更識家の人外   作:佐藤 海

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ナチュラルディザスター・コーポレーションはNDCと表記しています。
自信はないですが戦闘回です。
ネーミングセンスないなぁ~という感じで武器の名前は見てください。


第九話

蒼羅side

クラス代表決定戦当日

 俺は一人でピッドにいる。楯無たちもここに来ると言っていたが俺が断った。

 

 『更篠、直ぐに出れるか?』

 

 千冬から通信が入った。

 

 「何か問題でも?」

 『ああ、倉持の連中が時間に遅れると連絡をしてきた』

 「はい?」

 

 俺は千冬の返答に素っ頓狂な声が出た。企業が決められている時までに納品しないというのはまずありえないことだから素っ頓狂な声が出ても仕方がないだろう。

 

 『普通ならあり得ないのだが。まぁ、連中には私から後で仕置きをしておくさ』

 

 俺は心の中で倉持に自業自得と思いながらも合掌した。

 

 「まぁ、とりあえず俺がオルコットと先に戦うということか」

 『そう言うことだ。すまんな』

 「気にするな。どっちでも結果は変わらないさ」

 『そうだな。だが、やりすぎるなよ』

 

 千冬が忠告をしてきた。

 

 「それは約束しかねる」

 『はぁ、まぁいい。出撃してくれ』

 

 千冬はため息を吐き。出るように言ってきた。

 

 「了解。『エレメント 漆黒』出るぞ」

 

 俺は黒の機体を纏いアリーナへとでた。

 

三人称side

 『ようやく来ましたのね!』

 

 オープンチャネルを開き話しかけてきた。

 

 「すまんな」

 『まぁ、いいですわ。あなたに最後のチャンスを上げますわ!』

 「いらない、どうせ『自分が勝つのは自明の理だから降参しろ』とかいうんだろ?」

 『うっ!』

 

 セシリアは言葉に詰まった。その様子を見て蒼羅は

 

 「図星のようだな。早く始めよう、お前ごときに時間をかけるつもりはない」

 『な!?この私をごときですって!いいですわ!それがあなたの望みだというのであれば叩き潰して差し上げますわ!』

 

 『それでは試合   開始!!!』

 

 『お別れですわ!』

 

 セシリアはレーザーを撃ってきた。

 

 「遅い」

 

 蒼羅は紙一重で躱す。

 

 『なっ!躱した!』

 「双炎銃-リバイバル-」

 

 蒼羅は双銃を手元に呼び出した。

 

 『この私と遠距離勝負とは!男のくせに生意気ですわ!ですが、その勝負受けて立ちましょう!』

 

 セシリアは遠距離勝負と言っているがこれから始まるのは勝負にすらならない戦いである。

 

 「早く終わらせるとしよう」

 

 蒼羅はそう呟き銃をセシリアに向けて放つ。

 

 『なっ!』

 

 その銃から放たれたのは炎の銃弾だった。セシリアはその攻撃を見ると咄嗟に避ける。

 

 「焦げ散れ」

 

 蒼羅は連続で撃ち続ける。

 

 『くっ!こんなことで私には当たりませんわよ!』

 「それはどうかな?」

 

 蒼羅は呟く。

 

 『何を言っているんですの?』

 

 意味が分からないのかセシリアは首を傾げるだけだった。今のセシリアと蒼羅の位置関係はセシリアが地面におり、蒼羅は空に居る状態だ。

 

 「こういうことだ」

 

 蒼羅は銃弾を一発撃つ。だが、それはセシリアの居るところとは別の場所だった。

 

 『あれだけのことを「ドガーーーーーーーン!!!」きゃぁぁぁぁぁ!!!』

 

 セシリアを大量の爆炎が襲った。

 

 「俺の撃った銃弾は、一度消えたとしても別の銃弾を当てると、もう一度起動する。そして、それが連鎖的に起こる。と言っても聞こえてないか」

 

 煙が晴れるとそこにはボロボロになり気を失ったセシリアがいた。

 

楯無side

 「楽しみね~簪ちゃん」

 

 私は今、簪ちゃん、虚ちゃん、本音ちゃんと一緒に居る。

 

 「うん、あ」

 

 簪ちゃんは何かに気づいたのか声を上げた。

 

 「簪?ここに居たんだ」

 「うん。お姉ちゃんたちと一緒に見ようと思って、詩乃も一緒に見ない?」

 「いいの?」

 「いいよね」

 

 簪ちゃんが聞いてくる。

 

 「いいわよ。久しぶりね、詩乃ちゃん」

 「お久しぶりです。楯無さん」

 

 私は詩乃ちゃんとあいさつを交わす。彼女のことはよく知っている簪ちゃんのライバルで私も何度か話したことがある。簪ちゃんとそろって次の国家代表との呼び声が高い。

 

 「し~ちゃんヤッホー!」

 「本音相変わらず元気ね」

 「当然だよ~!」

 

 本音ちゃんとあいさつを交わす詩乃ちゃんもどこか表情が和らいだ笑みを浮かべている。

 

 「お久しぶりです。詩乃さん、簪様と仲良くしてくださってありがとうございます」

 「いえ、簪には助けられることもありますから」

 

