豪華絢爛たる緑谷出久のこぼれ話   作:両生金魚

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注意!妄想設定大量に有り!


個性把握テストに戦闘訓練1回目【ゴージャスグリーン逆行話】

「実技総合成績出ました」

 

 雄英の会議室の一つで、教師兼ヒーローが集まっていて、入試の結果を論じていた。

 

「今年は圧倒的な奴が居たな」

 

「ああ、ありゃすげぇぜ!」

 

 ヴィランポイント100、レスキューポイント81。2位のヴィランポイント77の爆豪と100ポイント以上の大差をつけての合格である。

 

「あの"個性"の汎用性すげぇな! イレイザーの捕縛布を何本も自在に操れる様なもんじゃねーか!」

 

「5位の子も、同じ様に身体から伸びる触手状の物を扱えましたが、1位の子の特筆すべき点は、何よりそのパワーでしょう」

 

「ムチじゃなくて、腕力で引き寄せて、腕力で全てのヴィランを砕いていたね。しかも、その後はその倒したヴィランをまとめて丸めてハンマーにするなんて、発想もぶっ飛んでるよ!」

 

「アレに立ち向かったのは過去にも居たが、ありゃあ迷いなしだったな。近くに居た子を救けるためだろ? アレを止める個性の触手の強度と、アレを破壊するパワー! 一体何の個性何だろうな!」

 

「(確かに……)」

 

 この論評を非合理的だと思っている相澤も、その疑問には同意せざるを得ない。自分が受け持つであろう生徒なので今から把握は大事だが、底が知れない。

 

「(……ま、教えがいが有りそうだ)」

 

 自在に動かせるのならば、自分の捕縛布の技術も応用できるのではないか? そう思うと、まぶたを閉じてまた論評を周りに任せた。

 

 

 

 合格通知開封の翌日。20時、いつもの海浜公園。

 

「八木さん!」

 

「やあ少年! 圧倒的大差を付けての合格おめでとう! まさか君がここまでの潜在能力を有していたとは……」

 

「いえ、ワン・フォー・オールのお陰です!」

 

 一切の慢心の見えない緑谷に一安心するが――それ故に気になることが有る。

 

「……少年、あの黒い触手の事だが……」

 

「ええと、"黒鞭"って言うみたいです。……多分、先代の内の誰か一人だと思うんですけど……その人の"個性"で、ワン・フォー・オールが継承されていく内に、それぞれ6つの"個性"も強化されたみたいなんです。そう教えてもらいました。どことなく八木さんに似ている雰囲気の人でした」

 

「先代!? 継承された個性!? 6つ!? 私にちょっと似てる!?」

 

 自分の知らない情報を含めた衝撃の事実の数々に、血を吐きながら驚くオールマイト。それをいきなり使いこなすとか目の前の少年、天才過ぎね?

 

「そうだ、オールマイト、何処かサポートアイテムを作ってくれる場所を紹介して下さい!まだ、ワン・フォー・オールは5%程しか出せないんで、他で色々と補いたいんです!」

 

「良いね! 貪欲な姿勢は実に良い! ――と言っても、私はほとんどガジェットなんて使ってこなかったからなぁ……紹介できる相手となると……一人しか居ないんだが……」

 

「オールマイト……アイテム……使っているものとなると、スーツ……ひょっとして、デヴィッド・シールド博士ですかっ!?(知ってるけど!)」

 

「HAHAHA! 察しが良いね少年! その通りさ! よし、後で紹介してあげよう!」

 

「ありがとうございます!(よっし! これで色々と作ってもらえる!)」

 

 内心ガッツポーズをする緑谷。こっちの自分は、色々と出遅れている。境遇を思えば、その事を責めるつもりは微塵も無いけど、だからこそ今の自分は出来ること全てをしなければと思うのだ。入学早々、USJで襲撃も有るので、準備は幾らしてもし足りると言う事は無い。

 

 

 次の日学校で、職員室に呼び出された。通知が雄英から来たようで、爆豪と二人一緒に呼び出され、殺意の籠もった目で1日中緑谷は睨みつけられたが、眼中になど無い。脳無や死柄木、ステインにマスキュラーやウォルフラムといった強敵達と比べたら、ただのガキの癇癪の圧力などそよ風に等しい。最も、耳には五月蝿いが。

 

 放課後には体育館裏へと呼び出されたが、行く義理も義務も何一つ無いので徹底無視。殴りかかってきたので全部避けたら更にキレられたが、更に無視。近くに居た先生に助けを求めて、とっとと帰る。残り少ない中学生活は、毎日毎日が兎に角喧しかった。誰も助けに来てくれないどころか、無個性だと思っている自分を嘲笑っているのを見ると、君たちの方こそヒーロー科なんて記念受験だよねと思ってしまう。

