もし一人のオリキャラが増えることで、ユウキが生きるルートが生まれるなら   作:葦束良日

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少し前に「18 新川恭二」も投稿しております。
ご注意くださいませ。


19 朝田詩乃Ⅱ

 

 

 詩乃が住むアパートの近くには商店街がある。このご時世にあって比較的人の往来も多い商店街で、そのぶん出されている店舗数も多く、生活するには多分に恵まれた環境が整備されていた。

 今のアパートに決めた理由の一つが、その商店街の存在でもあった。とはいえ、実際に住み始めると商店街の商店を使う機会は早々なく、ほとんどは少し外れた場所にあるスーパーを利用していた。

 やはり一度中に入れば多種多様な商品を購入できるという利便性には抗えなかったのだ。そのため、近くの商店街の存在は詩乃にとって通学路として通る場所、程度の認識でしかない。

 であるから、殊更に周囲を意識することもなく詩乃は立ち並ぶ店の前を真っ直ぐ前を見て素通りしていく。

 

 今日の夜はいよいよBoBの本戦が始まる。それに向けて、今からすることは多くあった。

 先んじて夕食を用意しておかなければいけないし、腹も満たしておかなければならない。学校の宿題や家事も終わらせなければならない。

 なるべくBoBに集中できるよう、他の雑事を全て片付けておきたいと詩乃は考えていた。

 何故なら、今回のBoBこそ詩乃にとって救いとなるかもしれない戦いなのだ。優勝して、最強の力を手に入れる。そうすることで、きっと詩乃は本当の強さを手に入れられる。過去に負けない、本物の強さを。

 拳に自然と力が籠もる。必ず成し遂げてみせるという意思が詩乃の中に渦巻いていた。そのためにも、意識の隅から隅までBoBに集中できるように現実世界の状況を整える必要があった。

 まだ十分に本戦開始までは時間がある。急ぐ必要はないが、早めに予定は済ませておきたいと、これからのスケジュールを脳内で組み立てる。

 

(夕方前には新川くんに会う約束もあるし……)

 

 詩乃は線の細い友人を思い浮かべる。それは、詩乃がこの街で最も気を許している相手だった。

 新川恭二。詩乃とは同じ高校に通っていた元クラスメイトだが、いじめが原因で現在は高校には行っておらず自宅学習をしている、詩乃の唯一と言ってもいい友人だ。

 元クラスメイトとはいっても、知り合ったのは学校内ではない。そもそも詩乃は彼の存在自体をあまり意識したことはなかった。

 それが変わったのは区立図書館でのことだ。その日、図書館で詩乃は銃の図鑑を見ていた。写真程度ならば既に発作は起こらないようになっていたため、リハビリのような感覚で行っていたものだ。

 その時、詩乃にとって忘れられない《あの銃》のページを見つけ、やはり件の銃とあって緩やかに発作が出る兆候を感じて本を閉じた時だ。恭二が詩乃に話しかけてきたのは。

 

 銃、好きなんですか?

 

 それがきっかけだった。

 その時、恭二は詩乃が同好の士だと思って熱心に銃について話してくれた。その中でGGOという存在についても知り、仮想世界で本物では無い銃に触れる、という体験に詩乃は興味を持った。

 

 あくまで偽物の銃ならば、克服の手助けになるのではないか。

 そう考えた詩乃は恭二に誘われるがままにGGOの世界に飛び込んだのだ。

 

 今では恭二も詩乃が現実世界で銃を極端に避けている事やその理由も知っている。あの遠藤らのせいでクラス中に広まってしまったからというのもあるが、それでも態度を変えずにいてくれたことが詩乃には嬉しかった。

 そのうえ、GGOでは先輩になる恭二は詩乃に様々なことをレクチャーしてくれた。それもあって、今のシノンがある。

 現実でも仮想世界でもお世話になっている相手。詩乃にとって恭二はそういう存在であったし、何よりGGOと出会わせてくれた事には感謝しかない。

 自分の事情を知りながら避けず、なおかつ恩もある。恭二が詩乃にとって気の置けない友人となるのは必然であった。

 であるから、これから決戦を迎えるにあたってそんな友人に会うことは詩乃にとってもいい気晴らしになることだった。

 

