友奈の誕生日に投稿しようとしてたのに突然の仕事と昔の人がだらけたあげくの負の遺産が回され酷い目に遭った璃空埜です。
そして、自分が仕事を頑張ってるのに対し地元の家族はバカンスへ。
………………泣いてもいいカナ
ーーーーーーーーー三ノ輪 白銀の章
「貴様らの内、やられてぇやつからかかってきやがれ!!この亡霊モドキども!!」
何とか乃木が殺される前に間に合った……。突然変身……でいいのか?まぁ、この姿になったときはすんごく驚いたが……とにかく詳しいことは後回しだ。
1体は倒したから……あと6体。先程から周りを囲んでいるだけで何もしてこない。いや……
「来ねぇのか?なら……」
そう言って、この姿になったとき現れた大斧を握り直す。
「こっちから……行くぜ!!」
両手に持った大斧を左右にぶん投げた後、地面を蹴り上に跳躍する。……予想以上に高く飛んでしまったが。
「げぎゃあ!!」「ぎゅぎぃ!!」
2体分の影の悲鳴、しかしそれと同時に、俺が今まで立っていた地面を突き破り現れた4本の腕。さっきっから地面の下から変な振動を感じていたが……どうやら奴ら腕……いやこの場合、全身が伸縮すると考えた方が良さそうだな。
ふむ。ここまで来るときも思ったんだが……どうやらこの姿になると身体能力も強化されているのか。こいつらと戦うにゃありがたいこったが。
「よっと!」
腕の1本を踏み台にし、さっき斧を投げた左の影のところに一気に急降下する!!
「らぁっ!!」
「ごっ……!!」
もがいていた影に落下の勢いを乗せた蹴りを食らわせ同時にそいつに刺さっていた斧を抜く。瞬間地面から伸びていた腕が引き抜かれ、左右から横凪ぎに同時に4本、そして体制を立て直した右……今は正面からの突きが迫る……が。
「遅い!!」
「ぎゅ……!!」
斧を逆手に持ち変え、足元の影を踏み台にして軽く前方に跳躍。そして、伸びてきた正面の腕に乗り、もう一度跳躍……今度は大きく前に!!
「これで……」
逆手に持っていた斧を両手で掴み、空中で体を捻り……
「2体目ぇっ!!」
そして、落下の勢いのまま正面にいた影に頭から振り下ろした!!
「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁ……」
両断され砂のようになって消える影。
「楽勝だなっと!!」
突き刺さってきたもう一本の斧を引き抜き、残り5体となった影に相対する。
「伸縮するのはいいけどよ……そんな突っ立ったままじゃ単調すぎるぜ?」
「うううううううううるるるるるるるるるすすすすすすすすすががががががががっ!!!」
「またまたまたまたままたまたまたまたまままままままじゃまみじゃまじゃま!!!!!」
「ころころころころこここここのやはりやはりやはりきききききささささささささままままままままま!!!!」
「しししししししききしししきしししししししししきししししししししししき!!!!」
「ん?また邪魔?」
果て……?また邪魔を……?こんなやつら、俺は初見なんだがな。
にしてもこいつら一旦全体何なんだ?亡霊モドキかと思ったらさっきから蹴ったり出来る実体が在るみたいだし……。人じゃないのは確かだが。
「ももももががががが」「ころすころすころすころすころすころす」「きさまきそまきさまきそまきさまきさまきさま」「ここここててでででででで」
「せっ、セツさん!!前、前っ!!」
乃木の声に思考を中断させられる。その間に5体の影が徐々に徐々に融合し始めて……いや、それよりもだな!!!
