10月に投稿……できませんでした。申し訳ありません…………。
ただストーリー自体は書き貯めができてるので、今月と来月にはそれなりに投稿できると思いますのでご期待を(忙しくなければ)
少し遅くなりましたが……
羅玖熾阿@鄂爾多斯様、☆9評価ありがとうございます!!
では……どうぞ!
ーーーーーーーーーー三ノ輪 白銀の章
「…………」
なんというか良くもあり悪くもあるような目覚め。ったくやなもんだね。
「……風呂いこうか」
昨日入り損ねたし……。
倒れ込んでいたせいもあってガチガチに固まった間接を何とか動かしながら部屋から出て風呂場に向かっていると、居間からいい香りがしてきて試しにちらりと覗いてみると……
「~♪♪」
なにやらハミングを奏でながら千景が台所で世話しなく動いていた。
「ふむ」
なんだろう。ここでいかなきゃいけないような気がするぞ……
…………イタズラをしに!!
ニヤリと笑いながら音をたてないようスススス~と千景の背後に忍び寄り…………
「おはよう~千景ェ~」
「……!?」
**************
「ご、ごめんね?私朝によわくって……」
「……このくらいの遅れなら気にしてないわ」
「ええ、これくらいなら十分に間に合うわ」
「…………」
「そ、そっか。ありがとね……」
「気にしないでいいわ」
「……それより…………あなたはそろそろ痛みが引いたかしら?」
「一応な……」
千景が作ってくれた朝食を皆が摘まんでいくのを眺めつつ左の頬に氷を当てるとまだかなり痛い……がそれを表に出さないようにする。……さすがにこれは自業自得だからな。
あのとき、俺が千景の背後から声をかけたんだが……千景は驚きはしたが悲鳴をあげることはなかったものの、その代わりにおそらく反射的に平手打ちをしようとしたんだろう……目をつぶりながら振り向き様におもいっきり右手を振るったーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーあっつあつの味噌汁に使って灼熱となったお玉を握ったままで。
いつもの状態なら簡単に止めていただろうが今はまだ疲れが抜けきっていない事もあってか……俺はそれに対応できず左頬に直撃してしまった……というのが事の顛末。お陰で今ある程度冷やしたからましにはなったが、左頬は丸い真っ赤になって腫れた箇所ができて……なっさけない見た目になってしまった。
朝っぱらから情けない悲鳴を上げなかった俺を誉めてほしいね。……その前にイタズラ心を押さえるべきだったんだけども。
「で、でも……ホントに大丈夫なの白銀さん……」
「ああ。このくらいならな」
「自業自得なんだから反省しなさい。……全く安静にしてろと言われたのに落ち着きのない…………」
「気を張ってたから休めたかったんだよ!」
「私、そんな下らない……」
「ホントに悪かった……!!」
あ~あ。ったく何であんなことしようとしたんだろうな?銀の夢のせいで精神を銀に侵食されたか?
「さて……そんな阿呆白は放っておいて……」
「……くっ……い、言い返せねぇ…………」
「今日はこの後皆で乃木さんの家にいく……という認識でいいわね?」
「うん。昨日白銀さんのところへ行く前の電話も気になるし……今後どうするかも相談しないとね」
「…………あまりお前らを巻き込みたくはないがな……」
「しろ」「大丈夫だ、ちゃんとわかってる」「……それならいいけど」
わかってる。…………いつの間にかしらねぇ間に俺を心配してくれるヤツも増えたもんだ。昔は俺のことを心配してくれてたのは指で数えれる程の友人と家族ぐらいなもんだったが……
「……どうしたの?」
「いんや……何でもねぇ」
……俺にとっちゃ贅沢なもんだよな。
「んで?件の乃木の嬢ちゃんからの連絡はあったのか?」
「うん!昨日の夜のうちにNARUKOで連絡したら大体お昼くらいにきてほしいんだって」
