第48話 セカンドコンタクト
side ターニャ
「なに?我々の部隊を一時後方へ下げると?」
「はっ!!そのように伝えろと。本国からの直接的命令です。内容はおって指示すると。それと、休暇を楽しめと。」
この時期にいったい本国の政治家達は、何を考えているのやら。まあ、念願の後方への移動だ、休暇だと思ってせいぜい羽を伸ばそうではないか。では、さっそく皆に知らせねばな。
「セレブリャコーフ中尉は、いるか!!」
「はい、何でしょうか、少佐。」
「何だ、皆もいるではないか。喜べ諸君。我々の部隊は、今週を持って本国へ帰還となる。諸君は本国での休暇が約束されているであろう。皆ゆっくりと鋭気を養うように。以上だ。」
それから数日後。
まさか、参謀本部からの直接命令とは。まさか、自由裁量権の剥奪であろうか?それとも後方への栄転?
「ターニャ・デグレチャフ少佐入ります。」
うわ、煙たい。彼らはいつも葉巻を噴かしている。病気になっても知らんぞ。
「お話とは何でしょうか。」
ゼートゥーア閣下が口を開いた。
「よく来てくれた。我々からの話であるが、数日程前に、大日本帝国から公式で、武官が派遣された。」
「それと我々と何の関係が有るのでしょうか?まさかその武官の護衛をせよと?そう言う事ですか?」
「そうだ。君たちは非常に優秀な戦績を納めている。そのため我々司令部は、君たちに信頼を持っているのだ。」
ルーデルドルフ閣下が更に付け加えた。
「それと同時に、貴官らには、彼らの情報収集を行ってほしい。」
「我々が出なければならないほどの重要人物なのですか?」
「いいや、違う。彼らの存在が脅威となり得るからだ。貴官は、知っているだろうか?かつて極東で、大日本帝国と、ヴァシリエ帝国との間で戦争があった。その時に、ジェダイと言う存在が現れたのだ。彼らは一人で1個師団の価値があるものたちだ。見張りとしての役割も持っているのだ、充分に注意してくれ。」
要するに危険人物の偵察ということか?
「はっ。了解しました。」
いったいどのような存在がくるか楽しみでは、あるがジェダイ?懐かしいような響きだが、まさかあのジェダイか?いやいや、そんな事はないはずだ。あれは、ファンタジーというよりは、SFだろう?そんな存在がいたら、存在Xの策略とは真逆だぞ。
side黒帯
今回、我々は公式の武官として、この帝国へと着任することとなった。国際的な儀礼として、着任早々帝国の皇帝への着任の儀を行わなければならない。ここで初めてパダワンの奈緒は、ライトセイバーを外した。かなり怖いであろう。緊張で顔が強張っている。
彼女は物心ついたときからライトセイバーを所持していたのだ。生活の中心に、昔から合ったものを手放すのは恐怖を覚えるであろう。そこから如何に自分を落ち着かせるか、それも修行である。
一応、近接格闘術で獲物を所持していない場合の訓練は行っているから、心配はない。一番心配なのは初めて人の死を見ることになる、今回の任務であろう。
着任の儀が終わり、我々の身辺警護を任される物達を紹介される事となった。目の前に軍人達が整列している。その中で中央前方の隊長であろう人物は、一際目立っていた。どう考えてもその背格好で兵士になるのはおかしい。そう、彼女、ターニャ・デグレチャフがいた。あの小さい命であった存在が目の前にいる。向こうはこちらを覚えているであろうか?
「お初にお目にかかる。私は、黒帯 帯一というものだ。一月の間、諸君らと行動を共にするものだ。こっちは私の弟子である、滝 奈緒、だよろしく頼む。」
「滝 奈緒です。よろしくお願いします。」
こちらが挨拶を済ますと、向こうの隊長であるはずのターニャが前に進み出してきた。
「私は、第203航空魔導大隊の隊長をしている。ターニャ・デグレチャフ少佐であります。今後一月の間行動を共に出来る事を誇りに感じます。」
私は、笑ってしまった。大隊の隊員達からの視線が非常に鋭くなった。隊長をバカにしていると思っているのだろう。
「笑って申し訳ない。先程、私は、『初めてあなた方に会う』、といったが訂正しよう。久しぶりですね、ターニャ・デグレチャフ少佐。」
全員の目が見開いた。それは驚くだろう。なんせ私がこの国を訪問した記録など、公式には記録は無いのだから。
「小官とお会いしたことがあると?」
「あぁ、といっても君が、生後数ヵ月の頃だがね。
では、再度自己紹介しよう。私は、大日本帝国ジェダイマスター、黒帯 帯一だ。以後諸君らと共に戦闘を行うこととなっている。双方迷惑をかけぬように、頑張っていきましょう。」