幼女戦記フォースとともにあらんことを   作:丸亀導師

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第59話 バランスをもたらすもの

寺院の中は非常に静かだ。その静寂はまるで世界が死んだかのように、空気が凍りつき生きとし生けるものは皆声を出さない。そんな中、2つの音が響き渡る。

 

一つは、少し歳をとった男とその子供にしか見えない年齢の少女、もう一つは青年と女性。その二つから、音が響いている。

 

男と少女の戦いは互角となり、青年と女性はやや青年が押している。少女の周囲には復讐心を持った思念が集まり、少女を更に高みへ上らせていく。男はその攻撃をいなし続けているが、防御する他無い。

 

押され気味の彼は、後退を始める。反撃の隙を与えようと場を変えるのだ。徐々にだが、寺院の中心へ向かっている。少しずつ狭くなる寺院の少女のトリッキーな動きは、次第に成りを潜めていき剣捌きのみで戦い始めていた。

 

 

side黒帯

 

凄まじい剣劇だ。一撃一撃に殺意がこもっている。しかし、殺意が多ければ多いほど、こちらとしては防御はしやすい。だが、本来隙が多いはずのアタロに隙が生まれない。こちらとしてはカウンターを狙いたいのだが。

 

狭い場所へ行けば今度は、フォースで無理矢理に攻撃を通そうとする始末。確かにこちらの方が剣術は上だが、このままだと力に押し潰される!!

 

「フフッ♪どおしたの?さっきまで余裕だったのに、なに?私の力に恐れを抱いてるの?だったらがむしゃらに立ち向かえば良いじゃない。それともこちらが隙を作ってあげないと倒せないのかなぁ?」

 

いってくれるな。確かに力は強いさ。

 

「だが、力だけが戦いでは無いだろう?」

 

だからこそ今まで全ての剣術を習ってきたのだ。

 

「へぇ。さすがだね。どんな形にもすることが出来るなんて、でもねそんな時間稼ぎ私に通用するとでも?」

 

「やってみなければわからないじゃないか。それとも怖いのかい?お嬢ちゃん。」

 

怒りか、これは感情を完全にコントロールしている。力に飲まれず、制御下におくか。アナーキン、これは俺の最後かもしれないな。

 

 

 

sideダース・リソレイ

 

へぇ、なかなかやるね。今の私の力を前にしてこんなに長く戦えるなんて想像以上ね。あの神とかよく分からないことをほざいていた奴のちから、なんか今の私には必要ないわ。

 

本当にいい気分、私に敵うやつなんてこの世には誰もいない。本当にうるさいなこの人、うるさいから死んじゃえ!!

 

あっ振っとんで行っちゃった。でも、ちゃんと着地する辺りやっぱり強い人なんだなぁ。私のマスターを一方的に殺せる位には強いと思ってたけど、まさかここまでなんてね。

 

デモ

「これで最後かも」

 

私の放った突きがこの人の心臓へ向かっていく。

 

え?なんで?

「なんで、貴方がここにいるの?スカイウォーカー!!」

 

「ハァハァ遅いぞアナーキン。こっちは疲労困憊だ。」

 

「ここは僕に任せてください。貴方は、早くシステムを。」

 

「わかってるさ。」

 

「何で…。何でいつも邪魔するの!!」

 

「邪魔しなきゃ、世界が終わるからだよ。お嬢さん。」

 

 

 

side黒帯

 

これが中枢か。光の中にある三角錘のものが、ホロクロンか。シスの技術はかなり高いのか?我々ですら再現できなかったものをこうも簡単に作り出すとは。

 

「システム、発射を中止せよ。」

 

『中止は出来ません。アクセスには二人の人間が必要です。』

 

「二人か。」なら、私がいるよ?」

 

「お前は。」

 

「そう言えば、自己紹介まだだったのね。私は、ルーナ・カサノヴァよろしくマスター黒帯。いいえ、マスターケノービ。」

 

なんだと?

 

「違和感無いでしょ。そう、私も記憶をとりもどした。スカイウォーカーのお陰で、だからあの子のやろうとしていることを止めなきゃならないの。」

 

こいつ、先ほど記憶が戻ったのか。前世の記憶が

 

「なら、これを止めて欲しい。」

 

記憶をとりもどした。のなら話ははやいはずだ。なんせ、世界が終わろうとしているのだ。それを止めない奴はいない。

 

「一つだけ条件がある。あの子を救ってあげて。」

 

「そこまでしてなぜ彼女を助けたい。」

 

「あの子は悲しい運命を背負ってる。だから、あなたの手で終わらせて。それが、転生者であるあなたの使命よ。」

 

「わかった。だから、手伝って欲しい。」

 

「わかったわ。」

 

そして、システムは停止し寺院はその役目を終え崩壊が始まっていた。

 

 


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