「ならある程度ゆっくりしたら出ましょうか」
「ん」
大方の方針も決まり、俺もようやく千景が作った飯へと手を伸ばし始め……一口咥えたところで表情にこそ出さないが思わず固まってしまう。
……お袋め。千景にいらん入れ知恵をしたな?だってこの少し辛めの味付けは俺がよく好んでする味付けだからな……ただまぁひとつ言うなら
「千景、料理は確かに美味いんだが……」
「?」
「今度作るときはもうちょい辛くしてくれ。これじゃちょっと甘い」
「ん。わかった」
**************
賑やかに朝食、片付け、洗濯掃除まで協力して済ませ(+俺はシャワーも済ませ)昨日の晩に女性陣が計画していたという話を聞けばこれから乃木の嬢ちゃん家に向かうということなので……
「俺も同行することにするわ」
「安静にしてなくていいの……?」
「このくらいなら平気だ、平気」
結城の嬢ちゃんが心配してくれるが、少し重めの分類には入るもののいつも通りの怪我なので特に気にはしない。まぁ本人の手前そうは言ったがさすがに今日も襲われてしまうと俺は戦えるっちゃ戦えるがめちゃくちゃヤバい。未だに左腕が痛いし動かしにくいし、更に言ってしまえば全身が軋んでいてかなり動きづらいからな……。
「とにかく今日は白銀さん、無理しちゃダメだよ?」
「わかってるってーの。こんな状態で動いて悪化させたら今度こそあの医者どもに拘束されてでも入院させられそうだしな」
「たはは……わかってるならいいよ」
「本当にわかっているならいいんだけどね……お待たせ」
「ごめんなさいね、少し準備に手間取ってしまって」
「しゃーない、しゃーない。銀の速さが異常だっただけだからな……というわけで、鉄ーーーーー!行ってくるから金のことよろしく頼むなーーーーー!」
「アイアイサー!」という鉄の声を聞いてから玄関を閉じて念のため鍵をかけてから歩きだす。
結城の嬢ちゃんはメブとは初めて会ったこともあってか真っ先に話しかけ、メブもその勢いに少し押されながらもいつも通りの態度で会話に乗っていく。俺はそんな二人を呑気だな……と思いながら眺めつつゆったりと歩いていると……
「…………」
「……?どうした、千景。そんな神妙な顔をして」
俺の少し後ろを歩いていた千景に言葉では少し茶化したが……なんだが少し辛そうな顔で結城の嬢ちゃんのことを見つめていた。
そういや、千景の前世の記憶の中にもアイツそっくりの奴がいるんだっけか。
「……少し……昔の光景と重ねただけ、気に」「『しないで』とは言わせねぇよ。んな顔されてな」
「…………相変わらず目敏いわね」
「初めに会ったときから言ってるだろ。俺は」「『お前のような奴を放っておけない』よね?」
「わかってるじゃないか」
「あなたもそうなら逆もまた然り……よ」
「だな…………なぁ、千景」
「何……」
「前世でお前がどうだったかは聞かねぇ……聞かねぇがお前はその記憶にある昔の勇者の《郡千景》じゃなく、今、ここで生きている俺と腐れ縁の普通の学生の《郡千景》だ。だからな…………昔に捕らわれんな、過去がどうであろうともお前は俺が知っているお前であり続けろ」
「…………そう」
「つか……なんつうかな……」
「……まだなにかあるの?」
「いんや…………だだ、さ…………こう考えてみると中学からの仲だっつうのになんかいっつも俺の近くに千景がいるな……とふと思ってさ」
「な!?なに……」
「お?なにやら真っ赤ですよ千景どの?」
「~~~!!」
「つあぁっ!?おいコラ!!腕を殴るな腕を!!」
「フン。変なことを言うあなたが悪い」
まったく……コイツは…………。だがまぁ、俺もなんかこっ恥ずかしいことを言ったもんだよな、事実なんだが。
…………ん、アレ……?深くは考えてなかったが、俺って千景のことどう思ってるんだろ。家族並みに気を許しているから親友……以上なのは確かだが…………つか
