佐倉蜜柑の兄は運命に抗う   作:こむぎ子

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今回は準備回もとい説明回です。



03話 自分に出来ること

 約1週間振りの蜜柑と初めての鳴海との邂逅の翌朝、なんとか祖父自身の病気、残り予算、強引に一緒に来たのを棚に上げて学校にそろそろ行かなくてはと言って、祖父を説得し京都の田舎に帰ってきた。

 病院の先生に祖父を頼み、学校へ向かう。

 予想していたが学校では質問攻めしかされなかった。思えばここ最近質問攻めしかされてない。この刺激のない田舎では怒涛のスクープ続きでみんな興奮しているから仕方のない事だけれども。

 蛍の時のアリスと分かって学園に行く時も大騒ぎだったのに、突然家出した蜜柑がこれまた突然アリス学園に入学したというのだ。

 みんな事の真相を知りたくてたまらないのだ。

 

「一度入ったら卒業まで出られへん監獄みたいな所なんやろ?そのアリス学園っちゅーのは」

「残された来夢かわいそうやな」

「ホンマに会うことできんかったん?」

 

「じいちゃんと一緒に行ったけど警備が厳重で会えんかった。アリス学園については俺も詳しいことは分からへんから、放課後蛍の両親から聞いてみようと思うねん。みんな心配してくれてありがとうな」

 

 あんま気を落とさずにな、と学校のみんなから気を遣ってもらい、放課後さっそく蛍の家に訪れた。

 蛍の学園入学による特別待遇のお金は、今もこの村に寄付しているらしい。なのでここの村に今井家は在住している。

 みんなにはああ言ったが、アリス学園については自分が此処の誰よりも詳しい。学園について聞くというのは建前で、他に聞きたいことがあるのだ。

 インターフォンを鳴らし、扉から出てきた相手にお辞儀をする。

 

「突然すいません、ちょっと聞きたいことがあって」

「来夢くん?」

 

 蛍の母は驚いた顔をしながらも家に上がってとお招きされた。

 

「いま主人は仕事中で居ないけど、私で良かったかしら?」

「はい」

 

 目の前に紅茶とクッキーが置かれたが、それに手をつけることなくさっそく学園について聞く。

 

「聞きたいことというのはアリス学園のことなんです。不躾ですが、知っていること教えてください」

「……そんなに畏まらないで。来夢くんも蛍の友達だもの」

 

 つい先生とかじゃない大人相手になると「わたし」の言葉遣いが出てしまう時がある。ついでに関西弁も綺麗さっぱり抜ける。

 焦ってアワアワしている来夢を見て、それに、と蛍の母は言葉を続ける。

 

「村のみんなが騒いでいたの。蜜柑ちゃんがあの学園に行ってしまったんでしょう?」

「あっはい。蜜柑が家出したその日の夜に、学園に入学したと電報が来ました。蜜柑は蛍に会いたい一心だったんだと思います」

「……そこまで思ってくれる蜜柑ちゃんと、学園から出られないと言っても、再会できて蛍は嬉しいと思うわ」

 

 蛍の母は少し俯いていたが、それでも笑っていた。

 しかし次の話題で深刻な顔になる。

 

「でも来夢くんは何の前触れも無く、蜜柑ちゃんと離ればなれになってしまったのよね。あの日、私は蜜柑ちゃんに蛍が学園に行った理由を話したの。だから私に責任があるわ、本当にごめんなさい」

「そんな!知らないままだったら蜜柑は親友と大きなスレ違いをしたまま、大人まで会えなくなるかもしれなかったんです。蜜柑は本当にアリス持ちだっただけのことです、今井さんのせいじゃ無いです」

 

 来夢は必死に蛍の母が責任を感じることは無いのだと熱弁する。

 幼い今井昴を学園に送ってしまったという過去から、家族が引き離されることに敏感になっているのだろう。悲しませたくなくて話題を変えることにした。

 

