ダンジョンにユグドラシルの極悪PKがいるのは間違っているだろうか?   作:龍華樹

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※作者注
人によっては吐き気を催す可能性がありますので、苦手な方は読み飛ばしてください。



間話3

 

 

 

「みんな、戦争遊戯はよく頑張ってくれたね!今夜は無礼講だ!飲んで食べて歌って踊って朝まで騒ごう!」

 

ヘスティア・ファミリア主神、ヘスティアのそんな言葉から宴は始まった。

 

ここはオラリオでも知る人ぞ知る、冒険者御用達の酒場、『豊穣の女主人』。

つい先ほど、ヘスティア・ファミリアが見事な勝利をおさめた戦争遊戯の祝勝会が開催されていた。

 

なお店を予約したのは功労者の一人であるキルトであり、その当の本人といえば大テーブルの中央に座ったヘスティア・ファミリア団長、ベル・クラネルの対面に陣取っている。

 

なお、キルトは普段の冒険者然とした装いを改め、ラフな私服を着ていた。

大きく肩があいたカットソーに、ヒラヒラしたフリンジ。襟元にはクリアカラーのビジューが施してあり、下は同色のショートパンツを合わせている。戦争遊戯でのキリッとした騎士装束とギャップ萌えを狙い、ここぞというときにカワイイ系の私服で攻めるという、あざとい戦略である。

 

実際、初めて見るキルトの私服に、ベルは少しだけドギマギして頬をうっすらと染めていた。

 

「(つかみはオッケーじゃコラ!)……さ、乾杯の音頭を頼みますわ、団長様」

 

乾杯を促されたベルは、慌ててジョッキを掲げた。

 

「か、乾杯!!」

 

「「「乾杯!!!」」」

 

ヘスティア・ファミリア一同は、互いのグラスをカチンと響き合わせ、すぐさま盃を一気に傾けた。

居合わせた他の客達も、ヘスティア・ファミリアに合わせて唱和し、大量のグラスが宙に突き出される。

 

「んぐっんぐっ……ぷぁ~~!」

 

「うめぇ~~!この一杯のために生きてるって気がするな!」

 

「シルさん、お代わりおねがいしま~す!」

 

「はい、少々お待ちください!」

 

今日は一日、炎天下の中で戦争遊戯を戦い抜いたので、戦士達の体は乾き切り、飢えている。

そこに泡の立つ冷えたエールはたまらない。たちまちのうちにジョッキは空になり、すぐさま全員がお代わりを注文した。

 

「ぷはぁ…美味しくて飲み過ぎちゃうかも。でも、いざとなったらベルくんが介抱してくれるから大丈夫、よね?」

 

「え!……は、ハイ!」

 

唇を耳に寄せ、瞳を潤ませながら微笑むキルトの姿は常になく色っぽく、アベシ以外の男性陣は生唾を飲み込んで胸元の開いたワンピースに視線を注いだ。

ベルの視線も当然のように、素晴らしい双丘に吸い込まれた。

 

「…ベルさん、このリンゴのカクテル、いけますよ」

 

「う、うん。ありがとう、リリ」

 

思わずキルトといい雰囲気になりかけたところで、さりげなくベルの手を握りしめて気をそらし、空いたグラスを取り替えたのはベルの左隣の席をちゃっかり確保していたリリルカ・アーデだ。

 

リリルカは並の冒険者ならダンジョン探索で荒れ気味になる筈の肌のお手入れにも気を抜かず、若さを活かしたナチュラルメイクを武器にしつつ、今日は化粧にも気合いが入っている。

身につけているのはいつもの赤いビスチェではなく、黄色いフリフリのガーリッシュ。

向日葵が咲いたかのような笑顔を浮かべるリリルカから、ベルは淡い色のカクテルが入ったグラスを受け取ると、口をつけた。

 

「後口すっきりで、おいしいね」

 

