どこかバグった神聖円卓領域キャメロット   作:ひらいず

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前話では、感想や評価をいただけて、本当に嬉しいです。
原作との、キャラクターの口調や設定の相違は、ご指摘いただけると感謝です。
しかし、作者の力不足で、口調の再現率は高くならないかもしれません。申し訳ありません。





出会い

___

______

 

 

《士郎が砂漠に放り出される数十分前》

 

 

「立香ちゃん、マシュ。よく聞いてほしい」

 

マシュがブリーフィングに合流した後、考え込んでいたロマンがようやく口を開いた。

 

「どうしたの?ロマン」

 

「新しいサーヴァントを召喚しよう」

 

「ドクター…私では力不足でしょうか…」

 

マシュが悲しそうに俯いてしまった。

それを見た私は、思わずロマンを訝し気な目で睨みつけてしまう。

なにもこんなタイミングで言わなくてもいいじゃないか…。

 

「そ、そうじゃない。マシュの体調も回復直後で、加えて、人理定礎評価EXの特異点だ。ここは、マシュの負担を少しでも減らすべきだと思う」

 

なるほど、マシュを落ち込ませた罪は重いが、ロマンの言うことにも一理ある。

 

「それには私も賛成だ。いくら万能の天才である私が同行すると言っても、人理定礎評価EXは未知の領域だ。ここは安全にいこう」

 

どこからともなく現れたダ・ヴィンチちゃんもロマンの意見に賛成のようだ。

 

「私も賛成。マシュだけに無理はさせられないよ」

 

マシュを信頼していないわけではないものの、今までとは少し状況が違う。ここは、二人の意見に従ったほうが良さそうだ。

 

「先輩…。先輩が言うなら…」

 

口では、そういうものの、顔は不満気だ。

少し恥ずかしいけど、私の正直な意見を伝えよう。

 

「あのね、マシュ。私が一番信頼してるのはマシュだからね」

 

「先輩……はいっ!」

 

マシュは、一瞬驚いたような表情になったが、すぐにそれは花が咲くような笑顔に変わった。本当に可愛い後輩だ。

私は私で、顔が熱くてしょうがないが…。

 

 

 

 

 

 

「今日も百合の花が咲き乱れてるねぇ」

 

「レオナルド、あれは既にカルデアの宝だよ」

 

「今日も気持ち悪いなー、ロマ二は」

 

 

 

***

 

 

 

「聖晶石を触媒にして…と」

 

カルデアの召喚室に入り、いつもの手順で召喚の準備を進める。

詠唱は、再契約の時以外は無くてもいいはずなので、触媒を指定の場所に置き、召喚が始まった。

 

バチバチと音を立てながら、サークル上を魔力の塊同士が付いては離れを繰り返す。

魔力の塊は、やがて結び付き、魔力の渦へと姿を変える。

魔力の渦は螺旋を描き、眩い光が召喚室を満たす。

 

眩い光が収まり、人影が姿を現した。

 

 

「問おう。あなたが私のマスターか……この台詞も、この格好も久しぶりですね。……ああ、混乱させてしまいましたか。こちらの話です。」

 

 

___ハッ、あまりに綺麗な人で呼吸が止まってしまっていた。

 

 

「あの、マスターの藤丸立香です。よろしくお願いします」

 

「そう緊張しないで、リツカ。

セイバーのアルトリア・ペンドラゴンです。こちらこそよろしくお願いします」

 

う、緊張してるのが見破られてしまった…。

でも、優しそうな人で良かった。

 

「それにしても、まさか手放したはずの聖剣があるとは…湖の婦人に礼を言いに行かなくては…」

 

「どうかしましたか?」

 

「いえ___それよりもそのように堅い口調ではなく、もっと楽な口調で話してください」

 

「わかりま___うん、わかったよ」

 

「はい。それで、お願いします」

 

「改めてよろしく、アルトリア」

 

「ええ、よろしくお願いします。リツカ」

 

 

 

______

___

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ここまで来れば大丈夫でしょう」

 

銀色の腕を持つ騎士と共に逃げ込んだ先は、荒野だった。

彼は、地形の変化があまりに急激過ぎることに、違和感を覚えた。

彼自身、様々な国を渡り歩くこともあったが、こんなことは初めてだった。

 

「さっきは、ありがとう。助かった」

 