「蜜柑が入学したのはもう変えられない事実です。でもじいちゃんを少しでも安心させたくて。アリス学園について、アリスについて俺とじいちゃんは知らないまま東京に行きました。アリス学園の近くまで行っても分かることは無かった。だから知りたいんです」

「お爺さんの為にも、か。来夢くんは偉いわね。私に協力できることはするわ」

 

 それからアリスは超能力のような特別な才能の事であること。先に入学した蛍の兄、今井昴から手紙の返信が無いこと。その事から親が嫌いになったかもしれないと心配であること。もうすぐ大人になるだろう彼と、学園に入ってから1度も面会もできてないくらい外との繋がりを絶っていること。何処から情報を掴んだのか、蛍にアリスがあるとわかった途端学園に追いかけ回されることとなったこと。学園はとても高い情報収集能力があるのではないかと色々話してくれた。

 

「私が知っていることはそれくらい。手紙も来たことないから、学園の内情を知らないの」

「……そうなんですね」

 

 原作で知ってる通りだったが、今井昴の事情、学園から家族を盾にされ縛られている状況を思えば、ここでも家族で思いのすれ違いが起きてると思うともどかしかった。

 本来優等生である今井昴が、会いたい家族に会う手段も資格もあるというのに、学園にとって不都合があれば、その生徒の家族を脅しにつかう学園のクソさ加減に胃のあたりがぐるぐるする。

 すっかり冷めた紅茶を飲み、心を落ち着かせ本題に入る。

 

「今日聞きたかったことは他にもあるんです。蛍のお兄さんや蛍はどんな状況でアリスだと分かったんですか?」

「……昴は主人が怪我した時、治そうとして近づいた瞬間治癒のアリスが、蛍はオモチャを作る感覚で色んな不思議なモノが溢れさせてた時に発明するアリスがあるのだと分かったの」

 

 聞いて想像するに、今井昴は治癒のあとに痛みのアリスがわかったのだろう。

 どちらもごく自然に呼吸するかとようにアリスがわかったようだ。

 

「どちらもアリスがあるんですよね、他に兄妹が共通してることありますか?」

「兄妹でアリスだから……あっ、」

 

 蛍の母は来夢の聞きたいことが何か気付いたのだろう、持っていた紅茶のカップを乱暴において、一気に顔色が悪くなった。

 

「来夢くん、もしかして……」

「──はい。今井さんが考えていることで合ってます。今井さん家で兄妹はどちらもアリスを持って生まれた。だから、蜜柑がアリス学園に入学したってことは、俺自身同じくアリスを持っているかもしれないんじゃないかって思って」

「そんな、でも確かに、あり得る……。それで来夢くんは私に聞きに来たのね」

「はい。やっぱり可能性は高いみたいですね」

「私も自分たち家族以外のアリスの人に会ったことないから、断言できないけど、昴と蛍がそうだったんだもの。来夢くんは自分で何かのアリスを感じる?」

 

 来夢はいいえ、と答える。それに蛍の母はホッとしたような顔をし、しかしすぐに思案顔になった。

 

「俺がアリスを持ってるか持っていないのか、今のところ分かりません。でももし持っていたとして、学園に行くことになってしまったら、じいちゃんをお願いしたいんです」

「えっ?」

「村のみんなも優しいのでじいちゃんに気を遣ってくれると思います。でも、アリスの子を持った親として、今井さんがじいちゃんの何よりの理解者です」

 

 勝手だと承知です、じいちゃんをお願いできないでしょうか。

 

 来夢と蜜柑の両親を見たことないから、2人にとって祖父は唯一の保護者なのだ。

 来夢は祖父を残して行くかもしれない可能性に憂いを感じていた。

 自分も辛いはずなのに、未来を見据えて大好きな家族を守ろうとする来夢に、蛍と同じ不器用な愛情を感じた蛍の母は、もちろんと答えた。

 