 1-Aのみんなとは比べるのもおこがましい。残り少ない中学生活は、授業が少ないので、兎に角ひたすら身体を作るのと、黒鞭に慣れるのを重視しておいた。

 

 

 そして、入学当日。

 

「(こっちの世界では初めて会うけど、みんな元気かなぁ? 夜嵐君とはまだ会ってないけど、きっとすぐ仲良くなれるだろうし!)」

 

 見下してくるクラスメイトや、無関心な教師しか居なかった中学とは違い、個性豊かで、みんなヒーローになることを望んでいる熱い仲間たちとまた出会えることに、テンションがとても上って――

 

「机に足をかけるな! 雄英の先輩方や机の製作者方に申し訳ないと思わないか!?」

 

「思わねーよてめーどこ中だよ端役が!」

 

 ルーデルも真っ青の急降下でどん底に突き刺さった。

 

「(うわわわわっ!? 何で爆豪がこのクラスに!? よ、夜嵐君はひょっとしてB組!?)」

 

 超絶ローテンションで思案し、ついでに教室を見渡す。毎日ワイワイ賑やかだった教室も、皆ほぼ初対面だからか、上鳴や瀬呂、峰田に芦戸も大人しい。――いや、爆豪と飯田が賑やかだから、静かになっただけだろうか。

 

「あ! そのモサモサ頭は!! 地味めの!! あの時は助かりました~!」

 

「あ、おはよう! そっちも受かったんだね、良かった!」

 

 そして、変わらぬ反応をしてくれるお茶子にとても癒やされた。ほんわか明るい笑顔が、まともなクラスメイトに飢えていた緑谷の胸に突き刺さる。

 

 ほんわか癒やされつつ、相澤先生の登場にこの頃から変わってないなあと癒やされつつ、個性把握テストに向かう。

 

「ケッ! どんなインチキ使ったかは知らねぇが、ここじゃ誤魔化しは効かねぇぞ!」

 

 相変わらず無個性だと思いこんでいる爆豪は、そんな煽りをしてくるが、緑谷は涼しい顔だ。何せ、結果は直ぐに出るのだから。というより、あの試験でインチキのしようが有ると思うのだろうか……?

 

 第1種目:50m走

 

「フルカウル、7%……!」

 

 楽勝で置いてきぼりに出来ると思っていた爆豪が、驚愕する。無個性の"デク"が個性を使った自分の目の前を走るなんて――!

 

「緑谷・3秒55! 爆豪、4秒13!」

 

「なあああああああっ!?」

 

 あまりの事態に大口を開ける爆豪。

 

「(何だあれ……!"個性"の発現はもれなく四歳までだ! ありえねぇ……! けど実際……!)」

 

「どーいうことだこら! ワケを言えデクてめぇ!!」

 

 爆豪が個性を使いながら突っ込んでくるので、呆れ顔でカウンターで迎撃しようとしたら、個性を消された上に捕縛布で拘束された爆豪。

 

「(いや普通、ヒーローであり先生である人の前でこんな事する!?……あ、そう言えば中学じゃ何も注意されてないに等しかった……)」

 

 ほとほと呆れ果てる緑谷。

 

 そして、第2種目で、爆豪は更に激高する。

 

 第2種目:握力

 

 緑谷は、普通に握ると同時に、"黒鞭"を発動させて握る部分に巻き付け、その締め付ける力を補助とする。

 

「(僕の身体はまだ個性についていけてない……! だけど、この"黒鞭"単体なら、筋肉を使う必要がないから、反動も関係ない……!)」

 

 7%で握りしめ、鞭の補助で更に締める。しかし、この鞭の力は予想以上に強い様で――

 

「緑谷……999キロ。カンストだ」

 

「うおおおおっ!? 何だそれ!?」「パワーもすげぇが個性もすげぇ!」

 

「デ、デクゥ……て、てめぇ……何だそりゃあ!? てめぇは、"無個性"だったはずだろうが!?」

 

 人目も憚らずに人の過去を思い切り叫ぶ爆豪。ため息が止まらない緑谷。

 

「――僕の個性って特殊でさ。力が強いから、脳がリミッターをかけてたんじゃないかってお医者さんが言ってたんだ。――個性が発現したのは、入試の当日だよ」

 

 目の前のいじめっ子が自分を無個性だとバラしてくれた事だし、オールマイトと一緒に考えたカバーストーリーを皆の前で言う。すると、上がるのは驚きの叫び声。

 

