三ノ輪白銀は異質な勇者である   作:璃空埜

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こんにちは。
学生時代、いとも簡単に騙されまくって所属していた部活のエイプリルフールイベントを潰してしまった経験のある璃空埜です。

潰してしまったと言っても悪意があったわけではないんです……!本気でガチの話だと思ったんです……!


第参話    運命の朱き歯車達が動き出す刻

ーーーーーーーーーー三ノ輪 白銀の章

 

「よい……しょっ!!」

 

巨斧を勢いよく投げ、何体もの影を屠る…………。

が、一向に数が減らない。

 

「ちっ……」

 

戻ってきた巨斧を掴み舌打ちをする。

郡と共に奴等と戦いはじめてもう数十分。最初は景気よく影達を蹂躙していたんだが、途中で影が一向に減らないことに違和感を覚え、試しに適当に何体か殺ってみたら、殺すと同時に影が生まれていることに気づいた。それで、現在は体力を温存しながらちまちまと攻撃を放ちながら打開策を検討しているところだ。

 

「参ったわね……」

 

その大鎌で纏めて何体か両断し、最初のように背中合わせになりながら郡が話しかけてくる。

 

「ああ、どうやら俺が前戦ったやつとは根本的に違うみたいだな……」

「でも、ある程度は憶測はできているのでしょう?」

「一応な……。お前も感じているとは思うがこいつら、多分全部ダミーだ」

「目的は?」

「俺は足止めと言うよりも、俺らの力量を調べるため……と読んでいる」

「同感よ。私もそう思うわ」

「と……なればどこかに本体がいるはず…………」

「でも、確実にこの中にはいないわね」

「かといって、この包囲網を抜けるのは流石に簡単じゃない」

「そうね……でも、できるんでしょう?」

「…………一応な。……けど近隣にも被害が出るかもしんねぇんだよなぁ……」

 

手を止め、高速で言葉を交わしながら作戦を練る。その間も俺達を取り囲む影はジリジリと包囲網を小さくし始めていた。

…………仕方ねぇか。

 

「郡。俺が合図したら飛んでくれ」

「わかったけど……どうするの」

「かなりむちゃくちゃな方法でこいつらを一網打尽にして本体を割り出す」

「へぇ……理由は?」

「前の戦いの時、実はわざと1体逃がしたんだが…それから1日も経たずこいつらが送り込まれてきた…………明らかに俺を狙ってな。と言うことは……だ。この町のどこかにこいつらに指示を出している野郎がいるはずだ。全く悲しいこったぜ」

「成る程ね……。私達の実力が把握される前に最速で攻略しようってことね」

「そゆこと」

 

一旦斧を消し、指をパキパキと鳴らしたり伸ばしたりする。そうこうしている内に奴等はもう間近に迫っていた。…………が!!

 

「郡っ!!」

「っ!!」

 

合図と同時に郡と共に地面を蹴り飛翔する。

影達も俺の一声と同時に俺達に向かって突進してきたが俺達が上に飛んだため、影同士でぶつかり合いもみくちゃになってしまった。そして、俺は空中に一瞬だけ斧をだして足場がわりに蹴り、一気に突っ込む!!

 

「どっせぇぇぇいっ!!」

 

影の内の1体に直撃しだがそのまま地面をかち割るように拳を叩き込む!!

この姿になるとパワーも桁違いに上昇することはもう確認済みなためーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー殴り付けた地面は粉々に割れ、影もろとも吹き飛された!!

 

 

「……やりすぎよ」

 

そんな呆れたような郡の声が聞こえたような気がしたが気にしない。さてさてさ~て~?