 ただでさえ、集中しなくてはならない状況なのに気がかり(・・・・)を抱えてしまっているのだ。気分転換は必要だった。

 ふと、詩乃の眉が寄る。それは、その気がかりについて意識してしまったからだった。

 

(ソウマのやつ……結局何が言いたかったのよ)

 

 昨日、予選が終わった後。

 詩乃はソウマに話を聞きに行った。彼とキリトと呼ばれる彼の知り合い。彼らが一体何を抱えていて、それをどう乗り越えたのかを聞きたかったのだ。

 もちろんそれがデリケートな問題であることは百も承知だ。詩乃にもそれはわかる。詩乃も大きな悩みを抱える身として、土足で踏み入られたくない気持ちへの理解は他者よりもあるつもりだった。

 だから、聞ける範囲で教えてくれないかを頼むつもりだった。それが自分にとっての解決策になるとは思っていないが、せめて参考になればいいと思ったからだった。

 しかし、話しかけに行ったシノンに、まずはキリトという少女のような少年が断りを入れた。

 

「ごめん、シノン。君には恩があるしそのお願いも聞いてあげたいけど、今は時間がないんだ。また明日、よければ話を聞くよ。それじゃっ」

 

 と言うが否や、その姿は光の粒子となって消えていた。

 まるで一分一秒も惜しいと言わんばかりの態度に呆気にとられるが、しかし聞けなかったなら仕方がない。シノンは気を取り直してソウマに向き合った。

 ソウマは困ったように頭を掻いた。

 

「俺もあまり時間はないんだけどな。キリトほどじゃないけど……」

「それでもいいわ。……ねぇ、お願い。あなたの話を聞かせてもらえないかしら」

「それは、シノン。お前にとってそれほど重要な事なのか? それこそBoBよりも?」

 

 固い声だった。そのことに、シノンは驚く。ソウマはどちらかといえば気さくで、常に余裕がある人物だった。少なくともシノンにはそう見えていた。

 そんな彼がこんなに感情味のない声を出せるということそのものにシノンは驚いていた。しかし、だからといって引くことはできない。

 それこそ、ソウマが言うように。この問題はシノンにとってBoBより大切だからだ。なにせ、それこそがシノンがBoBにこだわる原因であり理由なのだから。

 だからといってBoBがどうでもいいというわけではない。なので、詩乃の回答は「ある意味、そうよ。私にとって一番大事な事」という答えになるのだった。

 そして、それを受けたソウマはじっと押し黙った。何を言うべきか迷っているのだ。

 やがてソウマは顔を上げてシノンを見た。その表情は真剣そのもので、息を呑む。

 

「これを聞いて、お前がどういう態度をとっても俺は文句を言わない。疎遠になるのは残念だが、後でフレンドを切ってもいいからな」

 

 何を言うのか、とシノンは怪訝に思う。いくらなんでも、いきなりフレンドを切るほどシノンはソウマのことを嫌ってはいない。

 むしろゲームの中だけではあるが、友人だと思っていた。だからそんなことはありえない、と言おうとするが、その前にソウマの口が動いていた。

 

「SAO。俺が昔いたゲームのタイトルだ。そこで俺は……事情があったとはいえ許されないことをした」

 

 シノンの目が見開かれ、言葉が失われた。

 

 SAO。ソードアート・オンライン。それは近年の世情を語るうえでは欠かせないゲームのタイトルだった。

 初のVRMMORPGと銘打たれて世に出されたそれは、瞬く間に世界中に名を知られる存在となった。なにせ、そのゲームはクリアするまでログアウト不能かつ、ゲーム内での死が現実世界での死にもなるという悪魔のゲームだったからだ。

