三ノ輪白銀は異質な勇者である   作:璃空埜

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お久しぶりです璃空埜です!

ここ最近はホロライブだけでなくらいとあっぷにもはまりつつある…………。
いい事ですね!

それではどうぞ!


第拾話(前中)  巻き起こる新たな火種と

 三ノ輪白銀の勇者の力の異質さの報告(レポート)

 

 

・彼は勇者に変身する際に、勇者システムを介して変身しているのではない。

 

右手の甲にあるコスモスの花を象った華紋を起点にして力を展開させている。ここから察するに神樹様の力をそのまま取り込んで変身している可能性もある。

 

 

◎歴代の勇者達とは違い“奇妙にして別格能力を扱える”ということ。

 

歴代の勇者の中でも、満開時等には一定の力を扱えるようにはなる者はいた。しかし、彼のように〈時を止める〉や〈指定した物体の遠隔操作〉など“神樹様が扱う力に匹敵する”レベルのものを、勇者とはいえ一介の人間が簡単に扱っていいものではない。

 

 

・喧嘩をよくしていたと言う調べはついているもののーーーーーー

 

 

ーーーーーーそれを差し引いたとしても高すぎる戦闘能力。

 

 

 

 **************

 

ーーーーーーーーーー三ノ輪 白銀の章

 

「お前…………白上だろっ!!どうしてこんな所にいるっ!!」

 

月光と黒い炎に照らされて、普段とは全く違う装いと何より普段と決定的に違う獣の耳が生えた黒髪と同じ色の尾を揺らしつつ、狂気の笑みを顔中に広げながら首を傾げる白上と対峙する。

 

「ん〜?何言ってんだ?私は、白上フブキだぜ?」

「はァ!?」

「そんなことよりも…………だ。お前、強いだろ!私はな?そういう奴と殺り合いたから“出てきた”んだよ!!アハハハハハハハハハハハ!!!!!!」

 

“出てきた”…………?つうことは、白上はシャドウバーテックスに操られてるわけじゃねぇのか……?

俺が思考に囚われている隙をついて狂気の笑みを浮かべたまま、勢いよくこちらに向かって飛び込みつつ大剣を振り上げる白上……

 

「っそ!!」

 

振り下ろしてきた白上の一撃をすんでのところで躱し、カウンターで右肩口に強烈な蹴りをお見舞いして弾き飛ばすが、その直後に上空から6枚の高速回転する円盤が飛んでくる。これを左の斧にだけ発生させた炎で溶かし落としてから直感でその場から飛び退った瞬間、地中から光線が放たれ直前まで俺が立っていた場所を貫く。

 

「さっきから姿が見えねぇと思ったら……!!」

 

苦々しく呟きながら、着地と同時に右の斧を一度しまってから渾身の力で地面を殴って広範囲を叩き割るとその一角から奇怪人型シャドウバーテックスが飛び出してくるその見た、その瞬間に盛り上がった地面のひとつをそいつに向けて砲弾の如く蹴りあげる。それ自体は難なくいとも簡単に奇怪人型に切り裂かれてしまうが、それを蹴りあげた際に先に白上を蹴り飛ばした方向から黒炎の玉が勢いよく飛んでくるものの、それを見てから先程切られた地面の片割れと俺の位置を入れ替えシャドウバーテックスの虚をついて、炎を纏わせた左の斧を振り下ろすが狙い通りにはいかず奇怪人型の右腕を切り落とすのみとなってしまう。

 

「チィッ……!!」

 

くっそ!本当なら頭から真っ二つにするつもりだったんだがな……咄嗟の反応も速ぇなコイツッ!