クセのない澄んだ蒸留酒に、りんごのフルーティーな甘酸っぱさが加わったすっきりとした味わい。

最初の一杯はともかく、エールは苦みがあって実は苦手なのだ。甘いものも、実はベルはあまり好きではないので、アルコール自体が得意ではないのかも知れない。

そんなことは百も承知のリリルカの勧めたカクテルは、ベルの味覚にばっちりとあっていた。

 

「私のおすすめですよ」

 

リリルカもベルと同じものを飲んでいる。

二人はチンとグラスを軽くあわせて、澄んだ音色を響かせた。

 

「ベルくん、このエビフライ、おいしいよ!」

 

と、横からやや強引に口を挟みつつ、大量のガーリックシュリンプをトングで掴んでベルの皿にのせたのは、右隣に座るヘスティアだった。

 

飲み会に出る前に、女神のみが入浴する事を許された『神聖浴場』で念入りに汗を洗い流し、ややお高めな石鹸を使って身だしなみを整えているため、爽やかなラベンダーの香りを纏っている。

服装もいつもの青い紐を纏わり付かせた神の衣装ではなく、こつこつとバイトで貯めたお小遣いをはたいて買った夏らしい白のサマードレス。ツインテールに纏めていた髪もまっすぐにおろしていて、普段とは異なる年上めいた雰囲気で、年上属性を持つベルに魅力をアピールしている。

他の二人に負けず劣らず、こちらも相当に気合いが入っている。

 

ロリ巨乳と奉られる偉大な双丘が揺れるたび、ベルは思わずドギマギして視線を逸らしてしまう。

 

「こ、これ美味しいですね、神様」

 

体が油分を欲しているのか、ベルは皿に盛られたエビの揚げ物を数個纏めてフォークに刺し、一息に食べた。

大量にまぶされたニンニクに、微かに唐辛子がきかせてあり美味。濃い味付けが体に染み入るようで、いくらでも食べられる。

 

もしゃもしゃと料理を食べつつ幸せいっぱいの笑顔を浮かべるベルを、三人の美女、美少女が静かな笑顔を浮かべて見守っていた。

 

ヘスティア・ファミリアの男性団員からは「もげろ!リア充ハーレム野郎!」と嫉妬の視線が集中し、女性団員からは「お姉様!!」と殺意の視線が集中したが、本人はまるで気付いていない。

主人公体質の備えるべき素養、即ち『鈍感』をベルは当たり前のように備えていた。

 

「あらあら」

 

「あはは」

 

「ふふふ」

 

なお、空中では件の女性三人の視線がバチバチと交わり、互いに互いを牽制している。

隙あらば小兎を捕食しようと企む苛烈な女の戦いのトライアングルに囲まれていることなど、ベルはまったく気付いていなかった。

 

「女はコワイねぇ。なあ、ベル。男同士の世界はいいぞ」

 

アベシが白い歯を見せながら和やかに笑った。

 

さて、そんな風に始まった宴会だったが、何はともあれ勝利の後である。

酒も料理も美味で、疲れ切った体は栄養を欲している。体を酷使した彼らは次々に杯を干し、皿を空にしていった。

 

「アポロン・ファミリアの奴らめ、ざまーみろだな!」

 

「…ああ、流石のヘスティア様も腹に据えかねていたし。奴ら、ホームとファミリア資産の没収、それにオラリオからの追放らしいね。ご愁傷様」

 

「妥当だな。アポロン・ファミリアのホームはかなり大きいから、ちょうどいいんじゃないか?今のホームも悪くはないけど、流石にこの人数だと手狭だしな」

 

「ダイダロス通りから焼け出された連中は、どっかの金持ちが寄付した仮設住宅に移るらしいぜ。で、今のホームは孤児院にゆずるんだとさ。流石はヘスティア様だ」

 

勝利の美酒はただでさえ、うまい。そこに来て、うまい料理にうまい酒。酔わずにはいられない。戦士たちは大いに飲み、大いに食らい、大いに騒いだ。

 

「シャリアピン・ステーキの盛り合わせ、焼き上がったよ!」

 

