ダンジョンにユグドラシルの極悪PKがいるのは間違っているだろうか?   作:龍華樹

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第17話

ガネーシャ・ファミリア主導のキャラバンに参加してから二日目の昼過ぎ。ベル達はリヴィラの町にたどり着いた。

 

リヴィラには入場税がなく外壁もない、ギルドの衛兵もいない。岩肌むき出しの小山の上に柵をぐるりとめぐらし、粗末な掘立小屋がびっしりと立ち並んでいるといった風情で、見た目はなんとも粗末なものだが、独特の活気がある。

そこらじゅうで古びた装備を売ったり修理をしたり、即席のパーティーを集めたり、食べ物や消耗品や情報を売ったりする者達がひしめき合っている。素材や魔石の買い取りを呼びかける者や、治療はいりませんかと呼びかける施療師らしい者もいた。

まるでスラムと歓楽街と職人街が合体したような雑然としたありさまだが、住人はいずれも武器や防具を帯びた冒険者だ。当然ながら堅気は一人もいない。

 

街の中にはボロ布を敷いて品物を並べただけの露店がびっしりと並んでいるのだが、どれも目の玉が飛び出るくらいの値段がつけられていた。なるほど、道理でこんなキャラバンが組まれるはずだとベルは納得した。

意外にも情報通のアンジェリカに聞くと、これでも以前に比べると値がだいぶ下がったのだという。ここ最近、リヴィラではあらゆる品物が値崩れを起こしているそうだ。

 

「原因はアレ」

 

アンジェリカは意味深そうな笑みを浮かべて、とある方向に顎をしゃくった。

やや奥まった一角、立派な丸太づくりのログハウスのような建物が一軒だけポツンと建っている。入口の大扉はあけ放たれていて、人がひっきりなしに出入りしているのが見えた。

大手のファミリアの拠点かギルドの出張所だろうかと、ベルは首をひねったが、アンジェリカは「ベルっちは知らないほうがいいにゃ♪」と教えてはくれなかった。

 

それはともかく迷宮の楽園(アンダーリゾート)に辿り着いた当初こそ、「イヤッッホォォオオォオウ〜!!ついに来た、18階層!!」 等と騒いでいたベルだったが、着いてから早々にやらされたのは大量の荷物の整理だ。

サポーターに交じって目一杯に箱詰めされた荷物を取り出し、リストのとおりに並べ替え、傷や痛みがないか一つ一つ確認する。あらゆる物が高額で取引されるリヴィラでは、小さな品物一つとて大事な商品、無下にすることは許されない。

リストとにらめっこして「あれがない!」「これはどこ?!」と右往左往していると、気が付けば深夜になっていた。

 

今更のようにそれまでのモンスターとの連戦や、17階層で出会した階層主(ゴライアス)との遭遇戦の疲労が一気に襲いかかり、思わず寝転がったところで、ベルはようやくソレに気が付いた。

 

「…きれいだなぁ」

 

18階層の天井に輝く、星明かりにも似たクリスタルの輝き。

思わずここが地下空間(ダンジョン)であることを忘れて、ベルは見入った。

 

ほんの数ヶ月前、生まれ故郷の寒村では、毎日のように見ていた光景だ。

オラリオに来てからは朝から晩までダンジョンに潜り、ホームに帰っても疲れて早々に寝てしまうという生活を繰り返していたせいか、もはや懐かしささえ覚える。

オラリオは魔石の産地だけあって、街灯が市街地の至る所に潤沢に使われていて、絶えることなく人の営みを照らし続けているせいか、空はこれほど昏くはない。

 

ぼんやりと、そんなことを考えていたベルの頭上に、影が落ちた。

 

「ベルさん、起きてます?」

 

視線だけそちらに向けると、同じように疲れた顔をした小人族(パルゥム)の少女と目が合う。

パーティの目と耳を担う野伏(レンジャー)のリリルカ・アーデだ。弓の腕は百発百中だし、危険な先行偵察も難なくこなすので、パーティメンバーからも一目置かれている。

ベルとは同じファミリアに所属しているため、最近は何かと行動を共にする機会が多く、仲が良い。

 

リリルカは水浴びでもしていたのか、髪に湿り気を帯びていて、微かに石鹸の良い匂いが漂ってきた。

いつも身につけている黒いコートを脱いでいて、赤いビスチェとショートパンツを身につけただけのラフな格好だ。

 

リリルカは両手に白い湯気の立つ木の椀を二つ抱えていた。どうやら‪今日の夕食‬らしい。

食べ物の臭いを感じ取ると、とたん空腹を思い出したかのように、ベルの腹が「くぅ」と鳴った。

顔を赤らめるベルに、リリルカは笑いながら椀を一つ差し出した。

 

「これ、‪今夜の‬ご飯です。あまりおいしくないですけど、量はたっぷりありますよ」

 