内心そう思って舌打ちをしながら、右足に炎を纏わせ奇怪人型の胴を蹴るが、蹴った瞬間に奴は残った左のハサミをこちらに向けて開いて構え、最初に放ったものと同じレーザーを射ち俺はそれをギリギリで躱すが……レーザーを放った時に同タイミングで放っていたであろう一枚の円盤を躱しきることができずに右脇腹を深くは無いものの切り裂かれてしまう。

 

「ぐ……〜っのぉぉぉぉぉぉっ!!!!!!」

 

ただ切り裂かれた訳じゃなく先程の交錯で左腕にやられたように、傷口から体の中が凍りついていく感覚と共に激痛が走る……がそれを無視しして強引に奇怪人型の胴を蹴り薙ぎ、地面へと叩き落とす。

 

「私を差し置いて楽しんでんじゃねぇ!!!」

 

その直後、白上が姿を現したかと思うと全方向に無数の小さな黒炎弾を放ち始めたが…………今は!

俺はそれを気にすることなく、地面へと叩き落とした奇怪人型に向かって再び取り出した右の斧を投擲すると、それと同時に奴も(嬉しい事に)同じ考えのようで氷の壁を形成しつつ、こちらへと向かって残った左鋏から作製した直剣を一直線に飛ばしてくる。その瞬間に俺は先に投擲した斧と自分の位置入れ替えて剣の発射線上へと身を躍らせ残った左の斧を持ち替え、手空きになった左拳を握って大きく振りかぶる…………

 

…………実はさっきの白上の炎剣を見て思いついた事がある。ま、俺もさっきの……何気に一か八かだった炎の竜巻攻撃で、ある程度は勘づいていたんだが……俺の炎も白上の炎のように何かの形状を形作れるんじゃないかってな…………んで………

 

「こんなことも出来るんじゃないかと思ってな!!」

 

俺は振り上げた腕へと炎を纏い、炎を一気に燃え上がらせて巨大な掌を作り上げると、それを思い切り振るって飛来してきた剣を全て弾き飛ばす。

うっしゃ!!やってみるもんだなぁ!!

 

「……そんで…………」

 

ここで再び先程投擲した斧と俺の位置を入れ替えてから炎の腕を、白上の炎弾いてから解除しもう一本の斧も投擲ししつつ、一回転してから今度は右足に炎を纏わせ始め、その間にシャドウバーテックスは人型から砲撃体勢へと移行し、こちらへその砲身を向けて今までよりも多く溜め始め…………

 

「ハハハハハッ!!!私も混ぜろォ!!!」

 

白上も叫び声を上げながら無数に放っていた炎を止めて巨大な黒炎の玉を作り上げる。

 

 

       そして……

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー俺は足に纏った炎を今度は肥大化させるのではなく、足に直接極限まで炎を縮小させ…………

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーシャドウバーテックスは辺りが白く凍り付く程に溜め込み…………

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー白上はかなりの大きさまで黒炎の大玉を肥大化させ…………

 

 

 

       それぞれが激突する準備を固め…………

 

 

 

 

 

 

 

 合図は、俺が最初に投げた斧が地面が突き刺さった音だった。

 

 

 

 

 

 

シャドウバーテックスと白上が同時にそれぞれ溜めていた光線と、黒炎の大玉を放ち………………

 

 

 

 

 

 

    俺はーーーーーーーーーーーー時を止めた。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーひとつ。

 

 

 

 

 

心の中でカウントダウンをしつつ、地面に突き刺さった斧と俺の位置を入れ替えた直後にシャドウバーテックスを蹴り上げーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーふたつ。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーた、その瞬間にもうひとつの斧と位置を入れ替え、まずはシャドウバーテックスを炎を凝縮して纏わせた右足で一蹴り入れる……と、温度差からか辺りへと一気に白い蒸気が広がるーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーみっつ。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーのを逆に好都合と解釈しつつ、地面の斧を手元に戻して適当に放り投げ……そこから片方の時止めによって固定された斧へと移動し、シャドウバーテックスに対して蹴りを叩き込むとすぐ様もうひとつの斧へと移動し、再びそこを足場として奴に対して蹴りを叩き込むと、続いて最初に飛んだ斧へとまた移動して蹴りを叩き込み…………それを何度も何度も何度も何度も繰り返しーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーよっつ。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー数え切れないほどそれを繰り返した後、シャドウバーテックスの上に立った俺は最後の一発を奴の体の中央にぶち込んだ後、斧を回収してから蒸気によって真っ白になった空間を通り過ぎて地上に降り立ち…………ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