「はい、持ってきます!」

 

「ミア母さん、お酒追加お願いしま〜す!」

 

店員も大わらわであった。

 

いつもなら目に余る馬鹿騒ぎは咎める酒場の女店主もわかったもので(支払いが既に目が飛び出るような額を前払いで受け取っていたこともあったが…)多少のことは大目に見ながら、奇跡の勝利に浮かれる彼らに酒と料理を絶やさなかった。

 

「うう、もう食べられにゃいよう…」

 

「まんぷくまんぷくぅ〜」

 

「むにゃむにゃ…すぅ…」

 

幼いと言っていい年齢のカリン達お子様三人組には、流石にアルコールが禁止されており、代わりに料理をたらふくおなかに詰め込み、甘いジュースで流し込んだ。

デザートのアイスを食べきってしまう頃には、昼間の疲れが出たのか、仲良く並んで夢の世界の住人となっていた。

三人とも今が成長期である。しかも、ソーマ・ファミリアに捕まっていた頃は慢性的な栄養失調だったため、今はその分を取り戻すかのように毎日よく食べ、よく学び、よく働いて、よく寝ている。

 

「そら、飲めや飲め!」

 

「飲み飽きたら、歌えや歌え!」

 

やがて酔いが回りだすと、道端で無聊を託っていた手すきの手風琴師を引っ張り込み、調子の外れたフォークソングを歌い出した。

ファミリアの半分ほどはオラリオの出身だが、もう半分は大陸各地から迷宮で一山当てようとやってきた田舎者。皆が田舎の収穫祭で歌われているような素朴な歌を披露し、手拍子を合わせ、お国自慢に花を咲かせた。

 

そんな拙い歌を耳にしながら、キルトことキル子もまた、今は遠い故郷に思いをはせていた。

 

大気は有毒なガスや粉塵で汚染され尽くされ、重金属を含んだ酸性雨が絶えず降り注ぎ、人工心肺がなければ呼吸すらもままならない暗黒社会ニッポン。

赤黒い雨に濡れた街は接触不良でバチバチと音を立て明滅する大小無数のネオン看板の瞬きを吸い込み、濡れそぼった夜の歓楽街にケミカルな色彩を上塗りしていた、あの懐かしい日々。

その中を徘徊するバイオイグサ製の編笠と耐酸性雨コートで全身を被った市民たちの表情は疲れ果てて乏しく、誰もが何かに抑圧され、耐えているかのような死んだ目をしていた。

「安い。安い。実際安い」「アカチャン!アカチャン!」「体温何度あるかな?」等、深夜になれば猥褻広告の音声がいっそう喧しく騒ぎ立て、湯気を立てるケミカルまみれの激安スシバーが建ち並び、高層建築に狭く切り取られた夜空をマグロツェッペリンが我が物顔で威圧する。

ごく一部の勝ち組サラリマンは完全環境都市、アーコロジーに移り住んで何不自由ない暮らしを満喫し、大多数の負け組は汚染下で短い寿命を何とかやりくりして日々を生きる。

終わりの見えない暗黒の日々に絶望し、サイバーゴスやアンタイブディスト、ペケロッパカルトといった発狂マニアックが蔓延り、悍ましい残虐犯罪に手を染める。

そして混沌、汚濁、陰惨、死。ああ、懐かしきかなネオサイタマ。終末の日を乗り越えた、マッポー世界日本の首都の、あまりに見慣れた光景。

 

……うん、やっぱり二度と戻りたくねーぞクソが!死ね、ネオサイタマ死ね!

 

思い出したらキル子はムカムカと気分が悪くなり、手元のお湯割りを一気飲みした。

 

「お姉様、お代わりどうぞ!」

 

「私のも飲んで下さい!」

 

「ありゃ、ありがと〜!!」

 

すかさずキルトを慕うフローラやマチルダといったファミリアの女性冒険者が、空いたグラスに酒を注ぎ足す。

 

なお、注がれる酒のアルコール濃度は徐々に高くなっていたのだが、キル子はまったく気付かず、知らぬうちに酔いが回り始めており、またそれを見つめる彼女たちの瞳が妖しく濡れて上気していたことにも気付いていなかった。

オモチカエリを企む無軌道学生めいた小技を駆使してグラスを勧める彼女らに、いったい如何なる思惑があるのかは、言わぬが花である。ウカツ!