 

「っと、いたな」

「さっきのやつらの本体のようね……と言っても、もう潰されてしまったようだけど」

 

衝撃波で吹き飛ばされ、既に事切れたらしく徐々に消えてゆく1体の影の亡骸があった。

 

「やっぱり人型か」

「……少し気色悪いわね」

「だな。どこぞのゲームにこんな奴いなかったっけ?」

「ゲームじゃないわね。確か……何かの特撮じゃなかったかしら?」

 

その影の特徴としたら異常に肥大化した頭部としか言えない。何せ人型とはいえ体の部分は萎縮しとにかく無駄に頭部だけが肥大化しているのだ。

近くによって確認しようかと思ったがその前に……

 

「さて……と、次いくか」

「ええ。そうね」

 

今度は地面が不自然に割れ、そこから4体の新たな影が現れる。

 

「何だこいつら、骨?」

「真っ黒で分かりにくいけど、そうみたいね」

 

そいつらは影ながらも確かに体は骨みたいなもので作られていた。しかも、そいつらの両腕には大きな棍棒のようなものがくくりつけられている。さっきからカタカタと体を動かしているが……どうもスピードはないと見た。あれでも力はありそうだがな。

 

「こいつらも雑魚か……」

「貴方の言う通り、力量を計っているみたいね」

「だな。とにかくさっさと片付けようぜ」

 

そう言いながら巨斧を改めて取り出し構える。

瞬間、骨の影達は跳躍しその腕の棍棒を同時に振るう。それを受け止めようと俺は構えたが……。

 

「ぐっ!?」

 

横から一撃を受け、吹き飛ばされるが受け身をとってすぐさま体勢を建て直す。横には同じくこちらの方に飛んできた郡。

 

「全く……簡単に相手の攻撃を受けようとするものじゃないわ」

「さっきのは郡かよ!!一体何しやがる!!」

「それはあれを見てから言って欲しいわね」

 

そうして郡が示したさっきまで俺達が立っていた場所は……

 

「何だ……あれ…………?」

「分からないわ。でも……不味いものであることは間違いないようね」

 

真っ黒に染まって辺りに侵食を始めていた。

 

「周りに侵食してる……みたいね」

「いや、あれば侵食してると言うか……」

 

すると、真っ黒い染みを中心に辺りの砂が集まっていき……

 

「「嘘ぉ……」」

 

流石に俺も郡も驚きを隠せなかった。

何せ……さっきの骨の奴らがぶっ叩いた場所から巨大な砂人形が生まれ、その両手にはさっきの奴らが集まり大きな拳を砂人形の両手に作り上げていた。

にしても、辺りの物を飲み込んで巨大な人形か何かを作り出しその人形の武器になる敵か……。

 

「男にとっちゃあ……ロマンだな」

「………………」

「悪かった。悪かったからそんな目でみんな」

「いえ……私も同じことを思ってしまったから…………」

 

思ったんかい!!

そう心の中で突っ込みつつ、慎重に相手を見極める。

無駄に相手はでかくなったのは前の奴と同じだが、今度の奴は砂を媒体として産まれていた。とするならば、十中八九奴に攻撃を加えたとしてもすぐに再生しやがるだろうな。水があれば楽なんだろうけど、下手に移動させれば近隣の住宅や住民達に被害が出るし、野次馬野郎が動画なり写真なりを撮ってネットにでもアップしたらば大変なことになるだろうし。移動もできず、水も持ってこれないとするなら……。

 

「ちまちま攻撃するっきゃないか…………?」

「それは余り良いとは言えないわね」

「だよな……。タイミングよく雨でも降ってくんねぇかな?」

「弱気なことを言うなんて珍しいわね」

「うっせ。…………あ」

 

そうだ。水あんじゃん。

閃いた俺は左の斧を振りかざし……

 

「?」

 

 

ーーーーーーーーーー思い切り右腕に深い傷を付けた。

 

 

「は!?」

「うし……。さて、もう片腕も……」

 

呆然としている郡を他所に左腕にも傷をつけ血を溢れださせる。

それなりに痛いが我慢できないほどじゃねえな。

 

「よし」

「よし……じゃない!!」

「んだよ?漫画でも血で砂を固めるシーンあったろうが」

「あんた本当はバカでしょ!?」

 

そうこうしている間にも勢いよく溢れだした血が俺の両腕を赤く染め、手に持った巨斧迄も深紅に染めていった。

 

『GAAAAaaaaaaaa!!』

「来るぞ!!」

「ああ……もう!!」

 

郡と左右別に散開する。そこに砂人形の大きな拳が振り下ろされ地面が弾け飛んだ。

俺は弾け飛んだ地面の破片を伝ってやつまで接近し…………

 

「せぇいっ!!」

 

深紅に染まる巨斧を振い、砂人形の腕を切り落とす!!