     「てめぇだけはさっさと殺らせて貰う……

 

 

 

 

      助けられもんも助けられなくなるんでね」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー最後にそう語り、指を弾きながら時止めを解く…………………………結果

 

 

 

 

シャドウバーテックスに全方向から灼熱の蹴りの衝撃を叩き込まれ、声無き悲鳴を轟かせながら……自信の放った光線と白上の放った黒炎の大玉を両方とも同時に喰らって壮大な爆発に呑まれて辺りに月光に反射する小さな粒子となって吹き飛ぶ…………が、先程喰らった右脇腹の傷の氷が消えず…………

 

「…………しぶといっ!!!」

 

それを確認した直後、俺は右斧を振り向きつつも振り抜く体勢をとるも……投擲する直前に瞬間的な直感で、俺は斧に炎を纏わせると振り抜いた勢いに載せ、孤月状の衝撃波を放つ。それは俺に向かって放たれていた針にも思えるボロボロの氷剣を両断すると、そのまま僅かに鋏だけ形成してたシャドウバーテックスの核を両断し…………今度こそ、その体の全てを小さな粒子へと変え、右脇腹の氷も解けて代わりにそこから少し血が流れ出る。

 

「ふぃ…………」

 

このくらいの怪我なら大丈夫……ただ、戦闘が更に長引いた場合とかは最悪炎で焼くぐらいしないといけねぇかもしれねぇが。

そんな事を考えつつ、能力の使いすぎで本格的に痛み出した頭痛を堪えつつも一度大きく息を吐く…………。

 

「さて…………後は」

「貰ったァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!」

 

()()()()背後から心底嬉しそうな声を上げつつ、白霧を突っ切って大剣を突き出しながら白上が強襲してくる…………が。

 

「…………やっぱりな」

 

小さく呟きつつ俺はそれを難なく躱すと、大剣を足で押さえつけると共に突っ込んできた白上の胸ぐらを掴む。

 

「な……!!」

「白上に取り付いているんだか、そいつの意識の内側に潜んでたんだかはこの際聞かねぇし、てめぇが何者なんかは興味ねぇ…………。だがな?元々、白上は命をかけた戦い(こんなこと)とは一切合切無縁の、ちょっちアホだがこんな(不良な)俺にも分け隔てなく話しかけてくる心優しい、皆のムードメーカーな奴だ…………」

「だからどうし……」

「そんな奴を……」

 

白上が離れようと躍起になって暴れるも、俺はそんなことを気にすることなくその体を片手で持ち上げる。

そうしながらも脳裏を過ぎるのは、壁を作っていた千景に対しても変わらず接し、ゲーム好きと知ってからは更に嬉しそうに接してきていた白上の事で…………それを……コイツは………………っ!!

 

 

「…………巻き込んでじゃねぇよ、この大馬鹿クソ屑野郎が!!!!」

 

 

わりぃな、白上……っ!!

心の中で謝りつつ、左手を離した直後に右の掌底で白上の顎をはねあげその体を大きく反らせるとそこから更にもう一歩踏み込みつつ、彼女の心臓辺りに軽く握った拳を近づけ…………一息入れた後、彼女の体を突き抜け辺りの霧を吹き飛ばす程の衝撃を伴った一撃をそこに叩き込む。

 

「か     は       」

 

一拍置いてから白上が弾け飛び、背後にあった木々のひとつに背中をうちつけるとそのままズルズルと地面へと座り込み、がっくりと頭を垂れると意識が飛んだのかピクリとも動くことがなくなった。

 

「意識を落とせたか…………」

 

勇者(この姿)の時のパワー故に、流石に少し不安になりつつ彼女の脈拍を調べるも、特に異常はなく……俺が一安心しているうちに黒かった彼女の髪も普段の白髪へと変化する。…………獣の耳と尻尾は残ったままだが。

ともかく、耳と尻尾の事はのことは気になるがこれでまずは一安心…………だな。

 

「ふぃ……」

 

