三ノ輪白銀は異質な勇者である   作:璃空埜

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どうも、璃空埜です!

本日、私事ながら早いもので活動を初めてから一周年となりました!(と言っても記念のお話はないのですが……というか作れなかったと言うか……)
忙しかったりなんだりであまり投稿はできませんでしたし、途中で詰んでしまった作品もあったりと色々と申し訳ない感じになってしまいました。それでも大勢の方々に自分の作品を観賞していただいたのはとても嬉しかったです!
そして、今後もぼちぼちと気長に活動を続けていきますのでこれからもお願いいたします!!

さて……それでは、ゆゆゆ最新話どうぞ!


第玖話    巫女との出会い、又は、再会

ーーーーーーーーーー三ノ輪 白銀の章

 

大橋の公園での戦闘後は特に何事もなく乃木家に戻れーーーーーーーー

 

「白銀さんっ!!怪我ない!?吐き気ない!?折れてない!?無茶してない!?意識ない!?」

「…………落ち着け、結城の嬢ちゃんや。てか、意識なかったら俺ここにいねぇし、その質問にも答えれねぇぞ」

「それもそうだった……」

「…………心配してくれるのは嬉しいが……落ち着け、な?」

 

ーーーーーーーーたが、結城の嬢ちゃんが錯乱してた。

 

心配してくれるのはありがてぇが……それで自分を見失ったらいかんでしょうに。そこら辺はメブを見習って俺らの事を信じてくれていた方が嬉しい。

 

「白と郡さんも揃ったことだし……そろそろ始めましょうか」

「うん~」

 

現在、俺達は乃木邸の豪華な部屋の内の1つに案内されている。帰ってきて最初の頃はメブや乃木の嬢ちゃんも心配してくれてたが俺達がどっこも悪くないことを知って安心し、既にいつもの調子に戻ってるが……さっきの通り結城の嬢ちゃんがなにやら錯乱しちゃってて、それを宥めるのに苦労したこと苦労したこと…………んで、だ。んなことよりもめちゃくちゃ気になんのが…………

 

「なぁ、結城よ」

「うん?」

「さっきまで俺の頭のてっぺんに食い付いてたこいつはなんだ」

 

帰ってきて結城の嬢ちゃんを宥め始めた頃ぐらいだったか。なにやら頭にポンッと乗ったかと思ったらそのままガジガジガジガジと頭をかじり始めやがった。何事かと結城の嬢ちゃんを一旦千景に預けて携帯を使って確認して見たところ

 

 

ーーーーーーーーーーーー俺の頭にピンク色の変な生き物か食いついていたのだ。

 

 

一応、ガジガジは痛くねぇし悪い感じもしねぇから放っといたが……こいつのヨダレで頭がべとべとしだしたからさすがにな?今は頭からひっぺがしてその首根っこを掴んでんだが……見れば見るほどなんだ、こいつ。多分牛……に関連する生き物みたいではあるみたいだがサイズはぬいぐるみと同サイズ、背中に透明な羽みたいなのが生えていて、その腰の左右には桜の華紋があるという……あっきらかにこの世の生き物じゃねぇやつなんだよな。

 

「あ、ごめんね。その子、私の精霊なんだけど昔から勝手に出てきちゃうんだ~」

「……出てくるってどういうことだ?てか、精霊ってなに?」

「それについては、もう一人交えてこの後説明するよ~」

「…………分かった。それで?こいつの名前はなんつうんだ?」

 

首根っこを放してやるとフヨフヨと今度は結城の嬢ちゃんの頭に移動し、ぐでっと寝そべる。

 

「牛鬼っていって、好物はビーフジャーキーなんだ!かわいいでしょ~?」

「ほーん……牛鬼ねぇ……………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………牛鬼ぃっ!?」

 

待て待て待て待て待てぇい!!牛鬼っていやぁ…………

 

「旧暦から伝わる大妖怪じゃねぇかぁっ!?」

「そうみたいだね~」

「そうみたいだね~……じゃねぇよ!」

 

妖怪ってのはヤバい奴はかなりヤバいが牛鬼はその中でもめちゃくちゃヤバい奴だろうがよ!