「いえ、無事でなによりです。それにしても、どうしてあのような場所に?」

 

「………実は、道に迷ってさ」

 

「それは災難でしたね…。……この辺りは危険です、私が案内しましょう。どこを目指しているのですか?」

 

会ったばかりの彼に、この時代の人間ではないことを説明してもしょうがないだろう。

少し返答に時間がかかってしまったが、信じてもらえたようだ。

 

「あー…いや、人を探してるんだ。そうだ、肩くらいまでの金髪で、綺麗な碧色の目をした、白いワンピースを着た女の子なんだけど、見かけなかったか?」

 

「ワンピース…が、どのようなものかわかりませんが、聖都の民ではないでしょうか?」

 

「聖都?」

 

「ええ、山の民や砂の民とは、髪や瞳の色が異なりますから」

 

「山の民とか砂の民って言うのは?」

 

「え、どちらかから来たのでは無いのですか?」

 

「あー…俺の住んでたところは少し特殊でさ…」

 

「……なるほど、事情があるのですね。ならば、あえて問い正そうとは思いません」

 

察されてしまった…。

しかし、話のわかる相手で助かった。

 

「…すまん、助かる」

 

「先ほどの質問にお答えしましょう。

山の民というのは、"山の翁"を中心に、山岳地帯に身を潜めて暮らす民のことです。

砂の民というのは、先ほどの砂漠を治める"大神殿の王"の臣民たちのことです。

そして、聖都の民というのは…あらゆる異民族、異教徒を受け入れる、完全完璧な理想都市の民…らしいです」

 

…?

聖都の民だけ、妙に歯切れが悪かったような気はしたものの、大まかには理解ができた。

 

「いきなり地形が変わったと思ったら住んでる人間まで違うのか…。とりあえず俺は、その聖都って場所に行ってみようかな」

 

「…お待ちください、今の聖都は危険です」

 

「…?」

 

「私もあまり詳しい事情は知りませんが、難民を受け入れる前に聖抜という儀式があるそうです」

 

「その儀式がなにか?」

 

「曰く___永劫無垢なる人間の選定と、選ばれなかった者たちへの粛清と聞きます」

 

彼には、なんとなく予想がついていた。

何の代価もない、理想の都市など存在しない。

それは、長い旅でよくわかっていた。

 

「___そうか」

 

「悪いことは言いません、聖都に向かうのは控えるべきかと」

 

「それなら、尚更行かなくちゃな」

 

「は?」

 

銀の腕を持つ騎士は、困惑の声を上げる。

___が、彼は構わずに続ける。

 

「___もしも救える命があるなら、救う」

 

擦り切れ、磨耗し、それでも捨てられなかった彼の理想(呪い)

夢に追いつこうと、旅が終わろうと、世界が変わろうとも、その生き方は変わらない。

 

「…………どうしても、行くのですか」

 

___彼の根底に眠るものを察した。

どうにも歪んで見えたそれも、果たさなければならないものがある同士。騎士も無理に止めようとは、どうしても思えなかった。

答えはわかっている。

しかし、それでも聞かずにはいられなかった。

 

「ああ___止めても無駄だぞ」

 

「………はあ、かくいう私も聖都に向かう旅の途中です。それに、ここで放り出すのは、騎士の名折れ。何かの縁です、私も共に行きましょう」

 

もちろん、使命が最優先。

しかし、彼には、ストッパーが必要だと騎士は思うのだ。

救うと言えば、彼は本当にやってのけるだろう。

___自分の命以外は。

 

「それは助かる。___そうだ、俺は衛宮士郎。あんたは?」

 

「私のことは、ルキウスと。よろしくお願いします、士郎殿」

 

「仰々しいな、士郎でいいよ」

 

騎士のあまりの態度に、彼は思わず苦笑を浮かべてしまった。

 

「はい、それでは士郎と」

 

「改めてよろしく、ルキウス」

 

「ええ、それでは聖都に向かいましょうか」

 

かくして、二人は互いの目的を果たすべく聖都へと向かった。

きっと長い旅になる。言葉には、出さずとも二人ともそれを理解していた。




今回の話は、二人分の出会いとしました。
次の話からは、士郎視点とセイバー視点、たまに立香視点に分けてやって行く予定です。
あくまで予定なので、あまり期待はしないでください。
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