 一万人の被害者に対して、二年後に現実へと帰還したのは六千人。つまり、四千人もの人間がそのゲームによって命を奪われたのだ。

 詩乃もそのニュースはよく見ていた。恐ろしいこともあったものだ、と眉をしかめて見ていただけの、ただの情報。

 もちろん、六千人の生還者――SAOサバイバーと呼ばれる者達がいることも知っている。彼らが到底自分では経験できないような経験をしてきたことも知っている。

 けれど、こうして目の前にその存在を感じることなどなかった。

 ただの情報だったSAO事件が、シノンにとっても急速に現実味を帯びてくる。彼は、その現実を生き抜いてきた存在なのだ。

 生きるか死ぬかの世界で、二年。それは想像すらできない世界だった。

 

 そして、彼は言った。許されないことをした、と。

 

 SAOはデスゲームだ。プレイヤーのHPがゼロになれば、現実の肉体も死に至る。このGGOのようにプレイヤー同士で戦い、相手のHPを削りきるなど、してはいけない世界だったはずだ。

 

 ならば、許されない行いとは――。

 

 

「――ッ」

 

 推測が自身の中で成り立ち、シノンは唇をわななかせた。揺らぐ体を必死に抑える。

 許されない行い。

 それはつまり。

 

 ――自分と同じ体験をしたのではないか?

 

 そうシノンが考えるのは至極当然の帰結だった。

 

「想像がついただろう? 俺はそういうことをしたんだ」

 

 そんなシノンの反応を恐怖と取ったのだろう。ソウマは寂しそうに苦笑しながらそう言った。

 

「許されないことだ。決して乗り越えてなんていない。あれは俺にとって忘れられない……忘れてはいけない出来事だ。これからもずっと、俺はその事実を胸に抱えたまま生きていくと思う」

 

 そのソウマの言葉は、シノンに絶望を感じさせるには十分だった。

 これまでは周りに自分と同じ体験をした人はいなかった。だからこそ、やがて自分はこの過去から前を向けると信じてやってこれたのだ。数ある過去の一つとして埋没させ、未来に向かえるはずだと。

 しかし、かつてシノンと同じ体験をしたという人が言うのだ。忘れる事なんて出来ない、一生付き合っていくのだ、と。

 

 それはシノンにとって希望がなくなるのと同義だった。

 

 ソウマは強い。シノンはその事を認めていた。

 そのソウマでさえ過去を未だ抱えているのだとしたら。

 

 たとえBoBで優勝したところで、自分もそうなのではないか?

 

 シノンは足の力が抜けそうになるのを懸命にこらえた。それでも全ての動揺を隠すことは出来なかったようで、ソウマの顔に気遣わしげな色が浮かぶ。

 

「ごめんな、こんなロクデナシで。今後、俺からシノンに近づくことはないから安心してくれ」

 

 シノンの動揺する姿を見て、ソウマはやはりと思っていた。普通の人間にとって、殺人の過去を持つ人間が傍にいるのは苦痛だし負担だろうと。

 やはりシノンとの付き合いはこれまでにすべきだと結論付ける。そう決めた上で、ソウマは更に言葉を続けた。

 

「そして、一つだけアドバイスだ。俺は確かにずっとその過去と付き合っていく。けれど、だからといってそれに縛られることはないし、そのつもりもない」

「え?」

「俺は確かに許されないことをした。けれど、だからこそ手に入れられたものもあった。そのことを忘れていた――いや考えなかったから、俺は苦しんだ。もしシノンにも何か悩みがあるなら、視点を変えてみるのも大事なんじゃないか? それで気付くこともあるかもしれない」

 

 どういうことだろう? 視点を変える、とはどういう意味なのか。

 シノンはソウマの言ったことに首を傾げる。それに、そんなことをしたというのに、手に入れられたものなどあるのだろうか。

 それどころか失ったものばかりだった。シノンにとって、あの過去は自分から多くの物を奪っていった出来事だった。その中で得られた物など何一つない。

 思わず考え込んで無言になるシノンから、ソウマは一歩下がった。

 