 

『GAAAaaa!?』

「ビンゴっ!!」

 

血で濡れていた斧は砂に飲み込まれることなくすんなりと斬ることができた。

といっても…………。

 

「あ~…………マジか……」

 

振るった斧についていた血もほとんど乾いて無くなってしまった。しかも、傷が治るのも早くなっていてさっきつけた傷ももう塞がってしまっている。

 

「三ノ輪くん!!」

「っと!?」

 

咄嗟に横に飛び、再び振り下ろされた拳を何とか避けきる。

何度も転がった後、立ち上がった俺はおもいっきり左腕に斧を突き立てる。

 

「ぐぁっ……!!」

 

流石に……これは…………っ!!

あまりの痛みに悶絶している隙をついた横凪ぎの一撃が迫り……

 

「なろ……!」

 

後ろに下がって…………

 

『GAAaaa!!!』

「しま……!?がっ!!」

 

腕の先についていた骨の奴らが延び後ろに飛んだ俺の体をなぐ。

 

「…………っだぁぁぁ!!」

 

ふっ飛びそうになる体を両足を踏ん張ってなんとか支え、奴の一撃を受け止める。

さっきの傷口からあふれでる血のお陰で難なく奴の腕を捕まえることができた。

 

『GA!?』

「残念だったな……。さっきの傷よりももっと大きな傷をつけて、今の俺の身体中は血だらけなんだよなぁっ!!」

 

奴の腕を持ったまま俺はさっきよりも血に染まった巨斧をおもいっきり振り下ろす!

そして、砂人形が両断され中に見たことがない不思議な結晶が見えた。

ゲームとかならあれは…………っ!

 

「郡ッ!!」

「ハァァァァッ!!」

 

背後に回って隙を伺っていた郡が飛び出しその結晶を両断する!

そして…………

 

『GA……Aa…………a……』

 

人形を形成していた砂が徐々に徐々に落ちていき、砂人形の拳となっていた骨の奴等も塵となって消えて行き始めていた。

 

「終わったか……?」

 

気を抜かず、辺りを改めて注意深く見回すが…………。

新たな敵は現れそうになかった。

 

「……いっつうぅ~ぅ~…………」

 

戦闘が終わり、ほっとしたのか先程突き刺したところがものすごい痛みを放ち始め、うずくまる。

…………流石にやり過ぎたな。こりゃ。だが一応治ってきてはいるみたいだし……ほっときゃ治るな。

 

「三ノ輪くん!!」

「おう……郡。怪我ねぇか?」

「それより貴方の傷の方が一大事よ!!」

 

顔を真っ青にした郡に詰め寄られる。

珍しいもんを見た。ここまで感情的になる郡なんて出会って初めの頃以来だな……。

 

「貴方、本当にバカよ!!超弩級の大バカよ!!」

「お、おいおい……」

「確かに勇者になれば回復速度も上がるし身体能力も上がるわ!でもね、勇者って言うのは簡単に死ぬの!!戦っていればすぐに死んでしまう……それが勇者なのよ!!」

「…………ああ……」

「それなのに貴方は!!自分の身を自分で傷つけて!!本っっっっ当に大バカよ!!」

 

大粒の涙を流しながら俺を責め立てる郡。そこからは彼女が昔、何かしらを経験している重みが感じられた。そして、心から俺のことを心配してくれていると言うことも痛いほど分かった。

 

「…………悪い。今回は無茶したわ」

「そうよ!!反省してるのならしばらくは力を解かず、回復に身を任せなさい!!」

「お、おう……」

 

流石の剣幕に大人しくしていることにする。

でも……『勇者って言うのは簡単に死ぬ』ね…………。やっぱり銀は…………。今度、乃木の嬢ちゃん辺りに……?ん?乃木の嬢ちゃん?