「おい!乃木!!てめぇ、何で逃げてねぇんだよ!!」
「ええっ!?そっち~!?」
「あったり前だ!こんなやつら、合体したところでそこまで強くなるわけがねぇ!!」
「ゆ、油断しすぎじゃないかな~!!」
「油断もへったくれもねぇよ!!とにかく、てめぇはさっさと安全なとこに逃げてろってん……」
「「「「「じねぇぁっ!!!」」」」」
突如、横凪ぎに巨大な腕が右凪ぎに放たれーーーーーーーーー
「セツさんっ!!!」
「ああもうっ!!!!」
ーーーーーーーーー俺は地面に右手の斧を突き立て、片腕一本でそれを止めた。
その衝撃で大きく地面が捲れ上がるが俺自身はなんのことはなかった。
「「「「「な゙っ゙!!??」」」」」
「はへ?」
「ほら!多少衝撃があるだけでこんなんへでもねぇよ!!だから、ここは俺に任せて引っ込んでやがれ!!!」
「は……はひ……」
ようやく大人しくすごすごと茂みの方へ隠れる乃木。
はぁ~……ようやく行ったか。
「…………あん?」
「「「「「ぐぐぐぐぐぐぐぐがががががががっ!!!」」」」」
集合体とだけあって4メーターぐらいのデカブツにはなって…うん。十中八九、これはパワー特化なスタイルだな。
「ほ~ん……。ここまでの戦いで分かったが…………てめぇ、生前……でいいか?まぁ、とにかくだ……こういう争い事、素人だろ?」
「「「「「!!??!?」」」」」
「その体の特徴は把握しているみたいだがな、把握しているだけで使い方がなっちゃいねぇんだよ。それに加えて状況判断もなっちゃいないし、敵の情報も知らないでただただ自分にとって邪魔な奴を殺る…………ただそれだけだ。普通さっきの数撃で俺の特徴を考察しておおよその予測を立てるもんだろうが」
「「「「「だまれぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!!」」」」」
「ったく…………。逆上するってぇのは図星ですっていっているのと同義だぞー………………って言っても分からねぇよなぁっ!!!」
そのまま俺は止めた片腕で奴の右手を掴み…………一気に持ち上げて
ーーーーーーーーーー
「「「「「っっっっ!!!!?????」」」」」
「図体ばっかでかくたってなぁ……!!」
そして、一気に降り投げる!!!
「「「「「がっ……!!!!」」」」」
「……意味ねえんだよっっ!!!」
奴を放り投げた瞬間、放していた斧を掴み跳躍してーーーーーーーーー
「わかったんなら…………」
投げた奴より更に高く跳躍し、月光で煌めく振り上げた2つの巨斧をーーーーーーーーー
「………………出直して来やがれ!!亡霊モドキっ!!!!」
ーーーーーーーーー同時に勢いよく脳天に振り下した!!
「「「「ぐっぎゃぁぁぉぁぁぁぁぉおぉぁぁぁ………………」」」」
そして、絶命の叫びを響き渡らせ塵のようになって消えていく巨大な影。
着地し、辺りに気を配っても先程の影達のような気味の悪い雰囲気はなくなり、ただただしん…とした静寂が包む夜の公園が広がっていた。
「…………何とかなったか。………………………っ」
敵がいなくなり、ようやく張り詰めていた緊張の糸が切れてしまったのか、思わずふらつき膝をついてしまった。
「……セツさーん!!」
「…………あ~……。あんにゃろ」
まだ残ってたのかよ。ったく、さっさと逃げろって言ったのに。
そんなことを思っていると、しゃらん…と鈴の音色のような音を立てながらさっきの変な服が消え、家を飛び出したときのジャージ姿に戻った。
…………一体全体さっきの影といい、俺の服の変化やデカイ双斧といい……
「……何がどうなってやがる………………?」
………………あ~……駄目だ、疲れちまって頭が回らねぇ…………。…………まぁ休む前にまずはっと。
「セツさん!大丈夫!?」
「たわけ」
「みぎゅ!?」
わたわたとしながら心配そうに近づいてきた乃木の嬢ちゃんの脳天にチョップを一発。
「おい。俺はお前に逃げろとゆーたよなぁ……」
「あー……えとえと~…………はい」
「俺の心配をするよりもまず言うことがあるんじゃないんですかねぇ……………?」
「……ええと、ごめんなさい?」
「そうだな。謝ることが大事だよなぁ……。でもなぁ……他にもお説教しなならんことがあるんですワ。…………覚悟はいいナ?」
「……………………ここで?」
「…………ア・タ・リ・マ・エ・ダ・ロ?」
「…………………………ふぁい」
さぁ…………お説教のお時間ですよ~♪乃木の嬢ちゃんはさっそく涙目になってるけど…………遠慮なんてしない。
「まず、てめぇはなぁ!何でこんな時間に…………」
(お説教中のため割愛。……何故か一緒にいる鳥もショボンとしてお説教を受けてる。いい心掛けだな)
「…………ろうが!!普通、独りじゃなくて誰かと一旦話すなりなぁ!!」
「………………くちっ!」
「っと…………。さすがに寒いか」
「うう………。凍え死にそうなんよ~………………」
「しゃーねぇなぁ……。今日の所はここまでやるか」
かれこれ1時間近く説教したが……。春になっているとはいえまだ3月、夜は結構冷えるからさすがにこのままじゃ風邪ひいちまうな。
「乃木の嬢ちゃんはどうやってここまで来たんだ?」
「あ、タクシー捕まえてここまで……」
「なるほどな。ちょっと待ってろ…………ほれ」
「わ!お金はいいよ~!?」
「うっせ。さっさと受け取ってさっさと帰りやがれ、俺もかえ…………」
あ……やべ…………。
「?」
「俺チャリ……ぶっ壊しちまったの忘れてた…………」
**************
ーーーーーーーーーー??????