「少しでも何か参考になってくれれば幸いだ。これまでお世話になったしな。それじゃ、今までありがとうな。楽しかったよ、シノン」

「あ、ちょっ……!」

 

 気づいて声を上げた時には遅かった。既にソウマはログアウトし、その場から消えてしまっていたからだ。

 結果、何かを言うべき相手を失ったシノンは、問いたい事や云いたいことを胸に抱えたままログアウトする他なくなった。

 それが現実世界に戻った今でも、気がかりとなって詩乃の心に残っているのだ。

 

(あいつ……勝手にお別れみたいなことを言って。何が、今までありがとう、よ)

 

 当然、詩乃はソウマとのフレンドを切ってはいない。そのままにしている。

 そもそもがこちらからお願いして話してもらったことだ。だというのに、勝手に怖がって避けるなんて、あまりにも身勝手に過ぎるではないか。自分がそんな奴に思われているのなら癪だったし、その程度の弱い女に見られていると思うと心外だった。

 胸の内で舌打ちする。せっかく夜に向けて集中したいと考えていたのに、これでは集中とは真逆である。気が散って仕方がなかった。

 しかし、一度考え始めてしまえば考えるのを止めることは出来なかった。何故なら、ソウマの話は詩乃にとって無視できない体験談だったからである。

 

(SAO……許されないこと……それってやっぱり……)

 

 話に聞くデスゲーム。その中での禁忌で最たるものと言えば当然、プレイヤーを殺すことだろう。

 何故ならプレイヤーのHPと現実の命は繋がっている。すなわち、ソウマがその許されざることをしたならば、ソウマは現実世界の誰かを殺したということになる。

 それは詩乃と非常に似た体験だ。状況は違えど、行い自体に変わりはない。

 ソウマは詩乃と同じく、人を殺した経験がある。つまりはそういうことなのだろう。

 

(でも、それならどうして……)

 

 詩乃は出会ってからのソウマの様子を思い浮かべる。

 初めて会ったのは二か月前。まだほとんど初心者装備のままであったソウマが、それまでクリア者のいなかったミニゲームをクリアした姿に興味を持って話しかけた。

 既にSAOがクリアされて久しい頃だったが、その時にもソウマの顔には笑顔があった。自分をからかう余裕もあったし、ゲームを楽しむ姿に偽りはなかったと思う。

 つまり、詩乃と同じ体験を経ていたにもかかわらず、詩乃には出来ないことをソウマはしていたのだ。

 詩乃が仮想世界に求めた強さ。強さを得ることで乗り越えようとした過去に、ソウマは一体どのようにして向き合ったのか。

 それは詩乃にとって何にも代えがたい答えであることに間違いなかった。

 そして、ソウマはその答えを恐らくは詩乃に伝えてくれた。

 のだが……。

 

(視点を変えるって、どういう意味よ……)

 

 それによって気付くことがあるかもしれない、とソウマは言った。

 しかし、そもそも視点を変えるということ自体が詩乃にはよくわからなかった。

 自分がやった行いはどう言い繕っても許されない罪だし、罰されるべきものだ。それはどれだけ視点を変えて見たところで、決して変わらない事実だと詩乃には思えた。

 どう言ったところで、それは罪なのだ。人の命を奪ったという事実は、視点を変えたところで変わらない。

 詩乃は悩むが、結局ソウマが言っていたことの意味については、わからなかった。そのことがまた詩乃の心をもやもやさせ、集中を乱す。

 

(ああ、もう……! ……はぁ、早く買い物をして帰ろう)

 

 悩んでも結論は出ない。そう判断した詩乃は気持ちを切り替えて、当初の予定を遂行することに決めた。

 まずはスーパーで軽い食べ物と飲み物を購入する。あまり食べ過ぎても集中力は乱されるからだ。それが僅かであっても極限の状況ではその小さな誤差が結果を左右することもある。それゆえの軽食だ。

