ここでの記憶喪失は普通の記憶喪失
ヨリ
王道を往くツンデレは素晴らしい
アカリ
毎回紛らわしいことを言うから困る
イリヤ
他と比べたらまともですね。
ランドソル広場
「お兄ちゃん~♥️ アカリはここですよ~♪ 」
「やっと来たわね。アンタ時間かかりすぎっ! 」
今日はヨリとアカリの買い物に付き合う日だ。彼女達の許へ行く際、美食殿にエールを送られながら出かけた。
「ごめん」
「今回はどこに行ってたのよ? 」
「行ってないよ。ただ、エリコさんの実験を手伝いしてただけだしね」
「えぇ……大丈夫? 」
「うん」
「……エリコさんって胸が大きい人? 私もあれぐらい欲しいな~」
「そうだよ」
「アカリはどんな目で見てるのよ……というかアンタも真面目に答えんな! 」
どうやらこの2人もエリコを知っているらしい。ヨリは『
姉妹でも他人に対する考えは違う。
「エリコさんて結構有名なのか……」
「お兄ちゃん気になりますか~」
「まあ……悪い意味だったら何とかしたいなとは思ってる」
「それは大丈夫とシノブから聞いてるわ」
ユウキのお人好しに呆れながらヨリが答える。その答えに彼は案の定喜ぶ。しかしアカリ的には面白くないと感じて、ユウキの腕を引っ張りお店に行くための足を動かす。
「……もう、そんなことよりアカリ達と買い物に行こう! 」
「あっ、い、痛いから離してくれ」
「駄目♥️ 反対側はお姉ちゃんね♪ 」
「……わ、私は手を繋ぐだけでいい」
1人は腕を絡めてもう1人は手を繋いでと、少し奇妙な3人組はお店に向かって歩く。
……目的のお店に着いて数十分。ユウキは居心地が悪く店内で縮こまっていた。
「これとこれ、どっちがいいかな~。お兄ちゃんはどれが好き? 」
「ワンピース型の水着」
「あはは、それはあまり露出してないよ~♪ 」
「アカリこういうのは普通でいいのよ、普通で。だからアンタはこれが好きでしょ」
「ワンピース型の水着で」
「ワンピース好きかっ! 」
ユウキにとって水着は少しトラウマの存在となっている。以前モニカ達、ヴァイスフリューゲル組と海に出かけた際、彼女達の数名に襲われかけたからだ。
そのことを話すと姉妹は『知ってる』と言い、迷いなくワンピース水着以外を選んで買う。海での出来事を知っていることにユウキが驚き理由を聞く。
「その話ね……シノブさんとイリヤさんにモニカさんが愚痴ってたわ」
「……」
今度会った時、モニカには飴玉などのお菓子をあげようと思うユウキだった。
────
──
買い物も終えて日が暮れた頃。ユウキは荷物持ちとしてヨリ達が買った物を入れた紙袋を運んでいる。……運び終わり彼女達とお茶をしていたが途中からゲームをすることになっていた。
「よしっ私の勝ち~♪ 」
「んっ~♥️ お姉ちゃん強すぎるよ」
「ヨリは強いな」
「はぁ、アンタもかなり勝ってるじゃない」
テーブルゲームを行いヨリが勝つ。これまでの戦績はユウキ5 ヨリ5 アカリ3となっている。
……時刻は夜になってユウキは帰るのだが何やら様子がおかしい。
「……っ、……何だか、眠い……」
「……だ、大丈夫!? 」
「……私、お布団用意するね♪ 」
「ええ。頼むわ……♥️ 」
寝てしまったユウキを2人は布団へ運ぶ。そうして姉妹は彼の頬に接吻をして、明日の朝まで愛をぶつけた。
数日後。吸血鬼であるイリヤが住む場所に、ヨリとアカリが報告書を渡しに来ている。
「はい、今月の分」
「とっても~楽しかったよ~♪ 」
「そ、そうか」
満たされている2人にイリヤは苦笑する。渡された報告書の中身は端的に言うと、簡単な感想文とユウキの状態だ。
「……ふむ……ふむ……」
中身を見終えてイリヤはヨリ達に質問をする。これは何度も聞いたが同じ答えであった。
「なあ、今度こそ「絶対に嫌」」
「まだ何も言ってないのじゃが……」
ヨリ達は予想通りの答えを出す。彼女らがイリヤを見ている目は薄く濁っていて、イリヤは怯むがもう一度問う。
しかし彼女達は首を縦に振らずに意志は固い。その様子にうんざりとする。
(……わらわも人の事は言えないが、ユウキの周りには面倒ばかり持ち込む女が多いのう……)
今日もランドソルは平和である。