 

「あ〜なんか、いい気持ち〜!」

 

キルトは既にとろりと蕩けた目をして、完全に酔っ払っている。

 

人間種に化けている間は、アンデッドの基本能力である〈飲食不可〉が緩和される代わりに〈毒無効〉の能力も無効化されるため、今のキル子は〈酩酊〉を通り越して〈泥酔〉にまで至った状態異常を得てしまっていた。

 

「ベルさんも顔が赤いですね。リリが膝枕しましょう」

 

「膝ならボクが貸すよ、ベルくん!」

 

なお、ライバルが脱落したのを好機とし、ベルを奪い合うリリルカとヘスティアの争いは盛大に激化していた。恋は戦争なのである。

 

「お酒がおいひいの……ふふふ」

 

「酔ったお姉様、かわゆす」

 

「胸元を緩めて差し上げますわ」

 

キルトの周りは女性団員が取り囲み、男性陣から完璧にガードしつつ、妖しい手つきで介抱していた。

このままでは、ベルをお持ち帰りするどころか、自分が百合の園にお持ち帰りされてしまうであろう。

 

そんな頃合いだった。

 

カウンターで一人酒をしていた酔客が無言で立ち上がり、

 

「…お前、相変わらず酒癖わりーな」

 

「うにゅ?」

 

逞しい腕を伸ばして、猫の子のようにキルトを摘みあげたのは。

 

「ちょっと、あんた!お姉様に何するのよ!」

 

「!…待って、フローラ!この人、確か…⁈」

 

男は灰色の毛並みをもつ狼人(ウェアウルフ)だった。

 

「あ〜〜、ベートさまだ〜〜!」

 

キルトが喜色満面でその首筋に抱きつく。

その肢体を受け止めたのは、都市最大の探索系派閥、ロキ・ファミリアのベート・ローガ。

凶狼(ヴァナルガンド)】という二つ名を持つ、Lv.6の第一級冒険者だった。

 

「どーして、ベートさまがいるのー?」

 

「…よ、ようやくこの店の出禁が解けたから、久々に一人酒してただけだ。つうか、お前、また()()で悪酔いしてんのか…」

 

ベートは普段の彼には似合わず、言葉を濁した。

 

…なお、ロキ・ファミリアの主力メンバーは未だメレンで食人花騒動の後始末に追われており、そんな最中にベートは一人でファミリア随一の瞬足を活かし、オラリオに駆けつけたばかりだったのだが、そんな事情はそれこそ言わぬが花。

 

カールされた金髪をわしわしと乱暴に撫でるベートと、嫌な顔一つせずに逞しい二の腕にスリスリと頬擦りをするキルト。

あまりにも親しげに会話する両者の姿に、店内が俄にざわついた。

 

「あ、姐御ぉ…!」

 

「ロイド、ありゃ完全にできてるにゃ。そっか、あの人、男いたんだ」

 

「相手はあのベート・ローガ!確かに格は姐さんに匹敵するけどよぉ…」

 

「いや案外、あの人にゃ、ああいうタイプがいいのかもしれん。並の男じゃ釣り合いがな」

 

「チキショウ、もげろ!」

 

「お姉しゃまあぁぁ!!!」

 

「…フローラ、お姉様が幸せなら、そ、それでいい…ううっ…ヒック…キルトさまぁ……」

 

「大スクープだ!姫騎士(ワルキュリア)に熱愛発覚!お相手は()()泣く子も黙るロキ・ファミリアの第一級冒険者!明日の朝刊の一面は貰った!」

 

