前回の投稿でお話していた作品…友人からのリクエストのゆゆゆ作品です!
今回はプロローグだけとなりますがご了承を。
……だってぐんちゃんの誕生日に投稿したかったんです。
プロローグ ~それは終わりの始まりの日~
ーーーーーー新世紀298年 4月10日
撤退していくバーテックス達ーーーーー
それを見たあたしはほっとなって力が抜けそうになって倒れそうになる体をなんとか立たせていた。
「倒れ…るな……!勇………者は……倒れちゃ…………いけない……!!」
自分に言い聞かせるように呟く。
さっきの戦いのなかで身体中につけらた大小無数の傷痕、そして、肩口から無くなってしまった右腕。そこから溢れ出るものは、確実に生きる力を奪っていた。
……幼いながらも自分に死が近づいてきているのがわかる。どんどんあたしが消えて、真っ白になっていくのがわかる……。
それでも……あたしは勇者だ。勇者は倒れちゃいけないーーーーー
(………………)
声が聞こえた気がした。あたしを呼ぶ大切な、この世界で一番大好きな人の声が。
その声を聞けてあたしはよかったと思った。
神樹を守るのが勇者の役目だけど……あたしはそれ以上に大切なものを守ることができた。
でも……そろそろ限界だ……。もうほとんど頭が真っ白になって……何にも考えられない……
…………………………最後にもう一度だけ会いたかった。
「…………さ……よ…………な…ら………………………だ…い……す…………き…………な……………………
…………………………………………にぃ……………………ちゃ」
頬を伝った一筋の暖かな感触を最後にあたしは………………………………
**************
ーーーーーーーーーー
ーーーーー
ーー
ー「…………ん…………?」
…………ここは……どこだ?
辺り一面の花畑のなかで俺は目を覚ました。もちろんこんなとこで横になって寝るはずがなく、さっきまで寮の自室のベッドで寝ていたはず……。
「……これ全部コスモスか?」
辺りは全てコスモスのみ。それだけでも色鮮やかな美しい世界が広がっている……。
「夢だとしても、なんなんだ一体……?」
結構夢は見る方なんだが、こんな夢は初めてだ。
立ち上がり辺りを見回すと、少しだけ離れたところに1ヵ所だけ……明らかに違う種類の花が集まっている場所があった。そして、そこに見慣れた姿がひとつ。
「……銀?」
コスモス畑をかき分け、その1ヵ所を目指す。ただ……近くだと感じていたその場所はそれなりに遠かった。
**************
「やっとついた……」
なんとかたどり着いたその場所は回りが色とりどりのコスモスなのに対し、真っ赤な牡丹が一塊になって咲き誇っていた。そして、そこに佇む……。
「銀!」
「あ……にぃちゃん」
「ホントに銀なのかよ?」
「何言ってんのさ!あたしはにぃちゃんの自慢の妹、三ノ輪銀にきまってるじゃん!」
「その元気さ……確かに銀だな」
確かにそこにいたのは俺の妹の銀だった。ただどこか違う。
いや、銀であるのは間違いないんだが……。何か違う。
「全く……。にぃちゃんは少し離れただけなのに妹の顔を忘れちまったのかよ?」
「んなわけあるかよ、ったく……」
「にゅ!?突然頭を撫でるな!!」
「……嫌か?」
「…………嫌じゃないけど……」
いつも通り頭を撫でる。いつも通りさらさらな銀の髪。いつも通り気持ち良さそうに目をつむる銀。
いつもの行為。いつもの感触。いつもの仕草。それを見ても感じても……何故か落ち着かない。
「ねぇ……にぃちゃん」
「何だよ」
「にぃちゃんにさ、お願いしたことがあるだけどいいかな?」
頭の中で聞くな、耳を貸すなという声がという声が反駁している。
それはまるでその願いを聞いたら……
今、俺が撫でている彼女がーーーーー
小さな頃からずっと……ずっと仲良く過ごした彼女がーーーーー
何よりも誰よりも大切な妹がーーーーー
ーーーーーーーーーーー本当に消えてしまうぞ……と
それでも、
それでも、俺はーーーーーー
「お前のお願いを、俺が断ったことがあったかよ」
「……そういやぁ……なかったね」
「だから……」
だから
だから
だから
だからーーーーーーーーーーーー消えるな。
「だから言え。俺がやれることだったら何でもやってやる」
「うん……。にぃちゃんのその言葉を聞けてよかったよ」
そして、俺から離れる銀。そしていつもとは……いつもとは違う儚い笑顔を見せ……
「にぃちゃんにはさ……あたしが護りたかったものを護ってほしいんだ」
何言ってんだ。お前が護りたいものは俺だって護りたいものなんだぞ。その言葉はまるで……まるでーーーーーー
「これはにぃちゃんにしか頼めないし、あたしもにぃちゃん以外には頼むつもりもないし」
言うな……。それ以上……言うな!言わないでくれ!!