 

「?どうしたの白銀さん?」

「いやいや!お前牛鬼ってどんなのか知ってんのか!?」

「?」

「牛鬼ってのは各地で様々な逸話があるけど、共通する認識としては残忍で獰猛で、毒を吐く上に人を食い殺すことを好むような極悪非道妖怪の筆頭だぞ!?」

「えぇえ!?それなりにこの子と過ごしてたけどそんなそぶりなかったよ!?」

「まじか……!?」

 

えぇ……ということはこいつは妖怪とかの牛鬼とは別物なのか?姿も所々に文献で見たのと似通ってるところはあんだが…………あ、モチーフとしてそう扱われんのか?

 

「それよりも私はセツさんが妖怪のことをよく知ってることに驚きだよ~」

「白は多趣味だけど、一番熱を入れてるのがオカルト系の話だからね。彼にそこら辺の話をすれば色々聞けるわよ」

「……確かにそうね。ホラー系のゲームや映画を見てるときでも時折、彼の解釈入りの説明とかしてくれるわ。……というか誰も突っ込まなかったけどビーフジャーキーが好みって共食いじゃないのかしら?」

「妖怪さんだから違うんじゃないかな~?」

 

周りの反応からしても危険じゃないみたいだな。…………だがなぁ、心臓に悪い名前だな、牛鬼って。

 

「…………?」

 

何となく見つめるとなんにも考えてなさそうな瞳で少し首をかしげるような仕草をする……。このやろ、こっちはおめーが紛らわしいせいで…………

 

「っのやろ!っのやろ!」

「わ~!?白銀さん、なにやってるの~!?」

「……平和ね」

「平和だね~」

「そう、ね……」

 

**************

 

ーーーーーーーーーー楠 芽吹の章

 

白による牛鬼騒動の後、そのもう1人の事を待つ間に現状と今までの事を皆でまとめることとなった。今のところ、シャドウバーテックスとやらと本格的に遭遇してるのは白と郡さん、乃木さんも最初に遭遇したみたいだけど実際に戦ったのは白らしいから詳しいは彼の方から聞いた方が良さそうね。

 

「それじゃ……現状分かってることと、俺の個人的な考えを話してく事になったが……話の途中でも何か意見があったら容赦なく言ってくれ」

「分かったわ」

「ん。なら早速……まず奴等の最終的な目標は神樹を殺すこと、だ」

 

神樹様を殺す……か。中々大きく出たけど、そこは前の戦いの頃とあまり変わらないようね……それよりも白が神樹様のことを呼び捨てにしてるのはいいのかしら…………。

 

「だが、今日襲われたときに分かったんだが……奴さんどうにも千景のことも狙ってるよう…………あれ?そう言えばどうして俺等が襲われたこと知ってたんだ?」

「それについても後で説明するんよ~」

「……それほど、そのもう1人が重要みたいだな。……とにかく話を戻すと……あいつらは千景も狙ってるんだと」

「千景先輩を?」

「その理由は?」

「どうにも、千景のご先祖、そこの牛鬼と同じかどうかは知らんが……精霊“七人御先”とやらを使ってたらしくってな。なんかそれをあいつらの黒幕?的な奴が欲しがってるみてぇだ」

「七人御先~?」

「高知を初めとしたここ、四国地方やお隣中国地方に伝わる亡霊集団のことさ、書物によっちゃ妖怪だったり神にも分類することもある。簡単に概要説明すると、災害や事故で死んだ人の霊がその名前の通り7人組で現れる。そして、その数は7人から変わることはなく、取り付いて1人殺した場合、そいつを取り込んでその中で古参の別の1人が成仏する……そんなサイクルをしてるそうだ。因みに災害や事故っつったがメインは溺死。そのせいかよく海や川とかの水辺で多く現れるらしい」

「ほへ~」

 

流石、相変わらずこういう手の話題には詳しいわね。

 

