一度深い眠りについた、バオー。
そのバオーがグレモリー眷属と出会う時、どのような邂逅を果たすのか。


注意
バオー来訪者を知っている方は楽しめる作品だと思います。
ハイスクールD×Dも知っている方は1,5倍楽しめます(たぶん)

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バオーがジョジョASBに登場したことを祝ってこの作品を書かせていただきました。


ハイスクールD×D バオー来訪者

ある地下洞窟の湖底に一人の青年が沈んでいる。

 

その青年は驚異の、恐怖の、最凶の力を持っていた。

 

核爆弾と同レベルの戦力を持ち、全てを惨殺する。

 

究極の力を宿す青年……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ここは………?

 

 

 ぼくは確か『あの子』を守って死んだんだ……。

 

 

 目を開け、周りを見渡す。

 おそらく夜なのだろう、視界がほとんど黒で埋め尽くされ空にはひときわ輝く満月が浮かんでいる。

 体が重たい……、体を動かすだけで苦だ。もう少しだけ寝ても良いだろう。野宿は馴れている……。

 

 瞼が……自然と……落ちて……いく。

 

 

 

 目を覚ました時に気付いたがぼくが寝ていた場所は山の中だった。

 

 妙だ……。

 

 ぼくの記憶の最後に残っているのは鍾乳洞で爆発に巻き込まれたところまでだ……。

 

 ここはいったい……?

 

 山の中腹あたりから見渡すと町が見えた。丁度良い、お金は少ししか無いがここがどこなのかさえ分かればいいのだ。すぐさま獣道を駆け下りて街を向かう。自分の居場所と生き方を探すために……。

 

 

 

 

 

 

 青年が数時間町を歩き回っても収穫などほとんど無かった。分かったことと言えば現在地の周辺の地形や地名だけと言ってもいい。結局のところ無駄足だった。空も太陽は隠れ暗闇に包まれ時間は午後11時を過ぎ次の日になる直前だ。

 星々が少し空へ浮かんでおり神秘的とも言っていい、いつもはそんな余裕すら無かったため嬉しさのような物も感じる。

 

 流石に二日も風に当たりながら寝るのは避けたいため今日の寝床を探していると丁度いい廃墟ビルがあったため『入るな危険』と書かれた看板を尻目に門をよじ登り中に入る。中に入ると粉々に砕けたコンクリートの壁がチラホラ見えるが壁が無いよりはマシだろう。

 風が当たらないように奥へ進んで行くと奥から獣の吐息のような呼吸音が聞こえる。誰か人が居るのだろうか……。なら話をしても問題はないかもしれない。

 奥へ進んでいくと女性が倒れていた。

 

「!?、大丈夫ですか!」

 

 青年はすぐに女性に近づき体を起こす。彼女は恐怖を顔で埋めながら死んでいた。女性の腕や足は何かに噛まれたような傷があった。

 すると前方の暗闇から呼吸音が聞こえてくる。前方に目を向けるとそこには2m~5mほどの虎、獅子、大蛇など猛獣が十数匹ほど居た。猛獣たちは飛びかかってきたためすぐに横跳びで回避する。咄嗟の行動だったため女性を置いて避けてしまった。

 女性の死体は無残にも猛獣たちに食われていく。だが獣は獣、少しでも多くの食料を自分の養分にしようと他の獣を攻撃して、自分の食う量を増やそうと喧嘩を始めていく。戦いに敗れた獣たちは青年をターゲットに捉え、ジリジリと青年との距離を詰めていく。

 

「僕も……あんな風に殺されるのか……。この動物たちは……ドレスの追手……どこまでも僕を苦しめるのか!」

 

 青年の叫び声をスタートの合図に猛獣たちは青年に飛びかかっていく。猛獣たちが牙を突きだし青年の皮膚を切り裂こうと牙と牙を噛み合わせる。しかしその牙の先には青年はいない、軽く体を捻ってかわしている。猛獣たちは青年を殺そうと牙や爪を繰り出すが、その全てが空を切った。 青年は驚異の身体能力で猛獣たちの攻撃をかわしているのだ。

 

 すると猛獣たちは攻撃パターンを変える。数匹ずつでチームを組んで青年を四方から囲み包囲する。これなら例え避けようとしても、避けた方向に動かせば、完全に避けられる事は無いだろう。

 

 猛獣たちは群れの狩りに慣れていた!必ず獲物を仕留め、食料とするためにフォーメーションを組む知能がこの獣たちにはあったのだ!