キャラバンに参加して以後の食料はガネーシャ・ファミリアのキャンプから配給を受けているのだが、中身は可も無く不可も無く。大量に汗をかく肉体労働者向けに塩味が強く、しかし量だけは十二分に支給されていた。典型的な冒険者の食事だ。

 

「うん、ありがとう」

 

ベルが体を起こして椀を受け取ると、リリルカも足下を軽く払って隣に座り込む。

碗に突き込まれていた木の匙を手に取ると、しばしの間、二人は無言で椀の中身を口に放り込む作業に没頭した。

 

椀いっぱいに盛られていたのは、干し肉を湯がいたスープで雑多な乾燥豆を煮込んだだけのものだったが、かすかに香草(ハーブ)の香りがして食欲を刺激する。塩味がきついが、酷使したばかりの体には不思議とよく馴染み、二人とも瞬く間に食べてしまった。

 

「ごちそうさま!」

 

「お粗末でした。あ、コレも食べます?」

 

そう言って、リリルカが懐から取り出したのは、不揃いに砕けた飴玉だった。

なじみの雑貨屋で仕入れて、冒険の移動中に口に含んでいるらしい。小人族は体格にも体力にも恵まれていないので、なるべくこまめに栄養補給しているという。サポーター時代からの習慣だそうだ。

 

「アンズ味はこれで終わりなんです」

 

リリルカから受け取った飴玉の、甘酸っぱい風味に舌鼓を打ちながら、ベルは感心した。

顔色一つ変えずにパーティに先駆けて斥候を果たし、頼れる弓の腕で戦闘をこなしているリリルカも、こういう目に見えない努力をしている。

 

そう褒めると、何故かリリルカは苦い笑いを浮かべた。

 

「…下積みが、長かったのですよ」

 

あまり口に出さないが、サポーター時代に色々と辛酸をなめてきたらしい。

自分がほんの一月余りで駆け抜けてしまったLv.‪1時‬代を数年もの間、彼女がどんな風に耐えてきたのか、ベルは改めて聞いたことはなかったし、リリルカもあえて口にはしなかった。

 

少し気まずくなって、ベルは再び天を仰いだ。そんなベルの視線を追って、リリルカも星空を見上げる。

 

「…来ちゃいましたね、18階層」

 

「うん」

 

「途中で死ぬかと思いましたけどね。怪物進呈(パスパレード)されたり、階層主が出現するところに出くわしたり」

 

「うん、でも来れたね」

 

「来れただけですけどね」

 

「しょうがないよ。今度はキチンと準備して、僕らだけで来よう」

 

「え?…そ、それって…」

 

何故かリリルカは顔を赤らめると、ベルの手に自らの掌を重ねてきた。

 

小さな手の温もりに内心でドギマギしながら、ベルはそっと横目でリリルカの横顔を覗き見る。

湿り気を帯びて肌に張り付いた髪、赤く色づいた頬、淡く吐息を漏らす唇、心なしか潤んでいる瞳を見て、動悸が早くなるのをベルは自覚した。可愛い、と思う。

種族の特性上、リリルカはかなりの小柄ではあるものの、なかなかに出るとこは出ている抜群のスタイルをしている。 服装もパーティでの役割上、動きやすいものを着用しているそうなのだが、胸が強調される赤いビスチェやヘソ出しルックのホットパンツが今は妙に扇情的に感じられた。

意識してしまうと、我知らずベルの全身は熱に冒されたように火照った。命がけの冒険をこなしてきた達成感と、死線を乗り越えた開放感が合わさり、奇妙な陶酔感が、ベルを酔わせていた。

 

同じファミリアに所属する冒険者同士。しかもLvが同じで互いに得手不得手が噛み合うせいか、ペアでダンジョンに潜る事も多い。女の子として、リリルカを意識しないわけがない。

しかも、今は周囲を薄暗がりに包まれて二人きり。…これは、そういう事だよね。

 

不意に、偉大な祖父の教えがベルの脳裏をよぎった。

 

『ベルよ、英雄は色を好むものだ!』

 

幼い頃から英雄に憧れていたベルを、出会いを求めてオラリオへと駆り立てた偉大な金言。

 

ベルはゴクリと唾を飲み込んだ。

 

「……リリ」

 

ベルは、リリルカの手を握り返した。掌を合わせると、リリルカもまたベルの指に自らのそれを絡ませてくる。

ベルの手がそうであるように、触れるといくつもの小さな傷があり、指もやや太く長い冒険者の手。 でも、男のソレとは明らかに違う、女の子の手。柔らかくて艶があって、温かい。

 

「…ベルさん」

 

潤んだようにこちらを見返す瞳に吸い寄せられ、ベルはその顔をのぞき込んだ。

空気は甘く熱を帯びる一方で、それがむしろ当然のように思えて、互いに見つめ合う。後は、言葉はいらなかった。

 