 

「…………げ」

「……?」

 

あちゃ~……。いっけねえ、すっかり忘れてた。落ち着かせようと考えてそのまま忘れてたわ。…………そういや、結城の嬢ちゃんにもあの後、連絡してないよな……。

少し嫌な予感をさせつつゲーム合戦の前にマナーモードにしていた携帯を取り出すと……

 

「おうふ……」

 

そこには結城の嬢ちゃんと乃木の嬢ちゃんからの不在着信が…………。

不思議そうな郡に一言言った後、恐る恐る乃木の嬢ちゃんの番号を呼び出す。すると2、3コールの後電話に出た。

 

「もしも{セツさん!!}おおう……」

 

電話に出た途端めちゃくちゃでかい声が……。

 

{セツさん!!無事だったん!?}

「……心配してくれていたのは嬉しいがちょっとうるせぇぞ」

{白銀さん!!}

「は?結城の嬢ちゃんもいんのか?」

{そりゃ、あんな電話されたら不安になっちゃったんだもん!!しかも、その後東郷さん達にも連絡つかないし……}

 

連絡がつかない?確かに昨晩、連絡したときにも東郷の嬢ちゃんは電話に出ることはなかったが…………。

 

「今、乃木の嬢ちゃん家にいるんだな?」

{うん……}

「分かった。俺もちょっと話したいことがあるからこれからそっち行くわ。場所だけ教えてくれ……ああ、後俺の友人も連れてくから」

{わ、わかった。ええっと……}

 

**************

 

ーーーーーーーーーー郡 千景の章

 

「……あのばかでかい屋敷だな?……それについては大丈夫だ。こっちは今まさに変身中、しかもついさっきまで戦闘してたところだ。…………怪我?ええい!後でまとめて説明すっから大人しく待ってろ!!」

 

通話を終えてこちらを振り替える三ノ輪くん。

 

「悪ぃ、待たせたな郡」

「ええと、これからその屋敷に行けばいいのかしら?」

「ああ。後、おめぇが昔の勇者の生まれ変わりっつう話は伏せようか」

「あら、どうして?」

「はっきり言うと今起きていることを無駄にややこしくさせる原因になるかもしれねぇからな。迂闊なことは余り伝えたくねぇ」

「…………一理、あるわね」

「つーわけで、おめぇが昔の勇者の生まれ変わりって言うのは2人だけの秘密だ。……まぁ、家が蔑まれているとはいえ、勇者の家系ってのは伝えてもいい…………つーか、それは伝えないと辻褄が合わねぇな」

 

「んじゃ、行くか」と言って早速飛び出そうとする三ノ輪くん。それを私は慌てて止める。

 

「んだよ……?」

「まさか、貴方そのままで行くつもりじゃないでしょうね?」

「ん……?あ、やっべ……」

 

私が示した指の先には未だに血が滴り、地面に小さな赤い水溜まりを形成しつつある、勇者に変身しているといえどもまだ傷が塞がりきっていない左腕。

 

「ま、勇者の力で早く治るんだろ?だったら、「大丈夫っていうんでしょ?」……おう」

「………はぁ…それでもさすがに血が滴ったままじゃ不味いでしょ」

 

溜め息をつきつながら、ハンカチを取り出して問答無用で彼の腕に巻き付ける。

 

「ちょ……」

「電話の人の家に着いたら手当てするから…それまでこれで我慢して」

 

流石に小さなハンカチだからすぐに血が染み渡ってしまったけど……ないよりはましね。

 

「あ~……悪い」

「いつものことでしょう?」

「……だぁな。さて、それじゃ行くか。電話の相手のことは移動しながら話すわ」

 

