第13話 極東の属国
【モスコー赤の広場】
暗闇の中何かがざわめいている。それは人の形をし、ヴァシリエ語を、話している。その者たちは口々にいう。『皇帝に死を。資本主義に死を。我々労働者の為の国を。』
オカルト宗教のように口々に言う。回りの群衆たちもその熱に浮かされ便乗していく。
多くの店舗を破壊し、金持ち貴族からものを略奪していく。まるで盗賊のようだ。
恐ろしいことにこの出来事はヴァシリエ帝国内部の西方方面を中心に拡がりを見せ、今まさに一つの大国を飲み込もうとしていた。
ウラジミール・レニン「同士諸君我々は今ここに立ち上がる。労働者の労働者による労働者の為の国家を樹立するために、今我々共産党がここに立ち上がった。皆怯えることはない。この困窮した生活は全てあの悪逆非道たる皇帝一家、貴族、そして役立たずで大飯ぐらいな魔導師達のせいである。皆の力を我々に貸していただきたい。そして、富の分配のために共に戦おうではないか。ここにルーシー連邦の樹立を宣言する。」
一斉に観衆達が絶叫をあげる。そして津波の如くその轟きは波及していく。
ここに、ヴァシリエ内戦が勃発した。
しかし、彼らの革命には誤算があった。
今、首都モスコーには、皇帝一家はおらず極東ウラジオストクで療養中であること。
満州方面軍は皇帝派が中心であること。
そして、銀行員のユダの民達が迫害から逃れるかの如く東へ逃げていたこと。
これらの要因により内戦はヴァシリエの大地を東西に二つに割ることとなる。
【大日本帝国内閣】
さあ、困ったことになっているのは戦勝国である日本も同じ。出した提案全てを、ヴァシリエに飲ませた。
そう、革命の要因を作ってしまったのはこの国である。
従ってこうなった場合当事者としてこの問題に首を突っ込まざる負えない状況になってしまったのだ。
徳川「どうしてこうなるんだろうね。」
大村「やはりあの内容はやりすぎでしたか…」
渋沢「やりすぎでしたか…ではない。
やりすぎなのだ。だいたい大使館や資産だって有るのだろ?要人だって向こうにいるのだ。それが死んでしまったら命ごと丸損だ。どう責任をとる。」
菊地「まあまて、いい機会だからヴァシリエを二つに割って片方を干渉地帯の国にしよう。ちょうどウラジオストクには、ニコラウ2世がいることだし、東側は皇帝への忠誠心が高いからな。それしかないだろ。」
波多野「それならば、我が国の国法を少々変化させ憲法にすればだいたい収まるだろう。」
徳川「まあ、半分は我々のせいだ。これくらいしないとな。」
【モスコー日本大使館】
『なんてことだ、革命が起こるなんてどうやって本国に帰れば良いんだ。』
「落ち着いてください大丈夫です私がお守りします。」
『そうか、頼んだよマスター黒帯』
まさかマスターになって初めての任務が大使館からの脱出なんて夢にも思うまい。
私のジェダイナイトとしての初めての任務が始まる。
主人公は出世してパダワンからナイトになりました。ナイトとしては比較的若い。自身の中身ががオッサンだから成熟しているからこその出来事。
ウラジミール・レニン
ヴァシリエ共産党の首領人身掌握と恐怖により内部を締め付け反抗する勢力をことごとく潰していった。ルーシー連邦最初の指導者。病気により死亡したため幼女戦記の本編突入には絡めない。