リリルカがそっと目を閉じ、ベルはその顎に手を添えて上向かせる。

一瞬だけ、脳裏に金髪の少女の顔がよぎるが、もう二人の唇は互いの呼吸を感じとれるほどに距離を詰めていた。

 

リリルカの豊かな胸がベルの胸板に当たり、二人の唇が軽く触れ合う瞬間………リリルカの体が、ビクリと震えた。

 

「?!…だ、誰か来ます!」

 

リリルカの短めの赤毛を纏めているヘアバンドのうさ耳が、ぴょこぴょこと揺れている。

 

「え⁈…う、うん!」

 

ベルは我に却った。慌てて顔を離す。

 

このウサ耳の付いた可愛らしいヘアバンドは、単なるアクセサリーではない。聴力を増幅してくれる魔道具だ。

いたるところからモンスターが湧き出すので、一時たりとも気の抜けないダンジョンの中では極めて重宝する代物だが、そのことを打ち明けられているのは、今のところパーティの中でもベルだけである。

 

リリルカは探るように周囲を見回しながら、耳を澄ませた。

 

「…一人、こちらに走って来ます。その後ろから複数…かなりの人数です!」

 

「わ、わかった!」

 

気恥ずかしさを誤魔化すように、ベルは愛剣を構えた。

 

…どうかしていた。色々と疲れていたし、場の雰囲気にのまれてしまったのかもしれない。

やり場のない悶々とした思いを抱えるベルの傍らで、リリルカも石弓を構えている。

 

「せっかくのチャンスが…勝負下着だったのにぃ…!!」

 

何故かリリルカは般若のような顔つきをしていたが、幸いにもベルは気が付かなかった。

 

なお、一般的な冒険者稼業における出会いがある女子とそうでない女子は両極端である。堅気の男性とはそもそも生活環境の違いから反りが合わないので、冒険者仲間でくっ付くのが理想であるとされているが、それもハードルは高い。

ブラックな労働環境(ソーマ・ファミリア)から解放され、レベルもあがり、ようやく真っ当な冒険者としての将来の夢や展望を抱き始めた頃合いで、今更ながらにそんな恋愛環境に気が付いたとある女性冒険者(リリルカ・アーデ)が、将来有望で性格良くてルックスもイケてる年下の身近な男性に、コロッといったりするというのは無理のない話であろう。

 

各々、相異なる感情を持て余しながら、不埒な乱入者に意識を集中する二人だったが、状況そのものは剣呑極まりない。

18階層に降りる前に、この場所で何より恐るべきはモンスターではなく同じ冒険者だと、パーティメンバーからよく言い聞かされていた。

冒険者の町・リヴィラは、またの名を無法者の町。ここに屯している冒険者は諍いを起こして地上にいられなくなった本物のアウトローが多く、しかも独力で18階層まで到達できる実力を持っている。腕っぷしが強い上にガラの悪いのが揃っているため、少しでも油断すると身包み剥がされて草葉の陰に放り出されかねないという。

 

「来ます!……え?」

 

デバガメ野郎にまず一発、脳天に矢を撃ち込んでやろうと舌舐めずりしていたリリルカだが、何かに気付いたかのように、慌てて石弓のトリガーにかかっていた指を離した。

 

「どうしたんだい、リリ…?」

 

首を傾げるベルだが、次の瞬間、疑問が氷解した。

 

「べるぐんのうわぎもの〜〜!!!」

 

「か、神様ぁ?!!!」

 

乳とツインテールをあらぶらせ、全力疾走から飛びついてきたのは、地上で彼らの帰りを待っている筈の主神様だった。

 

目を白黒させて驚くベルだったが、さらに続けてヘスティアの後ろから、独特の東洋風の衣装に身を包んだ集団が現れる。

 

「あ!怪物進呈(パスパレード)の?!」

 

リリルカが目を剥き、敵意も露わに石弓を構え直した。

和装の集団も緊張の面持ちでこちらを見ており、ベルもヘスティアを守るように剣を構え、背後に庇う。

だが、さらにその背後から、彼らを警戒するかのように、見知った顔が現れた。

 

「よお、ベル」

 

「お楽しみ中だったかにゃ?」

 

ベル達のパーティーメンバーに加えて、ガネーシャ・ファミリアの一行がゾロゾロと後に続き、油断なく和装の集団を睨め付けているのを見て、いよいよ訳がわからないとベルとリリルカは顔を見合わせた。

 

「これは、いったいなんの騒ぎですか?」

 

「見てのとおりさ。ま、騒ぎになるかどうかは奴らの態度次第だな」

 

そして。

 

「やあ、君がベル・クラネルだね。俺はヘルメス。ヘルメス・ファミリアの主神さ」

 

胡散臭い笑みを浮かべた男神が、空気を無視して進み出たのだった。

 

 

 

 

 

 

 

…時はしばし巻き戻る。

 

 

 

 

 

 

 