 あとはそれを部屋に置いて、その後は恭二に会う。そしていよいよBoB本番だ。

 待ちに待った本戦の始まり。シノンが優勝し、詩乃が本物の強さを手に入れられるかどうかが問われる試合。その開始が近づいている事実に、気持ちが昂る。

 

(ついでに、あいつにも教えてやらないとね)

 

 ログインしたら、ソウマを探すのだ。そして肩を叩き、何でも無いように「今日は後ろに気を付けなさい」と声をかけてやる。

 怖気づいて自分を避けるに違いないと思っているあの男に、自分はそんなに弱い女じゃないと教えてやるのだ。

 自分がそんな身勝手でヤワな女だと思われているなど、シノンのプライドが許さなかった。

 詩乃は驚くだろうソウマの顔を想像して少しばかり溜飲を下げて、前を向いた。

 

「詩乃さん!」

 

 そこに、掛けられる声があった。

 名前を呼ばれたことに驚いて詩乃がそちらを見ると、その声をかけてきた少女を確認してもう一度驚く。

 

「えっと……木綿季?」

 

 昨日、遠藤らに絡まれているところを助けてくれた少女。そして、詩乃の一方的な都合によって酷い別れ方をしてしまった少女だった。

 それゆえ詩乃はバツが悪そうにして彼女の名前を呼んだ。

 だが、木綿季は全く気にしていないようで、ぱっと表情を明るくさせた。

 

「うん、ボクだよ! よかったー、詩乃さん元気そうで。心配してたんだ」

 

 てへへ、と照れ臭そうに笑う少女に、詩乃は一層居心地が悪くなる。

 きっと、その言葉は本心なのだろう。それがわかるような天真爛漫な笑みだった。

 だからこそ、手前勝手な都合で無碍に対応してしまったことを詩乃は後悔していた。元々その気持ちはあったが、より強くなったというべきか。

 木綿季に悪気はないのだろうが、だからこそ余計に申し訳なく思ってしまう。

 

「その、ごめんなさい。昨日は突然帰ってしまって……」

「え、いいよーそんなの。詩乃さん顔色が悪かったし、体調が悪かったんでしょ? ボクのほうこそ引き留めちゃってごめんなさい!」

 

 頭を下げる木綿季に、詩乃は慌てて「そんなことないわ。こっちこそ」と言って頭を下げる。

 お互いに遠慮し合って頭を下げる姿は奇妙な光景となっていた。そんな二人の間に、ふと新たな第三者の声が混ざる。

 

「――木綿季、それじゃ話も出来ないだろ。話がしたいなら、ファミレスに戻ってからにしたほうがいい。寒いし」

「あっ、そうだね。よければ詩乃さん、今日もボクとお茶しませんか?」

「えっと……」

 

 冗談交じりなのか笑いながらそんなことを言う木綿季に、詩乃は言葉を濁した。

 そして彼女の後ろに立つ男に目をやる。

 中肉中背。これといって突出した特徴はパッと見では見つけられないが、顔つきにはどこか余裕があり優しげに見える。それは詩乃から見て、男性が年上に見えるからなだけかもしれないが、それでも、初見で悪印象を抱くような相手ではないように思えた。

 昨日言っていた、木綿季の年上の彼氏かな、とそんなことを詩乃が思って見つめていると、その男性は表情を笑みへと変化させた。

 

「はじめまして。俺は高谷総真です。よろしく」

「えっ――あ、私は朝田詩乃、です」

 

 それは、ついさっきまで考えていた相手と同じ名前だった。そのことに驚いて僅かに声を詰まらせるが、なんとか自己紹介を済ませる。

 ソウマ、なんてよくある名前だ。こういうこともあるだろう。それにしても変な偶然だと詩乃は思いながら、「時間があるならどうかな? ね? ね?」と懐いてくる木綿季に苦笑して、詩乃は首を縦に振るのだった。

 

 

 




タイトルが被ったので「Ⅱ」です。
ほぼ詩乃の内面となるので、他のタイトルが思いつかなかった……。

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