『なら……ならっ!!何で!?何で貴方はここまでっ』
『…………げほっ……簡単だ…………お前らがいたからだよ』
昨日の晩、病院に運ばれる前に千景に言ったことを思い返してみたけど…………う~む……。
「……白銀くん?」
「っと、悪ぃ……考え事してて聞いてなかった」
「いや、なんか結城さん、走ってっちゃったんだけど……」
「はぁ!?」
「それで楠さんもそれに触発されたのか一緒に……」
「あのアホども……!こっちは怪我人だぞ……」
「……走れそう?」
「軽くなら行けないこともねぇが……まぁいいか。俺らはのんびり歩いて行こうぜ」
「そうね」
ま、今慌てて考えるようなことでもないし……ゆったりと考えていこう。
**************
ーーーーーーーーーー郡 千景の章
白銀くんとゆったり歩きつつ乃木さんの自宅を目指す。それで、結城さんと楠さんが走って先に行ってしまって私と白銀くんの二人きりとなり……
「……成る程な。そんなやり方もありか」
「私のプレイスタイルと合ってるからそうしているだけ」
「俺が今使ってるのはパワー特化のキャラだからそういったのやれねぇんだよな~。それにあの魔法の射程の基準がわからん」
「多分アレ、前頭エリアと同等の範囲よ。と、言うか魔法苦手のキャラで勝てるの?」
「勝ててるぞ?麻痺耐性MAX装備にしてるし魔防も高い。ただまぁ……物理が弱くなってるからでかいのもらったらライフ消し飛ぶ」
「でしょうね。でも、あのボスの真に気を付けるのは物理じゃないの?」
「やろーの攻撃、3パターンぐらいのルーティーンが組み込まれてるぞ」
「……よく気づいたわね」
いつものゲームの話題となる。今日はつい最近発売されたRPGのそれぞれの攻略法と気づいたことを話し合っている。因みにそのゲーム、ボスを倒せばEDだけどもそれをしなずとも延々と遊べるため、私も白銀くんもすでにゲーム内の経過年数が100年を越えているしボスのレアドロップや最強武器までコンプリートしている。だけど、今後のアップデートで既存の敵の行動パターンの変更や新たな敵の追加等々が盛りだくさんということだからまだまだ面白そう。
「んで……?」
「どうしたの、白銀くん」
そんな話をしていると、突然不思議そうな顔になった白銀くんが立ち止まり虚空を見つめ始める。
「いや……」
「……まさか!このタイミングでシャドウバーテックスが……!」
「……違う、千景。この感覚はシャドウバーテックスじゃない」
「それじゃ……?」
「…………わっかんねぇけど、なんか……不思議な感じだ。だけど、アイツらみたいな気色悪い感じはしねぇ。なんというか……安らぐっつうか、落ち着くっつうか…………というかアレだなさっきの感じ、神社とか寄ったときの感覚だな」
「神社……つまりは神聖なところに足を踏み入れたときみたいな?」
「そうそう、そんな感じ。それが少し離れたところに生まれたんだよ。一体なんだろな」
「…………もしかして……」
……白銀くんが感じたことが本当なら私の知る限り該当するのはひとつしかない。でも、過去ならともかく現在は……
「…………そうか、もしかしてアレが……」
「白銀くん?」
「…………ちょっくら行ってくる。千景は……」
「私も行くわ」
「……いや、これは」
「あなたから目を離したら何するかわかったもんじゃないもの。それと……私もその正体に心当たりがあるから」
「…………前世の経験……か?」
「ええ。経験というか私の実体験だし、あなたよりもその手の知識は豊富よ」
私の言葉に少し頭を抱え始める白銀くん。
今までの状況から察するに白銀くんが感じた気配からして私の考えも当たってるはず。それにこんな状況だからこそ……そうでないと困るところがある。私としては複雑極まりないことだけど。
「……分かった。けど、危なくなったら帰るぞ」