「だって……あたしは……「言うな!!」……にぃちゃん……」
分かってる。これは夢だ。夢なんだ!夢でしかないんだ!!
銀は……!銀は……っ!!
「……大丈夫だよ」
そう言って優しく銀は俺に抱きつく。……笑いながら……涙を流しながら……
「にぃちゃんは大丈夫だよ」
「銀…………」
「だって……あたしのにぃちゃんは……あたしが大好きなにぃちゃんこそがーーーーーー
ーーーーーーーあたしにとってのホントの勇者だから」
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ーーー
ーー
ー
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目を覚ますとそこはここ最近ようやく見慣れた天井。そして目尻からは暖かいものが止めどなく流れている。
「銀…………」
そうだよな。そうなんだよな。
「…………お前に励まされるなんてな……」
ここで、ここで立ち止まってちゃ、銀の兄貴……失格だもんな。
涙を拭い、両頬を思いっきり叩く。
「…………お前の願い。しっかり聞き遂げたぜ。………………といっても今はまだそのお願いは厳しいんだがな」
でも…………近い内に絶対
「お前の願いをかなえてやる。俺はーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーお前の兄にして勇者なんだからな」
そしてーーーーーー時は過ぎ
ーーーーーー新世紀300年 12月 24日
ーーー私は一体何をすればいいのだろう?
傷ついた風先輩の顔を見ることもできず、病院から逃げ出した私は雪が舞う中、行くあてもなくとにかく走回っていた。
勇者として、今まで戦ってきた。
辛いこともたくさんあったけれど、それでも勇者として過ごしてきた。
ーーーーーーでも、私たちがしてきたことに意味はあったのだろうか?
人気のない公園を走っていたところで不意に雪に足をとられ転んでしまう。
そして、そこで私の心も決壊した。
「…………う……」
もう、涙を止められない。
打ち付けた頬の痛みよりも、心の傷が痛かった。
「うわぁぁぁぁぁぁ…………」
どうすればいいんだろう?どうしたらいいんだろう?
何をすれば、皆を助けられるんだろう?
そのために……私はどうしたらいいんだろう?
わからない……わからないわからないわからないわからないわからないわからない!!
「わぁぁぁぁぁぁぁぁ…………」
ーーー誰でもいい……
ーーーーーー私を……
ーーーーーーーーー助けてよ…………!!
ーーーーーーーーーーーー「おい、どした?」
頭上からしたぶっきらぼう気味ながらもこちらを気にかける声。
それに、私は涙を流しながらも顔をあげる。
「ったく……転んで泣いたのか?……んなわけねぇか」
そこにいたのは、男の子とも女の子ともとれる顔立ちをした白髪の年の近そうな人だった。ただよく見ると右頬に大きな青アザができていて、口のはしから少し血が流れているし、衣服も汚れていたり破れていたり血がついたりして……まるで喧嘩してきた不良のような風貌だった。
「ほれ、立てるか?」
「あ、はい……」
差し出された指貫グローブをした右手を取り、立ち上がる。
なんでだろう……パッと見ていかにも不良のような風貌と言葉遣いなのに……この人なら安心できる。そんな確信が私の中にあった。
「よっと……。ん~…見たとこ顔の擦り傷以外怪我は特にねぇようだな。打ち付けたところは大丈夫か?」
「は、はい……大丈夫です……」
「そりゃ良かった。……そんなら、不良はさっさと去りますよっと」
「あ……」
どうやら私の態度が怖がらせていると感じたみたいでその人はすぐに離れようとした。
「ま、待って!!」
「んお?」
何故、私はこの人を呼び止めたんだろう?
私が抱えている問題はこの人には関係ないはず。だから話しても意味はないんだ……。
「あの……えっと……」
それなのに、何故。私は彼を止めたんだろう?