そうして、今度こそ飛び出した三ノ輪くん。

正直言って誰かと会うのは気が進まないのだけれども、現状が現状なだけに仕方がないわね……。

 

「郡~?どうかしたのか~?」

「何でもない。すぐに行くわ」

 

**************

 

「…………乃木園子さんに、結城友奈さん……ね」

 

血痕が落ちて来て騒ぎにならないように少し遠回りとなってしまうけれど近くの雑木林の中を枝から枝に伝いつつ移動している私達。その間に私は三ノ輪くんの電話の相手ののことを聞いていた。

 

「どうした?何かあんのか?」

「ええ……。片方の人は名字が、もう片方の人は名前が同じ人が過去にいたものだから、少し驚いて」

「お?つまりは乃木の嬢ちゃんのご先祖もおめぇと同じ時期に勇者とやらをやってたのか」

「やっていたというか、私達のリーダーだったわ」

「ほぉ~。して、結城の嬢ちゃんと同じ名前?もしかしてあの通説に関係あんのか?」

「通説?」

「暇潰しに蔵を散策してたときに見たぼろっちい本に載ってたんだがな……何か逆手を打って生まれてきた子供にゃ“友奈”っつう名を必ずつける慣行があったらしくって今はそれが風習になってんらしいんだわ。俺も神話関係にそこまで詳しくはないが、逆手っつうと……柏手みたいなやつの1つだけども禁じ手じゃなかったっけっか?」

「そんな話があったのね……。逆手については私もわからないけど私が知っている“友奈”は高嶋友奈さんと言ってこの“大葉刈”と同じ“天ノ逆手”という神器を扱っていたわ。もしかしたらそれが関係しているのかも」

「高嶋……友奈ねぇ……。一応こんなやつだけど……もしかしてそっくりだったりすんのか?」

 

そう言って、移動しながら見せられた写真には……

 

「…………っ!?」

 

高嶋さんに瓜二つな少女がいた。

 

「…………そっくりなん?」

「私と同じ生まれ変わりと言ったとしたら完璧ね」

「そこまでか……ん?」

「?」

「なぁ……覚えている限りでいいんだけどさ、鷲尾須美とか東郷美森っていう名前に聞き覚えはあるか?」

「いえ……。先生に鷲尾という人はいたけれど……名前も名字も聞き覚えはないわね」

「なるほどな。俺は異質だから別もんとして…………そうすれば辻褄が合うな」

 

何かに気づいたような三ノ輪くんだけど……。後で聞けばいいわね。

そう思った矢先だった。

 

 

ーーーーーーーーーー突然、勇者の姿が解けてしまった。

 

 

ーーーーーーーーーーそして、間の悪いことに飛んだ直後の空中で

 

 

「……っ!?」

「郡っ!?」

 

反射的に目の前の幹に大葉刈を突き立て、何とかぶら下がる。私の異変に気がついて近くの太めな枝に止まった三ノ輪くんに引き上げてもらって怪我なくやり過ごすことができた。

 

「大丈夫か!?」

「ええ……何とか大丈夫よ」

「そうか…………。にしても何で突然変身解いたんだよ?」

「違うわ。勝手に解けたの。…………恐らく私が今使っていた勇者システムは昔のモノを緊急時のために残していただけの代物だったようね」

「…………システム?勇者ってシステム化されてんのか?」

「…………その説明は後でまとめてされると思うわ」

「ううむ……。これは乃木の嬢ちゃんらにも問い詰めないといけない案件か」

「それより早く行きましょう?これ以上、遅くなったら家族が心配するんじゃないかしら?」

「いや?確かに心配するっちゃするだろうが、俺なら大丈夫だ」

「…………もしかして嫌われて?」

「んな訳あるか。もう高校生ってことで自信の行動にはちゃんと責任持ってやれって言われてんのと、ちゃんと親の信頼を得てるだけだっと」

 