その日、ヘスティア・フィミリアのホームである廃協会には、三柱もの神々が集っていた。

竈の守り手にして処女神、孤児達の守り手たる女神・ヘスティア。

東方からオラリオに出てきたばかりの武神・タケミカヅチ。

そして、オラリオ一胡散臭いと評判のヘルメス・ファミリア主神、ヘルメス。

 

「…というわけでね、うちのアンジェリカや、君のところのベル・クラネルはタケミカヅチ・ファミリアのパーティに怪物進呈されて行方不明というわけだ」

 

神、ヘルメスの説明は簡潔であったが要所を抑えており、ヘスティアはすぐさま状況を理解すると同時に、全身が粟立つかのような恐怖を感じた。

ベル・クラネルにリリルカ・アーデ。たった二人しかいない自らの眷属がダンジョンで生死不明。それは、初めて眷属を持ったヘスティアにとって、例えようもない恐怖に他ならなかった。

 

「すまぬ!!このとおりだ!!」

 

同時に、未だに土下座の姿勢を解いていないタケミカヅチの尋常ではない様子も理解した。

 

思わず怒鳴りつけたい気持ちを押さえつけて、口を開く。

 

「…状況は理解したよ、タケ。大事な眷属を危険に晒されたとあっては、流石のボクも冷静ではいられないな」

 

いつになく険しい顔をしたヘスティアがそう言うと、ヘルメスも常日頃浮かべている胡散臭い笑みを消してうなずいた。

 

「俺もまったく同感だ。だが、もっと冷静でいられないのはガネーシャだろうな」

 

ヘルメスの口からその名が出ると、土下座の姿勢を維持したままのタケミカヅチの背中が、はっきりと震えた。

 

「うちやヘスティアみたいな零細ファミリアならいざ知らず、相手はオラリオ最大規模の探索系ファミリア。規模も戦力もロキやフレイヤのところに勝るとも劣らない。話の持って行き方次第では、せっかく怪物進呈なんてしてまで生き延びた眷属もろとも、お前のファミリアは潰されるぞ」

 

ガネーシャは享楽的で退廃的な神々の中では、酷く稀な常識神(じょうしきじん)で、誰に対しても分け隔てなく接する紳士的な神の筆頭格だ。ギルドに協力して都市の治安を一手に引き受けるなど、ウラヌスからの信頼も厚い。

だが、決して温厚なだけの相手ではない。

サンスクリットで群衆(ガナ)(イーシャ)を意味する神性は、神々の中でも特に人間(こども)達への愛が深く、時に苛烈ですらある。

かつて自ら主催した怪物祭で闘技場のモンスターが街へ逃亡した際などは、メンツから自分達だけで対応しようとした団員を叱りつけ、民衆を守ることを優先して他のファミリアへ支援を要請している。さらには事件の黒幕と目された女神フレイヤに対しては常になく激怒し、眷属達を率いてフレイヤ・ファミリアのホームに乗り込んだという。

あの時はギルドの取りなしにより、フレイヤの活動自粛とファミリア資産を半分没収することで事なきを得たが、一歩間違えばフレイヤ・ファミリアとガネーシャ・ファミリアの全面戦争に発展しかねず、オラリオに激震が走ったのは記憶に新しい。

 

今回のケースでは、奇しくもヘルメスが口にしたようにいきなり潰される事はないだろうが、ただで済むとも思えない。

 

「それが分かっているから、まず俺やヘスティアに話を通したんだろ?ヘファイストスのファミリアの眷属も巻き込まれちゃいるが、あそこは生産主体だから戦力自体はそう多くない。最悪でも、荒事にはならないだろうぜ」

 

タケミカヅチは沈痛な面持ちで頷いた。

タケミカヅチはかつては極東で自らが庇護した子供たちと共に暮らしていた。今現在の眷属達は、幼いころに両親を失った孤児で幼少期からタケミカヅチが面倒を見ていた者も多く、文字通りわが子も同然。その不始末を詫びるためなら、タケミカヅチはなんでもするつもりだ。

 

「この後、ヘファイストスのところに詫びを入れに行くつもりだ。もちろん、ガネーシャにもな。…いざとなれば、俺のこの首ひとつで事を収めてもらう腹づもりだ。だから、まずはお前達に頭を下げに来た」

 

自分が天に強制送還される前にと。

それを聴くと、ヘルメスは呆れたように鼻を鳴らした。

 

「相変わらず真面目だねえ、タケ。…けどさ、誠意ってのは言葉ではなくて行動だぜ」

 

非の打ちどころのない正論だが、それが常日頃から胡散臭い行動ばかりしているヘルメスが口にすると、鼻につく。

ヘスティアは何やら不穏なものを感じたが、口には出さなかった。タケミカヅチも同じものを感じたのか、土下座の姿勢から顔だけ上げて、ヘルメスを見上げる。

 

