【モスコー・車両基地】
そこには人があまりいなかった。そのほとんどが今日の革命に駆り出された労働者達であるが故にである。
警備が一切成されていないこの車両基地で、数百人の人影が現れた。
その足取りは統率がとれていてあの暴徒たちとはまるで動きが違う。
そう、ヴァシリエ軍初の航空魔導実験部隊である。
彼らはヴァシリエヴィチ皇帝への忠誠を誓い、絶対に離反しない魔導師達から選び抜かれた精鋭である。
また、彼は多くのヴァシリエ魔導師達との太いパイプを持っており、今回の暴動の前に事前に一般の魔導師たちを極東へ退避させていた、中心的存在である。
その者達が、極東ウラジオストクへ亡命を完了するまで護衛を勤めるのが私の第2の任務である。
彼らの気が付く暇もなく、彼らの目の前に私は、現れた。
「どうも、私が今回大日本帝国から派遣されてきた特使兼あなた方の護衛のものです。どうかお見知りおきを。」
???「撃つな!!いきなり現れるとは特使は礼儀知らずか?まあいい。君の素性は知らないからまずは自己紹介と行こう。私はヴァシリエ軍極東方面軍作戦参謀
アレクサンドリア・ビフテフ中佐だ。」
「申し遅れました。私は大日本帝国外交特使ジェダイナイト黒帯 帯一だ。以後よろしく頼む。」
ビフテフ「私は極東方面軍のものだが、彼らに情報をもらい多くの魔導師達を逃がす手筈のために帝都まで来たが、まさかここで元敵国に助けられるとは。」
「その話はあとにしましょう。時間がない。奴ら共産党主義者が来る前に何としてもここを出る。」
ビフテフ「そうですな、積もる話もありますが、先に脱出しなければ。連中は魔導師を皆殺しにする勢いだからな。総員列車に乗り込め。装甲列車員操作を頼む」
『了解です。中佐』
「それはそうと、どうやら客人が来たようだ。」
ビフテフ「何?では戦闘体勢を」いや、私一人で十分だ先にウラジオへ行ってろ。後でウラジオで会おう。そしたら話でもしよう。」
ビフテフ「良いのか?」
「それが私の任務だ。」
汽笛が鳴る。機関車は、ゆっくりと進み初める。
帰ることの無い祖国への別れを口ずさみながら兵は、載っていく。
機関車の去った車両基地に、ちょうど10分ぐらい遅れて暴徒達を引き連れた何かが現れた。
そして、そこには線路の上を塞ぐ私が立っているのが見えたはずだ。暴徒たちは銃を構え私に撃つ。
しかし、目の前で止まる。暴徒達は口々に言う。
『魔法か?嘘だろ・術式すら使っていないのに?』と
何かは言った。
『ジェダイよここで死ぬが良い。』と回りは既に奴らに囲まれている。スピーダー・バイクまで突っ切るのは簡単だ。
だがあの者は危険だ。
故に私は戦うためにここに残った。
次回、シスという存在