そんなギャラリーの喧騒を他所に、ベートは素早く勘定をすませるとキルトを抱えたまま足早に立ち去ろうとしている。なお、キルトはお姫様抱っこである。

 

「こいつは貰ってくぜ」

 

「そ、そんな…キルトさん!」

 

「かえる〜、ベート様に送ってもらうの〜」

 

「……⁈」

 

思わずベルは幸せそうな顔のキルトをみて、ショックを受けたように押し黙った。

 

「よっしゃ!…頼んだよ見知らぬ人!」

 

「どーぞどーぞ、お持ち帰りください!」

 

ヘスティアとリリルカは異口同音に賛成し、問答無用に送り出す。男を巡る仁義なき戦いは、隙を見せた方が負けなのである。

 

「フン、じゃあな」

 

「ベルくん、またね〜」

 

恨みがましく睨んでくるベルに、勝ち誇ったようなニヒルな笑みを見せながら、ベートはキルトを連れて店を出た。

 

そして、二人の姿は夜のオラリオに消えて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あははー、つい飲み過ぎちゃった〜

 

 

()()()、お前酒に強くねーんだから、ほどほどにしとけ

 

 

うん、わかったぁ…………ねえ、ベートさま。…なんでバレたの?私がキル子だって?変装とか完璧だと思ってたから、少しだけショック

 

 

匂いだ。お前、匂いが全く()()。割とタバコ吸ってるのによ。そんな人間が、二人もいてたまるか

 

 

…そっかあ。実は《消臭(ディオドライズ)》の魔法使ってるの。嗅覚系の探査スキル対策に

 

 

相変わらず多芸だな。安心しろ、うちのファミリアでも気づいてるのは、せいぜいロキくらいだ。たぶんな

 

 

うん…ねえ、ベートさま……怒ってる?黙ってたこと

 

 

………別に

 

 

あー、ちょっと怒ってるぅ………ごめんなさい

 

 

怒ってねえよ

 

 

ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい

 

 

だから、怒ってねぇって!

 

 

許してください。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。捨てないでください

 

 

おい、キルコ…お前……

 

 

お金あげます。あたしの持ってるもの、なんでもあげます。だから、だから捨てないで!一人にしないで!ぜんぶ、ぜんぶあげるから、なんでもするから、役に立つから、だから…!

 

 

……いらねえ

 

 

…ヒッ…あっ……ああっ……あ゛あ゛あぁあああ…!

 

 

んなもんいらねーよ!お前だけでいい!

 

 

…え゛?

 

 

お前だけでいい。だから、俺だけみてろ。俺だけな

 

 

わ、私で、いいですか?

 

 

ああ。もう、雑魚には…いや、他の男にかまうな

 

 

…………

 

 

くそっ…我ながら何を口走ってんだか

 

 

…本当に?一緒にいていいの?

 

 

ああ

 

 

…嬉しい。優しいよ、ベート様ぁ!な、なんで、なんで私なんかにこんな優しくしてくれるの?!じ、自分でわかってるもん!性格とか最悪だし、疑り深いし、嫉妬深いし…!あと、あと…年だし!ほんとはベート様より一回り以上、年上なの!

 

 

バッカ、フィンやリヴェリア見てみろ。四十路に…100歳越えのババァだぞ

 

 

…………

 

 

性格だって、俺も人のこと言えねーし。…我ながらな

 

 

あ、あはははは!

 

 

笑うな!クッソ…やっぱお前といると調子狂うわ

 

 

うふふふ……あー、リヴェリア様に怒られるよー

 

 

……黙ってろよ?

 

 

うん……ふふ。ありがとう、ベート様

 

 

あと()は止めろ

 

 

え?……じゃ、じゃあ、ベートって。呼んでいいですか?

 

 

それでいい

 

 

エヘヘ〜。ね、ベート?

 

 

なんだよ

 

 

大好き!

 

 

 

 

 

 

 

これはただ、それだけのお話なのです。

 

 

 

 




なぁ、砂糖吐くじゃろ?

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