「心配ならいらないわ。……それよりあなたが感じた場所に向かう前にまず乃木さんの元へ寄ってほしいの」
「……別に目指す場所からして寄れるっちゃ寄れるが……なんでだ?」
「百間は一見にしかず……よ」
「??……ま、千景が必要っつうんなら俺は従うだけだ」
意味がわからず首をかしげる白銀くんだけど……それはまぁ仕方がないこと。これで分かってしまったらさすがに彼がエスパーなってたり転生してるなりを疑うわよ……。
**************
私が周囲を見張ってる間に道端の木陰で勇者の姿に変身した白銀くんにおぶさり(「前の時の運びかたでいいか?」って聞かれたけど断固として拒否した。…………だ、断固として……)乃木さん家の前までやって来た。
「ってて……やっぱり少し痛むなこりゃ……」
「私は乃木さんと少し話してから来るから木陰ででも休んでて」
「うぃ~……いっつつつ……」
変身したときにもぼやいていたけど、昨日のダメージが相当答えているらしく勇者の姿になっても全身そこかしこがそれなりに痛いみたい。前に連れてきて貰ったコースよりも少し短い道のりだったけど少し遅く……前回のコースでかかった時間と同じくらいの時間がかかっていた。
「そう考えると、寄っておいて正解だったわね」
もし、彼一人で行っていた場合に襲われでもしたら……と考えるとね……。
「いらっしゃ~い!待ってたんよ~……てあれ?ちーちゃん先輩だけ~?」
「そこの木陰で白銀くんが休んでいるわ。それで……申し訳ないけどすぐに出る予定なの」
「え~?紹介したい人がいたんだけど~……」
「それはごめんなさい。でも、そんなに時間はかからないと思うから後でも大丈夫よ」
本当はそれなりにかかると踏んでるけど……ここは嘘をついておかないと。
「ふ~ん、そっか~」
……これは嘘だと看破されてるわね。全く今も昔も乃木家の人間は中々に鋭い。
「それで……私がこの前渡した端末はどうなったかしら」
「ここにあるよ~。私が信用できる人たちに確認してもらってシステムとかも最新のものにしてもらったんよ~」
「ありがと……仕事が早いわね」
「……セツさんだけに重荷を背負わせるわけにはいかないし、それでセツさんが壊れちゃったらミノさんに会わせる顔がないからね……後、これもセツさんに渡しておいて。彼専用の端末だよ」
「……わかったわ」
「それに?ちーちゃん先輩は~」「前も言ったけど……今のところはそういう感情はないわ」
「ちぇ~……。つまんな……くないんよ~!何々~♪ちょっと頬染めちゃって~昨日の夜何かあったのー?」
「な、何もなかったわ」
「ふふ~ん♪ま、今はそういうことにしておくよ♪」
はぁ……何かしらね……。天才と言うのはどこかしこ狂ってるのが常なのかしら。
「それじゃ……ちょっと行ってくるわ。結城さんと楠さんによろしくね」
「はーい」
乃木さんから端末を受け取って白銀くんが待っているであろう木陰に向かう。
…………少し嫌な予感がする。こういうとき大体彼はこそっと姿を消してどこかに行っていることが多くて……流石にあの怪我じゃ早々動かないことを祈るけど。
「常識が通じないのもまた彼なのよね」
「……だ~れが常識知らずだって~の」
頭上から声をかけられ身をすくめながらその方向を向くと、少し太めの木の枝にコウモリのように足を引っ掻けてぶら下がっている白銀くんの姿があった。
「……び…びっくりした…」
「あんまりびっくりしたようにゃみえねぇがな」
「……それよりなにしてんの?」
「暇だったからぶら下がってんの~。用事、早かったな」
「ええ……受け取りたいものがあっただけだから」
「んで、それがその手の端末ってことか。直ったのか?」
「直った……というかこの時代のグレードにしてもらった感じね。それと、コレあなたの分よ」
乃木さんから渡された彼専用端末を投げ渡すと彼はそのままの姿勢で受けとる……頭に血が上っても大丈夫なのかしら?
