加えて、亀更新です。それでもお付き合いいただければ幸いです。
_____ずっと続くはずだった歩みは終わりを迎えた。
見果てぬ荒野を歩き、深い森を抜けた先に、懐かしい草原が広がっていた。
彼の旅は、どうやらここで終わりらしい。
追い続けていれば、叶う事もあるだろう。
心は穏やかに、遠い昔に故郷の街であったことを思い出した。
___会いたかった。
その在り方を腕に抱き、焦がれていたものを確かめたかった。
空に願うだけだったその望みも、ついに叶う時がきた。
息が上がっていた。
呼吸が乱れるのは、一体いつぶりだろう。
半人前だったあの頃に戻ったようだ。
___いや、それほどまでに心踊る再会なのか。
彼は、心の中で苦笑し、また駆け出した。
彼女が案じ、憂いた通り、彼は心も体も磨耗してしまった。
この光景すら、執着ではなく、忘却しなかっただけだ。
結局、彼はその生き方を変えることはできなかった。
_____しかし、失われて久しい彼女の郷にようやく心が追いついた。
言葉でしか覚えていなかったものが、鮮明に蘇る。
後生大事にしまっておいたものが、もう一度動き出した。
「ただいま、セイバー」
まるで、あの頃に戻ったようだ。
ここからあの頃の続きが始まるように。
「はい___おかえりなさい、シロウ」
黄金の大地。見果てぬ大空。
くずれるように微笑む彼女を見て、彼の夢は終わりを告げた。
______はずだった。
「久しぶりに色々と話したいことが……セイバー?」
「? なんでしょうか?……もしや、この格好は、変でしょうか…?」
「いや、一瞬見惚れた。相変わらず綺麗だ」
「なっ…!シロウはまたそういうことを恥ずかしげもなく…」
「…って、そうじゃなくて、セイバーの体光ってないか?」
「え?……これは、召喚の…?」
「えーと……お勤めか?」
「いや、そんなはずはないのです。私は聖剣を手放し、英雄としての資格を放棄したはずですから」
そう。言い終わるや否や。
シュイン、と音を立てて、目の前からセイバーは消えてしまった。
「なんでさ…」
「それは私が説明しよう」
「うわっ!?何者だあんた!」
「はじめまして、衛宮士郎くん。宮廷魔術師のマーリンさんだよ。アルトリアは、行ってしまったようだね」
「セイバーはどこに行ったんだ?」
「しいて言うなら、世界を救いに?」
「はぁ?何言ってるんだあんた?」
「それでね、申し訳ないが、アルトリアがいないとキミが
「なっ!?」
ようやく此処まで辿り着いたのに、そんなことってあるか!?
そんな彼の言葉を聞いて、魔術師は微笑み、
「その通りだ。そんなのハッピーエンドじゃない。だからこれから私は、キミをアルトリアと同じところに送る」
そんなことを言い放ちやがった。
彼はイマイチ理解が追いついていないようだ。
「大丈夫、ここまで歩ききったキミならすぐの道のりだ。帰りはキミ一人では
「ちょ、ちょっと待ってくれ!」
そんな彼からの必死の叫びをガン無視し、
宮廷魔術師は呪文を唱え始めた。
「それじゃ、いってらっしゃーい♪」
「な、なんでさぁぁぁああああああ……!!」
_____瞬間、彼の体は黄金の光に包まれ、その場から消失した。
「あれ、おかしいな。アルトリアと同じ転移場所にしたはず……ああ、なるほど。彼の影響か」
***
彼が目を覚ますと、そこは砂漠地帯だった。
目の前には、遠い昔にテレビで見た、スフィンクスのような化け物がいた。
「……スフィンクス…?……なんでさ」
その声に目敏く、いや、耳敏く反応したスフィンクス。
敵と認識したのだろう。
耳を劈くような激しい咆哮をあげ、臨戦態勢に入った。
前足を振り下ろし、容赦なく彼を殺しにかかる。
「クソッ!問答無用か!?」
すんでのところで、それを躱し、次の動きに備える。
その間にも、スフィンクスは前足を振り下ろし続ける。
「マーリンめ!覚えてろよ!」
怖い怖い♪などと、聞こえるはずのないマーリンの声が聞こえ、それが更に神経を逆撫でるが、そんなもの、今は相手にしていられない。
まずは、目の前のスフィンクスだ。
脳内に撃鉄をイメージし、
それを落とす___
_____
剣を生み出し、手に握る。
久々の感覚だ。
…それにしても、髪の色も落ち、手に握る剣は干将・莫耶か…後は赤い聖骸布でも纏っていれば、まるっきりアイツだな…なんて、心の中で苦笑を浮かべる。
___油断していた。
スフィンクスの攻撃は前足からしか来ないと。
スフィンクスは眼前に迫っており、目からは光線が迸った。
「んなっ!?」
光線自体は、かろうじて避けるが、体勢を崩した彼をスフィンクスは見逃さなかった。
二撃目、前足での攻撃を剣の腹で防ぐが、干将・莫耶を吹き飛ばされ、そちらに気を取られてしまった。
すでに、スフィンクスは目に光線を湛えている。
……やっと、やっと追いついたのに!こんなところで死ねるか!
「
「___
___その時、銀に輝く流星が、スフィンクスを切り裂いた。
スフィンクスは、突然の襲撃に絶叫をあげ、仰け反る。
しかし、彼はそんなことには目もくれず、ただ一点を見ていた。
思わず見惚れてしまったが、あれは銀の流星などではなく…あれはきっと彼女の…。
「早くこちらへ!」
ハッ、とした彼は、その声に導かれるまま、その場から離れた。
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