「ぐぁ…………ぐぁ………………」
ーーーーーー人気のない竹林。そこに満身創痍となった一体の影がいた。
「ぐぞぁ……ぐぞぁ…………ぐぞぁ………………!!」
既に虫の息となり身体全体を引き摺るようにしながらもどこかを目指し進む…………。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
数分後。
ようやく影が辿り着いたのは…………ーーーーーー
ーーーーーーーーー白銀がニュースで見たズタズタにされた社だった。
「ぐぞぁ…………ぐぞぁ…ぐぞぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
辿り着いた途端、夜空に向かい憎しみにそまる狂声を大きくあげる影。
「素晴らしい!!」
そんな影に対し、場違いな陽気な声が掛かる。
「実に素晴らしい!!君は我が主の目的の1つを果たしてくれた!!実に素晴らしい!素晴らしいぞ!!」
月光が竹林に降り注ぎ幾重にも作られた影の1つから……仮面を着けた1人の人物が現れる。その人物は早朝、この社を調べていたもの達と同じ服装、仮面をしていた。
そして、その人物は影に向かい惜しげもなく拍手を送っていた…………。
「本当に素晴らしい!!そんな君には主から報奨があるぞ!!」
「ぼヴ…………じょヴ…………?」
「そうだ!!その報奨とは……ーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーー永遠の死だ!!!!」
そう言って空を両手で崇めるように振るった瞬間
ーーーーーー轟音と共に影がいた場所が吹き飛んだ。
悲鳴をあげる間も無く影は絶命した。それを確認した仮面の人物は踵を返し、うって変わったように重々しい声音で
「奴を殺せ。奴が何者かこちらでも把握できない以上、我が主の意向の大きな障害となる事は確か。だから奴……ああ、それと我々の手を逃れた貴様らの元仲間も殺せ」
と虚空に言い放った。そして、少し考え込みながらも今度こそ、その場を後にする…………。そして……
「命令、承りました」
何もない虚空から1つ、感情が感じられない声が響いた…………。
**************
ーーーーーーーーーー三ノ輪 白銀の章
{ぎゃりりりりりりりりりりり!!!!}
「だぁぁあっ!るっせぇぇぇぇ!!」
どこかの死んだ魚の目をした天パの超甘党でよろず屋をやってる木刀侍のごとく目覚ましをぶん殴って止める。……あのへんな人形の目覚まし、結構ほしいんだがな。
「くぁぁ……っ。……ねみぃ」
あの後、乃木の嬢ちゃんをタクシーに放り込んで家に帰らし、柵にぶつかってご臨終を迎えてしまったマウンテンバイクを何とか持って帰り、そのままベッドに直行したんだがその頃にはもう日が昇るか昇らないかというような時間だったんだよな……。
「うぁ………」
さすがに……もう一眠りしても…………。
「兄貴ぃぃぃぃぃっ!!今日こそ遊ぼうぜぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」
「ぐぁあ……」
無理だ。あの元気な弟達がいるんだった…………。こうなったら
「鉄で憂さ晴らししてやる…………!!」
そうして、叩き起こされた俺はのそのそと布団から這いずり出て、朝食を取りに向かった。
**************
家族と朝食を食べ、軽く運動した後「乱戦闘ストライクシスター呪で、勝負だ!!」と元気に挑戦してきた鉄を真っ白になるまでコテンパンに叩きのめした後、縁側で金を腹の上に乗っけて春の暖かな日差しの元でうつらうつらと夢うつつになっているとき、突如として携帯が鳴り出し現実に引き戻されてしまった。