「んで……奴等の狙いが七人御先って知ってシャドウバーテックスの正体というか元ネタ?みたいなのに1つ考察があんだが……」

「聞かせて」

「……あいつらの目的のひとつ、七人御先ってのは諸説あるが亡霊として扱える。そして、シャドウバーテックスには一応喋れる奴がいて……そいつらが大体語るのは、総括すると復讐みたいなこと。そこから繋げてみたんだが……どうにもあいつら亡霊とかそこら辺の類いな気がすんだよな」

「確かに私があった奴も色々言ってたね~。なに言ってるかは分からなかったけど~」

 

前の敵は天の神で今度は亡霊……か。何かスケールダウンしてる感じがするけど……話を聞いてる感じ神樹様だけでなく、それに属し自らの邪魔をするような存在から消していこうとする……ある意味知能がある…………と捉えるべき、かしら。

 

「うぇえ、あんまり戦いたくはない相手だなぁ………」

「そうとも言ってられねぇだろ。それで俺は過去の千景のご先祖のことも調べるべきだとは思うんだが…………」

「それが中々難しいんよ~……。ちーちゃん先輩には申し訳ないけど、郡家の勇者の情報はほとんど抹消されちゃってるの~」

「まじか……」

「……仕方ないわよ。それだけ酷いことをしでかしたんだから」

「ただ……気になることはあるよ」

「と、言うと?」

「この中で一番勇者歴が長いのと大赦に強く関わってるから分かるんだけど、ゆーゆの牛鬼のような精霊はここ数年で追加された物なんだけど、確かに過去の記録じゃ西暦の勇者さん達も精霊の力を使ってたんだ……その力をその身に宿して」

「え?それって直接?」

「みたいだよ~」

「…………そんなに危ないことを……」

「仕方がないと言えば仕方がないことだよ。何せその頃はまだ相手の実態も分からないし、勇者システムも作られたばっかで不備が多すぎたみたいだから」

「…………仕方ないですまされねぇと思うがな」

 

白が軽く怒気の篭った声でぼそりと呟く。

……どうにも彼、大赦自体に恨み辛みがあるみたいね……。その気持ちは大分分かるけど。

 

「んでまぁ……現状、分かってんのはこれくらいだ。後は………っと…結城の嬢ちゃんや、お前らの仲間に遠距離に特化してる奴っていたか?」

「うん、いたよ。…………もしかして会ったの!!」

「いや……分からん、見えたのは銃口だけだからな」

「…………そっか……」

「というか写真かなんかで勇者としてのそいつらの特徴を教えてくれ」

「私もお願いしてもいいかしら」

「わかったよ~。ゆーゆ、ちょっと手伝って~」

「……うん」

 

そうして、一旦部屋から乃木さんと結城さんが出ていく。すると、郡さんは羽織っていたカーディガンの裏ポケットからゲーム機を取り出し、イヤホンをつけピコピコとゲームを始め

 

「そういや、メブも何気に混ざってるが…………お前も勇者なのか?」

 

少し暇そうに頭の後ろで手を組ながらのんびりと白がこちらへと質問をしてくる。

 

「ええ。正確には勇者とは違うのだけど」

「勇者とは違う?他に何かあったのか?」

「…………私は元勇者候補生にして防人を勤めていたの」

 

一瞬言うかどうか悩んだけど、ここまで来たら隠し事は必要ないと判断し、私の過去……勇者候補生として収集され、訓練の結果……ある子に負けて勇者になれなかったこと。その後、防人として再び収集して……恵まれた仲間の指揮を取っていたことを話す。それを聞いた彼は……

 

「…………大赦は人をなんだと思ってやがる」

 

先よりも明確に怒気に満ちた声を出し、雰囲気も身震いするような恐怖を覚えるものとなる。

 

「怒ってくれるのは嬉しいけど落ち着いて、白。確かに扱いは酷いけど、それで私は信頼できる仲間や私の在り方を確立できたんだから」

「…………ホントに大丈夫なのか?」

 

私の言葉に先の威圧感を引っ込ませ、優しく心配するように声をかけてくれる。

…………ホント、出会ったときからこう言うときだけ調子がいいんだから。

 