「……俺、スマホ持ってるぞ?」
「それは勇者専用のもの。……その時が来たら役立つわ」
「ふ~ん……。……内飾が大赦仕様なんだが?」
「ああ。それなら変更きかないから」
「クソダナ……っと」
そうして上半身を勢いよく降って身を起こし、その勢いを利用して枝から飛び降りてきた白銀くんは私に背を向けて歩き出そうとしてふと何かを思い出したかのようにこちらを振り返る。
「そういや、それで思い出したんだが……お前が持ってたあのデカイ鎌は……」
「ああ……それなら」
白銀くんの問いに近くの木陰の裏に隠しておいた大葉刈を取り出す。
「うぉ、用意周到だな。てか俺みたいに変身したら出るんじゃないのか?」
「私の時代じゃ勇者になった人は皆、この“大葉刈”みたいな武器を持っていたのよ」
「……大葉刈?…………それ、おかしくないか?」
「?」
「だってさ……大葉刈ってのは本来、神渡剣(かむどのつるぎ)って呼ばれてる日本神話に出てくる阿遅鉏高日子根神(あぢすきたかひこね)っつう神が使っていた“刀剣”の別名だぞ。千景が持ってるのは鎌じゃねーか」
「そう…………私もこれを持ったときに自然と名前がわかって自分でも調べてみたけど、そこまでは知らなかったわ……というか、いやに詳しいわね」
「……少しだけ昔、色々と調べてみたことがあるんだよ」
ばつが悪そうにそう言いながら今度こそ歩き出す白銀くん。
……少し気になるわね、何で白銀くんが日本神話に通じているのか。
「そうだ。それでこれからどうするの?」
「さっきいった通りあの感じを強く感じたところへ向かう、場所は……
ーーーーーーーーーー…………大橋だ」
**************
ーーーーーーーーーー三ノ輪 白銀の章
千景を連れ、大橋の前の公園までやって来てそこで変身をとく。
…………昨日の傷がヤバイくらい痛かったが……このくらいならまだまだなんとかなるな。……にしても
「………………う~ん」
「……どうしたの?」
「…………あんまし入りたくねぇ……」
怖くはないんだが……中々足が踏み出せないんだよな。なんつうか…………ゲームでボス戦の部屋の前に立ったときの感じ?がするんだよな。
「……はぁ……何言ってるのよ……。あなたがここを目的地にしたんでしょう?」
「そりゃ……そうだけどさ」
「なら行きましょう」
……………………。こういうときの千景ってホントに頼りになるな。
「んじゃ……いくか」
そうして……俺と千景が揃って公園に踏み込んだ瞬間、全身に摩訶不思議な感覚が通り抜けたと感じたら……
ーーーーー今度はいきなり視界が真っ白の光で染まった!
「っ!?ちか……」
「!ーーーーー!」
それに驚いた一瞬で千景の姿を見失ってしまう。微かに何かを叫んだような声は聞こえたが……それも一瞬で光に飲み込まれてしまう。
「くっそ……」
なんつうか小説とかでこういう場面は一瞬を長く感じるって表現することが多いけど、実際に遭遇するとホントに長いな!一瞬どころか永遠にこんな状態になる気もするぞ!?
「……っ!」
まぶしい光の本流に耐えていると……突然その光が途切れ
ーーーーー眼前には虹色で見たことない野太い……根っこ?のような何かが覆い尽くす世界が…………。
「って!なんじゃこりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!??」
世界が一変どころか百変してるんだが!?とっころどころに名残みたいなのはあるけど全体的におかしな世界が広がってるし!?そもそもこんな色とサイズの根っこなんてあんのかよ!!
「っつ!?」
叫んだのも束の間、今度はシャドウバーテックスと始めて遭遇した日のような頭痛が襲いかかり立っていられずにうずくまってしまう。そして、前回は脳内に謎の声が流れたが今度は見たことない場所がスライドショーのように次々と流れていき、最後に見えてきたのは…………
「…………雪が積もった…………駅の……ホーム……か…………?っぐ!?」
しんしんと雪が降り積もっているどこかの駅のホームデ…………
「…………あっ!ぐっ!?」
《………………………………》
俺は……オレは…………オレハ………………せん……ロニ…………タッてて…………
《…………………………》
「がぁぁっ!!」
《……………………………………》
そし…………ソシて………………オレノ視界がシロクし録シろク白く………………
《……………………》
「や、やめ……!」
《……………………》
コレ…………いじょ…………は
「……めろ……」
みた…………ク………………
ーーーーーーーーーー「ーーーーーっやめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!」
ーーーーーーーーーーーーーーー「白銀くんっ!!!!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ーーーーーーーーーーっ!?」
「白銀くんっ!白銀くんっ!しっかりしてっ!!」
千景の声がした途端に駅の風景からさっき見えた根っこがはびこる世界に戻り…………目の前には顔を蒼を越え、白くした千景がこちらを見つめていた。
「…………はぁ………………はぁ………………ち…………か……げ……………………?」