「ったく……誰だ?」
いまだに夢の中にいる金を起こさないようにしつつ、身を起こしながら携帯を確認する。
掛けてきた名前を見、すぐさま電話に出る。
「おめぇから掛けてくるなんて珍しいな?郡」
{そうかしら?そんなことはないとは思うわよ}
「そうか?……ふぁ…」
{あら、お昼寝中だったかしら?}
「気にすんな。昨日軽く夜更かししすぎて船こいでただけだから」
電話の主は郡 千景。中学時の同級生で今度同じ高校に通う友人だ。理由は知らないがなんかいじめみたいなのに会っていたところを助けて話をしたらゲームが趣味ということもあって仲良くなったんだよな。
「用件は何だよ?」
{今、香川の色々な所にやって来ているんだけど……もうすぐあなたの故郷の大橋に着くのよ}
「なるほど、案内しろってか」
{無理にとは言わないわ。…………どうかしら?}
「いいぜ。どうせこっちも特に用事はねぇし、惰眠を貪るだけだったしな。後、どれぐらいで着きそうだ?」
{そうね…………。小1時間と言ったところかしら}
「わかった。それじゃ、駅前で」
通話をきり、膝の上の金を持ちながら立ち上がる。
「お袋~。金を頼んでいいか?ちょっと出掛けてくる」
「いいけど、なぁに?彼女??」
「そんなんじゃねぇよ」
本当は昨日のことを考えなきゃいけないんだが……。今はあまり考えたくないんだよな。影のこととか、わからないことが多すぎるし……。乃木の嬢ちゃんもちょっと落ち着かせないけねぇだろうしな。
「んじゃ、行ってくるわ」
「はいはい。ここ最近変な事件が多いから気を付けなさいよ~」
お袋の言葉に右手をあげることで答えつつ、着替えるために俺は一旦自室に向かった。
**************
自室で着替えた後、少し早めに家を出、駅前に来た郡の到着を待ちながら少しだけ昨日のことを考えていた。
俺の手持ちの情報だけで状況を少し整理すると……まず、あの影。昨晩は“亡霊モドキ”と読んではいたけれども恐らくは全くの別物。それが何かと聞かれてもわからないが……ただ、やつらの狙いは恐らく、土地神“だった”なのは間違いない。事実、奴等と戦闘した所のすぐ近くにネットニュースの物ほどじゃなかったが土地神を祀っているような社があった。“だった”と言うのは土地神という無抵抗な奴を殺るのは簡単だが、影を殺ることのできる“俺”という存在が生まれてしまった。
となれば……だ。
殺すのが簡単な奴はいつでも殺せるから、その障害となる奴が標的となるのが定石。いや、今回はその定石に当てはまるだろうな。昨晩の影はまるっきり喧嘩もしたことないような素人が媒体だったろうが……今後、どうなるかだな。影共を産み出しているのがなんにせよ“俺”の存在は無視できないはずだ…………。
次にその俺自身のあの力のことだ。今朝がた確認してみると右手の痣の蕾が開き、コスモスの形になってはいた……花弁が1枚だけ赤く染まって、他の花弁はまだ枠組みというか空白……みたいな感じだった。元々変な痣がもっと変な痣になっていたんだよな……。あれが開花したことによってあの力……服装が昔、夢で見た銀の姿と似ていた気がするが……とにかく、あの力が開化したと考えるのが妥当だろう……。
「ん~…………」
うん。まだ情報が少なすぎるな。結局、疑問しか出てこない。
「三ノ輪くん」
「ん?おう、来たか」
そうこうしているうちに郡がやって来た。
……相変わらずグレー一色だな。まぁ、元がいいからそんなに気にはならないが。というか、色云々かんぬんは俺も黒ばっかなんだけど。まぁ……それでもそれは目立つんじゃなかろうか?