「えええええええっ!?」「個性が発現してまだ1ヶ月ちょい!?」「そ、それでこんなに使いこなしてるなんて……凄すぎるやん……」

 

「(馬鹿な、入試の日に発現してあの精度とパワーのコントロールだと!?)」

 

 これには流石にイレイザーヘッドも驚いた。中学から取り寄せた資料では、確かに緑谷は無個性の表記が有った。だが、試験では見事使いこなし1位で合格している。個人的にも、信じられない出来事だった。

 

「だから、爆豪――。僕はもう、でくのぼうの"デク"じゃない!」

 

「なっ!? がっ!? て、てめぇ……!お、俺を呼び捨てにしやがって……!」

 

「で、でくのぼうって……」「デクって呼び方してたけど、やっぱりそういう意味……!?」

 

 唯でさえ初っ端の教室の出来事で感じが悪いのに、どんどんクラスメイトの中での株が下がっていく爆豪。そして、夜嵐を懐かしむ緑谷。せめて、B組に居ればいいけど……

 

 今にも暴発しそうな爆豪を余所に、続いて第3種目の立ち幅跳びへ。

 

「(そうだ、塩崎さんは蔓で色々な形を作って盾にしたり球体にしたりしてたし、ならこの黒鞭も似たようなことが……)」

 

 思い立ったが吉日、早速緑谷は背中から大量の鞭を出して絡ませ、大型のグライダーの羽のような形を作る。

 

「うおおおおおおっ!?」「な、何じゃそりゃああああっ!?」「黒い……翼……! まるで、堕天使のような……!!」

 

「(あ、やっぱり常闇君が反応してる)」

 

 そんな姿に懐かしさを覚えつつ、羽を広げて、思いっきりジャンプする。

 

「(着地前に……7%でっ!)」

 

 オールマイトは空中を蹴って移動していたが、この体だけではまだ出来ない。しかし、黒鞭と組み合わせることで、ふわふわ浮いて沈んでを繰り返しながら、遠くへ飛ぶ。

 

「緑谷! 何処まで飛べる!」

 

「疲れ果てるまでは、大丈夫です!」

 

「よし、無限で記録しておくからもう良いぞ!」

 

「はい!」

 

「や、やべぇぞアイツ……」「なんつー強個性……」

 

 クラスメイト達が感心する中、独りワナワナと震える爆豪。

 

「(な、何でだ……!? デクなんて、道端の石ころじゃねーか! なのに、何で……アイツが、一番凄くないのに……!)」

 

 幼い頃に勝手に定義した、デクは弱いというレッテルに縋る爆豪。だが、それを認めてくれる者は、中学にはいても、皆がヒーローを目指すこの場では誰も居なかった。

 

 その後も、安定した記録を残して、見事一位の成績を収める。ちなみに4位の爆豪はわなわなと震えていた。デクに抜かれたこともそうだが、それ以外にも更に二人も上がいることに我慢ができない男だった。

 

 そして放課後、緑谷は一縷の望みを賭けてB組を覗いてみたが、夜嵐の姿は何処にもなかった。

 

「(ま、まさか夜嵐君の代わりに爆豪が居るなんて……)」

 

 おおよそ緑谷にとって最悪の中の最悪と言っていいほど酷い展開であった。

 

「(あ、そう言えば……一番最初、轟君と仲が悪かったっけ……ひょ、ひょっとしてそれで……)」

 

 がっくりと落ち込む緑谷に、話しかけてくる人が居た。

 

「ん? 落ち込んじゃってどうしたの?」

 

 B組の頼れる姐御(未来)、拳藤一佳である。

 

「あ、うん――ちょっと、ね」

 

「? まあいいさ、君、A組でしょ。私は拳藤一佳、宜しくね!」

 

「僕は緑谷出久です。宜しくお願いします!」

 

「お? A組?」 「ほう、一人敵情視察と言ったところですか?」 「よろしくね~!」

 

 何だかんだでB組もA組に興味があったのだろう。トントン拍子で、今のうちに挨拶をしておく。なお、物間は初日から相変わらずで拳藤に落とされたが、B組メンバーがざわめく中いつもの事なので、普通にスルーしてしまった緑谷だった。

 

 

 そして次の日授業開始日。午後は初っ端から戦闘訓練で、くじ引きの結果緑谷・麗日チームと爆豪・飯田チームの対戦である。

 

「(い、飯田君……かわいそう……)」

 

 協調性の欠片すら無い爆豪と組まされるとは、最悪のハズレくじだろう。

 

「あ、あの、出久くん、どうしようか……?」

 