大きく息を吐きながら俺も地面へと腰を下ろすと共に一度変身を解除すると……

 

「…………ッチ……炎の扱いにはまだ調整が必要か」

 

炎を凝縮して纏わせた右足に痛みを感じて見てみると、広い範囲が少し赤く腫れていて……どうにも長く纏わせすぎて軽く火傷したみたいだ。………………これは炎に関しては少し練習しねぇとダメか、何気にさっき巨大な腕を象った時も調整が難しくて危うく爆散させるとこだったしな………………。デカいもんを象ると霧散やら爆散しかけ、凝縮させると己の身を焦がす…………か。そんな状態のまま戦闘して味方に迷惑かけるわけにゃいかん。

して…………とりあえず、まずは白上を安全なところに移さねぇと。結構能力使っちまって頭も痛いが、早いとこ結城のとこに行かないと……。

 

「あ、そういや…………」

 

ふと、ある事が気になり携帯を取り出して白上の親友(保護者)である奴の番号をコールする……深夜帯だからでてくれるかどうかは不明だが………………出てほしいところではある。そう願いつつ少しコールし続けると……

 

『もしもし?君から電話を掛けてくるなんて珍しいね』

 

待望の待ち人が電話口に出る……良かった、起きてたか…………

 

「悪ぃな、大神。こんな遅くに」

『ウチは気にしてないから大丈夫だよ〜。それで、どうしたの?』

「俺、今実家のある大橋にいんだけど、白上のような奴を見かけて不思議に思ってな。少し確認したいわけ」

『フブキ?確かにフブキは何人かと『三ノ輪君の地元へ乗り込もー!そんで実家まで凸撃しよー!!』とか言って人を募ってたけど……』

 

おいコラ白上てめぇ何計画してんだもう一発殴るぞコラ。

 

「なるほど、その件については後で白上を徹底的に縛り上げるとして……参加してるヤツらってわかるか?」

『あはは、流石に実家まで来るのは抵抗あるのかな?』

「いや、千景もいるし泊めてやろうかなと。白上以外」

『意外に優しい……!えと、それで参加した人だよね。ちょっと待ってね……』

 

今、電話をしてるのはそこで気絶している()()の保護者にして、かつてのクラス委員を務めていた大神ミオ、白上のことで気になることがあったらコイツに聞くのが手っ取り早い。因みに彼女はオカン気質なのに加えて家庭料理が得意で、千景が泊まりにいった時には豪勢な手料理を作ってもらえたらしい。

 

『えっ……と…………あ、あったあった。ちょっと多いけどいいかな?』

「頼む」

『まず、私たちのクラスにいたあやめちゃんとまつりちゃん。そっちの方にお家があるぺこちゃ……ええと、兎田ぺこらちゃんと星街すいせいちゃん、天音かなたちゃん……だね』

「白上も合わせて合計6人か……」

『えと、更に言うとネットで知り合った子にも会ってみるって話もしてたから、もう少し増えて多人数になると思うけど……大丈夫?』

「最悪、知り合い家にも行かせるわ、妹の昔馴染みででかい家を持ってる奴がいてな。俺も顔見知りだし……多分大丈夫だろ」

 

………………さっきの野郎がどのタイミングで憑依だか、浮上だか、出現?したのかは知らねぇが…………最悪の可能性もあるか…………クソッ……

 

「ともかく助かった、ありがとな」

『気にしないで〜♪あ、ウチとおかゆんところねも明後日そっちに行くからさ、皆で会わない?千景ちゃんともお話したいし』

「分かった、アイツにも話しとくわ。……それじゃぁな」

『うん、おやすみ〜』

「おやすみ、ゆっくり休めよ」

 

大神との電話を終えると勢いをつけて立ち上がり、ぐったりと意識が飛んでしまっている白上をおぶさってから勇者姿へと再び変身し、軽く跳躍を数回して公園の入口まで一旦戻る………………すると

 

「!!これは…………!」

 

 

公園の入口から続くメインロードには、百鬼と夏色を含めた先程大神から聞いた残りの5名と見知らぬ少女2人を含めた計7人の少女達がぐったりと横たわっていた……。

 

