ひぐらしのなく頃に~幼戻し編~   作:やきたまご

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「くぅ~、なんだか目覚めのいい朝だぜ!」

 

 今日はいつになく目覚めの良い朝だ。なんだかよい事が起こりそうな気がしたぞ。洗顔や歯磨き、お袋が用意した朝食を済ませて俺は学校へと登校する。いつもレナの方が早起きだから、通学路にレナが待っているはずだ。しかし、レナの姿が見えない。いつもレナが待っている場所に小さな幼女がいた。

 

「け、圭一くん……」

 

 見知らぬ幼女が不安そうに俺に声をかけてきた。俺はこの娘とは知り合いではないから名前を知らないはずだ。しかし、顔を見て一つの考えにたどり着いた。

 

「もしかして、レナの妹さんか? お姉ちゃんはどうしたのかな? かな?」

 

 この娘は俺を怖がっているのかなと思い、咄嗟にレナの口調を真似して、親近感のある存在に思わせようと試みた。

 

「私レナだよ!」

 

「は? まあ確かにレナを幼くすると君みたいな感じになりそうだけど、レナはもっとでるとこがほどよく出ている体でな、胸も大きすぎず小さすぎず、触りたくなるサイズでさ、要するにレナは君よりも男をけしからん存在にさせる罪深い存在で」

 

「はう! はう! はう!」

 

ビシ バシ ドガ

 

 目に見えない打撃が顔面に数発飛んできた。この感覚は俺がよく覚えているあれそのものだ。

 

「ぐほぁ! こ、このスピード! パワー! 間違いなくレナパンそのものだ!」

 

「Hな考えはいけないかな? かな?」

 

 俺は非現実的な想像をした。このレナは何らかの理由で幼くなってしまったに違いない。だって言動や容姿がレナそのものなのだ。

 

「まさか、マジのマジで本当にレナか!!」

 

「マジのマジで本当にレナだよ!!」

 

 目の前のレナと名乗る幼女が泣きそうな顔で俺を見ている。嘘を言っている感じはない。真実を分かってほしいという思いが俺に伝わってくる。間違いなくこの幼女はレナと確信した。

 

「分かった。お前は正真正銘の竜宮レナだ。なぁレナ、一体どうしたんだよ? 昨日何か変わったことでもしたのか?」

 

「うぅん、何もしてないよ。朝起きたら幼女になってたの」

 

「どうしたもんかな~、だめだ! 俺達だけじゃあこの問題はどうにもできそうにない。とにかく学校へ行こう! 魅音も待っているだろうし,他の奴に聞けばいい案が浮かぶかもしれない!」

 

 俺は颯爽と駆け出した。

 

「圭一君待って~!

 

とて とて とて

 

 レナが俺の後を必死で追いかける。しかし、幼女となり体が小さくなったため、足も遅くなっている。

 

「ああ、わりいレナ! いっしょに行こう!」

 

 俺はレナの小さい手をつないで一緒に学校へと向かった。

 

 

 

「がはははは!! おじさんも小さくなっちゃったよ!!」

 

 予想通り魅音も小さくなっていたが、魅音は変わらず魅音だった。

 

「朝起きたら、うちの女性陣が皆小さくなってんだよ! ばっちゃも可愛い幼女になってたんだよ!」

 

「なに! 魅音のおっかないばあちゃんもか!? それはちょっと見てみたいかもな~!」

 

「はう~小さくなった魅音のおばあちゃんかぁいいんだろうな~、お持ち帰りしようかな~」

 

「だめ! ばっちゃをお持ち帰りしたらレナの家が大変なことになるよ!」

 

「ちぇ~!」

 

 レナが唇を3の形にさせた。

 

「圭ちゃんのところもお母さんが小さくなっていたんじゃないの?」

 

「お袋は俺が起きるよりも早めに家を出たから、姿は確認してないけど、間違いなく小さくなっているだろうな~」

 

「もしかして梨花ちゃんや沙都子ちゃんも幼女に!? って二人ともまだ子供だったね」

 

「でもレナ、二人が赤ん坊になっている可能性だってあるぞ!」

 

「はう~!!! 赤ちゃんの沙都子ちゃんに梨花ちゃん!! す、す、すぐに学校へ行こう!!」

 

だだだだだだだだ

 

 先程俺をゆっくりと追いかけたレナではない。自身の欲望のために、能力を最大限に引き出し、韋駄天で走るレナがいた。

 

「やべえ! 二人が危ない! 魅音行くぞ!」

 

「待ってよ圭ちゃん! 私も速く走れないんだよ~!」

 

