、フランに付けたら、もっと可愛くなりそうだ。
「おじさん。これ幾ら?」
「おっ、可愛い嬢ちゃん達じゃねぇか! いつもは銀貨数枚だが⋯⋯お安くしとくよ!」
「あら、ありがとう」
この容姿だとみんながオマケしてくれるから嬉しい。大好きなフランの姉になれたし、オマケはしてくれるし、前世では見なかったような願ったり叶ったりだ。
「ところでよ。嬢ちゃん達、姉妹かい? 見たところ、髪の色も違うが⋯⋯かなり似てるねぇ」
「いえ、恋人よ」
その言葉を発した瞬間、フランが横で私の腕を強く握り締めた。これはかなり怒ってる。言葉を間違えたと察した私は、咄嗟に言葉を訂正した。
「ふふっ。冗談よ。ええ、姉妹よ。私が姉で、この娘が妹なの」
「はえー。仲の良い姉妹で結構! 銀貨1枚でいいよ!」
「ありがとう、おじさん」
銀貨を手渡し、シュシュを受け取る。その場でフランに付けようと顔を見ると、どういうわけか、顔が真っ赤に染まっていた。やっぱり、言葉を間違えて怒らせてしまったようだ。
「フラン、付けていい?」
「勝手にしなよ⋯⋯。もう、早く帰りたい⋯⋯」
「ご、ごめん。すぐ終わるから⋯⋯はい、終わったわ」
既に付けていた髪留めを外して、代わりに紅のシュシュを髪に付けた。少し距離を置いてフランを見ると、当たり前というか、何というか。一言で言うならまるで女神のようだった。私に癒しを届けてくれる可愛い女神。この女神を独り占めしたい。そんな独占欲が湧いてくる。
「⋯⋯お姉様。帰ろっ! 歩くの疲れたからっ!」
「ええ、分かったわ。ごめんなさいね、買い物に付き合わせちゃって」
「別にいいよ。もう過ぎた事だから、何も言わない」
おぅ⋯⋯ご機嫌斜めだ。私は楽しかったから良かったけど、今度はフランの気持ちも考えて行動しよう。こんなはっちゃけた行動をしてると、いつフランに嫌われてもおかしくない。それもこれも、フランが可愛過ぎるからいけないんだけど。
「⋯⋯お姉様。またいつか来ようね」
「え? ⋯⋯ええ、そうね」
その真意は分からない。だけど私は、その言葉が聞けて悩みを全て忘れる程、嬉しい気持ちになった。まるで、デートしていたかのような錯覚に陥る。それくらい、嬉しい思いを今日はできた────
──フラン⋯⋯人間の街にて──
初めてお姉ちゃんと外に出かけた。この日のために人間に化ける魔法を覚えていて良かったとつくづく思う。だけど、こんな大衆の前で私の腕に引っ付くのはどうなのか。夜だから目立たないけど、それ以上に人が多いという問題がある。
近くを通った人間達はみんな私達をチラ見するし、デートって楽しいものって本で見たのに、これじゃあ見世物にされてるみたいで気分が悪い。もちろんデートというのは私が勝手に思ってるだけで、本当はただの買い物だけどね。
もちろん、お姉ちゃんは引きこもり気味な私を元気づけるためか、周りの視線なんか気にせずにやってるんだけど。私のためを思ってしてるのは分かるけど、少しは自重してほしい。じゃないと、あまりの恥ずかしさで死にそうだ。この恥辱の鬱憤をどこで晴らせばいいのやら。
「⋯⋯あら、これ可愛いわね」
お姉ちゃんがそう言って手に取ったのは紅のシュシュ。私の手を繋いでる方とは逆の手でシュシュを手に取り、じっくりと見ていた。そして、私をちらりと見て、またシュシュに目を戻す。その後、お店のおじさんに値段を聞いていた。
あれは明らかに私に付けようとしている。じゃなきゃ、私を見たりなんかしない。所謂、プレゼントという物かな。デートなら、こういうのも買ったりするのかな。
「ところでよ。嬢ちゃん達、姉妹かい? 見たところ、髪の色も違うが⋯⋯かなり似てるねぇ」
言われてみれば髪色がこうも違うのはどうしてなんだろう。私は親を見た事ないから分からないけど、どっちかが青色でどっちかが黄色なのかな。ま、別にどうでもいいんだけど。顔だけでも、お姉様と似てるって言われて嬉しいし。
「いえ、恋人よ」
「⋯⋯え」
お姉ちゃん聞こえるか聞こえないかの声量で思わず言ってしまった。お姉ちゃんの言葉を聞いて思わず手に力が入る。
お姉ちゃんと、恋人? で、ででで、デートといえば、恋人とするもの。確か、本にはそう載っていた。なら、そんな事を言われても動じる事は無い。当たり前じゃないか。お姉ちゃんと恋人なんて、当たり前⋯⋯。
いや。そもそもこれはデートじゃなくて、買い物だった。私は何を言ってるんだ。こ、混乱してきた。ヤバい、どうしよう。どうやって、平静を装えばいいんだろう。どうすれば、お姉ちゃんと今の関係をキープできるんだろう。
「ふふっ。冗談よ。ええ、姉妹よ。私が姉で、この娘が妹なの」
よ、良かった。やっぱり冗談だったか。⋯⋯それでも、なんでだろう。胸がまだドクドクと音が鳴ってる。お姉ちゃんのせいで、もうどうすればいいか分からない。これ以上、何かあれば平静を装える気がしない。
「フラン、付けていい?」
この姉、追い打ちをかけてきやがった⋯⋯。もしかして、私の心は見透かされてる? もしそうなら、私は全て諦めるよ? 今までのプライドも思考も全部投げ出して、お姉ちゃんに襲いかかるよ?
「勝手にしなよ⋯⋯。もう、早く帰りたい⋯⋯」
「ご、ごめん。すぐ終わるから⋯⋯はい、終わったわ」
諦め口調で言っちゃったけど、本当にすぐに終わったらしい。何も考えずにじっとしてたら、いつの間にか終わっていた。どうやら、見透かされてるわけじゃなく、単なる偶然だったらしい。よくよく考えれば当たり前の事だけど、今の私は神経が凄くすり減ってる。また何かある前に、早く帰ろう。
「⋯⋯お姉様。帰ろっ! 歩くの疲れたからっ!」
「ええ、分かったわ。ごめんなさいね、買い物に付き合わせちゃって」
「別にいいよ。もう過ぎた事だから、何も言わない」
別に嫌だと思ってないし、そもそも早く帰りたいからもうどうでもいい。凄く疲れた。でも、最後にあれだけは言っておこう。じゃないと、もうこうしてお姉ちゃんと一緒に何処かに行けない気がする。
「⋯⋯お姉様。またいつか来ようね」
「え? ⋯⋯ええ、そうね」
温かい言葉。聞いてるだけで癒される。デートじゃなかったけど、今日は楽しい思いができた。今度こそは、デートとしてお姉ちゃんと一緒に⋯⋯何処かに行きたい。そんな事を空想しながら、お姉ちゃんの手を強く握り締めた────
募集も消化していくつもりなので、次回は番外編予定。
あと、多くのお気に入りと評価ありがとうございますo(_ _*)o
これからもレミフラをよろしくです!