「何だよ……その細長い包み」
「…………ごめんなさい。まだ答えられないわ」
「そうか。それじゃあ……まずどこから行きたい?」
「ゲームセンター」
「即答だな。といっても分かってはいたんだが」
まぁ、大抵のことならあの場所で何とかなるもんな。というか、元々そこに行くつもりだったし。
と、言うわけで…………。
ーーーーーーーーーーーーーーー
はい。昨日に引き続きやって来ました。我らがイネス。……流石にあの細長い包みは目立つからコインロッカーにしまって来てもらったけど。
「……凄いゲームの種類」
「だろう?…その他にも日用品からこんなん何に使うんだって物まで何でもかんでも揃うのが……ここイネスだ」
「……とても便利なのね」
そうホントに便利なんですイネス。ただ訳のわからない物まで売っているのは甚だ謎でしかない。……一体誰が使うんだろうな「ガチでお灸をすえるためのお灸セット」とか。
「早くゲームをやりましょう?今日は徹底的に遊び尽くすわ」
「お~し。それなら早速対戦していこうじゃないか……今日こそ負けないぜ」
「そう。なら、色々対戦して負け越した方が勝ち越した方の言うことを聞くって言うのはどうかしら」
「いいねぇ。そっちの方が燃えるぜ」
「それじゃ……何からやる?」
「そうね…………シューティングからにしましょう?」
「望むところだ!」
そうして2人して意気揚々とゲームセンターに乗り込む。そして、始まるのは…………ーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーたった2人の戦争だ!!
ーーーーー※以降観客目線のダイジェストーーーーー
▽▼▽▼▽▼ゾンビシューティング編▽▼▽▼▽▼
「おい!見ろよあの2人!!」
「す、すげぇ……出た瞬間ヘッドショットで瞬殺してやがる…………っ!!」
「し、しかもだ……リロードが一瞬過ぎていつやってるのか全くわからねぇ…………」
「ミスショットがない…………だと…………っ!?」
「すっ……スコアが…………!?」
「おおおおぉぉぉぉ…………ほんの僅かだがお嬢ちゃんのスコアの方が上だったみたいだな…………」
▽▼▽▼▽▼カーレース編▽▼▽▼▽▼
「さっきの2人組に追いてきてみたけど…………」
「シューティングに引き続き、これまた凄いな!!」
「おいおい…………あの速度で曲がれるのかよ…………」
「バカな!?あればプロのゲーマーがやるとされるミッシングライン!!」
「シフトチェンジがモノホンだ…………」
「これは……リアルゲーム版頭○字デーだ…………」
「おお!!今度は坊主の方がこれまた僅かに勝ったぞ!!」
▽▼▽▼▽▼オトゲー編▽▼▽▼▽▼
「次はオトゲーか!!」
「さてさてどんなプレイが…………うぉぉぉ!?最高難易度、最高速でノールックだと!!!」
「そ、それでいて2人ともタイミングパーフェクトだ!!」
「嘘だろ…………途中のスコアアイテムも全て回収してやがる……っ!!」
「終わったが…………フルコンパーフェクト。どちらも同点、しかし、俺達には辿り着けねぇ…………」
▽▼▽▼▽▼対戦ゲーム編 その1▽▼▽▼▽▼
「ついに来たぞ!!対戦ゲーム!!」
「まずは路地戦士か!!」
「な…………!?どちらも操作速度がヤバい!!」
「…………あいつら学生だよな?ホントに学生か?」
「すげぇ!!制限時間半分たったのに未だにどっちも一撃も喰らってねぇ!!」
「ふふ…………怖え」
「ああっ!!一瞬の隙をついて嬢ちゃんの攻撃が……うぉぉぉ!?そのまま即死コンボだと!!」
「…………何も言えねぇ」
▽▼▽▼▽▼対戦ゲーム編 その2▽▼▽▼▽▼
「お次は起動ファイターか……」
「んん?何だ?2人並んで座ったぞ?」
「しかも、同じチームを組んだ?何でだ??」
「始まったが…………うわぁ……これはえげつない…………」
「対戦相手、手も足も出てねぇじゃねぇか……」
「ま、まさか!?」
「どうした!?」
「彼らは相手を撃墜した数を競っているんじゃないのか!?!?」
「「「な、なんだってぇっ!!?」」」
「き、鬼畜だ……」
「くっ……今どきの学生は化け物かっ!?」
「俺らにはどっちが勝ったかわからねぇが、どうやら少年の方が勝ったみたいだな……」
▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲
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「くっそ……負けた…………」
「残念だったわね」
1通りゲームを堪能し、熱い勝負を繰り広げたが最後の最後にやったクレーンゲームであと2つ……何かしら捕ることができれば勝てたのだが…………。
「忘れてた…………あそこの右アーム他のより少しだけ力が弱くなってんの忘れてた……っ!」
昔、銀に笑いながら教えてたのに……。くっ、三ノ輪白銀一生の不覚…………。
「とにかく……敗けは敗けだ。…………命令はなるべく常識の範疇で頼む」