「…どうしろと、いうのだ?」

 

「つまりさ、ガネーシャに首を差し出す前に、やれる事はやった方がいいって話」

 

と、そこでヘルメスは唇を歪ませて笑みを浮かべた。それは側で見ていたヘスティアが怪訝に思うほど明るい笑顔で、トンでもないことを口にする。

 

「ダンジョンに行こう!俺たちの手で彼らを救出するんだ!」

 

「ちょ!ヘルメス待った!」

 

流石のヘスティアも止めに入った。

何せ神がダンジョンに潜るのは地上における禁忌の一つだ。怪物達は自らをダンジョンに押しとどめている神に対して、極めて強い殺意を抱いている。つまり、飛んで火にいるなんとやら。あまりに危険だ。

 

「だからこそ、誠意を示すには、これ以上ないだろう?」

 

誠意という言葉からは、あまりにも程遠い胡散臭い顔でヘルメスは断言した。そして、例え彼らが手遅れになっていたとしても、そこまですればガネーシャなら温情を示すだろ?と、言葉巧みにタケミカヅチを諭す。

 

一方で、内心では気が気ではないヘスティアもまた、この提案には聞くべき点があった。

神の与える恩恵は、与えた眷属が死亡すると消え失せる。そのことを、恩恵を与えた神は何処にいても知ることができるのだが、少なくともヘスティアの眷属達は未だ死に至ってはいない。

 

「なら、ボクも行くよ!」

 

ヘスティアも腹を括った。ヘスティアにとっては、眷属の身の安全こそが、何より優先されるのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…そんな覚悟を決めてダンジョンにやってきたというのに、君ってやつは!君ってやつは〜!」

 

ヘスティアはベルの首根っこにしがみついてツインテールを荒ぶらせ、豊かな胸をベルに押し付けている。

 

「だよなぁ。全員無事だわ、何事もなくリヴィラに遠征してるわでさぁ。ぶっちゃけ、別に俺らが来る必要なかったんじゃね?」

 

ヘルメスは身も蓋もない一言を放ち、場を凍らせた。

 

「うんうん、さすが新進気鋭のラッキーズ!!お前のとこのファミリアにやられた怪物進呈(パスパレード)なんざ心配する必要すらなかったようだな、タケ!!」

 

とりあえずこちらのパーティメンバーが全員無事だったと知って一息ついていた神・タケミカヅチが、その一言で再び顔を青ざめさせた。

 

「すまなかった!このとおりだ!」

 

そして、躊躇なくその場に土下座する。

 

「お、おやめください、タケミカヅチ様!!」

 

悲鳴のような声を上げて、眷属たちが慌てて取りすがろうとしたが、タケミカヅチは一瞥にもせず、ひたすら頭を地につけて只人の子達に許しを乞うている。

 

「これは、ケジメだ」

 

土下座である。まごうことなく土下座である。

 

「うわぁ…」

 

それを見て、さすがのリリルカもうめき声を抑えられなかった。実のところ怪物進呈をやらかした連中を前にして、内心では怒り心頭に達していたのだが、いきなり冷水をぶっかけられた気分である。

 

神というのは冒険者の都市であるオラリオでは絶対の存在だ。非力な人の身で迷宮に挑み、モンスターを相手にできるもの、神々がもたらす恩恵(ファルナ)があればこそ。

石を投げれば神に当たると言われるほど神が大量に集っているオラリオでは、神の存在は珍しくもないし、性格的にも能力的にも当たりはずれが激しいが、少なくとも神を至上のものとして敬うのはオラリオの平均的な価値観だ。

その神が人に頭を下げるなど、かつてソーマ・ファミリアにひどい目にあわされ続けてきたリリルカですら、本能的に拒否反応がでる。

 

土下座する主神の背中を見詰めるタケミカヅチ・ファミリアの連中は、それこそ目から血涙を流さんばかりにしていた。リリルカ的にはザマーミロなのだが、さすがに神に頭を下げさせたままというのはいくら何でも、気分が悪すぎる。

先ほどまで極めて凶悪な笑顔を浮かべて状況を見守っていたガネーシャ・ファミリアのメンツすら「おいおいやり過ぎだろう!」と顔を青ざめさせていた。それほど神はオラリオの住人にとって重い。

 

思わずリリルカは自らの現主神であるヘスティアに視線を飛ばしたのだが、普段は喜怒哀楽を素直に表すこの主神にしては、珍しく無表情で成り行きを見守っている。ベルを危険にさらされたことがよほど腹に据えかねたのかもしれない。

 

そんな重すぎる空気を吹き飛ばしたのは、やはりこの神物(じんぶつ)だった。

 

「ハハッ、頭なんて、いくら下げてもタダだからねえ。やっすいもんだよな!」

 

…というか神をガンガンに煽ってるこのヘルメスとかいうのは何者だ?ああ、神様ですか。そうですか。と、リリルカはそこで考えるのをやめた。

 

