姉に憑依したシスコンは、妹を愛で尽くす 作:百合好きなmerrick
シリアス系の話はまだしたくないので、小さい頃、表裏の無かったフランの話。
そして、レミリアが恋した切っ掛けの話です。
──レミリア⋯⋯過去の記憶、紅魔館にて──
私は一体いつからフランが好きなのか。
その問いに、私は迷わずに前世からと答えるだろう。前世から好きな「キャラ」。私はフランの事をそういう風に見ていた。だけど、今世を生きて、考え方が変わった。愛おしくも可愛く、たまにキツく当たっても、後で優しくしてくれる。今でも若干ツンデレが残るも、飴と鞭がしっかりした大好きな妹。最早、私は妹の虜になってしまったのだ。
では、その考え方はいつ変わったのか。
それに明確な答えを出す事はできないが、思い当たる節はある。それは、私が度々目にする夢だ。どんな夢か、起きた時にはよく覚えてない。だけど、見たという実感は残る。理由は多分、幸せな記憶だから──
「お姉ちゃん、お姉ちゃん!」
「ん⋯⋯ふぁ、ぁぁ⋯⋯。フラン? どうしたの?」
それは、まだフランが地下に
今回もその例の如く、私の部屋に勝手に入ってたらしい。そして、私の上でフランは飛び跳ね、半ば無理矢理起こされていた。だけど、重たくも痛くもないし、やられてる時は可愛いものだから、特段嫌な気持ちになる事はない。
「あさだよ! おーきーて!」
その時のフランは子供故か、舌足らずな部分が多かった。それでも一生懸命に言葉を伝えようとする姿は、見てると心を動かされる。いつもそれで心から身体へと感情が伝わり、行動へと移されるのだ。
「朝って⋯⋯まだ寝る時間⋯⋯」
「おーきーて!」
人間にとって朝は起きる時間だが、今の私は吸血鬼。吸血鬼からしてみれば最も忌み嫌う時間だ。そんな時間に何を思ったのか、フランは私の部屋へとやって来た。
「仕方ないわねぇ⋯⋯。起きたわよ。どうしたの?」
「なにもないよ!」
「え、無いの?」
「うんっ」
フランは純粋無垢な笑顔で、悪びれもせずにそう話す。流石に何も無いのに起こされた私は怒りは感じなかったものの、多少の面倒という気持ちはあったと思う。それでも可愛いから、数秒で何も思わなくなってたけど。
「なら、どうして来たの?」
「えっ⋯⋯ひみつー」
「あらら。お姉ちゃんに教えてくれないの?」
「⋯⋯それなら、いっしょにねてもいーい?」
いつも部屋に来てるフランだが、今回ばかりは様子が違ってた。その時の私も不思議には思ってたが、深く追求する事はしなかった。それが嫌われない方法だと思ってたから。
「ええ、いいわよ。可愛い妹ねぇ」
「むぅ。こどもあつかいしないでっ」
「ふふっ、ごめんなさいね」
「もう⋯⋯」
呆れた声を出しながらも、フランは私の隣へと入ってくる。毛布を被った後、しばらく何も喋らなかったが、フランはじっと私を見つめていた。
「どうしたの?」
「ううん⋯⋯お姉ちゃん。だきしめて?」
「⋯⋯え?」
そして、甘えた声を出し、私にせがんでくる。願ってもない状況に私は内心喜びに満ち溢れたけど、いつになく甘えるフランに疑問を抱いた。今ではツンツンしまくってるフランも昔は甘えていた。だけど、いつもはここまで甘える事も無かった。
「なんどもいわせないで! ⋯⋯だきしめて?」
ムスッとした表情からの恥じらいのある表情で、フランは再びせがんできた。自分の可愛さを熟知してるかのような行動に、私は思わず無言でフランに抱き着いた。
「お、お姉ちゃん? ちょっとつよい⋯⋯」
「あっ! ご、ごめんなさい。⋯⋯可愛くて、つい」
「⋯⋯ずっとこどもあつかいしてる。でも、ありがとう⋯⋯」
顔を赤くして、子供らしく恥ずかしがる姿を見せるフランに、私は再び感情が高ぶった。必死に幼いフランを襲いたい気持ちを押し殺し、フランを抱き締めて気を紛らわせていた。
「⋯⋯お姉ちゃん。わたしね、こわいゆめをみたの」
「怖い夢? ⋯⋯それで私のところに来たの?」
「うん⋯⋯。おかあさまやおとうさまが、しんじゃうゆめ。まっかになって、しんじゃうの」
それを聞いて思ったのは、
その時に想像した最悪な事態が──いや。これは思い出したくない。両親も良い人ってか吸血鬼だったし、フランもそんな両親の事が好きだった。だから、私も両親の事を守りたかった。だが、この時の私は、楽観的な考えを捨て切れずにいた。
「なるほどねぇ⋯⋯。それは怖かったわね。でも、大丈夫よ。みんな私が守ってあげるから。お母様やお父様、それにフラン。貴女の事もね」
「⋯⋯うん、ありがとう。そういってくれるお姉ちゃん、すき」
「私も好きよ、フランだから。もうこのまま⋯⋯ずっと一緒に居たいくらい」
