更識家の人外   作:佐藤 海

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第十二話

蒼羅side

 クラス代表決定戦が行われた翌日クラスの女尊男卑者数人が白い目で見てきた。

 

 「蒼兄~!おはよう~」

 「ん?本音かおはよう」

 

 白い目など気にしないとばかりに本音が抱き着いてくる。まぁ、俺もこの程度の事では大して気にしないが。それに、白い目でみてくる主義者の連中をさらに白い目で見ているのがいることに主義者どもは気づいていないようだ。

 

 「朝から元気だな、お前は」

 「えへへ~」

 

 俺は本音を撫でながらHRまでの時間を潰している。

 

 キーンコーンカーンコーン

 

 チャイムが鳴り山田先生と千冬がやってきた。

 

 「え~と、それではクラス代表を発表します。クラス代表は織斑一夏くんです。あ、一繋がりでいいですね」

 「え」

 

 織斑は自分がクラス代表になったことに戸惑いを隠せないようだ。

 

 「あの、山田先生、何で俺がクラス代表なんですか?昨日俺は負けましたよ」

 「それはですね「私が辞退したからですわ!」う~私のセリフ~」

 

 山田先生の話にオルコットが割って入った。彼女には学習能力がないのだろう。

一週間前の出来事を覚えていないのだから。つまり、

 

 「オルコット」

 「はい?」

 「貴様はよほど学習能力というものがないのだな?前は私の話を遮って怒られたというのに今度は山田先生か?一度国に戻るか?」

 

 千冬は冷静に話しているように見えるが後ろから黒いオーラが立ち上っている。

 

 「ヒッ!」

 

 オルコットは短い悲鳴を上げた。クラスの女子達も震えるまではいかないが顔を青くしていた。

 こうして、今日も一日が始まった。

 

 

 「さて、今日はISの飛行を実習してもらう。更篠、織斑、オルコット前に出ろ」

 

 あれから時間が過ぎ今はISの実習訓練を行っている。

 

 「「「はい!」」」

 「ISを展開しろ」

 

 千冬に言われて俺とオルコットは直ぐに展開したが。

 

 「織斑、早く展開しろ」

 「わ、わかった「公私混同するな!はいかいいえで答えろ」は、はい!来い白式!」

 

 織斑は千冬に言われてようやく展開できた。

 

 「よし、飛べ!」

 

 千冬の指示で俺たち三人は飛んだ。

 

 『どうした織斑、白式のスペックはブルーティアーズよりも上だぞ。早く慣れろ』

 「は、はい!」

 

 織斑は何とかしようとしているが上手く飛べないでいた。

 

 「難しいな」

 「一夏さん、イメージは所詮イメージです。深く考えない方がいいですわよ」

 

 オルコットが織斑に並んで話をしている。オルコットの態度が何故か織斑だけに対して軟化している。どうやら織斑に惚れたようだ意味が分からない。

 俺に対しては、「あなたのような不意をつく卑怯者、私は許しませんわ!」と言われた。本音が抱き着いていなければぶん殴っていただろう。

 なので、俺の部隊の奴にイギリスへ情報を流すように言っておいた。織斑の発言の件もあるから酷いことにはならないだろうが仮にも代表候補生、何らかの処罰は今日中には下るだろう。

 

 『よし、止まれ。そこから、急降下から急停止地面から10㎝で行え』

 「了解。先に行かせてもらう」

 

 俺から降りていき次にオルコットが降りて俺とオルコットはクリアした。

 

 「う、うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 だが、織斑は止まらずに地面と激突した。

 

 「バカ者、誰が地面に穴をあけろと言った」

 「一夏、あれほど私が教えてやっただろ!」

 

 千冬はどこか呆れながら言った。それに対し篠ノ之は怒りながら文句を言い出した。

 

 「一夏さん、大丈夫ですか!?」

 「ISを纏っているのだからこのぐらい大丈夫に決まっているだろう」

 「あら、篠ノ之さん私は普通のことをしただけですわ」

 

 オルコットと篠ノ之が言い合いを始めたが今が誰の時間か忘れているようだ。

 

 「オルコット、篠ノ之よく貴様らは私の時間にそんなことをできるな。特にオルコット貴様は今朝怒られたばかりだと思ったのだが私の気のせいか?それとも、貴様は自分の方が偉いとでも思っているのか?」

 「い、いや。あの、これはその」

 

 ゴツンッ!

 

 「~~~~~っ!!!」

 

 オルコットは弁明しようとするが何も言い返すことが出来ず今日は連続で千冬を怒らせたのもあり千冬の鉄拳が下ろされ悶絶するのであった。

 

 「篠ノ之、貴様も貴様だ、何を勝手に出てきている?それに、教えた?それでこうなったというのは貴様の教え方が下手だからだろう?」

 「そ、そんなことはありません!!!一夏が理解できないのが悪いんです!」

 

 と言っているが篠ノ之の教え方は擬音のオンパレードと俺は聞いているので理解できるのは殆どいないだろう。

 

 「そうか。だがな、篠ノ之。他人に教えるということは相手が理解できるように自分が教え方を変える必要がある。それが人に教えるということだ。わかったか?もし、わからないというなら織斑に教えるのをやめろ、織斑のためにならん」

 「はい・・・・・・」

 

 篠ノ之も千冬に言われると反論することはできずに言い負けた。

 こうして、この時間は終わったのだった。

 


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