「私は大丈夫。というかさっき話した私に勝って勇者になった子も巻き込まれてるのよね、これ」

「名前は?それくらいなら俺も聞いたからある程度分かるぞ」

「……三好夏凜というのだけど」

「御愁傷様でした、絶讚音信不通です……」

「そう……」

 

全く……私を差し置いて勇者になったくせに軟弱ね。今度あったらその顔面をひっぱたいてやろうかしら。

そう思っていると、控えめなノックの後部屋の扉が控えめに開き、ひょこっと小柄な見覚えがありすぎる少女が顔を覗かせた。

 

「こ、こんばんは~……」

「っと、わりぃな嬢ちゃん。ここは嬢ちゃんみたいな」「違うわ、白。この子が乃木さんが言っていたもう1人よ」「……へ?」

「あ!芽吹さん!」

「久しぶりね……ーーーーーーーー

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー亜耶ちゃん」

 

 

 

**************

 

「巫女……ねぇ……」

 

腕を組ながら私のとなりの椅子に腰かけた亜耶ちゃんを上から下へ品定めをするように見る白。

 

「白、それ次やったら目潰しするから」

「……別にやらしい意味で見てたわけじゃねぇ。あまりに華奢だからしっかり食ってんのかなと不安にはなったが」

「ご心配ありがとうございます。でも、朝昼晩しっかりとご飯は食べてますから大丈夫ですよ」

「お、おぅ……(おい……メブ!この子純粋すぎないか!?)

(そういう子なの。変なことを吹き込まないでよ?)

(んなことすっかよ!こんな純粋な子にさ!)

 

小声で話している私と白を見ていた亜耶ちゃんの瞳が驚いたように見開いて………………

 

「あ……もしかして…………」

 

!不味い……これはっと、止めないとっ!

 

「あ、亜耶ちゃん、まっ」「もしかして、あなたが芽吹さんとお話されていたとされる噂の恋人さんですかっ?」

「………………………………は?」

「っ!?!?!?」

 

亜耶ちゃんのキラキラした瞳と共に向けられた純粋な質問に白はポカンとした顔となり、ゲームをしていた郡さんもビクンと体を震わせる

…………しまった……。前に連絡取り合ってたときの光景を防人の1人に見られて、そこから……特に騒ぎまくる2人からの質問攻めがひどくって適当に答えてたら…………

 

………………………………何故か会話の相手は私の恋人扱いにされていた。

 

そして、その誤解を解く暇もなく色々なことがあって防人の部隊が解散してしまったから…………

 

「……………………メブ?」

「……………な…なにかしら」

「………………俺はいつからお前の彼氏になってんだ……?」

「………………」

 

特に何も言えず、そっぽを向く。そんな私に対して白は軽く溜め息をついた後、

 

「残念だが俺じゃねぇよ、巫女ちゃん。そもそも俺に今のところ彼女はいねーよ」

「あ、そうなんですね…………残念です」

「そう落ち込むなっての。……因みにその話っていつからだ?」

「えと……大体去年の……冬に入る前くらいでしたよ」

「なるほど……あん時か。悪いがメブと親しい巫女ちゃんでも会話したことを話せないな」

「あぅ……釘を刺されちゃいました…………」

 

白はすぐにその時のことに思い至ってくれて、亜耶ちゃんの気勢をそぐ。

…………正直言うと………見られる前の大荒れして本来関係のない白に電話越しに詰めよってるシーンを見られなくてよかったとは思ってるのよね…………それはそれで何かと噂がたちそうではあったけど。…………いや、噂の発端となったぐずる私に優しく声をかけてもらってた場面だけでも、顔から火が出そうになったけど……。

そんなことを思い返していると

 

(………………)

 

白が小さく、何かを呟く。それに気であろう亜耶ちゃんが首をかしげるも……

 

「どした、巫女ちゃん?」

「あ、いえ……今なにかおっしゃりませんでした?」

「?俺は何も言ってないが……千景かメブ、何か話したか?」

「いえ……」

「……(フルフル)」

「ん~、私の気のせいでしょうか?」

「じゃねぇの?」

「ごめ~ん!写真を選んでたら遅くなっちゃった~……ってあれ?知らない子がいる!?」

「あれ~?あーや、お話は終わったの~?」

 

白が巧みに追求を躱すと同時にようやく乃木さんと結城さんが戻ってきた。嫌に時間がかかったけど、何かあったのかしら?