 虚ちゃんとも仲良く話をしているが簪ちゃんは少し恥ずかしかったのか顔を赤らめている。

 

 「も、もう二人とも私のことを話さないで恥ずかしい・・・・・・」

 「そうね、それよりそろそろ始まるんじゃない?」

 「そうだったわね」

 

 詩乃ちゃんは席に座りながら話す。

 

「あれが、イギリスの専用機、ブルーティアーズのようね」

 

私はそう呟くと同時にお兄ちゃんの番に早くならないかと機体を楽しみにしているがまさかあの機体が出てくるとは思っていなかった。

 

数分後

 オルコットさんが出てきた後、織斑君の番のはずだが未だに出てこないことを不思議に思っているとアナウンスが入った。

 

 『連絡します。織斑君の専用機について不手際があったため試合を一つ繰り上げて

   オルコットさん VS 更篠君

   織斑君     VS 更篠君

   オルコットさん VS 織斑君   の順とさせていただきます』

 

 その報告に会場は少し騒めいた。

 

 「機体に不手際?一体何があったのかしら?」

 「うん、不思議だね。お姉ちゃん」

 「案外、倉持の搬入が遅れていたりして」

 

 私と簪ちゃんが話しているところに詩乃ちゃんが入ってきて予想外のことを言われた。

 

 「いや、さすがにないでしょ。仮にも大企業よ?時間に納品されないなんてありえないわ」

 「会長。今、確認したところ詩乃さんの言った通りみたいです」

 「はい?」

 

 隣から話しかけてきた虚ちゃんの言葉に私は思わず虚ちゃんを見つめた。だが、虚ちゃんは頷くだけだった。

 

 「倉持にしなくてよかった」

 

 簪ちゃんがそう呟いた。

 簪ちゃんの機体は私と同じNDCに専用機を頼んで開発してもらった。本当は倉持が受け持つという話も出てきたのだが機体が元からある程度完成しており後はパイロットの要望に合わせて完成させるだけであったためにNDCになった。

 倉持は詩乃ちゃんにも頼んだようだが倉持は銃での戦いより近接戦闘での方に重点を置いていたため断ったのだそうだ。その時にNDCならば自分好みの戦いを続けることが出来るためにNDCにしたのだそうだ。

 

「あ、蒼兄~出てきた~」

「黒い機体ですね」

 

本音ちゃんと虚ちゃんがそう言っているが私や簪ちゃんは驚愕していた。詩乃ちゃんはあまり表情に出ないためかよくわからない。

 

「うそ!あの機体って!」

 

簪ちゃんは立ち上がった。

 

「簪、気持ちはわかるけど今は座って」

 

詩乃ちゃんがなだめる。

 

「う、うん。ごめん」

 

詩乃ちゃんに言われて気づき周りの視線が突き刺さり顔を真っ赤にしていた

 

「会長、あの機体の事を知っているんですか?」

 

虚ちゃんが訊ねてきた。本音ちゃんも興味津々とこちらを見てきた。

 

「あの機体の名前はエレメント 漆黒。といってNDCが開発した機体の一機であり。私たち三人の専用機のベースとなった機体なの」

「「!!!」」

 

二人は驚いていた。

 

「驚くわよね」

「はい」

「うん」

「でも、何で?お兄ちゃんが持っているんだろうあの機体を」

 

簪ちゃんが疑問を口に出す。

 

「簪、多分あの機体を操りきれるのはあなた達のお兄さんか千冬さんクラスじゃないかな。だから、」

「だから、私たちには乗せなかった。いえ、あの機体のスペックを思い出してみれば確かに予想できたわね」

 

詩乃ちゃんが最初に話、私がその後に続いて話した。

この間も試合は続いていく。

 

「そうよね。お兄ちゃんなら私たちの癖や動き方まで分かっているわよね。だから、機体を纏った時に違和感が少なかったのね」

「そう言えば私の時も他の機体にも乗ったけど一番しっくり来たのが今の専用機だった」

 「もしかして、私たちが会った社長って、お兄ちゃんの?」

 「確かに、それなら何となく私たちを見守るような雰囲気なのにも納得いくかもしれない」

 

私と簪ちゃんは二人で話し合っていく。すると

 

 ドガーーーーーーン!!!

 

 大きな爆発音がなった。

 

 「な、なにが!?」

 「これは!」

 

 虚ちゃんと本音ちゃんは何が起こっているのか分からないようだが。私たちにはわかっている。お兄ちゃんが起こしたものだということを。

 

 「これは、一度はなった炎の銃弾は消えても別の銃弾を当てるともう一度発動してその時は大爆発を起こすようになっている。私の機体にも積まれている。まぁ、作動しない条件もあるけど・・・・・・。

 だから、リバイバル、復活と名付けられたの」

 

 詩乃ちゃんの言葉に周りで聞いていた人たちも引いている。と言うのもアリーナのような密閉空間では攻略法がわからない限り最悪な能力だろう。

 

 (オルコットちゃんは相手をなめすぎたわね)

 

 BT兵器を使うことなく敗れたのだからこれ以上ないほどの屈辱だろう。相手を見下していたが故の結果である。

 




セシリアは本気も出せずにボロ負けです。次回は一夏との戦闘です

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