「ヘルメス様、どうかそのぐらいで」

 

「お前は優しいなぁ、アスフィ。…じゃあ、少し真面目な話をしようか」

 

さすがに見かねたのか、眷属らしき眼鏡の女性が割って入ると、ヘルメスは遊びは終わりとばかりに本題を切り出した。

 

「つまりは、落とし前だよ。単刀直入にいくらまで出せる?」

 

金は命より重い、と言わんばかりの口調である。

 

「な!…へ、ヘルメス様!それはタケミカヅチ様ご自身がダンジョンに向かう事で、お許し頂けるとのことではなかったのですか!?」

 

堪らず口を挟んだのは、タケミカヅチ・ファミリアの団長を務めるカシマ・桜花。そもそも負傷した団員を抱えていてやむを得なかったとはいえ、ベル達のパーティに怪物進呈を行う決断をしたのはこの男である。だが、結果としてファミリアにこのような危機を招いてしまったという自責の念があった。

 

ヘルメスは桜花をアホを見るような目で眺めた。

 

「ああ、あくまでガネーシャならそれで許すだろう、とは言ったな。でも俺が可愛い眷属の受けた仕打ちを許すなんて、一言も言ってないぜ?なあ、辛かったろう、アンジェリカ?」

 

「ううう、ヘルメス様!コイツらに怪物進呈された時は生きた心地がしなかったにゃ!コイツら血も涙もない鬼畜ですにゃ!仇とって欲しいにゃあ!」

 

などと言いながらヘルメスに抱きつくアンジェリカ。わざとらしく目元を覆い、泣き真似をしながら、悪意たっぷりの視線でタケミカヅチ・ファミリアを窺っている。

一方のヘルメスも大仰にアンジェリカをかき抱き、外連味たっぷりの仕草で頭を撫でた。

 

「よく無事でいてくれたな可愛い眷属よ!心配で心配で、いてもたってもいられなかったぞ。見ているがいい、この不始末のツケはタケミカヅチがキッチリ支払ってくれるだろう!」

 

「まさかヘルメス様自らダンジョンに迎えに来てくれるなんて、あたしは幸せものだにゃあ!慰謝料たっぷりなら余計に幸せになれるにゃあ!」

 

そして、二人揃って抱き合ったままタケミカヅチをチラ見した。実によく似た主従である。

 

「…で、できうる限りで。それでなんとかならないだろうか?」

 

タケミカヅチは蚊のなくような声を絞り出した。

 

「よーし、言質はとったからな、タケ?」

 

「よっしゃ!示談成立だにゃあ!復讐とか1ヴァリスにもならないにゃあ!」

 

主従は抱き合って喜んでいるが、それで話は終わりではない。

 

「…とまあ、そんなわけで納得してもらえないかな、ガネーシャの子達よ?主神直々に助けに来たのは確かだし、最低限の仁義はきってるわけじゃん?流石に今更お礼参りとはいかないんじゃないかな、ガネーシャの性格的にね」

 

後ろにロイドを従えたマックダンが、苦々しい顔をしてヘルメスを睨みつけた。

相手が神でなければ怒鳴り散らして噛み付いていただろうと言わんばかりの表情だ。

 

「まあな。だが、ヘルメス様、怪物進呈を食らったのはあんたのところだけじゃねえ。当然、支払いはうちのファミリアにもあるはずだよなぁ?」

 

奇跡的に死人は出ていないし、彼らの主神・ガネーシャならば、ここまで筋を通したなら、水に流すに違いない。

マックダン個人としても、あとは金額の折り合いさえつけば(もちろん、実際に金が支払われる弟分のロイドから、手数料兼迷惑料としてささやかな額を分取るのは正当な取り分だ)手打ちとするのに十分な落とし所だと考えている。

取り分を増やすためにも、ヘルメス・ファミリアに主導権を持っていかれるわけにはいかない。金は命より重いのである。

 

「そ、そうですよ!うちのファミリアは2人も巻き込まれてますからね!分け前はその分を考慮してもらわないと!」

 

リリルカもまた果敢にタケミカヅチ・ファミリアをにらみつけた。

 

なお、笑顔とは元来攻撃的なものであり、この時マックダンがリリルカに向けた「口を挟むんじゃねえ!」とでも言いたげなソレも、彼女が速やかに下着を取り換える必要性を覚えるくらいには刺激的であった。だが、そこで引いては元・守銭奴(ソーマ)ファミリアの名折れである。

 

三者が如何に自らの取り分を増やそうかと互いに睨み合う横で、割を食うのが確定的に明らかなタケミカヅチ・ファミリアの面々は、まるでお通夜の如き様相を呈していた。

 

「あ、あのさリリ。僕らは全員無事だったんだし、その、あんまりむごいことは…」

 

「ベルさんは黙っててください!」

 