 

 対して青年は、なんと突進する猛獣に向かって走り出した。そして猛獣の頭を踏み台にする。そして入ってきた入口へ駆けていく。入り口で逃がすまいと陣形を張っていた猛獣が二匹、爪を突き出して青年を切り刻もうとする。

 しかし、その爪は、前足は受け止められた。 並みの人間よりは強い力を持つはずの猛獣が、特別に体格がいいわけでもない青年に、それぞれ片手で攻撃を止められている様は異様であった。

 猛獣を後ろに投げ飛ばすとすぐにこの廃墟の入口へ向かって逃げる。だがそれまでの道のりには猛獣が必ずいた。猛獣に理性はない、本能だけで行動しているのだ。

 だが青年はようやく見えた小さく見える門を見て安堵した。その瞬間最後の最後に、猛獣の爪が青年の腹部を貫いた。

 

「ぐぅ……ッ!?」

 

 青年は苦痛の唸り声をあげて、腹部から突き出た猛獣の前足を強引に引き抜く、そして膝を突き重力に従い地面に崩れ落ちる。

 猛獣たちは新たな食事が増えたことに微かな喜びのような感情を抱いて青年に近づく。

 

バル…………バル………バル……バルバル……!

 

その時!その時聞こえた!

 

音が!声が!

 

獣たちは聞いてしまったのだ!

 

『「寄生虫バオー」の麻酔作用開始!青年!橋沢育郎の肉体を爪が貫いた瞬間、育郎の体内の「寄生虫バオー」は育郎の精神を麻酔し、 彼の肉体を完全に支配した!』

 

傷が見る見るうちに塞がっていく。

 

『「寄生虫バオー」の分泌液は血管をつたって細胞組織を変化させ……… 皮膚を特殊なプロテクターに変える!』

 

 育郎の肌の色が変わっていき、顔にひび割れが入り、髪が伸びていく。

 蒼い、その肉体は人間にはありえない質感と色をしていた。

 

『筋肉・骨格・腱に強力なパワーをあたえるッ!』

 

 そこに立っていたのは人間ではなかった。金色の目と蒼い肌、蒼い髪を持つ異形が唸り声を上げたッ!

 

 

 こ れ が ッ !

 

 こ れ が ッ !!

 

 

 バルバルバルバルバル!!!

 

 

 こ れ が 『 バ オ ー 』 だ ッ !

 

 

そいつに触れることは死を意味するッ!

 

 

武 装 現 象(アームド・フェノメノン) ッ !

 

 

 ウォォォォォォォォォォオオオオオムッ!!!

 

 

 

『動物は危険を感じたり、怪我などをすると副腎髄質という内臓器からアドレナリンという物質を分泌し、体を緊張させるッ!このアドレナリンの量を脳に寄生する「バオー」が感知し………………「寄生虫バオー」は宿主である橋沢育郎を、生命の危険から守るべく 無敵の肉体に変身させるのだッ!』

 

 

 こ れ が ッ !

 

 

『バ オ ー 武 装 現 象(アームド・フェノメノン)』 だ ッ !!

 

 

 

 異形の咆哮が終わり、猛獣たちは恐怖する……そして背後へジリジリと下がって行く。

 

『視覚も、聴覚も、嗅覚も「バオー」には関係ない! 感覚はすべて頭部の触覚でまかなう! 「バオー」は猛獣たちの発する敵意のにおいを触覚で感じ……そのにおいが大嫌いだった!「バオー」は思った……… こいつのにおいを消してやるッ!』

 

 背後に立つ、己に槍の一撃を放った獣の顔を、バオーは無造作に掴んだ。すると、獣の顔が溶けていく。獣は叫び声をあげて動きを止める。

 

『バオー・メルティッディン・パルム・フェノメノン

―――手のひらからでる特別な液で物質を溶かす、「バオー」が持つ武装現象の一つ―――』

 

 そしてバオーが猛獣たちに向かって一歩踏み出した時、あまりの出来事に 思考を止めていた彼らの脳が、やっと動き出す。

 

 まず近くにいた獅子が二匹、爪を突きだしバオーに向け突撃した。バオーは近づいてくる獅子の方を向いただけで、避けようともしない。 そして両者が交差したと見えた次の瞬間、獅子は無残に両断されていた。 見ればバオーの腕には、いつの間にか刃のような物が生えている。

 

『バオー・リスキニハーデン・セイバー・フェノメノン

―――手首の皮膚を鋭く硬質化させ、刃となし敵を切り裂く――― 』

 

 獣たちは恐怖に負け、バオーに群れを成して襲い掛かって行く。

 

バルバルバルバルバルバル!!!

