原作と比べて口調や設定が違います
覇瞳皇帝
原作の方は中身が違う可能性がありますが、本作は中身同じになります
バッドから始まったハッピーエンド
彼らはもう一度覇瞳皇帝を倒した。
そして……。
「……はっ……ここは」
目覚めたユウキが最初に見たのは白い天井だった。辺りを見回すと現実の病院に似ている。
しばらく周りの状況に理解出来なかったが、どこかで聞いたような声をした誰かが扉に、寄りかかってユウキに声をかけた。
「少年、おはよう」
「晶さん……」
「その様子だと記憶は戻ってるみたいだ」
「……はい……」
「どうした英雄さん。キミ達は現実に帰ってこれたんだよ」
「あっ……」
晶という人の言葉にユウキはアストルムで起きた出来事を細かに思い出す。
「そうか、俺達はやったのか……」
感極まっているところを晶が肯定する。
「ああ、そうだ。少年達のおかげでミネルヴァやフィオが自由になって世界は元通りになった」
「ええ、そうみたいですね」
拳を握りしめていたユウキはあることも思い出した。ペコリーヌ改めティアナ、コッコロやキャル、そしてユイ達。
「晶さん……彼女達は大丈夫ですか? 」
「問題ない。別の病室で静かに起きているだろうね」
「良かった。彼女達にもお礼を言わないと……あっ」
ベッドから降りようとすると、ユウキはバタンッと転んで床とキスをする。どうやら現実の体を使ってないので筋肉が衰えていた。
その様子を晶が笑いながら助ける。
「はははっ♪ 貧弱な英雄も面白くていいな」
「笑えませんよ……」
「そうだな。とりあえずリハビリをしないとね」
「ははは、そうですね」
こうして世界規模の問題に値する事柄は解決された。どこにでもいる平凡な人達によって……。
────
──
その後ユウキはリハビリをしていた。最初は思うように動かない為戸惑っていたが、今は少しふらつくが補助なしで歩けることが出来る。
ユウキ達がいる病院は国連が管理している場所だ。病院の敷地内だが、一度外に出ると違和感があるのに懐かしい気分になっていた。
ティアナ達に会いたかったが、彼女達もリハビリをしていてユウキに会いたくないらしい。
晶が言うには以前より痩せているとは言え、このままの姿では女が廃るとのことだ。
あまり気にしないと言うと、晶はボイスレコーダーを見せて『流していい? 』とユウキは焦って謝る。
「……ユウキ……様……! 」
「エリコさん? 」
病院をリハビリがてらに歩き回っているが、誰とも出会わなかった。不思議なこともあるものだなと思っていると、見覚えのある人物と出会う。
「……お、おはようございます…………私はこれで」
「? 」
倉石恵理子。アストルムではエリコと呼びユウキを勝手に『運命の人』にして、現実も仮想でも彼に執着していた女性だ。彼女はユウキが会いにくい女性の1人で、どう対処するか考えてもいた。
しかし彼女は偶然ユウキに会ったにもかかわらず、挨拶だけして立ち去る。あまりのことにしばらく戸惑っていて、通りかかった医者に心配された。
……彼の懸念は思いもよらない出来事を引き起こすことになる。