幼女戦記フォースとともにあらんことを   作:丸亀導師

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第53話 告げるもの

sideレルゲン

 

「ですから、私は全てを話しました。それ以外に話すことなどありはしません。」

 

デグレチャフ少佐、彼女があの話をし始めて、既に3回まるで壊れた蓄音機のように、全く同じ内容の言葉を紡ぎ続ける彼女に、多くのものが哀れみの表情をしている。

 

それは、そうだろう。宇宙から、彼ら日本の艦隊がやって来るというあまりにも馬鹿げた話を信ずるものはいないだろう。きっと多くのものが戦争により、壊れたものとそう感じているはずだ。

 

私は…、彼女の言葉を信じようと思う。あの狂人のようなデグレチャフが、純粋な目をしているのだ。全てのこの場にいるもの達に警告をしている。奴等は他の国とは訳が違うと。審問官が先程と同様の受け答えをしている。

 

「同じ答えばかりではないかね?正直に言えば君はどうしてそのような嘘を吐くのかね?だいたい、我々人類には空中浮遊する戦艦なぞ、造れるわけがない。最低でも後数百年はかかるだろう。」

 

「ですから、彼らは既にその技術を保有しているのです!! なぜ、私の言葉を信じていただけないのですか!?論理的ではないと決めつけておいでで?それは、間違えです。私は、いつも帝国の事を思い行動しているのです。そのためにはどんな事でもやりましょう。しかし、この仕打ちはあんまりではないですか?」

 

 

密かに私は、ゼートゥーア閣下に尋ねた。かの国の事を

「デグレチャフ少佐の言うことは、真実なのでしょうか?」

 

「急にどうしたのかね?レルゲン中佐」

 

「私には、デグレチャフ少佐が嘘を言っているようには

見えないのです。以前仰っていたあの国は、少佐の言うような国で間違いないのではないですか?」

 

「確かに私とルーデルドルフは、あの国を見た。そして恐怖した。あの国は進みすぎていると、故に私たち二人はその事を隠した。他の国の士官達と口裏を合わせた。それほどにまで恐ろしい存在だったのだ。」

 

「では、なぜです。なぜ、デグレチャフ少佐を庇わないのですか?」

 

「貴君に聞くが、ゾウが体を登ってきた一匹よ蟻を、不快に感じるだろうか?」

 

「まさか、かの国は我々の事が眼中に無い故に、それほど警戒せずとも良いと、そう考えるのですか?」

 

「その通りだよ中佐。論理的に考えて其ほどにまで開きが「ふざけるな!!」」

 

「では、何故その事をこの場で話さない。それほどの自信がお有りなら、ここでそれを証明していただけますか!!」

 

デグレチャフ何故そのように目を見開いている。

「レルゲン中佐」

 

 

sideターニャ

 

何故だ、どうしてこうなった。今なら私がリストラを告げた、やつの心がわかるよ。嘘を言ったところで、この目の前にいる人たちには、絶対に見破られるだろう。更に魔導師が、感知をしているからなおのこと嘘など言えようものか。

 

そのせいで、私はいま『可哀想な人』を見る目で見られている。私だって、同じ立場ならきっとそういう目で見るだろう。何せ、いきなり宇宙から日本軍が来ますよ。なんて言葉、20世紀初頭の人間に信じてもらえる訳がない。

 

だから、半分諦めているのだ、私の出世街道もここまでだな。まあ、これは、これで安全な後方へ移動にはなるが、精神病院行きは嫌だ。

 

ふざけるな!!

 

え、レルゲン中佐の言葉だと?まさか、私を庇うためにこのような上官侮辱を行っているのか?何だろうとても胸がドキドキと高鳴るのを感じる。落ち着けターニャ私は、元は男だそれが、男を好きになってどうする。やはり体に精神が引かれているか。これも全て存在Xのせいだ。

 

「レルゲン中佐、落ち着きたまえ!!」

 

今にも取っ組み合いが始まりそうたな。

 

 

「審議中失礼します。」

 

伝令が大将等の軍幹部に、耳打ちしている。みるみる顔色が変わっているぞ?

 

「わかった。デグレチャフ少佐貴殿の言い分は誠であったようだ。すまなかった。皆心した聞くように。現在帝都上空に巨大な人工物が、静止している。総員厳戒体制を維持しつつ最悪の場合を想定してほしい。」

 

ついに、きたか日本軍とてつもない存在だ。戦争の終わりかたが、一方的なものになりそうだ。


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