「もう、本当にそんな畏まらないでいいのよ。蛍に大事な思い出をいっぱいくれた来夢くんと蜜柑ちゃんにはとても感謝してるもの。当たり前のことよ」

「……ありがとうございます。何卒よろしくお願いします」

 

 ぺこりと頭を下げる来夢。大人顔負けの敬語つかったり礼儀正しいかったりする来夢は、両親がいない分しっかりしなくてはという部分が少なからず合ったのでは無いかと蛍の母は考える。

 まだ小学生でそんなにしっかりしなくてもいい、まだまだ子供は甘えていいと思う一心で来夢に微笑みかけた。

 

「蜜柑ちゃんたちももらったかしら?蛍から最近やっと手紙が届いたの。だから時間はかかるかもしれないけど、蜜柑ちゃんからも手紙が来ると思うわ」

「はい、もらいました。じいちゃんもそれを聞けば少しは安心します」

「蛍から手紙が来たということは、昴は昴自身の意思で返信をしないのかしら……。まだ何も知らなかった昴を学園に送ってしまったのは私たちだもの、恨まれても仕方のないことね」

「そんなこと……!」

 

 ごめんなさい、来夢くんにこんなこと言ってしまって。

 そう悲しげに笑う蛍の母をみて、そうではないというに言えないもどかしさから、来夢は言おうと思ってなかった言葉がポロリとこぼれた。

 

「カニ食べ放題の時みたいに、また佐倉家と今井家でご飯を食べましょう。今度は蛍のお兄さんもいっしょに」

 

 言った後に来夢は自分が何言ってるのか、内心びっくりしてた。

 その言葉に蛍の母は目を見開いている。

 あの時の記憶は今でも鮮明に覚えている。蛍だけでなく、逃げてばかりいてろくにご近所付き合いをしてなかった蛍の両親にとっても、幸せの記憶であった。

 なんて優しい子だろうと、夢のような提案に、蛍の母は顔を覆い隠す。

 

「ありがとう、来夢くん。ありがとう……」

 

 耐えきれなくなった蛍の母が、一筋の涙を流して来夢にお礼を言った。息子に嫌われているんじゃないか、学園から帰って来ないんじゃないかとずっと不安だった蛍の母にとって、それとてもあたたかい未来予想図だった。

 

 

 

 紅茶のおかわり入れてくるわね。

 

 コポコポといい香りの紅茶が注がれる音がここまで聞こえてくる。

 丁寧に紅茶を入れている後ろ姿に、今日本当に聞きたかったことを、来夢は勇気を出して、今日訪ねた「本当の」理由を投げかける。

 

「……今から聞くことが、答えたく無かったら無視してください」

「え?」

 

 今井家と佐倉家でご飯をまた一緒に食べる約束。さっきうっかりしてしまった約束だが、何もせず原作のまま進むのなら、その未来は限りなく不透明である。

 今井昴と今井蛍は日向棗を救うため、蜜柑のためにタイムトリップのペナルティで時空を彷徨い、みんなからの記憶からもほとんど消されてしまう。

 原作では2人はいつそのペナルティから解放されるか明言されてないはずだ。

 

「学園にいるはずの2人と二度と会えないとなってしまったら、どうしますか」

 

 紅茶を注ぐ音がピタッと止む。振り向いた蛍の母は、質問の意図を図りかねるような顔をしている。

 ついさっき優しい約束をしてくれた子とは思えない、唐突すぎる質問に驚き固まっている。

 しかし、真剣でどこか不安げな来夢の様子を見て、蛍の母はまっすぐに見つめ返して答えた。

 

 

 

「見つけるまで探すわ。たとえ遠いところであっても、アリスという人智を超えた能力に拒まれたとしても」

 

 

 

 凛と背筋が伸びる声だった。それは混じり気のない、本心であった。

 

「二度と会えなくなるなんて、そんな悲しい事簡単には信じられない」

 

「恨まれても、離れていても、私にとって大事な家族であることは何一つ変わらない」

 

「一生涯かけてでも、会って家族との時間を再び紡ぎたいの」

 