 

 バオーの咆哮と共に、凄まじい音と光がその体から発せられた。 そして、轟音と共に雷撃が猛獣達に襲い掛かかる。

 

『バオー・ブレイク・ダーク・サンダー・フェノメノン

―――細胞間を流れる微弱な電流を直列につなぐ事で、体内に高圧電流が生まれる現象―――』

 

 獣たちは炭化し、地面へ倒れていく。残った猛獣たちは恐怖し逃げていくがバオーは逃がすことを良しとせずに獣を己の腕の刃で切り裂き真っ二つに切断する。獣たちは死んだことも理解せずに地面に伏した。

 

 バオーは腕の刃を収納すると静かに二本の足で立ち尽くした。バオーの変身はまだ解けない!

 

「あなた……いったい何者……?」

 

 バオーは静かに自分に声を掛けた者に目を向ける。男女合計9人がバオーに警戒の意を見せていた。バオーは無言を通す。

 男女のリーダー格と思われる紅の髪の女性はバオーの背後に広がる光景を見て状況を察する。

 

「あなたがこの状況を作ったみたいね……」

 

 バオーは何も答えない。

 

「答えなさい……あなたはここで何をしているの……?」

 

 女性の声に怒気と敵意が籠る。バオーは嫌いな匂いに反応しほんの少し腕に力が入る。その姿を見た青年が腕に持つ剣に力を入れていつでも戦闘できる体勢になる。バオーは言わば赤ん坊のようなモノなのだ。それに話せと言う方が難しい。両者の見解が噛みあわずに女性は機嫌を悪くしていく。

 

「5秒だけ()つわ……それまで答えなければ敵とみなしあなたを始末するわ……」

 

 女性は順に数字を並べていく。そして数字が並んでいくごとに男女たちの手に力が入り、冷や汗が光り出す。それをバオーは感じ、同じようにバオーも力を入れる。

 

1………2………3………4………。

 

 静粛が空気を包んでいく。

 

5。

 

 女性はため息を吐くと指を鳴らす。瞬間、全員が戦闘態勢に入り、戦闘に入る。

 

 男の騎士が剣を振り降ろすとバオーは腕の刃で受け止める。横から女の騎士が大剣を横なぎに振り、バオーはそれを手でしっかりと掴む。男の騎士が剣劇を作るとバオーは女の剣を離し、刃と刃の剣劇を切り結んでいく。刃と刃がぶつかり合い火花が飛び散る。火花を尻目にしていると腕に赤い籠手を着けた青年が叫び、赤い龍の鎧纏ってこちらへ背中のブースターを吹かして突撃してくる。男の騎士はそれを感じたのか剣を振ることを止めて大きくジャンプする。そしてバトンタッチするように赤い鎧の青年とバオーは戦っていく。

 赤い鎧が拳を振るとバオーは体を捻り避け、バオーが拳を握り拳を振れば赤い鎧は砕け、鎧を纏っていた青年は苦痛の声を漏らして吹き飛び、受け身を取る。青年の名を呼び安全を確認すると黒い髪の女性が手に溜めた雷光を飛ばしてくるがバオーはそれを直に受けながら前進していく。バオーは体から電気を作れるのだからバオーからしてみれば少し暖かい電気というだけだ。

 前進してくるバオーに紅の髪の女性と銀髪の元ヴァルキリーが魔力の攻撃と北欧の術式魔法や精霊魔法で攻撃をするとバオーは驚異の身体能力で全て最小限の行動で回避するとそのまま女性たちに突き進んでいく。バオーに対して男の騎士と女の騎士は己の剣をバオーに振り降ろすがバオーは難無しと片手で二人の剣を受け止めた。

 だが次の瞬間二人は剣を手放し横へ飛んだ。そして前方から小柄な少女が拳を握ってこちらへ走ってきていた。バオーは触覚で気づいていただが二人の騎士の行動を追っていたため反応が遅れた!それでもバオーはバックステップで後ろに下がろうとした。

 だが動かない!

 

「!」

 

 男女の中に居た一人の能力によりバオーはその場に固定され動けなくなっていたのだ!