「じゃあおんぶするから、俺の背中につかまれ!」

 

「え? え?」

 

「どうした! 早く乗れよ!」

 

「う、うん」

 

 どうしたんだろうか? 魅音は顔を真っ赤に染めている。魅音が静かに俺の背中につかまった。それを確認して俺はレナを追いかけた。

 

 

 

 さて、圭一が起きる前の時間の頃、古手梨花は悪夢にうなされていたかのように、汗をいっぱい流しながら息を切らして目覚めた。

 

「はあ…はあ…」

 

「どうしたのですか梨花?」

 

 羽入が心配そうに声をかけた。

 

「羽入、私覚えているの。犯人は鷹野……オヤシロ様の祟りの真相は鷹野なの」

 

「え—―――――っ!? なら学校へ行って、今すぐに圭一達に真実を知らせるのですよ!」

 

がらっ

 

 玄関が開く音がした。こんな朝早くにお邪魔する輩にろくなやつがいないと梨花は思った。

 

「助けて――――――っ!!」

 

 突如、見知らぬ金髪の幼女が泣きながら助けを求めてきた。その騒がしさに沙都子も起きだした。

 

「一体朝っぱらからなんですの?」

 

 梨花はとりあえず助けを求めてきた少女を無視するわけにはいかないなと思った。

 

「お名前はなんていうのですか?」

 

「みよ……みよこ! 私の名前はみよこ!」

 

「みよこですね、一体どうしたというのですか?」

 

「危ないお医者さんが襲ってきたの! 私にメイド服を着させようと追いかけてきて!」

 

 梨花はその説明で大体の事を察してしまった。横で話を聞いていた沙都子も同様の事を思っていた。

 

(監督か……)

 

 梨花は目の前の少女の不安を取り除くことを考えた。

 

「僕たちと一緒にいれば大丈夫なのですよ、にぱ~♪」

 

「そうですわ! どんな不審者でも、この北条沙都子のトラップにかかればちょちょいのちょいですわ!」

 

「二人ともありがとう!」

 

 こうして、梨花と沙都子は謎の少女と登校することになった。梨花は通学途中で羽入に話しかけた。

 

(羽入、これはどういうこと?)

 

(あうあうあう~、僕にも分からないのですよ~)

 

(この娘、どこかで見たことあるような顔をしているんだけど、誰だったかしら)

 

(う~ん、僕も誰かを幼くするとこんな感じになりそうかな~とは思うのですが、その誰かが出てきそうで出てこないのですよ~)

 

(まあいいわ、今の私には鷹野が真犯人だと分かった事が最優先事項よ)

 

 ちなみにこの謎の少女の正体は、鷹野三四である。昨夜、彼女は入江診療所内で唐突に幼女と化した。幼女と化した鷹野を見た入江は、理性を無くして本能のままに動いた。結果、鷹野は恐怖し逃げ出したのだった。

 

(とりあえず一番良く知っている古手梨花のところに避難できたから一安心として、今後どうしようかしら? この突然の幼女化はもしかして、雛見沢症候群の新しい症状なのかしら? 色々と危ない事をしていたから心覚えはあるわね~。もしそうだとしたら、研究の継続につなげられるかもしれない!!)

 

 鷹野は一人、不気味に笑っていたのであった。その笑いを横で見ていた梨花は見覚えのある笑い方だなと思っていた。

 

 

 

(なんてことなの……ようやく真実にたどり着けたと思ったら、頼りの魅音やレナが幼女に……おしまいだわ……)

 

 梨花ちゃんが教室に入るなり、何やらがっかりしている様子を見せていたので声をかけた。

 

「どうしたんだ梨花ちゃん? 何か悪い事でもあったのか?」

 

「みぃ、皆に相談があったのですが、それどころじゃない事態だったので」

 

「悪いな。レナと魅音の問題が解決したら相談に乗るよ」

 

「にぱ~、頼りにしているのですよ~♪」

 

 

 

(こんなチャンス滅多に訪れないっていうのに、どうしてこうなったのよ!)

 

 梨花が大層不機嫌な顔となる。

 

(あうあう~そういわれましても~)

 

 羽入もどうしてよいか困惑している。

 

(羽入、原因調べてきなさい。今日中に分からないとキムチ責めよ)

 

(僕にお願い事をするなら夕飯をシュークリームしてもらわないと割に合わないですね~)

 

 羽入は腹ただしいどや顔で語る。

 

(そう、じゃあワインも一本開ける事にしようかしら)

 

(全力を持って探しに行きます!!)

 

 羽入はいずこへと飛んで行った。 


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