 

「おぅ、お疲れ。巫女ちゃんとは先に話してたよ」

「はい!色々お話ししました!」

「あーや良かったね~」

「園ちゃん、その子は?」

「待て、乃木の嬢ちゃん。千景、一旦ゲームストップ」

「…………ん、わかった」

 

…………なんだろう?郡さん……白の言葉には従順な気がするのだけど……。

 

「ん、それじゃ乃木の嬢ちゃん、どうぞ」

「はいは~い。それで~この子は巫女さんの国土亜耶ちゃん!」

「改めまして、国土亜耶です。以後、よろしくお願いしますね!」

「私、結城友奈!よろしくね!!」

「…………郡千景」

「何警戒してんだお前?……んで、さっき言ってなったが俺は三ノ輪白銀だ。まぁ、よろしく頼む」

「私のことは大丈夫ね」

「それでね~。何と!あーやはね~神託って言って神樹様の声を聞くことができるんよ~!!」

「へ~!すご~い!!」

「…………そう」「俺はさっき本人から聞いた」「私は知ってたわ」

「……ゆーゆ以外のみんな、反応が薄いんよ~…………」

「しゃ~ね~だろ、聞いちまったもんは。ついでにいや千景もイヤホンしてたが聞いてたから分かってるぞ」

「ご、ごめんなさい乃木先輩。先に話しちゃいました」

「しょぼーん……」

「ま、一旦乃木の嬢ちゃんは置いとくとして……まずは写真を見せてくれ」

「う、うん…」

 

落ち込んでしまった乃木さんをよそに白は結城さんから写真を受けとって眺め始め、結城さんはその写真に写るのが誰なのかと言うことを説明していき、イヤホンを外した郡さんと私、そして亜耶ちゃんも加わりその話を聞いていく。

 

「成る程な。それじゃ次にこいつらの勇者としての力についても教えてくれ」

「ほぇ?なんで?」

「今日、襲われた話をしてたときにお前さん、一喜一憂してたろ?そっから似たような能力やら武器やら使う奴がいるんだろうと考えてな。それに……」

「?」

「酷な話だが、今後してる奴とは戦う可能性がある」

「う…………」

 

確かに、その可能性は十分ありうるだろう。更に言うなら白から前に教えてもらったドッペルゲンガー的な感じで、同じ力と容姿でコピーして量産してくる可能性もあるって考えた方がいいかも。ただ1つ気になるのは……

 

「ねぇ、白。その連絡がつかない人達に何か共通点とかないの?」

「ん~……一応は結城、乃木、郡が西暦の勇者に関係あり、その一方で連絡がつかない犬吠埼姉妹、三好はその関係がないからって言う感じだ」

「…………でも、勇者としては私だけが狙い目となると事情が変わってくるかもしれないのよね」

「そうとも言えるし、言えないとも言える……ってところだな。千景の勇者の力があいつらの工作で転生………じゃないか、呼び起こされたんだとしても俺の力はイレギュラーなのは変わりないし、結城や乃木が狙われなかった理由にはならん。…………というか神託が聞けるのなら逆に神樹に聞き返せないのか?」

「ごめんなさい……それができたら防人の皆さんのお力にもなれたのですが……」

「謝らないで!神樹様の声を聞けることだけでも凄いんだから!」

「悔やんでも仕方ないよ。亜耶ちゃんにしかできないことがあるからきっと大丈夫」

「……はい!ありがとうございます、芽吹さん、結城先輩!」

 

元気よくそう返してくれる亜耶ちゃんに対し、白は少し複雑そうに彼女へと目を向けていた。

…………もしかしたら彼は妹さんと亜耶ちゃんを重ねているのかもしれない

 

 

………………そんな気がした。

 

 

**************

 

ーーーーーーーーーー三ノ輪 白銀の章

 