 

「…………外傷はなさそうだが……」

 

白上をメインロードから少し離れた木陰に下ろしてから、横たわっている少女達の脈拍と呼吸を確認する。

…………素人めではあるけど、特に不自然なところは見当たらないな。多分、失神してるだけみたいだが……しっかし、一体どう言うことだ?乃木の話を聞く限りじゃ、白上を含めたコイツらは本来、この闘争には無関係な奴らなはず。それがこうも巻き込まれてるとなると……

 

「…………乃木や結城、ましてや千景を含めた勇者系譜とはまた違うのか……?」

 

それにさっきの黒い白上は自分が『出てきた』というような話しをしていた所をからして、シャドウバーテックスらやあの気色悪い奴とも無関係とも思えるし…………つか、この2人誰?かたや青色の髪を腰まで伸ばした白い私服の同い年くらいの少女と、かたや燃えるような紅い髪を同じように腰まで伸ばした大人びた雰囲気のある少し年上とも捕らえれる女性………………そうか、この子らが現地で会う予定だった子らか?って、え?この人も同い年なん??

そうして、兎にも角にもはてさてどうしたもんか……と考えながら立ち上がった矢先…………俺は直感的に首を右に傾ける。すると、背後から放たれていた白く冷たい炎が俺の頬を掠めると、目の前の木々の1つを一瞬青白く燃え上がったと思うと、その炎はすぐに燃え上がった形で動かなくなる。…………凍った?つまりは…………氷の炎ってことか?また珍妙な物を……

 

「ったく…………殺気がバレバレだって〜の」

 

しかし……嫌な予感を感じて変身を解かなくて良かったな。

そんなことを思いつつゆっくりと振り返ると、先程俺が下ろした木陰からこちらへ向けて左手を真っ直ぐ伸ばして、それ以外はダラリと力を抜いたまま立ち上がった白上の姿があり……髪の合間から見えた瞳には光がなく、虚ろなものだった。

一体何が何だかはわからねぇが…………この感じからしておそらくはさっきの白神のように意識を落とさなきゃコイツは止まらない気がする。

 

「…………何が原因かはわからねぇが……ともかく言えることは………………このまま放っとく訳にもいかねぇよな」

 

俺がそう言い終わるのを待たず、振り上げた右手に先程俺に放った同じ炎を宿して左手に打ち付けながらこちらへむかって突撃をかけ、俺も斧を出してそれを迎撃しようとするが……その代わりに右手に炎を宿す。その直後、白上が打ち付けた右手の炎が一瞬で鞘の無い、剥き身の日本刀へと姿を変え、俺の懐に飛び込むと同時に居合を放とうとするも、その瞬間に俺は右腕を振るい軽く火の粉を飛ばす。すると、一瞬だが白上の体が硬直し……その隙に俺は右肘あたりを左手で掴むと突っ込んできていた勢いも利用して一本背負いをかけて地面へと叩きつけた。

 

「炎を放つと思ったんだろ?残念、ブラフだよっ!!」

 

そもそもそんな芸当できるとは思うがそうそう簡単に制御出来そうもねぇしやらねぇが!!

聞いているかは知ったこっちゃねぇが、叩きつけた白上の意識を落とそうと追撃をかけようとした…………その瞬間、轟音と共に真っ白い光が空へと伸びて収束したかと思うと、突然空から無数の光弾がこちらへ向かって降り注ぎ……

 

「!!くっ……そ!!」

 

白上への攻撃を1度やめ、横たわる少女達の真上を中心に巨大な炎の壁を作り上げる…………というか、1人……いや3人足らなくないか?

そう思った瞬間、俺の左側にからは白い何かが明らかに不自然な動きで壁を形成し、背後からも刃のぶつかる音がし始めた。

…………あっちこっちでなんかエライ事に!!