「そう、潔いわね。でも、そうね…………何してもらおうかしら?」
くっそう……いつもは無表情な奴がちょっと勝ち誇った顔をしているのが無性に悔しさを出させてるなぁ………。
そうして悔しさを滲まして心のなかでリベンジを誓いながら、イネスから出てみると外はもうすでにどっぷり日が落ち、星達と月が天にきらめいていた。
慌てて時計を確認するともうすぐ8時30分になるところ。
「うわ、もうこんな時間かよ」
「……やっぱりゲームをやっていると時間が過ぎるのが早いわね……それにしても、困ったわ…」
「あん?…………あ、そうか電車……」
ここからじゃ急いだとしても確実に終電に間に合わない。自転車があればいいんだが俺の愛車は昨日の夜、お陀仏になったし……。ということは……郡はどこかに泊らにゃいけないわけで…………。
「ちなみにあては?」
「…あるわけないでしょう?」
「ですよね~」
…………ということは……ということだ。何だか郡の命令が分かった。分かってしまった。
「ねぇ、三ノ輪くん」
「………………拒否権は?」
「あるわけないでしょう。…………私も少しは恥ずかしいから察してほしい」
「…………あい」
こうして、突如として郡は我が家にお泊まりすることになった。…………なってしまった。
**************
イネスで泊まり道具やら郡の着替えやら(くっそ気まずかった。とにかく気まずかった)を一通り購入し細長い包みを回収してから、2人で夜道を歩く。
にしても、参ったな……。部屋をどうするか………郡は俺の部屋で休ませて、俺は居間で寝ようかな?特にやましいものは置いていないから大丈夫だ。うん。大丈夫……だよな?
「……三ノ輪くん」
「ん?」
この後のことで頭を悩ませていると、突然郡から声をかけられる。
「ちょっと話したいことがあるの。……もしかしたら貴方の痣にも関係があるかもしれない」
「痣に……?」
郡には昔、「何で手袋をし始めたの?」と聞かれたことがあって他のやつには適当に説明したけど、郡だけには真実を話してある。その時、何か悩んでいるようだったんだが踏み込まない方がいい話題って考えて聞かずにいたんだが…………。
「……歩きながら聞いてもいいか?」
「ええ……」
少し歩くペースを落としゆったりと歩を進める。
少しの沈黙のあと、意を決したように郡は話始めた。
「……私が中学にいたときどう呼ばれていたのか覚えてる?」
「ああ……“裏切り者”だとか“勇者の恥さらし”とかだっけっか」
「…………実を言うとね、私の家系は今、あなたがいったことの後者に当てはまるのよ。前者もあながち間違いではないのだけれど」
「後者……って言うと“勇者の恥さらし”ってやつか?…………ってことはお前さんは“勇者”とやらの家系なのか?」
「そう」
「おいおい……勇者ってあれだろ?ゲームとかで主人公キャラの王道職業じゃねぇか。おめぇが嘘言ってないのはわかるが……そんなのが存在していたなんてそうそう信じられるわけねぇよ……」
「ちょっと間違えているわ。“勇者”というのはここ最近も存在していたのよ」
「はぁ!?マジかよ……」
「この前、神樹が無くなるまでだけどね」
「ほ~……。“勇者”と言う奴がいたって言うのは分かったけどそれがおめぇと俺に何か関係あんのかよ?」
「そのためにこれを持ってきたの」
そう言って最初会ったときから持っていた包みを示す。
「……んで?それは?」
「ちょっと待って」
そして、一旦立ち止まり包みを解く。そして、月光に照らされ表れたのは…………ーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーー畳まれた少し豪華な装飾の紅の鎌と見慣れない型のスマホだった。
そして、俺は……それを…………それと似たものをつい数刻前、俺は確かに“使っていた”。
「…………それ…………」
「私の家に置いてあったものよ。倉庫の奥底に隠すようにしまってあったから出すのに苦労したわ。そしてこれはーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーー私のご先祖様……いえ
ーーーーーーーーーーかつて“私が”使っていた神器よ」
「はぁ!?おま……使ってたって…………!!」
「かつて……よ。…………簡単に言うと私は300年前に勇者の1人として戦ったけど、赦されないことをして記録から抹消された勇者“郡千景”の記憶を持っているのよ」
「ちょ……ちょっと待て!つうことは…………お前、その300年前の勇者の生まれ変わりだって言うのか?」
「その通りよ……私、郡千景は300年前の裏切り者の勇者“郡千景”の生まれ変わり」
何か頭が痛くなってきた…………。
でも、待てよ?俺がにたような物を扱っているって言うのなら…………この痣が出来る直前に見た夢…………夢に出た銀………………。
ーーーーーーーーーー銀は…………勇者…………だった?