「うん、爆豪はあの性格だからね。間違いなく僕を狙ってくるよ。一人突っ込んで。――ただ、それに飯田くんが合わせるか、それとも一人で核兵器を守るかは分からないから、まずは一緒に1階から索敵していこうと思うんだけど……いい?」

 

「あ、はい! 任せる、任せます!」

 

 まだ出会ったばかりなので、話し方も初々しい。

 

『じゃあ、ヒーローチーム、スタートだ!」

 

 こっそり1階から入る二人。

 

「死ねぇ! デクゥ!」

 

 だが、1つ目の角でいきなりの奇襲を仕掛ける爆豪。しかも、今までのことで散々血が頭に上っていたのか、壁を幾つも吹き飛ばすほどの大規模爆破であり、ビルが揺らぐ。それを読んでいたとばかりに、麗日と一緒に避けた。爆豪はすかさず追撃しようとして、大きく右手を振りかぶる。幼い頃から何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も見てきた動きだ。左ストレートでカウンターを顔面にぶち込んだ後、黒鞭で即座に縛る。

 

「麗日さん、縛るから警戒お願いね!」

 

「す、凄い……あ、うん、分かった!」

 

「で、デク……て、てめぇっ……!」

 

「四歳の時からずっと、君に殴られ続けてきたんだ――癖なんて、全部知ってる」

 

「うええええええええっ!?」

 

 衝撃の事実に見張りを忘れて振り返る麗日。ついでに、音声を聞いていたオールマイトが吹き出した。

 

「うおわっ!?」「お、オールマイトどうしましたっ!?」「なになに、何かあったのー!?」

 

「HAHAHA! すまない、突然くしゃみをしたくなってね、きっと誰かが噂をしていたのさ!」

 

「それじゃ、オールマイト年中くしゃみしか出来ないじゃん!」

 

 マイトジョークで何とか誤魔化した。

 

 

 一方緑谷は、黒鞭で爆豪を後ろ手に縛り上げ、両方の手のひらと手のひらを合わせさせ、爆破しても自爆しか出来ないようにした後、ガジェットのロープで縛っていく。

 

「て、手慣れてるね、出久くん……」

 

 ほえ~と、感心しながらチラチラ見る麗日。

 

「うん、"無個性"だったからこそ、こういう技術は頑張って練習してきたんだ」

 

「そうなんだ! 凄いわぁ~!」

 

 最初に猿ぐつわを噛ませて、うーうー唸っている爆豪を手際よく縛って、ビルの外に転がしておく。中で下手に暴れられてビルに被害が出ても困るからだ。ヒーローはなるべく、被害を少なくするのが大事である。

 

 そして、残された飯田がただ哀れであった。本人は、フロアの物を全て片付けて、麗日の個性を封じたのに爆豪は一人速攻で捕縛されて、相手は相性最悪の緑谷である。

 屋内な上、自慢のスピードが黒鞭で作られた網で完全に包囲されて封じられた。せめて共闘していたなら、爆風でどうにか出来たろうに凄まじく哀れだった。

 

「(ご、ごめんよ飯田君……)」

 

 心の中で謝る緑谷。せめて他の誰かと組めばここまで一方的な展開になることも無かっただろうに……。

 ちなみに麗日はふわふわ最上階の窓まで浮いていって、緑谷がドアを蹴破ったタイミングと合わせての同時侵入で、核にタッチする役であった。

 

 そして八百万の講評である。緑谷の個性の使い方と、捕縛技術の精密さを褒められ、麗日は緑谷が強すぎただけで自分の役割はちゃんとこなしたと評価し、飯田は状況を正しく判断したことを褒められ、更には相方が相談する暇も無く暴走したことにドンマイコールが巻き起こる。そして当然の如く爆豪にはポジティブな評価は一つもない。

 

「爆豪さんの行動は、私怨丸出しの独断な上、何の打ち合わせもなし。おまけに1階という大事な基礎部分での大規模爆破で、ビルへのダメージもまるで考えておりません。正直な所、何一つ褒める所が見つかりません」

 

 授業開始日から、既に爆豪は身体も心も評価もボロボロだ。果たして、雄英で上手くやっていけるのだろうか……オールマイトは果てしなく不安だった。




1巻見返すと爆豪って常に暴言吐いてるわ、緑谷君虐めてるわでいい所が見つからない……しかも、この泣きながら次は勝つみたいな改心イベントやったかと思ったら、期末試験では足引っ張って、合宿の後で私闘起こしてまた緑谷君に迷惑かけて……成長展開は何処行った。

そしてこの世界線の緑谷君は夜嵐君の代わりに爆豪がクラスに居て泣きたくなってます。責めて心操君だったら――とものすっごいテンションが低いです。
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