「ふぅ……」

 

乃木邸の庭先にある蛇口から流れ出る冷たい水を頭に浴びると、まだ冷える春の夜風と相まってヒートアップした頭を心地よく冷やしてくれた。

今は話し合いを一時中断して、思い思いに休憩をしている。俺は夜風にあたりがてら夕飯を乃木邸で済ませる事をお袋に伝え、千景はいつものゲーム、メブはそれに興味があるみたいで千景の後ろからその画面を覗いていて、乃木、結城の嬢ちゃん達は巫女ちゃんと楽しそうに何やら話している。

 

「…………」

 

涼んでいても頭ではまた、勇者云々の事を考えそうになり軽く首を振って今は頭を冷やすことを優先する。

 

「白」

「……メブか、どうした?」

 

近くあった手頃な木に寄りかかりぼんやりと何も考えずに曇りだした夜空を見上げていると、いつの間にか近くにメブがやって来ていた。

 

「あなたの様子が少しおかしかったから、様子を見に来たの」

「……そんなにおかしかったか?」

「ええ。特に大赦関連の話題となったときには」

「…………そうか……」

「ただ、その心配も杞憂だったみたいね。いつもの感じに戻ってるわ」

「ま、頭を冷やしたからな……」

 

…………メブが気づいてんのなら、千景辺りも気づいてるか。ま、アイツも過去の記憶ゆえに大赦へは良くない感情を持ってるらしいし、俺をあまり刺激しないようにしようとしてるんだろう……それはメブにも言えるかも知れないが。

 

「それで?別に様子を見に来ただけじゃないだろう?」

「…………はぁ……そのまさか、よ。あなたの様子が心配だったから来てみたのだけど、別の心配事が持ち上がってきたわ」

「…………」

「白……あなた、気を張りすぎてないかしら?」

 

…………ま、いつものこんだから気にしてなかったが……千景のみならずメブからまでも言われるとわ。……いや、メブは防人とやらの隊長を勤めてたからそりゃ見抜くか。

 

「…………そうは言ってもな……」

「元々あなたが色々と背負いこむ所があるのは理解している。でも、これからの戦いはあなた一人では抱えきれないことが絶対にあるわ。だから……」

「…………はは」

「?」

「ははは……、まさかお前からも言われるなんてな…………」

「まさか……」

「少し前に千景からも言われたんだ。その時はそうとも思ってなかったが……昨日皆心配させた時、思い知ったよ。アイツらは俺の常識外な奴らだ、それだったら敵に相違はあれどもあぁいうのとやりあったことがある経験者の話はしっかり聞くようにするさ」

 

銀のこともあって、周りを巻き込むまいと考えてたんだが……アイツらはそんなこと言っててどうにかなるような奴らじゃないのはよくわかった。実際、今日だって千景に頼らずいて体調の崩したままアイツらと戦ってたら……勝てはできるが、少なからず怪我を負ってたろうな。

 

「…………身を持って経験してよくわかったでしょう?」

「郡さんも来たの?」

「あの賑やかな所は少し……ね」

「お前は相変わらず、そういうところが苦手だよな」

「悪いかしら?」

「悪くないとも言えるが悪いとも言えるな。んなことしてるとチーム戦で支障が出るだろ?」

「…………あなたからそんな言葉が出るなんてね」

「そりゃ、2人から単独で無理するなって言われりゃそうもなるっての。…………しかし、実際問題……チームでコンビネーションを組むとなると俺と千景……何気にメブを含めた俺ら3人は上手くやれる自信はないだろ」

「………………」

「………………」

「目、反らすなや」

 

ただ、現状……もう1人なりふり構わず突っ込みそうで心配な奴がいるが…………。なら、俺は先にそれを止めと……いや。

 

「千景、メブ。早速だが頼みがある…………」

 

**************

 

それから部屋に戻って今後の事を話し合い、夕食を食べた後も更に話し合って夜も更けてきた頃になり、巫女ちゃんが寝てしまったのを皮切りに解散…………というか夜も遅いから女性陣は乃木邸に止まることになった。