「……はぁ…………。おい、嬢ちゃん……名前は?」
「え?……えっと……結城……結城、友奈です……」
「そ。ならば、結城ちゃんとやら?てめぇはなんか色々背負ってるみてーだがな……。そんなことを見ず知らずの、しかも俺みてぇな不良に話してもいいのかよ?」
「え……」
「何でわかった?みたいな顔をしてるがな……。目をみりゃわかんだよ。目をみりゃぁな。んで、冷たいこと言うけどな……。んなこと、てめぇが自分で背負ったなんだろう?てめぇ自身で解決しやがれ」
「う……」
正論だ。事実、私は今考えていることを誰にも相談していない……。
「だがな……」
「……?」
「幾つか、アドバイスしといてやる。……つっても当たり前のことかもしれんがな」
「え?」
「まず第一に、己の信念を曲げるな。てめぇが抱えているのがなんにせよ、てめぇの意思を、志を何事があっても絶対曲げんじゃねえ。曲げちまったら自分を見失うことになるかんな。……ま、これは大丈夫だろ。てめぇは自分の意思を貫こうとして挫けただけみてぇだしな。その意思を……絶対曲げんな」
「……っ!」
「次に、やんなら覚悟を決めてやりやがれ。半端な覚悟は己も回りも不幸にしちまう。てめぇが回りを……特にてめぇの友達を救いたいんだったら尚更だな」
「…………」
この人は……エスパーなんだろうか?
「んで……最後に」
「……はい」
ーーーーーー「てめぇが一人だけじゃないってことを忘れんな」
「……っ!!」
「てめぇがやろうとしていることがなんにせよ、一人で抱え込むてのはなぁ…自己完結、しかもてめぇを犠牲にした終わり方になるぞ?果たして、それは本当のハッピーエンドか?」
「違い……ます」
「だろ?だったら今日、俺に話しかけたように友達にも話かけてみろ。そうすりゃいい解決案が出んじゃねえか?」
「…………はい!」
いつの間にか涙も引っ込んでいた。ついさっきまで何をしたらいいか、全くわかってなかったけれど…………この人と話したらその事が馬鹿馬鹿しくなった。
勇者としても結城友奈個人としても
ーーーーーーそして、勇者部の一員としても、私らしくない!
「……ありがとうございます。吹っ切れました!」
「お、おぅ……。……切り替え速えなぁ…」
「はい!くよくよしているのは私らしくないですから!!」
「そ、そうか」
「自分を見失っていました!“何事も全力!!”それが私ですから!!」
そうとなったら……病院に戻らなきゃ!!
その前に……私は話をしてくれた人に深々と頭を下げる。
「ほんっっっとにありがとうございました!!」
「はは、気にすんな。おめぇと似たような奴が近くにいたからな、慣れてただけさ」
「それでも、ありがとうございました!とっても助かりました!!」
「そうかよ。ま、気持ちだけ受け取っとくわ」
そう、けらけらと笑った後、今度こそ去ろうとするその人を慌てて呼び止める。
「あ、待ってください!」
「今度は何ぞ?」
「私、讃州中学って所に通ってて、そこで勇者部っていう……ええっと……ボランティアをメインでやってる部活なんですけど良かったら相談しに来てください!」
「讃州中学ね……。了解、時間ありゃあいくわ」
「あ、それなら連絡先とお名前を……」
「ん?……そういや名乗ってなかっけか?俺はーーーーーー
ーーーーーー三ノ輪白銀だ。よろしくな、結城の嬢ちゃん」
そうーーーーーーーーーーーー
あれこそがーーーーーーーーーーーー
これこそがーーーーーーーーーーーー
あの夢こそがーーーーーーーーーーーーー
この邂逅こそがーーーーーーーーーーーー
======新たな勇者の物語の終わりの始まり======
いかがでしたか?
友人からのリクエストがあった際、いろいろ調べたり読んだりしてみたのですが……すっかりはまってしまいました。といっても……まだ原作には触れず、しばらくはオリジナルストーリーとなりますのであしからず。
そして、ぐんちゃん誕生日おめでとう!!いや~ぐんちゃんかわいいですよ、ぐんちゃん。一目惚れでしたよ。燐としながらも儚い……。実にぐんちゃんはすばらですよ!!
後、今後の作品の投稿について、少しご報告があるので活動報告の方に投稿いたします。そのことについてのコメントもそちらでお受け致します。
最後に誤字脱字、その他様々な意見の方受け付けておりますのでよろしくお願いします!