流石に哀れになったのか、助け船を出そうとしたベルをリリルカはぴしゃりとはねのける。今のリリルカには「金銭>恋愛」である。むしれる時にむしれる所から徹底的にむしり取るのは冒険者の嗜みだ。

 

「いやいや、もちろん君らをハブる気はないよ!」

 

ニタニタと胡散臭い笑顔を浮かべながら、分かっているとばかりにヘルメスが頷いた。

そして、背後のタケミカヅチ・ファミリアには見えないように、指を2本立ててみせる。取り分はこのくらいでどうだという意思表示だ。

 

マックダンとリリルカは目配せを交わした。この瞬間、タケミカヅチ・ファミリアを横に置き、二人にとっての交渉相手はヘルメスへと切り替わったのだ。

マックダンは無言で首を横に振って不満を表し、指を4本立ててみせた。一方でリリルカは左右の手で指を二本ずつ立てて自分とベルを交互に指さし、二人分よこせと主張している。

 

そこからは仁義なき戦いの始まりだった。ときおり小声でやり取りを交え、指でレートを示す高度な駆け引きが繰り返され、やがて三者の間で合意が成立する。

 

「じゃあ、そういうことでよろしく!」

 

「仕方ねぇ、負けといてやるよ」

 

「ごちそうさまです」

 

そして、三人に突きつけられた金額と条件に、タケミカヅチは目をむいた。 彼のファミリアの年間収益のざっと10年分に匹敵したからだ。いくらなんでも無体であろう。

 

「こ、こんなとんでもない金額を払えるあてはないぞ!!」

 

タケミカヅチの必死の抗議を、ヘルメスは涼しい顔で受け止めた。

 

「分かってるって。俺のファミリアで立て替えてやるから安心しろよ。その代わり、色々と働いてもらうことになるけどな」

 

ヘルメス・ファミリアといえば、オラリオでも胡散臭いファミリアの筆頭格である。都市外の裏組織や、闇派閥とすら取引があると噂されており、借金を盾にどんな無茶を押し付けられるか知れたものではない。

 

「いいじゃないか、それでお前のかわいい眷属の安全が買えるんだ。なあ、アンジェリカ?」

 

「ヘルメス様ぁ、あたし、怪物進呈のせいで身も心もボロボロだにゃあ!なのにこいつら誠意の一つも見せないにゃあ!!悔しいにゃあ!」

 

「ああ、可哀想なアンジェリカ!安心するがい、タケミカヅチは俺たちの中でも神格者で名が通っている。心配しなくとも、ちゃあ~んと誠意を見せてくれるさ。そうだろう、タケ?」

 

もちろん、ここでいう『誠意』とはヴァリスの金額のことである。

 

「…あ、ああ」

 

タケミカヅチは項垂れた。

もはや哀れな債務者にかけられる慈悲はなく、後はあれよあれよという間に話が進められていく。そして、ヘルメスが何処からか取り出した契約書に、タケミカヅチ自身の神の血(イコル)で血判を押した瞬間、タケミカヅチ・ファミリアからはこの世の終わりのようなうめき声が上がった。

 

なお、この契約書はヘルメス・ファミリア団長にして万能者(ペルセウス)の二つ名を持ち、『神秘』のレアアビリティによって魔道具(マジックアイテム)を製作する稀代の魔道具作製者(アイテムメーカー)、アスフィ・アル・アンドロメダの特注品だった。よりによってそんなものに神の血(イコル)で血判してしまったわけであり、もはや契約の強制力は神の力(アルカナム)にも等しい。

交渉相手の無知に付け込んで不利な契約を結ばせ、借金のカタに嵌めるのは典型的なヤクザ・クランのやり口であるが、ヘルメス・ファミリアでは稀によくある常套手段であった。

 

契約書が尋常の代物ではないことに目ざとく気づいたマックダンとリリルカは揃ってドン引きしていたが、別にタケミカヅチ・ファミリア以外は誰も損をしないので、もちろん黙っていた。沈黙は金である。

生き馬の目を抜く冒険者業界では、隙を見せた同業者は即座にカモへと変わる。水に落ちた犬はみんなで囲んで棒で叩くべきである。

 

さて、詐欺師も真っ青な手法で邪悪な契約を成立させたヘルメスといえば、契約書の文言と署名欄を何度も丁寧に確認していたのだが、やがて満足がいったのか、朗らかな笑顔を浮かべた。

 

「よし、これでいい。悪いようにはしないから安心しろよ」

 

タケミカヅチの胃がキュッと音を立てた。まったく安心できない。

 

「…ヘルメス、借金の件は承知したが、あまりに無体なことを眷属達に強いる気ならば、私にも考えがあるぞ」

 

相手は悪名高いヘルメス・ファミリアである。眷属たちを守るための契約で眷属たちを危険にさらし、あまつさえ悪事に手を染めさせるようなことになっては、本末転倒。

 

