ソードゲンソウオンライン   作:ヘタレ寝癖人間

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WOU編
第五十五話:北の地にて


人界歴380年10月21日

ルーリット村の外れにある家

そこは俺が休みに暮らしている家

そこにある畑でアリスとシュウが野菜を育てていた

そして今は収穫の時期

シュウ「お、これはなかなか・・・・」

シュウがかぶをぬいて籠に入れた

???「姉様!」

遠くからアリスの妹、セルカの声が聞こえた

セルカ「おはよう!姉様!シュウ!」

アリス「セルカ・・・」

シュウ「今日も元気だねぇ・・・」

セルカがアリスに抱きついた

アリス「どうしたの今日は?」

セルカ「いい天気だから東の丘まで行きたいなって思って・・・ねぇ!キリトもいいでしょ?」

アリスがシュウを見た

シュウ「そうだな・・・・たまにゃキリトも日に当ててやっても良いかもな・・・」

シュウは椅子に座って動かないであろうキリトの方を見た

 

シュウは夜空の剣と青薔薇の剣を持つキリトの乗る車椅子を押してアリスとセルカと歩いた

そしてシュウ達が湖の見える土地で立ち止まった

アリス「綺麗だわ。カセドラルの壁に掛けられていたどんな絵よりも美しい・・・貴方達が守った世界よ?シュウ、キリト」

シュウ「・・・・・・・悪い。やっぱり思い出せねぇ・・・」

 

あの戦いで俺とキリトは倒れた

そして起きたのは日が沈んだ時だった

しかし俺は目が覚めた時に立っていた

シュウ「あ?」

アリス「どうしました?」

隣にはアリス

シュウ「いや・・・・・俺何で立ってんだ?」

アリス「まさか!シュウ!貴方は誰ですか?」

いきなりの質問だった

シュウ「誰って・・・・整合騎士シュウ・シンセシスゼロだぞ?」

アリスがいきなり俺に抱きついて泣き崩れた

しかし奇妙なのはそれから毎日日が沈んだ時に起きるようになった

一度日が昇るまで起きたこともあれが日が昇った時点で俺は意識を失ってしまう

アリスに聞くと日が出ている間俺は俺ではないのだ

そして話の内容からもう一人の俺はアンダーワールドのシュウであることも分かった

そしてある日騎士やシスター達がアドミニストレータを殺したキリトを処刑しろとの意見が出始めてそれを聞いたシュウが春雨に乗って自分の家に行きそれを追うようにアリスも出てきた

しかしルーリット村はシュウやアリス、キリトが罪人であることから受け入れずそこで俺の家に住むことになった

 

シュウ「アリス?」

シュウはアリスが何故か悲しそうな顔をしているのに気づいた

アリス「大丈夫よ。そろそろ帰りましょうか」

セリカ「・・・・・・うん」

シュウ「?どうした?」

今度はセリカが悲しそうな顔をしていた

セリカ「あのね・・・バルゴッサのおじさんが姉様にまた開墾地の木の始末を頼みたいって・・・」

シュウ「・・・・・・」

アリス「なんだ。そんな事だったの?」

アリスは笑っているがシュウは少しバルゴッサをいぶかしんでいた

だがそれを心の中に仕舞いセルカを撫でた

シュウ「セルカはバルゴッサのおっさんらが勝手て思ってるんだろ?」

セルカが頷いた

シュウ「心配してくれてありがとな。でも俺もアリスも腐っても騎士だ。断るときはキッパリ断ってやるさ」

 

シュウ達はセルカと別れるとそのまま開墾地に向かった

シュウは常に明星の剣を携帯してキリトを守れるようにしている

アリス「こんにちは。バルゴッサさん」

バルゴッサ「おぉ!アリスよ、よく来てくれたのぉ」

アリス「何かご用と聞きましたので」

バルゴッサ「うむ。ほれ見えるじゃろう?昨日の朝からあの忌ま忌ましいシラカネ樫に掛かりっきりなんじゃ。大の男が十人がかりでやってもこれっぽちも進まん」

シュウは木の天命を見て確かにこれは無理だと確認した

シュウ「これなら俺がやって良いか?」

アリス「そうね・・・・。確かにシュウなら伐れそうね」

シュウが居合いの構えで力を溜めた

「おいおい、あんなほそっこい剣で白金樫をたおす気かい?」

「剣がおれちまうぞ!」

周りから笑い声が聞こえた

シュウは剣を思いきり横に振った

「なんだよ外れか?」

シュウ「・・・・・・あんたらそこにいたら潰れるぞ?」

何を行っているのかわからないと言うような感じだったが木が倒れるとその前にいた男たちが逃げた

シュウは少し木を切り残して倒した

アリスがお代をバルゴッサから貰っているとキリトの車椅子が倒れた

アリスシュウ「「キリト!」」

シュウとアリスが近寄るとキリトはある一点を見ていた

そちらをシュウが見ると木こりの男達に青薔薇の剣を取られていた

「お、重いな・・」

「だからあんなガキでも白金樫を一髪で倒せるんじゃないか?」

「良いから」

そう言うと男達が剣を抜こうとした

それを見たシュウが驚いた達を鞘で吹き飛ばし青薔薇の剣を手に取った

シュウ「あんたらは人のを取っても良いって教えて貰ったのか・・・・?」

「俺達はちゃんとそいつに剣を貸してくれって言ったぜ!」

男がキリトを指した

「そしたらそいつ、気前よく貸してくれたんだよ。あー、あー、って言ってさ」

それを聞くとアリスが圧を出した

男達はそのまま周りの男達の中に戻った

シュウが回りを見ると皆が同じ邪魔者を見る目で見ていた

シュウ(・・・・・・・これがキリトと俺が守りたかった者なのかよ・・・・)