そうして、三ノ輪くんは私をひょいと抱えあげた。…………いわゆるお姫様だっこの状態で。

 

「三ノ輪くん!?」

「ん?何かあんのか?」

「いや……その……」

「……ま、とにかくしっかり捕まってろよ」

 

きっと耳まで真っ赤になってしまっている私を他所に三ノ輪くんは再び飛び始める。

 

ーーーーーーーーーーその顔も少しだけ赤くなっていた。

 

 

**************

 

少し時間がかかったけれど何とか乃木さんの家の前まで辿り着くことができたのだけど…………。(お姫様だっこについては途中でやめてもらった。色んな意味で恥ずかしいから……)

 

「うぉ……」

「大きい……」

 

私達の目の前には物凄く大きなお屋敷があり、そして、これまた大きな庭園が広がっていた。

 

「……あいつ、マジモンのお嬢様だったんか」

 

呆れ顔で変身を解いた三ノ輪くんがそう呟いた時、私達の前に白装束に身を包んだ1人の女性が現れた。

 

「あなたが三ノ輪白銀さん?」

「……そうだが、あんたは?」

「私は…………少し前まであなたの妹と乃木さん、そして鷲尾さんの担任をやっていた者。そして…………今は大赦の一員にして園子様の側近です」

「…………大赦の人間が何のようだ。事によってはてめぇをぶちのめすぞ」

 

“大赦”という言葉を聞いて三ノ輪くんの表情が一変して、声のなかにも憎しみが多分に含まれていた。

…………こんな三ノ輪くんは始めてみた。確かに起こることはあっても、こんなにどす黒い感情を表に出すことはなかった。

そんな彼に対しても無表情のままその女性は背を向ける。

 

「私はただ貴方達を案内するだけです」

「…………そうかよ」

 

端的にそう言ってそのまますたすたと歩いていくその女性。その背中を三ノ輪くんはただ睨み付けていた。

かつての私が彼女に向けていたのと同じ様な目で。

 

「三ノ輪くん……」

「大丈夫だ。行こう」

 

歩き出そうと彼の腕を思わず掴む。

 

「……何だ、郡」

「1つだけ言わせて……。憎しみだけに捕らわれて行動したら……一生後悔してしまうわ。だから……」

「…………」

「だから…………」

 

私が次の言葉を紡ぐ前に三ノ輪くんの大きな手が優しく私の頭を撫でた。そして、その表情も先程とはうって違って優しげに微笑んでいた。

 

「……ごめん。お前の嫌なことを思い出させちまったみてーだな」

「そんな……ことは」

「んな顔されたら説得力ねぇぞ?だけど、お前のお陰で落ち着けたわ。……ありがとな」

「……どう…………致しまして」

「……さ、行こうか」

 

今度こそ歩き始める三ノ輪くん。

その背中を見つめながら……私はただ過去の私が犯した過ちを繰り返してほしくないと願っていた。

 

**************

 

「あ!セツさ……ちょっ!?」

「わああぁーっ!!白銀さん血!血ぃぃーーっ!!」

「結城の嬢ちゃんは一端黙ろうか?して、乃木の嬢ちゃん悪いが包帯とかくれないか?」

「ちょっ、ちょっとまってね!?すぐ持ってくるから~!!」

「わぁぁぁ~ん!!白銀さん死んじゃ駄目ェェ~っ!!」

「こんくらいで死んでたまるか。というかこんくらいで泣くな」

「…………ええと?」

「あ~……こりゃ話をしようにも少し落ち着かねぇと無理だな。郡はどこかで休んでいてくれ、俺はこいつを慰めとく」

 

三ノ輪くんの怪我を見て、わんわん泣き始めてしまった結城さん。そして、大慌てで救急箱を取りに行った乃木さん。

始めてみる2人だけど確かに2人は私の知っている人達と似ていた。特に結城さんなんて高嶋さんそっくり。だけどもやっぱり高嶋さんとは違うのははっきりとわかる。たとえ2人が並んだとしても私ならば見分けがつく、…………理由は説明しずらいけれど。

そうして窓際に私が近づくと、どこからともなく青い鳥が此方にやって来た。

 

「!!」

「……!」

 

目が合い……私は直感的に分かってしまった。この鳥は…………

 

ーーーーーーーーーーーーー私達のかつてのリーダー、乃木若葉。まさに本人であると……。

 

 

**************

 

ーーーーーーーーーーーーー????????