「そうよ!郡千景よ!」
「……そ…………か………………っ!」
「きゃ……」
「っげぇっ……」
咄嗟に千景をはね除けてから胃の中のものをすべて目の前の地面へとぶちまける。それでもまだ気持ち悪さが引かず、咳き込みながらも口から出せるものを更にぶちまけていく…………。
「げほっ!!げほっ!!…………っはぁ……っはぁっ……!げほっ!!」
「し、白銀くん!?」
慌てながらも千景が優しく背中を擦ってくれるのが気持ちよく…………次第に気持ち悪さがなくなっていき…………
「はぁ………………はぁ……………………」
「し、白銀くん…………?」
「…………はぁ…………ある程度は…………良くなったよ………………」
「そう………………よかった…………」
「っはぁ……心配…………はぁ……かけたな………」
「…………ほんとよ……」
千景の肩を借りて少しだけ移動し、根っこが入り組んで影になっている場所に寝転がせてもらう。
…………さっき吐いたところにいたらまた吐いてたろうからな。
「…………俺……どうなっ……たんだ…………?」
「……えっと…………」
千景曰く……光に呑み込まれた後、俺とはすぐに出会ったらしいんだがその時すでに、俺は踞り叫びながら喉や頭を掻き毟っていたらしい。それで慌てて俺の名を叫び続け…………それでようやく戻ったらしい。
「……雪とか駅のホームとか言ってたけど……一体どうしたの?」
「…………わからん。なんか…………変なものが見え…………ぁれ?」
「…………?」
おかしい…………ついさっき俺の何かが吐くほど拒絶した“何か”が見えていた…………のは分かってるんだが、肝心の“何か”が……ぽっかりと抜けている。
「…………思い出せない」
「え?」
「…………さっき吐くほどのものを見たってのに思い出せねぇんだよ……」
「そんなことって……」
「………………残念ながらあるみたいだな」
……一体何だったんだろうか。というか……嫌なものを見たって言う感覚さえ薄れはじめてやがる気が……。
「千景、悪いが……そこら辺覚えといてくれ…………どうにもおかしなことでどんどんさっきの記憶と感覚が消えてってる…………」
「……わかった。……ここは私が見張るから……一旦あなたは休んで」
「…………そう……させて…………もらぅ…………」
そう話した途端、気が抜けてしまったのか…………俺の意識は一瞬で消えていった…………その一瞬の間で何かを掴みながら。
**************
ーーーーーーーーーー郡 千景の章
…………参ったわね。まさか白銀くんが意識が落ちる直前にがっしりと服の袖を掴んでくるなんて思ってなかったわ。中学でも時々、彼の昼寝やら不貞寝に付き合うこともあったけどこんなことは一度もなかった……つまりは
「……それだけ彼が怖いものを見たってこと?」
………………いや、それはない。というか苦手なものはあるだろうけど吐くまで錯乱するのはあり得ない…………。
「…………雪……駅のホーム……」
錯乱しているときに話していた言葉とここまで連れてくるときに話してくれた情景を繰り返し考えてみても……どうみたって……
「……っ」
頭を振り払ってその考えを消し去る。
もしかしたら何者かの夢か……現状の敵の思念が具現化した可能性だってあるから……ここで結論付けるには早すぎるわね。
「…………」
「すぅ…………」
私の服の袖をつかんだまま静かに寝息をたてる白銀くんの顔を見てみると先程までの真っ白の顔にある程度は赤みが戻ってきていた。……この分なら目を覚ます頃にはいつも通りになってくれていると思う。
…………いつもは気を張って厳しい顔をしていることが多いせいかよく勘違いしそうだけど……こうやって安らかな寝顔を見ていると彼も私と同い年なのを思い出すわね。…………どこぞのあの人もそうだったのかしら。
「…………千景……」
「っ!?」
「…………くぅ」
…………ま、またビックリした……寝言なんてあまり言わないくせに……しかも大体は『銀……それ違う…………それじゃ過去の偉人の名言が……名言がぁ……』等、妹さんの面倒を見てるようなことを言ってるのにこんなときに限って…………
「…………はぁ。全く人騒がせな人ね」
……でも、そんな彼だからこそ………………。
「……それもゆっくり考えるとしましょう。それよりもまずは……」
この現状の把握から……というかもうわかることなんだけど。
「…………樹海化した世界はこっちでも同じ……ということなら、やはりーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーー再び神樹様が蘇ったってことね」
…………これはもう確実。でも……この事を察していたのは昨晩、乃木さんを通じて白銀くんの危機を知らせてきた存在と……
「…………白銀くん自身」
何せさっき『…………そうか、もしかしてアレが……』って呟いていたところからしても神樹様が何か分かってはなくとも蘇ることを事前に知っていたはず。でも…………乃木さんの方は大方その存在についての正体はわかるけど……
「…………ねぇ、白銀くん……」
ーーーーーーーーーーあなたは誰から……どこから神樹様が蘇ることを知ったの…………?