「ゆっくりでいい、ぎごちなくたっていい、私は貴重な子供のときの時間を家族離れて過ごしてしまった分、たくさんお話もして甘やかしてやりたい」

 

「そしてその上で昴と蛍が元気なら、これ以上望むことなんてないの」

 

 原作では描かれなかった蛍の家族の本音。

 いきなり残酷な仮定を言った来夢に対して、それでも真摯に答えてくれた。

 

 ──この人と蛍たちを引き裂きたくない。

 

 自分のエゴだが、さっきの約束を実現したいと強く思った。

 来夢はこの「世界」でひとつの覚悟を決めた。

 

 

 

「……変なこと聞いたのに、答えてくださりありがとうございました」

「ううん、だからといってはなんだけど、来夢くんの両親も2人を探していると思うわ。きっと」

「へ?」

 

 蛍の母からすれば、来夢自身の両親の事だと思っての発言だと考えてた。

 知らぬは蜜柑ばかりで、村のみんなからも蜜柑と来夢の兄妹に両親がいないのは、置いていかれたか、他界したのだろうというのは周知のことだったのだ。

 両親と会えない来夢は寂しかったのではないかと思い、それ故にあのような質問したのだと考えた。

 当の来夢はなぜイキナリ俺の両親のことが?と突然会話に両親が登場したことに困惑していた。

 しかし愛おしげに微笑んでる蛍の母に、これ以上何かいうのも憚れて、とりあえず来た時から鎮座してるクッキーにやっと手を伸ばした来夢であった。

 

 ふと時計をみるともう良い時間だった。

 蛍の母とお別れをしたあと、病院にいる祖父を迎えに行き、そのまま一緒に自宅に歩いて帰る。

 その帰り道で、うっかり自分が知ってる情報を話さないようにしながら、蛍のお母さんから聞いた分だけのアリス学園のことを祖父に話す。

 

「そうか、蛍ちゃんも蜜柑もそんな厳しいところに行ってしまったんじゃのう……」

「じいちゃん」

「来夢も蜜柑が居なくなって寂しい思いしてるというのに、心配かけたわい。すまんのう」

「ううん、俺は大丈夫だよ。それにすぐにとはいかないけど手紙もくるだろうって今井さん言ってた。だからじいちゃんこそ身体大事にしてな」

「そうじゃな、来夢」

 

 文化祭の終わる時期に、鳴海が蜜柑の手紙を抱えてじいちゃんのところに訪ねるはず。そのことは話せないから、とにかくじいちゃんを安心させることに精一杯だった。

 病み上がりのじいちゃんに、兄弟でアリスの場合があるということを話すことができなかった。

 

 

 

 ✳︎

 

 

 

 その日の夜。

 じいちゃんに栄養のある夕飯を食べさせた後、早々に寝てもらった。

 蜜柑が居なくなって広くなった部屋の中で、頭の情報を整理しようと目の前に2冊のノートを置く。

 

 1つは「わたし」が覚えている限りの学園アリスのストーリーをまとめたもの。

 幸い「わたし」の記憶は休日に学園アリスを一気読みした所で止まっている。

 暗転してはノートに忘れる前に書くを繰り返してやっと8歳の頃に完成したものだ。

 人に見られてはマズイので簡単な暗号化してる。

 人名を使わないようにして文の2文字目と5文字目を交換したり、いたるところ×印で文字を消してみたりと、足りない頭ではそれくらいしか思いつかなかったが。

 

 もう1つは、母親である安積柚香の軌跡を追ったもの。

 正確には安積柚香だと思われる軌跡である。

 自分が何かしらアリスを持っているかと模索してたが、めぼしい成果も無い時に非アリスの可能性に行き当たり、それで何ができるか考えて、新聞などを隅々まで見ることが始まった。

 直接的にアリス学園のことが書かれてるものがほとんどだが、稀に、深夜に爆発音が発生するも怪我人は確認されてませんとか、あった筈の建物が突然消えたなどといった、アリスによるものと考えられる事件が新聞に小さい記事で載っているのだ。