 

「…………だぁぁ!!何なんだよコレェ!!!」

 

そうヤケ気味に叫びつつ、炎の壁をそのまま光弾の降り注ぐ方向へと放つと同時に背後からの殺気に反応して、飛び前転して背後から繰り出された蹴りを躱すも、先程白い壁ができた方向から矢が放たれてきて今度はそれを目の前で掴み取るが、息をつく間もなく、再び背後から迫ってきた斧を白刃取りで受け止める。

 

「…………やっぱりか!」

 

そして、背後から襲ってきた青髪をまとめたチェック柄の服の少女の瞳を覗き込んでみると、予想通り、白上と同じように虚ろな瞳で……多分残りの奴らも似たような状態だろうな!このドンパチ状態からして!!ともかく!!

 

「いっっっっちど落ち着かせろやゴラァ!!!!!」

 

地面が砕ける程に力強く左足を踏み込んだ後、砕いた地点から地面の中のかなりの広範囲…………戦闘が行われてるであろう範囲に炎をすぐに這わせて、すぐさま壮大に爆発させる。

 

「ったく…………」

 

頭痛が更に酷くなってきてるが…………そんなことは知ったこっちゃねぇ。まずはコイツらを助けることが優先だ。

そう思いつつ巻き上がった爆煙を、力を込めて振るった左腕で作り出した風圧で消し去ると、白上や百鬼、夏色を含めた先程まで倒れていたはずの少女達が各々不思議な姿やら物騒なエモノやらを手にし、虚ろな瞳でゆっくりと身を起こして構え直し始めていた。

 

「…………はぁ……」

 

………………ともかく、まず第一に言えるのはこの戦いじゃ斧は攻撃には使えねぇ。さっき白上が突撃してきた時に出そうとしてやめた理由でもあるんだが…………斧だとこの力と相まってアイツらに一生ものの傷を、下手したら命に関わる傷を負わせる可能性が高すぎるし、そもそもこの武器はシャドウバーテックスを倒すためにあるのであってコイツらを傷つけるためじゃねぇし、銀だってそんなこと望んでるわけが無い。だから、使うとすんなら『位置を入れ替える』時や盾や足場として使うぐらいだ。

…………んで、どうやって戦うのかってぇと………………

 

「ルール無用の何でもありのバトルロワイヤルか。救うっつっても意識を飛ばさないけねぇわけだし…………しゃぁ〜ねぇ、コイツらにゃ悪いがちょぉ〜っと手荒に行かさせてもらうとすっかな!」

 

拳を打ち合わせながら微量な炎を辺りへと少し散らしつつ、獰猛な笑みを浮かべているであろう顔を上げ静かに構える奴らを見渡し……いつも喧嘩でやるかつての友人曰く『ボクシングと拳法の中間』の構えを取る。

まずは俺にヘイトを集めてやりやすくしよう。ただ、さっき攻撃してきた奴らの中や今見た感じ、遠距離系や支援系っぽい武器の野郎もいるってのがキツいか?こちとら遠距離となると、基本的に斧の投擲だったからな…………さっきやった斧を振るった際に放った衝撃波もこの戦いが使えねぇし…………後あるとするならやったことも無い炎の遠隔操作による攻撃……か。

 

「…………この戦いの中で何とかするっきゃねぇか……ま、つっても……」

 

そう話した瞬間

 

俺は轟音と共に、直線上にいた…………何か手裏剣みたいな輪っかを付けた真っ白い羽を生やした銀髪の少女の左真横まで一瞬で移動する。

 

 

「……やりようはいくらでもあるんだがな」

 

彼女がこちらへ向かって手に持っていた銃を向けるよりも早く、移動時の加速を存分に乗せた拳を鳩尾に叩き込んで吹き飛ばし、

 

「つうわけで…………」

 

その体が背後にあった木に叩きつけられたのと同じタイミングで彼女の真上辺りまで跳躍し、そこから足に炎を纏いながら超高速回転しつつ落下していき、

 

「とりあえず一番能力やら武器やらが厄介そうな君からだっ!!」

 