タケミカヅチはいざとなれば、ファミリアを解体して眷属たちを他の神にゆだね、一人で借金を背負う心算であった。神の血を用いた契約の強制力は強力だが、あるいは契約した神が天界へ送還されれば、その限りではない。

眷属()達を守るためならばと、ダンジョンに入る前に、すでに腹は括っている。

 

「そんな覚悟完了みたいな顔をしなくとも、無茶振りしたりしないよ。俺とお前の仲じゃないか?」

 

そんなタケミカヅチの悲壮な決意も、ヘルメスはどこ吹く風で受け流し、いかにも親しそうに無理やり肩を組むとその耳元にささやく。

 

実際の所、今のヘルメス・ファミリアは猫の手も借りたいくらい人手不足だった。

ちょっとした事情で24階層で起きたモンスターの大量発生を調査した際に、ファミリアの中でも使える人材を多数失ってしまった為だ。その皺寄せが、肉体的にも心労的にも団長のアスフィにのし掛かっている。

タケミカヅチ・ファミリアは精々lv.2程度の団員しかいない弱小ファミリアだが、それならそれで使いようはある。何より…

 

「…お前、極東にコネあるよな?それを使って調べたいことがある」

 

薄気味悪い猫撫で声に、タケミカヅチはますます不信感を募らせたものだが、ヘルメスは気にせず視線をそらした。その目はリヴィラのはずれにたたずむ、瀟洒なログハウスに向けられていた。

 

「ウラヌスからも言われたし、俺としても不安要素は早めに探っておきたいんだよね」

 

 

 

 

 

その時だった。

 

 

 

 

 

 

最初に異変に気付いたのは、リリルカ・アーデだった。

 

「…?」

 

少し怪訝そうな顔をして小首をかしげ、念のためといった風情で大地に耳を手を当てて目を閉じる。

ピシリと、何かが砕ける音がした。音は連鎖的に広がりながら徐々に大きくなっていったが、よほど遠くから聞こえて来るのか、聴力増幅のアイテムを持つリリルカ以外には聞き取れない。

 

ようやく音の方向性を掴んだ瞬間、18階層天蓋のクリスタルに、蜘蛛の巣じみた罅が縦横無尽に入った。

リリルカはすぐに目を見開き、大粒の汗を流しながら叫んだ。

 

「上から、何か来ます!」

 

瞬間、大音響が鳴り響いた。砕けたカケラが光を反射しながら地上に降り注ぐ。同時に、天井をぶち破って巨大な何かが落下した。

 

最初、それは巨大な岩塊に見えた。崩落した天蓋の一部だと思った。

すぐに間違いに気がついた。その巨岩が立ち上がったからだ。

 

「アレは…ゴライアス⁈」

 

誰かが叫んだ。

 

迷宮の孤王(モンスターレックス)と呼ばれる17階層に出現する階層主。

灰褐色をした巨人で、「嘆きの大壁」と呼ばれる一面真っ白の綺麗に整えられたような壁からのみ出現する。

 

「そんな馬鹿な!ゴライアスにしちゃあ、デカすぎる⁈」

 

ゴライアスには17階層を通り過ぎる際に出くわし、命からがら逃げ出した際に目撃している。運良く逃げ出すことができたが、大量の荷物を抱えたサポーター達を庇いながらの撤退戦は二度とやりたくはなかった。巨体を活かした剛腕の一撃にしろ、足の踏みつけにしろ、ダンジョンを震わせるほど威力があった。

一応、人の形をしているが大きさは7メドルもあり、つまりはリリルカの約四倍だ。初めて見た時にはその巨体に驚愕したが、目の前のコイツはそのさらに倍、いや三倍近い体格がある。体の色もドス黒い。

 

何より決定的な違いは、頭部だった。

 

「ア、ア、アノ女!!アノ女ハ、何処ダァアアアア!!!」

 

巨人の頭部には、顎から上にあるべきものが無く、代わりに醜く爛れた女性の上半身らしきものが生えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「59階層デハ失敗シタ。都市デ効率ヨク暴レサセルニハ良イト考エタガ、魔法ヲ封ジラレタラ巨大ナ(マト)ダッタ。ソレヲ踏マエタ改良型。コレハ、廃品ヲ利用シタ実験ダ」

 

穢れた精霊に寄生されたゴライアスは、前進を始めた。高台の上に築かれたリヴィラの街、その片隅にある瀟洒なログハウスを目指して。

 

「アノ女ガ18階層ヲ拠点ニシテイルナラ、燻リ出スマデ。…不確定要素ハ、早メニ潰ス」

 

 

 

 

 




未だに感想頂ける人がおられたので、嬉しかったので久々に更新。
昨年は台風と地震で自宅が酷いことになったり、ようやく一息ついたと思ったら、春先に後ろから車に追突されて死にかけたりしましたが、なんとか元気になりました。ありがとう。

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