「わたしも⋯⋯。お姉ちゃんといっしょなら、なにもいらない」
フランは稀に子供なのかと思う言葉を口にする。まだ人間でも子供と言われる年齢なのに、何もいらないなんて子供が言うセリフじゃない。フランにもっと夢を持ってほしい。何か欲しい物を強請って、私にもっと甘えてほしい。今も昔も変わらず、そう思っていた。
「⋯⋯そんな事言わないの。お姉ちゃん以外に、何か欲しい物は無いの?」
「いまはないよ。お姉ちゃんといっしょにいるの、たのしいから! それにね、お姉ちゃんがすきだから!」
「ふふっ。お世辞でもそう言ってくれると元気が出るわ」
「おせじじゃないよ!」
「え?」
どういう事かと、思わず口に出してしまった。フランは私の疑問を何も思ってないのか、それとも気付いてなかったのか、気にせずに話を続けていた。
「わたしね、お姉ちゃんがすきだから、お姉ちゃんとけっこんしたいの!」
「⋯⋯へ? え、あ⋯⋯け、結婚?」
「うん、けっこん。お姉ちゃんとしたい⋯⋯。できるよね?」
「ふ、フランは⋯⋯それでいいの? 私なんかで⋯⋯」
私が最も悩んでいる事を、フランは純粋な質問として投げかけてくる。その時、私はどう答えて良いか分からず、話を逸らすように逆に質問し返した。もし今されたとしても、私は答える事ができないだろうけど。
「いいよ! お姉ちゃんとけっこんして、えほんみたいに、お姉ちゃんをよびすてするのがゆめなの!」
「呼び捨て? ああ、恋人みたいに、って事ね。別に今でもレミリアって呼んでもいいのよ? それで今の関係が変わる事も⋯⋯」
「かわるよ? お姉ちゃんとこいびとになるから!」
「⋯⋯っ」
私の気持ちを知ってか知らずか、フランは更なる追い打ちをかける。結婚なんて姉妹だから普通じゃないのに。幼いフランはそれも分からず、子供らしく無邪気に願望を語ってるだけ。それなのに、私の気持ちは揺れに揺れていた。
「お姉ちゃん、だいすきだよ。これからもずっとね! だから、いつかけっこんしようね!」
「⋯⋯うん。お姉ちゃん、フランと結婚できるように頑張るわね」
「がんばれー! おうえんするから、ぜったいだよ!」
フランはどうしてこんなに可愛いのか。最早考えるのが馬鹿馬鹿しくなるほど、フランが可愛らしく、愛おしい。感情の高揚を抑えるために、その身体を改めて抱擁する。フランは多少苦しそうな声を出すも、力を緩めるとすぐさま抱き返してくれた。
「うん⋯⋯絶対ね。約束よ」
「うん! やくそく!」
その時はそれ以上、会話する事もなく、私とフランは仲良く一緒に眠った。
思えば、この時からだった。フランからの告白で、私が改めて恋愛的な意味として、フランを好きになったのは。今思えば恥ずかしながらも奥手な私がフランに告白できるはずがなく、私はフランに後押しされる形で好きになった。そして、永遠に離したくないとも思ったのだろう。
「⋯⋯様。お姉様!」
「んっ⋯⋯フラン?」
私の気持ちはあの時から変わらない。フランに恋愛感情を抱いて、子供の頃の言葉を真に受け、未だに結婚したいと思ってる。
「お寝坊さんだね。早くご飯作ってよ。お腹空いた」
「ええ、今すぐ作るわ」
「もう、しっかりしてよね。お姉様ってホント、私がいないとダメだねー」
フランの気持ちは分からない。好きとは言ってくれたが、それからというもの、然したる進展は見られない。最近では夢だったのかと勘違いするほどだ。
「ねえ、フラン。約束、覚えてる?」
「へ? 約束って、いつの?」
「⋯⋯⋯⋯いいえ。何でもないわ。ごめんなさい。気にしないで」
でも、時折。それが夢じゃなかったと感じさせられる時がある。
「ふーん。変なお姉⋯⋯
「ははは⋯⋯って、え? ふ、フラン! もう一度だけ今の言葉──」
「私に
「あ、ちょっ⋯⋯! もう⋯⋯」
姉なのに、今でもフランに振り回されてる気がするが、それもまた一興。稀に欲求不満になる事もあるが、私はこの時間がずっと続けばいいと思ってる。そして、いつか。フランとの約束を叶えたい。
不変はつまらない事だから。多分、原作のレミリアも、変化を求めて幻想郷に行ったのだろう。なら、レミリアである私は、同じように変化を求めよう。形は些か⋯⋯いや、かなり違うだろうけど。最近、私はそう思うようになってきた────
フランさん、原作だと閉じ込められたのか、閉じこもってるのか、詳しい事は伏せられてるみたいですね。
裏一言とか見る限り、閉じ込められたっぽいですが。
まぁ、それはともかく、今回は閉じこもった側を採用しました。
どうしてそうなったのかは、いずれ⋯⋯。
それはそうとして「お姉ちゃん」だけ流暢に話す子供フランとか良くないです?(