冥界の最古参執事   作:カフェ・オーレ

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シン・ソロモンの目的

 

 俺が北欧に行く…というのを建前に俺は冥界から姿を消した。恐らく既に『シン・ソロモン』が北欧に向かう途中、行方不明になったという情報が出回っているだろう。だが、これは『予定通り』だ。

 

 ん?この非道の裏切り者が!って?いや、これは必要なことだ。まず一つに俺に対しての依存を無くさせる。俺を頼みの綱にされては今後の冥界が俺を中心として動いてしまう。それでは駄目だ。俺はただの人間、ましてや旧イスラエル王の『ソロモン王』ではないのだ。民からの信頼?貴族とのパイプ?各トップからの好意?

 

 …ハァ。期待するな、とは言わないが俺をパイプにして各勢力との繋がりを持つな、自分たちで繋がりを持てと言いたい。確かに俺は様々な勢力に面識があり、信頼されている。だが、それを目的に俺に近づくのは何かと苛つくんでね。

 

で。そういう俺がいるのは…。

 

 

「そういう訳で暫く厄介になるが、よろしく頼む」

 

「全く、『何がよろしく頼む(キリッ』、じゃ。いざ来て聞いてみたら『暫くここに住まわせてくれ』の一言。正直、迷惑なんじゃがのぉ」

 

 ……このエロ爺ィ…!ならば…!

 

「さてと、ではこの土産に持ってきた『むちむち!巨乳爆乳乳比べ合戦!特集』は燃やすか。いや、オリュンポスのゼウスかポセイドンにやれば快く迎えてくれるかな…ゼウスはヘラに半殺しにされるけど」

 

「ッ!?わ、わかった!わかったからその特集を早く寄越せい!」

 

「それでいい、ほらよっ!」

 

「これっ!投げて寄越すもんがあるか!?」

 

 と言いつつも、高々とそびえ立つ玉座から見事に特集をキャッチした白髪の年寄りは紛れもない北欧の主神ことオーディン。見たところただのエロ爺だがその実力は本物。冥界から北欧に向かうと言い、姿をくらましたシンは本当に北欧に来ていたのだ。

 

「駄目ですよ、オーディン様!主神がそんな淫らな本を読まれるのは!」

 

「ハァ、そんなケチで煩いから勇者の一人も出来ないんじゃよ、ロスヴァイセ」

 

「そ、それは今関係無いじゃないですかぁぁ!!」

 

 そして、オーディンの一言に涙目に反論する白銀髪の女性はオーディンお付きの戦乙女(ヴァルキリー)、ロスヴァイセ。絶賛シンに片想い中の乙女?である。

 

「オーディン。流石にロスヴァイセを弄りすぎだ。もう少し優しくしたらどうだ?」

 

「ううっ、シンさ〜ん。やはり貴方は私の勇者、いえ、救世主(メシア)ですよ〜!」

 

 おいおいと涙目でシンを見つめるロスヴァイセ。完全にメロメロ状態である。

 

「ま、これは後でゆっくり拝見するとして…お主が此処に来るということはお主の言った通り、姿を暫く隠すということでいいんじゃな?」

 

「ああ、そういうことだ。ついでに言えばその他の勢力からの勧誘を避けたいという意味合いもあるがな」

 

「じゃが、少なからずお主がここにいるという噂が流れ出ても可笑しくないぞ?」

 

「その辺は大丈夫だ。出歩く時はこの格好になる」

 

 シンは指をパチンと鳴らすと服装が装備姿(どう見ても、モン○ンのシルバー○ル一式)に変わる。その光景にロスヴァイセはキラキラとまるで憧れを目にした表情だ。

 

(シ、シンさんの鎧姿、まるで白銀の騎士!か、格好良いぃぃぃ!!)

 

「ほう、これは珍しい物を見せてくれる。それは銀火竜の素材を使った装備一式じゃな」

 

「だいぶ前だが、野生の奴に目をつけられてな。拳一発で殴り飛ばしてやった」

 

((それを出来るのはお主(シンさん)だけじゃろうて(でしょうね…)…))

 

 だがそれが人王クオリティ。まさに圧巻である。

 

「ああ、それともう一つ要件があった」

 

「もう一つ?まだあるのか?」

 

「正確にはオーディンではなく、ロスヴァイセにだがな」

 

「わ、私にですか!?(うっ、なんだろう?シンさんが私に直々の要件って?)」

 

 シンは頷いて装備一式から普段のローブ姿に戻り、懐からある物を取り出してロスヴァイセに向かって投げた。ロスヴァイセは慌てつつもキャッチして、キャッチした物を見ると驚愕した。

 神殿から漏れる光に照れされ、『黒と白』の光沢を放つ代物。

 

 悪魔の王(キング)として渡される。『悪魔の駒(イーヴィル・ピース)』だった。

 

「こ、これって…!」

 

「ああ、冥界(あっち)でサーゼクスから無理矢理渡された悪魔の駒だが、、俺は悪魔になる必要は無いと思って少し術式を弄って全く違う物にした。名は安直に『人王の駒(ソロモン・ピース)』という。何故これをお前に渡したというと、今回のことを流石の俺も一人で隠し通せるとは思えないのでな。そこでロスヴァイセ、お前に俺の臣下になって俺の補助をして貰いたい」

 

「…(ポカーン)」

 

 いきなりのことにロスヴァイセは口を開けっぱなしで放心していた。だが彼女の頭(想像)の中は既に臣下をかっと○ングしたみたいにハイスピードで結婚式になっていた。……勿論、新郎はシンである。

 そして、暫くしたあとに彼女は我に返った。

 

「わ、わかりますた!おら、シンさんの為にい、一生懸命働くんでよろすく頼みます!……はっ!思わず素に!?」

 

 素の口調で話したロスヴァイセにシンは微笑する。

 

「ふふっ、了承してくれたこと感謝する。ではオーディン、そういうことで」

 

「やれやれ、目の前で甘ったるいシーンを見せつけおって。思わずグングニルを放ちそうだったぞい」

 

「ならば俺もそれ相応の力で迎え撃とう」

 

「冗談じゃよ、真に受けるでない。確かにロスヴァイセの頭脳は儂も舌を巻くほどじゃ。…よかろう、連れていけ。儂には他のヴァルキリーを就けよう」

 

「感謝する。ではロスヴァイセ、駒を身体に当ててみろ。それで俺の臣下として成立したことになる」

 

「は、はい!」

 

 ロスヴァイセが駒を胸元に当てると黒と白の光が周り一帯に放たれる。

 

 

 こうして、シンの臣下一人目が誕生したのだった。

 

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