 

「ふむ」

 

暗闇の中、黒装束の少女は先程まで戦闘していた彼らのことを考えていた。

 

「正直、予想外です。彼があそこまでできるのと、もう1人イレギュラーがいるとは」

 

暗闇は夜の闇より数段深く、彼女の周りを取り巻いておりそれはまるで少女を牢獄に閉じ込めているかのようだった。

 

「……取り敢えずターゲットは変えずに彼のままで行きましょう。今のところ、戦闘経験が1番浅いのは彼……もう1人は何か底知れぬものを感じるから後回しです。それに彼はこれから1番の驚異となりうる存在……。“あの方”のためにも不確定要素は早々に消しておかないと行けませんからね」

 

少女は宛もなく歩いていたが、背後の気配を感じ振り替える。……しかし、そこには何もいなかった。

 

「……?気のせい……でしたか。しかし、彼を倒すにはどのように倒しましょうか……。…………そうですね“彼女”と同じ武器ならば似たような対処をすれば……」

 

ぶつぶつと標的の抹消方法を考えながら少女はどこかへ歩いていった……。

 

 

ーーーーーーーーーー先程少女が振り返った場所。彼処には1つの影がいた。そして、

 

 

「ふむ……。確かにまだ覚醒して間もないのにも関わらず、此方が放った敵の攻撃をほぼ食らわずに倒すか…………」

 

その影が見つめているだろう光景を水晶越しに見つめる者がいた。

 

「かつての遺恨とも言える存在。…………早々に潰せればいいのだがな」

 

足を組ながら水晶を見つめるのは先日、白銀が逃がした影をピエロのような言葉を話していた仮面の男。そして、彼がいる部屋は辺り1面に様々な呪術のような札や祝詞で埋め尽くされていた。

 

「……だが、こちらの戦力も揃いつつある…………」

 

そして、男の周りには3人の少女達がやはり漆黒の衣装で立ち竦んでいた。

 

「にしても……まさかね」

 

そうして、男は近くに置いてあるナイフを一本もち、呪術で埋め尽くされた中に1つだけポツンとある1枚の写真に狙いを定め……

 

「まさか、この僕に恥辱を味あわせてくれた君がターゲットになるとはね……復讐の機会が来てくれるなんてとぉぉっても僕は運がいいなぁ~」

 

そして、ナイフを放つ。狙いたがわずナイフは写真の真ん中に刺さる。何度もナイフが投げ付けられた痕が残る写真に写っていたのは…………。

 

「…………さぁ早く君を殺してやるよ……三ノ輪白銀ぁ……。くっくっくっ…………あっはっはっはっはっはっ!!!」

 

 

ーーーーーーーーーーどこかの公園で撮影された三ノ輪白銀だった。

 

 

                   第参話  完




以上、ゆゆゆ第参話でした!!

今日は新たな年号「令和」が発表されました。
何だか昭和を感じる年号だな~と個人的に考えていたら、隣で友人が「そろそろ宇宙世紀来てもいいんじゃなかろうか?」とか変なこと言ってましたが。
友人よ。宇宙世紀何てそうそう簡単には来ないぞ。…………来てほしい気持ちは分かるが。

話は代わり、今日からは新年度ともなり、新たな舞台に立たれる方も多いと思います。
僕自信も始めたばかりの小説投稿を若輩者ながらも頑張っていく所存ですので……その、よろしくお願いいたします!(語彙力皆無)

改めて、誤字脱字、その他様々な意見等あれば受け付けておりますので今後ともよろしくお願いいたします!!
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