**************
ーーーーーーーーーー??????
「…………ふむ。厄介なことになったな……」
薄暗い……どこかのひび割れたホテルの一室のような場所で、かつて白銀が倒し損ねた獣人型シャドウバーテックスの1体と対峙したあの格好と仮面……大赦に関わる者の正装をした人物がボロボロのソファーに腰を下ろし腕を組んで何かを思案していた。そして、その付近には薄暗い暗闇に潜むように幾人の影が佇んでいた。
「「「「「………………」」」」」
「……“あのお方”の予想よりもかなり早く手を打ってきた…………と、すれば相手側も奴等を出向かせた頃からある程度は予測していたと言うことか。…………しかし……と、すればこちらはどういう手だてをすればいいのか……」
ぶつぶつと呟きながらその人物が頭を悩まし続けていると……突如として薄暗い部屋が更なる暗闇に包まれはじめる。大赦の正装した者は当初はびくりと体を震わせたがすぐにバッと立ち上がり大きく両手を広げ……
「お、おお……おお!来てくださったのですか!!」
と、恍惚とした大声をあげ
「……なるほどなるほど……そのような手だてが………………承りました。これより行動を開始いたします…………行くぞ!」
何かに納得したような理解したかのように首を振るった後、すぐさま佇んでいた人影を連れて部屋を出ていった………………。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
『…………ui2i_lll_5u28r0vb_7&_¥($¥~|+!ms35ga675"'%5@(?¥$`=N25p30v4e~¥?{`6&1'~]':…………』
『{8`]_*6'¥5¥1|">oi528cejrt4l2.0rmvo`&"$8"{$7"$6.v6r00u13u")'7=@<0--6ts4r…………み゙づぅ゙…………げだぁ゙…………ーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーー…ぎぢぎん゙っ゙……み゙ざぎの゙ぉ゙
ーーーーーーーーーー…………づがい゙でぇ゙ぇ゙ぇ゙………』
第漆話 終
以上、ゆゆゆ最新話でした。
前回お話しした通り次回もゆゆゆとなりますのであしからず……それと…誕生日SSも投稿しようかな?とも考えておりますので(一応粗方作成済み)ご期待をば。
対象?ストーリー関係上、一人のものしかできないです…………ごめんなさい……。
ゆゆゆいverでも出したいんですけど、主人公の設定との兼ね合いがやんややんやで……現在模索中です。
さて、長らくお待たせしている咲ですが……現在ストーリー全部再構成しております。情けないことにどんな風にしても麻雀シーンでうまくいかず……(確かに勉強はしましたが、書くとなるとものすごい難しく……書いてみた→シミュレートしてみる→崩壊。をうん十回、下手すれば三桁並みに繰り返しました)その結果から鑑み、リメイクすることとなりました。
咲の今後のストーリーを楽しみにされていた方、期待されていた方には誠に申し訳ございませんでした。
ただ、キャラの設定、粗方のストーリー展開についてはあまり変わらない(主人公の立ち位置やらは結構変わりますが)ものへとリメイクしてますので……お待ちしていてください。
では……誤字脱字、ご意見、ご感想等々あれば気兼ねなくよろしくお願いします。
ーーーーー今回のシャドウバーテックスのコーナーはお休みですーーーーー