先日にグレイフィアからの指示でサーゼクスの実妹、リアス・グレモリーの専属執事になったシンは彼女と一緒にある部屋で客人を待っていた。まだかまだかとソワソワし、椅子に座って床につかない足をブラブラしているリアスに苦笑しながら、シンが声をかける。
「リアスお嬢さま。ソーナさまが来るのが待ちきれないのはわかりますが、何故『私の部屋』で待っているのですか?待つのならリアスさまのお部屋でもよろしかったのでは…」
「い〜や!わたしはシンのお部屋が良いの!ソーナだってシンのお部屋、気に入っているんだもの。……セラフォルーさまなんてシンのことを『旦那さま♡』なんて言ってたし」
「それは良いのですが(セラフォルーは次に会ったら説教だな)…一応、私の部屋はそう簡単に見つけることは出来ないように細工をしてあるのですがね。それにしても特に最小限の物しか置いていない部屋を気に入るとは、お嬢さまも物好きですな」
「この前ソーナが来たときに家を探検していたら、たまたま見つけたの。まさか、シンのお部屋とは思わなかったわ」
子供の探究心と好奇心、恐るべし。シンの部屋には認識ずらしの魔法をかけてあったが、その対象に『自身に触れている者』は対象外になっていた。だがリアスとソーナはシンがいないのにも関わらずに見事にシンの部屋にたどり着いたのだ。
「そういえば、前にシンがお父さまにお休みもらってどこかに行ったってグレイフィアから聞いたけど、何してたの?」
「日本に住んでいる昔馴染みの方に会いに行っていました。その方の子供も大きくなっていて、いやぁ時が経つのは早いものです。あ、そういえばあちらで購入した名物の八ツ橋をお茶請けにしましょう。飲み物は緑茶で」
「ニホン!シン、ニホンに行ってたの!?わたしも行きたかった!」
「と言われましても、あくまでお暇を頂いて行きましたので、どのみちお嬢さまは行けませんでしたけどね」
「むぅ〜!」
わたし、不満です!と思わせるようにプクッと頬を膨らませるリアスにシンはまた苦笑した。するとコンコンとドアを叩かれた。どうやら相手が到着したようだ。
シンはドアを開け、お辞儀をする。
ドアの前にいたのは、二人。一人は現魔王の一人であるセラフォルーの妹、ソーナ・シトリー。
「これはソーナさま。よくお越しくださいました。どうぞ、私の部屋ですがごゆっくりとしていって下さい」
「ごきげんようですわ、シンさん。どうも聞いた話だとリアスの専属執事になられたようですね。羨ましい限りです」
「ハッハッハ!私のような人間めに価値があるのか、微妙ですがね。では立ち話もなんですのでどうぞ中へ」
「ええ、では…」
ソーナはリアスの向かいにある椅子に座る。シンはテーブルに小皿に八ツ橋を乗せ、緑茶と共に二人に出した。二人に(強調)
「ありがとうございます。しかし、シンさんは自分が何をしてわかって仰っているのですか…。貴方はかの二天龍を単独で撃退した『人王』なのですよ?既に地位は与えられてもおかしくない筈です」
「いやぁ、私は別に地位や金が欲しくて手を出した訳じゃありませんからね。あと『人王』というのはあくまでそう呼ぶ輩がいるだけで私は興味はありません」
「それは仕方ないね。先生はもう三大勢力の頂点と言っても過言じゃないからね」
「…で、やはりお前もいるんだな?セラフォルー」
「またまた〜、先生って私に会いたかったくせに素直じゃないんだから〜。それに堅苦しい呼び方は嫌!セラって呼んでよ!」
「……ハァ。で、やはりお前も来たのか、セラ?」
シンが思わず素口に戻るのも仕方ない。もう一人はソーナの姉であり現魔王『レヴィアタン』の称号を持つセラフォルー・シトリー。彼女は重度のシスコンであり、――シンに好意を抱いている女性『たちの一人』なのだ。
「勿論!ソーナちゃんと先生がいるところに私がいなくてどうするの!これはもうお約束なんだから!」
シンは目頭を抑えた、主に呆れ気味で。
「そんな約束事はした覚えはないぞ。それより仕事はどうした?一応、お前の立場は魔王なんだからな。下手に行動するんじゃない」
「仕事は昨日までに終わらせておきました〜。なんたって久々に先生に会えるんだからね!将来は私の自慢の旦那さんになる人なんだから!」
セラフォルーがシンに会いに行く度に、『結婚はいつ挙げる?』とか『子供はたくさん欲しいよね☆』などとプロポーズを軽くすっ飛ばした発言をしてくる。
まぁ、それも既に日常茶飯事になっているが。
「その手の言われ方はもう聞き飽きたがな。ここ最近でも旦那や主人、夫と数多くの女性に言われてきたぞ…。先日の京都訪問の時にも言われたよ」
「「「なんですって(〜)!?」」」
「…セラはともかく、なんでお嬢さまとソーナさままで驚くんですか?」
「「そ、それは…(い、言えない。お父さまとお母さまに将来はシン(さん)と一緒に人生を歩みたいって言っちゃったし(しまいましたし)」」
シンの知らないところでシン争奪戦が各地で起こっていることを本入は知らない。尚、ヴァルハラ、天界、冥界、裏京都、そして人間界が主な争奪場所である。
「とりあえず…ほれ、セラ。特製のモンブランだ。ここに来たら俺の作ったモンブランを食うのがお前の日課だろ?」
「やった!やっぱりここに来たら先生のモンブランを食べないとね!」
「ズルいわ!シン、私も!」
「わ、私もお願いします…!」
「はいはい。わかりました」
こうして、騒がしくも楽しいお茶会になった。
あ、原作はもうちょい先になります。