その勢いのまま、周囲の地面が抉れ砕け飛ぶ程の威力を伴った踵落としを彼女の背中へと叩き込んだ。

結果として地面へと少し埋め込まれた彼女は少しの間ヒクヒクと痙攣していたが、動かなくなり輪っかや羽、そして銃が白い光の粉となって霧散していった……やっぱり意識が消えると解除されるか。それにさっき白上の脈を見た時に気づいたんだかコイツら、この謎の力が発現しているときには耐久が……下手すると恐らく俺達勇者以上にあるから、こんぐらいなら心配する必要は無さそうだ。

 

「…………まず一人……さて」

 

そして、無意識の中にも多少は驚きの感情があるのか、全員でこちらを見つめる7人となった少女達の方へと向き直る。

…………気せずともヘイトを集めるたァ出来たみたいだな。これは僥倖。

 

「ほれ、かかって来いよ……1人ずつでも同時でも相手してやる」

 

そう言い放った瞬間、白上と百鬼、そして、夏色とこんな戦場には場違いすぎる兎の耳を生やした奴の4人が一斉に迫り、その背後では先に斧を振り下ろしてきた奴がなにやら準備を始め、赤髪の奴がどこからか取り出した拳銃を構え、青髪の奴が弓へと自分の羽根を集めて作り出した矢を番える。それに対して俺は両手両足に炎を纏わせると両手を後ろへと構え、凝縮した炎を一気に爆発させて迫っていた四人の隙間を一瞬ですり抜け、弓を構えている奴の目の前に肉薄した。

…………なんだろう、さっきの戦闘で使った技術を直ぐにどうすればどう応用できるか頭が理解してる。…………ま、そういう臨機応変な喧嘩を今までしていたからな……その延長線上か。

 

「……!」

 

そうして、動きが固まった青髪へと一発叩き込もうとするが…………直感的にそれをやめて横側に移動してから手刀で首筋を弱く叩いて、意識を落としその体を右手だけで支えると直後に放たれた弾丸を取り出した斧を回転させて、全て弾き落としてからさっきの子の方向へと放物線を描くように斧を投げると同時に地面から炎の壁を生み出し、切り返して来ていた四人の視界を塞ぐとすぐ様斧と俺の位置を入れ替え、木陰に背負っていた彼女と地面から引っこ抜いた踵落としを決めた子を横たわらせる。

んで、多分さっき手刀をいれたこの子、多分あまり体が頑丈なほうじゃないな……踵落としの子は普通な感じだったが、この子の肌は白すぎるし…………つうことは……だ。原因こそ分からねぇが、知ってるヤツら以外じゃ他に何かしら体に異常があるかもしれねぇ奴もいるかもしれないってことを考えると……あまり強撃もできねぇか、もうしちまったやつはしゃあないとして。

 

「…………さてさてさぁ〜て…………」

 

残りは六人……………………まだ気は抜けねぇ。この二人は遠距離系な気がして真っ先に狙ったが、白上以外の能力については依然不明のまま。戦闘が下手でも力が強けりゃ逆転だってされる……。

 

「………………続きと、いこうか!!」

 

その考えを頭へ残しつつ、俺は両手両足に再び炎を纏わせて構え白上達へ構える。

 

…………ともかく待ってろ、お前ら。

 

 

 

 

       今…………助ける!!

 

 

 

 

              第拾話  ー前中ー 終




以上、ゆゆゆ最新話でした!
そして、まさかの前、前中、中、中後、後になるとは思ってなかった…………

次回はもう一度ゆゆゆ後にとじみこかな?ストライクウィッチーズはもう暫くお待ちを。ちょっち色々考え直してます。

さて、そして久しぶりに敵さん、シャドウバーテックス紹介

顔面型

(バーテックスモデル:バテン・カイトスのミズチ様の仮面)

こちらを苛立たせる彫刻の色合いをした顔をしたシャドウバーテックス。対象や自身を透明にさせたり、すり抜けさせるという能力を持つが攻撃手段を持つわけではなく更にすり抜けさせる等の時間も短い。基本他のシャドウバーテックスのお供として出てくる。

何気にこいつのモデルを探すのには苦労した…………

では、最後に誤字脱字、ご意見、ご感想あれば気兼ねなくお願いします!
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