「なぁ、こお……」
郡に問いかけようとした瞬間、数刻前に感じた“あいつ”のおぞましい気配を感じ、全身に鳥肌がたった。
「…………っ!?」
「三ノ輪くん!?」
こいつは…………餌にかかったか!だけどタイミングが……
「郡!こっちへ!!」
「ちょ……」
咄嗟に郡の手を取り駆け出す。
「な、何……!?」
「郡!お前、その“勇者”としての力ってのは使えんのか!?」
「……この体ではやったことはないけれど…………」
「っ!…………そうか……」
くそ……。俺も力はあるけど……あの力の出し方が分からねぇ!
あの時はとにかく急いでて死人が出るかもって考えで頭がいっぱいだったから…………。
走っているうちに近くを何者かが疾走してくる音が聞こえてくる。
咄嗟に角を曲がり広い空き地に到着する。
「くっそ……どうする…………」
戦うか?一応、郡は力がつかえるみたいだけど……。だが…………。
考えにつまり、覚悟を決めるべきかと頭の片隅で考え始めたその時、どくんと右手の痣が疼く。
瞬間、俺は“理解していた”。
「…………三ノ輪くん……?」
「…………郡、行けるか?」
「………………1つだけ聞いてもいいかしら」
そう言いながら先程の見慣れない型のスマホを取り出す郡。
「…………貴方はさっきの話を聞いても私を気味悪がないの?」
「俺は“勇者”何てそもそも初耳だから知らねぇし、おめぇが昔の人の生まれ代わりだろうがなんだろうが知ったこっちゃねぇよ。だがな、俺にとって郡千景って言うのはな……目の前にいるお前そのものだ。お前がどんなやつだろうがお前はお前だろ?」
「…………そう。相変わらず変な人ね」
「誉め言葉として受け取っとく」
「…………ありがと…………」
「?…………っと、来るぞ!」
身構えると同時に周囲から飛び出してくる幾つもの影。
そいつらは俺たちを囲むように陣取り、俺達は背中合わせになる。
「これは……?」
「敵だよ。正体は知らんがな」
「私が記憶しているやつらとは違うわね」
「……にしても数が多いな。前やったときは7体だけだったのに」
「……やれるかしら」
「やれるさ。一体、一体はそこまで強いわけじゃねえそれに……」
「?」
ーーーーーーーーー「お前のことは、俺が護るからな」
「っ!!……そ、そう」
そう言いながら俺は右手のグローブと包帯を強引に外し放り投げ、顔を真っ赤にしながらも郡は先程の取り出したスマホを構える。
「さて…………」
「………………ええ」
「行こうか」「行きましょうか」
俺は右手の痣に意識を集中させ、郡はスマホの画面に触れる。
ーーーーーーーーー瞬間、2人体を光と幾つもの花弁が包み…………
それが収まると2人ともにたような赤い外套を纏った姿となり、俺は一対の巨斧を、郡は先の大鎌を構え影の大群を見つめ……。
「ーーーーーー三ノ輪白銀」
「ーーーーーー郡千景」
「「ーーーーーーーーー推して参る!!」」
第弐話 完
……と言うわけでゆゆゆ第弐話をお送りしました。
最近、久しぶりにコードギアスと逆襲のシャアを見ていたんですが……
νガンダムとランスロット……この二機を合成したらカッコいいしクソ強くなるんじゃなかろうかと思った次第です。(……もしかしたら小説のネタに?)
特にνガンダムは昔から好きな機体でしたがここ最近のスパロボの戦闘アニメ見て更に嵌まりつつあるのですよ。……あの人の作画ホントにすばらです。
改めて、誤字脱字、その他様々な意見等あれば受け付けておりますのでよろしくお願いいたします!!