 1冊目が書き終わった時期にこのノートを作成し始めた。

 全てが安積柚香と関わりあるわけではないだろうが、今後非アリスだった場合蜜柑たちと違い学園の外で活動することになるだろう。その時に何かの手がかりになるかもしれないと、3、4社の新聞を見比べちまちまと記事をメモしたり、事件が発生した土地を明記したりしていたのだ。

 このノートの後ろに貼っている日本地図にはその土地に赤い印がつけられており、生物分布図とみたいになっている。

 全国的に分布されてるが、東京近郊に集中していることがわかる。

 2冊を比べると前者は古いわりに綺麗で後者は分厚くなっている。

 この2冊は手放す訳にはいかないが、保存・管理にいい方法が思い浮かばない。

 ウンウン唸っていてもアイディアは出ないので、とりあえず管理方法は保留。

 

 次に今後の目標。

 再三言うようだが、佐倉来夢が存在している時点でもう本来の物語からズレているであろう。

 本来の物語は犠牲者も被害者も多く、決して大団円のハッピーエンドでは無かった。

 しかし、そんな犠牲があったからこそ生まれた尊いものもあった。希望もあった。

 それを自分如きが、本来ある筈だった事を無くしたり全く別の運命が生まれたりして良いのか、この約10年間葛藤してた。

 でも「わたし」は帰り方も分からない。1人だけ漫画の人物と触れ合える謂わば異物だ。

 だから、この世界は皆が死なず、笑顔でいられるエンドを迎えてもいいのではないか。

 そのためにできる事をしたい。漫画では実際に描かれなかった名もなき人たちも、幸せになるために。

 蛍の母との会話で、あの真剣な目で、心が定まった。

 

「安積柚香の生存。日向棗、茨城のばらの危篤回避」

「それによって今井兄妹のタイムトリップペナルティ回避。出来れば蛍の外国行きも回避」

「初等部校長側の人達を早めに不信感を持たせる」

「ゆくゆくは学園の体制を正す」

 

 パッと考えただけでかなり壮大だ。本当に1人でできるか?

 てか最後のはなんだ教師の上に行くつもりか自分。

 でも考えれば考えるほど、成人も迎えてもいないこどもを危険な目に遭わせすぎな学園なのだ。それを思うと考えずにはいられないから仕方ない。

 

 小学生の自分がもってる優位性は、原作知識と言う名の情報だけだ。

 習っている合気道も、素人に毛が生えた程度だろうし、実戦ではあまり使えないだろう。

 大きな目標ができても、それに至るまでのプロセスがまだ不透明だ。

 2冊のノートを見比べながら、今後自分は何をすべきか考え、夜が更けていった。

 

 

 

「来夢、朝じゃぞ」

 

 じいちゃんの声が聞こえハッと目を開ける。ノートを開いたまま寝てしまってたようだ。

 急いで机の中に仕舞い、部屋を出る。

 

「おはよ、じいちゃん」

「おはよう。はよう食べんと学校に遅れてしまうわい」

「あ、ほんとだ」

 

 この時間じゃニュースも見る暇がない。昨日色々あって寝すぎたようだ。

 朝ごはん食いっぱぐれは勘弁だ。じいちゃんの味噌汁は世界一美味い。

 

 ──そんな久方ぶりの穏やかな朝だった。

 

 ピンポーン。

 インターフォンが居間に響く。じいちゃんはなんだなんだこんな時間に、といそいそと玄関に向かう。

 来夢はそれを見ている時間はないので黙々とご飯を食べていた。

 

 

 

「アリス学園の者です。本日は佐倉来夢の調査で参りました」

 

 

 

 その一言に来夢とじいちゃんは凍りついた。

 こんなにはやく来るなんて。

 来夢は自分の浅はかさに、箸を強く握りしめることしかできなかった。

 

 

 

 

 


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