 

 

そして……そこから更に夜が更け、町から人っ子1人いなくなった頃

 

 

俺が乃木邸へと続く街道を照らす街頭の下に佇んでいると、予想通り……なりふり構わず突っ込みそうな奴がこそこそとやって来ていた。…………バレバレではあったが。

 

「…………こんな夜遅くに何してんだよ、結城」

「っ!?え、えとえと…………」

 

そいつ……結城は俺に気付かれて最初こそ慌てていたが、軽い深呼吸をした後、街頭の光の下にやって来て真剣な瞳で俺を見上げると

 

「…………私、東郷さんを探したいんだ。だから、例え白銀さんが止めても私は行く」

「……だろうと思ったよ」

 

こいつ、俺が今日スナイパーの話をしたときにものすごい食い付きを見せたんだが、その後教えてもらった勇者部の仲間の中に確かに狙撃をメインとした能力を持つ勇者…………なんの因果か、かつて銀、乃木の嬢ちゃんと共に戦った旧名、鷲尾須美……現名、東郷美森はいた。アイツとは俺も出会ったからわかるが、少し話しただけでも親友である結城の事をとても大切にしていた……その、そっちの方向で…………と、とにかく、心底大事にしている。それは恐らく結城の反応からして逆もまた然り……と、するならば、後は簡単だ。結城は大親友である東郷の可能性を秘めた敵を探して、動き始める……それも、大慌てで。

…………結果、ものの見事に的中したわけだ。あんまり的中してほしくはなかったがな。

 

「…………お前、あてはあんのかよ?この時間じゃタクシーも動いてねぇし、電車なんてもっての他。それにアイツがこの町にいるかだって怪しいんだぞ?」

「……分かってる。でも……」

「…………それでも行くってか?」

「…………うん!」

 

力強く頷く結城に軽く溜め息をつく。

…………やっぱりこうなっちまうか。

 

「…………なぁ、結城。お前さ……前何か言ってたろ?勇者部の五箇条だかなんだか……まぁ、とにかくその中に確か『悩んだら相談』とかなかったか?」

「っ…………」

「ま、お前の場合はその後の『なせば大抵何とかなる』を身を持って実行してんだろうが……な。……っし、さっさと行くぞ」

「………………え?」

 

俺の言葉が以外だったのか驚いた顔で固まる結城。

……こういうのはベタな展開だが、実際にやると面白いもんがあるな。

 

「何だよ?行かねぇのか?」

「え?え?な、何で白銀さんが…………?」

「そりゃ、簡単な話さ。東郷……もとい、鷲尾の嬢ちゃんは俺の妹と一緒に勇者として懸命に戦ってた奴だし、この間の1回だけだが会って話したこともある。そんな奴を放っておけるかっての」

「白銀さん…………!」

「それに、奴が現れるとしたら心当たりがあるからな」

「ほ、本当っ!それって……」

 

俺の予感が正しければ、だがな。しかし……アイツはきっと現れる。その場所はアイツにだって因縁深いはずだ…………何せ

 

「…………ここからは距離があるし、夜も遅い。お前も変身してさっさと行くぞ。目的地は…………」

 

 

 

ーーーーーーーーてめぇの親友が……

ーーーーーーーー俺の大切な妹が……

 

 

 

         「大橋だ」

 

 

 

     ……死んだ場所だから、な…………

 

 

 

 

                  第玖話  終




以上、ゆゆゆ最新話でした!

さて……先にお話ししたように本日は一周年。予告していた咲は申し訳ない事に間に合いませんでしたが…………咲とは違う新作をこの後、投稿させていただきます!!(!?)
また!?と思う方もいらっしゃるはずですが……ちゃんと裏では仕事の合間をぬいつつ、すべての作品をなるべく平行して進めておりますのでご安心を。しかし、それゆえに各作品の投稿間隔が開いてしまいますが…失踪はしないのであしからず。

(今回は敵さんコーナーはお休みです)

では……改めまして誤字脱字、ご意見、ご感想を気兼ねなくお願いします!
そして……今後とも、よろしくお願いいたします!!
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