リリカル武者〇伝   作:ぷらもん

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リリカルなのは(無印)ッてさ。二か月のお話なんだぜ? 


2005年 四月

それから三か月が過ぎた、2005年 四月。

 

東京。

 

「いやぁ、なんだかすっかり街に溶け込んだわよねぇ。武者頑駄無って」

 

「なはは、そうだね」

 

お正月に、日本各地に突然現れた謎の生命体、武者頑駄無。その数、四十七名。彼らは日本の都道府県の数と一緒だったことから各県に一人ずつ滞在している。

 

一人ずつ。そう、彼らはロボットのような見た目に反して『人』と扱われている。

 

「頑駄無って、結局機械なの? 生き物なの?」

 

「その中間……?」

 

「結婚して夫婦になって子供も作れるって聞いたよ?」

 

頑駄無は見た目は金属なのに触れば柔らかく、弾力があり伸びる皮膚をもつ。その上、性別もあり、子供をもうけて子孫を残していく生命体だと、政府から発表されたとテレビで見た。

 

「それで、すずかちゃんとアリサちゃんのところに武者頑駄無さんが来るって本当なの?」

 

「うん。なのはちゃんのお父さん達も立ち会ってくれるらしいよ」

 

「なんか、みんな木刀持ってうきうきしてるって聞いたけど?」

 

………何をやってるんだろうか、わたしの家族は?

 

あ、ご紹介遅れました。

 

わたし、高町なのは。小学三年生。

 

それと、友達のアリサ・バニングちゃんと、月村すずかちゃん。三人は同じ小学校に通う大の仲良しさんなのです。

 

今はその放課後。学校の帰り道にみんなで通っている塾に向かっているところです。九歳で塾っていくら何でも早いのでは? って思いました? ところがどっこい、わたしたちの通う小学校はかなりレベルの高い私立の進学校でして。授業だけでは追いつけないところも多いのです。

 

……あと、わたしの親友であるこの二人、アリサちゃんとすずかちゃんは凄いお金持ちのお家のお嬢様で、庶民の家のわたしとは違って様々なお稽古もあるらしいからもう脱帽です。

 

学校の授業で、『将来なんになりたいですか?』なんて先生からの質問に、アリサちゃんは家族が経営する大企業の跡を継ぐために経営学を学びたいとはっきりと言い。すずかちゃんは機械工学の道に進みたいと言っていました。

 

わたしにはそんな具体的な将来の目標なんてありません。せいぜい、人の役に立てることがしたい、それくらいです。

 

二人に比べて、わたしには何ができるんだろう?

 

「(………けて………だ………け)」

 

……え?

 

「今……なにか聞こえなかった?」

 

「え?」

 

「何も聞こえなかったわよ?」

 

塾に向かう近道の大きな池のある公園を歩いているときです。かすかに聞こえた小さな声。それはわたしにしか聞こえていないみたいで……気のせい?

 

「(助けてッ!)」

 

!? 気のせいなんかじゃない!!

 

「こっち!?」

 

「え? ちょっ!」

 

「なのはちゃん!?」

 

確かに聞こえた、助けを呼ぶ声。わたしはその今にも消えそうな小さな声を手繰り寄せるかのように走ります。

 

たしかにこっち、わたしを呼んでいる君は……どこ?!

 

「いた!」

 

公園の木々の向こう。草むらをかき分けたその先に横たわる小さな影。多分、あの子が…ッ!

 

「何よこいつ、ケガしてるじゃない!」

 

「フェレット……かな? えっと、近くの動物病院は……」

 

そこには怪我をして、血でまみれた小さな動物……フェレット? がいました。その子は今にも死んでしまいそうなほどに弱弱しくぐったりとしていました。

 

「よかった……もう大丈夫、大丈夫だからね」

 

 

 

 

 

その後、わたし達は拾ったフェレットさんを動物病院に連れて行きました。診察代とか塾をお休みすることの連絡など大人の人たちに頼らなくてはいけないこともあったので、三人の家族に連絡して、その代表にわたしの家のお兄ちゃんが来てくれました。

 

アリサちゃんやすずかちゃんたちの真っ黒な高級車のお迎えを見送って、お兄ちゃんと家に帰りました。フェレットさんは動物病院に預けてきましたが心配です。

 

あの子、うちで飼えないかなぁ。

 

怪我が治ったら、ううん、治るまでの間も面倒を見てあげたい。そう思うわたしは我が儘なのかな?

 

わたしの家は飲食店を営んでいます。喫茶『翠屋』。家とは別に街中に居を構えているので、店に連れて行かなければ衛生面でも問題ないよね? うぅん、わたしの服とかにも毛とかが付かないように気をつけなくちゃいけないんだっけ?

 

うん、交渉の余地はあると思う。

 

帰ったらお母さんに相談してみよう。

 

我が家の一番の権力者はお母さんなのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃。

 

暗い夜道、人通りの多い繁華街で怪しい動きを見せる者たちがいた。

 

「フェイト! もう止めようよ!!」

 

「もう少し……もう少しだから! もうちょっとで届くから!!!」

 

そこには、自販機の下に腕を突っ込んで、小銭を拾おうと必死に手を伸ばす金髪の少女の姿が。

 

……怪しいというか、悲しい?

 

黙って見ていれば美少女である。連れの女性も黙って見ていればスタイルのいい美人である。

 

しかし、地面にはいつくばって小銭を拾おうとしている時点で残念極まりない。周りの生ぬるい視線も突き刺さり、それに耐えきれないのは赤髪の美人のみである。こういう時、子供は無敵である。そして、大人なんだからちゃんと注意しろよ、と周りの通行人たちは無言の圧を突き付ける。

 

つまりまぁ、二人は完全に浮いていた。通報されれば補導待ったなしである。

 

「お嬢さん。お困りなら長い棒はいらんかね?」

 

「ぜひ!」

 

「な、なんだいアンタは?!」

 

そんな二人に近寄ってきた不審者がもう一人。

 

その不審者は全身漆黒。巨大な大鎌を突き付け、人ではない姿をした最近日本にやってきた頑駄無という謎の存在。

 

しかし、別口の。

 

「俺の名は堕悪魔刃頑駄無……ところでいくら落ちてるの!?」

 

「五百円玉です!」

 

「なんだと!? えぇいどけ!! お前にプロの実力を見せてやる!!」

 

その数分後。

 

「もう少し、もう少し!」

 

「よおぅし………取れたーーーーーーーーーーーーーー!!!!」

 

「やったーーーーーーーーーーーーーーー!!!」

 

「………よかったね、フェイト……(ほろり)」

 

愛用の大鎌を自販機の下に突っ込んで小銭を拾うことに成功した悪の首魁と少女の姿がそこにあった。

 

あと、普通に通報された。

 

逃げた。

 

異世界貧乏共同生活の幕開けである。

 

 




シリアスと思ったか?

ギャグだよ。


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