シュウはアリスによって座らされたキリトを押してアリスと供に帰った

ユージオは死んでキリトは言葉と感情を失った

しかし俺はシュウという人格が出ただけ

よって俺とシュウにはキリトとアリス皆が命をかけて守ろうとした物を守る責任がある

 

その夜

俺の意識が覚醒してご飯を作りキリトに食べさせていた

シュウ「溢さず食えよ」

アリス「シュウのご飯は美味しいからね」

シュウ「よせやい。テレる」

などと談笑していると外にいる春雨と雨縁が騒ぎ出した

俺とアリスが外に出ると一匹の飛竜が降りてきた

それは雨縁の兄竜で春雨の弟竜の滝栗だった

そしてその滝栗に乗る人物が降りてきた

アリス「よくここが分かりましたね。何用ですか?エルドリエ・シンセシス・サーティワン」

エルドリエ「お久しゅうございます。我が師、アリス様」

とりあえず俺達はエルドリエを家に入れた

アリス「それでソナタ、どうやってこの場所を探り当てたのですか?」

シュウ「正直今の整合騎士団には俺達二人を見つけるために飛竜を飛ばす余力をないと思うんだけど?」

エルドリエ「私とアリス様の魂の絆を辿って参りました」

こいつに俺は見えているのだろうか?

一度頭ひっぱたいて無理矢理俺を認識させてやろうかとも思った

エルドリエ「・・・・・と、言いたい所ですが残念ながら全くの偶然ですよ」

エルドリエは少し笑い真剣な顔に戻った

エルドリエ「最近北方でゴブリンだのオークだのがこそこそ動いていると言う情報がありましてね。北、南、西の洞窟は全て騎士長の指示で崩落させましたがそこを性懲りもなく掘り返す気かもしれないと言うことで私が確認に北のです」

シュウ「・・・・・・闇の軍勢の動きは?」

エルドリエ「・・・・・・・・・」

シカトされた

アリス「はぁ、闇の軍勢の動きは確認出来たのですか?」

エルドリエ「丸一日かけて洞窟の周辺を飛び回りましたがオークはおろかゴブリンの一匹すら見ませんでしたよ」

こいつはアリスの質問に答えるようだ

・・・・・殴りたい

エルドリエが何かを考えるといきなり立ち上がった

エルドリエ「アリス様!騎士団にお戻り下さい!我々は千の援軍よりもあなた様お一人の剣を必要としております!」

アリス「・・・・・出来ません」

エルドリエ「何故です!」

エルドリエが俺とキリトを睨んだ

エルドリエ「この男とあの男のせいですか?カセドラルの牢を破り多くの騎士と元老長、そして最高祠祭様までもを反逆の刃にかけ騎士としての責務を忘れその反逆に手を貸したこの男とあの男が今でもアリス様のお心を惑わせているのですか!?」

シュウ「おいおい、さっきまで俺の存在すら抹消してたのに随分な変わり用だな?」

エルドリエ「・・・・・・・・・・」

エルドリエが俺の首もとに剣をかざした

アリス「止めなさい!」

エルドリエが止まった

アリス「彼らもまた己の信じる正義のために戦ったのです!そうでなければ何故最強たる我ら整合騎士が騎士長閣下に至るまでことごとく破れ去ったのですか!彼らの剣の重さは直接刃を交えたソナタも身を以て知ったはず!」

シュウ「俺はエルドリエと交えてない」

アリス「少し黙って下さい!」

シュウ「はい・・・」

エルドリエ「ならばなせこの男どもは今剣を取り戦おうとしないのです!何故あのような情けない姿に成り果ててアリス様をこの辺境に縛り付けているのですか!?民を守る為にアドミニストレータ様を殺したと言うのなら今すぐにでも東の大門に馳せ参じるべきでしょうに!」

アリス「ごめんなさい。エルドリエ。私はやはりソナタと供には行けません。キリトの状況もシュウの意思も関係ない。もう私の剣力は失せてしまった。ただそれだけなのです。今ソナタと剣を交えれば恐らく三合と続かないでしょ」

エルドリエ「・・・・・そうですか・・・。ではもう何も言いますまい」

エルドリエはアリスに礼をすると家を出ていった

俺は立ち上がるとキリトを寝室に寝かした

部屋を出ようとするとアリスはまだ座っていた

シュウ「寝ないのか?」

アリス「教えて。シュウ。どうすればいいの?」

アリスは泣いていた

アリス「私は・・・、どうすれば・・・」

シュウ「・・・・・・・・」

俺は黙ってアリスの頭を撫でた

シュウ「自分で決めろ。今までお前は着いてきてくれた。次は俺が着いてってやる・・・・」

アリスは黙って俺に抱き付いた

しかしまた雨縁と春雨が騒ぎ出した

窓を見ると外が明るい

まさかと思い外に出るとルーリット村の方が燃えていた

アリス「これは・・・・ダークテリトリーの襲撃!?」

シュウ「来やがった・・・・・っ!」

 


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