 

「まず一発」

 

 少女に容赦なく腹を殴られたバオーは吹き飛ばされ受け身を取る暇もなく廃ビルの壁を突き破っていった。

 

 

 

「やった!」

「いえ、まだです……体を逸らして威力を下げました」

 

 俺の言葉を小猫ちゃんは否定する。あれでも致命傷にならないのかよ……。なんだって言うんだあの青いのは……。

 グレモリー眷属全員で戦っても苦戦するなんて……。普通じゃあないぞ……。

 

「人間……なんでしょうか……」

 

 アーシアが俺の腕を治療しながら疑問の言葉をリアスにかける。リアスは何も言わずにあの怪物が飛んで行ったほうを見ている。あの怪物はまだ生きている。それは俺でも分かった。あの怪物から殺気が大量にこちらに浴びせかけられている。まだ戦う気だ。

 

バルバルバルバル!

 

『!?』

 

 奇妙な音に俺たちグレモリー眷属が驚いているとあの怪物が廃ビルに空いた壁から出てきた。今も殺気を振りまいていて気を抜いたら殺されてしまいそうなほどだ。

 

「イッセー……プロモーションの許可を出すわ……」

 

 リアスが少し震えた声で俺に昇格の許可を出す。それは俺に赤龍帝の三叉成駒(イリーガル・ムーブ・トリアイナ)を使えと言っているのだろう。確かにあの怪物にこのメンバーで勝てるとは到底思えない。ゼノヴィアと木場の攻撃を難なく受け止めたんだ……難しい……。

 

「ドライグ……準備はいいか……」

『いつでもいいぞ……あれはどの種族にも当てはまらない凶悪な力を持っている……気をつけろよ』

「ああ……」

 

 ドライグが心配するほどの敵……もしかしたら魔王様と匹敵するかもしれない……。

 

赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)……龍星の騎士(ウェルシュ・ソニックブーストナイト)

『Change Star Sonic!!!!』

 

 鎧の余分な部分をパージしてスピードのみに特化した高速戦仕様の形態、背中に増設されたブースターによって圧倒的な加速力を得た状態だ。だがスピード特化故に弱点も顕著にあるのも事実だ。装甲が薄くなった分、ダメージを負いやすく一撃必殺の威力を持つ攻撃を受けようものなら大ダメージを負うことになるのは間違いなし。

 

「だが!スピードで翻弄して一撃で倒す!攻撃を逸らす暇も与えない!」

 

 亜音速で突き進み怪物の目の前で無理矢理軌道を変える。それを繰り返す。

 怪物は俺が目の前に来た瞬間手首の刃を俺に振り降ろした。だが俺には当たらなかった。ということはコイツは俺に付いてくるだけの速度はない!

 

 そして怪物の後ろを取った俺は拳を握りしめて頭めがけて拳を振った。

 

 

「グッ!?ガッ!?」

 

 赤い鎧纏った青年はバオーに首元を掴まれていた。青年はバオーの腕から逃れようとするがバオーの力が強く逃れることができない。

 するとバオーの腕から少量の液体が発生し青年の首元の鎧を溶かし始めていた。

 

「うぉおおおおおお!?」

 

 青年は足でバオーの体を蹴るが一向にバオーが怯む気配はない。残りのメンバーも急いで青年の援護に向かおうとするが青年の元へ向かうだけで最短でも2秒はかかる。その間にもバオーは青年の鎧を溶かし青年の首を溶かしきってしまうだろう。

 

 その時青年は予想外の行動を取った。

 

「このっ!!」

「!」

 

 青年は背中のブースターを強引に吹かせて真っ直ぐ、直進した!しかも全速力で!

 この状態からブースターを吹かせるとはさすがのバオーも思っておらず、一瞬だけ動きが鈍る。鈍ると言っても一秒、いや0.5秒にも満たない時間だ。

それでも青年には充分だった。そのまま強引にブースターを吹かし続けてバオーを巻き込んで廃ビルに激突する。そしてそのまま突き進む。

 

「うおおおおおおおおおおおおお!」

 

 何枚もの壁を突き破って廃ビルの中心部にくるとバオーは拳を握って青年の背中のブースター目掛けて拳を振り降ろす。激痛に気を取られた青年はバオーを離してしまいバオーはその隙に青年の拘束から逃れた。

 

「……っへ! どうだ、この野郎」

『考えたな、相棒。ブースターを強引に吹かすことで動かすとはな。やつもこれは予想外だったようだ』

 

 青年が見るとバオーは左手を押さえてボロボロの状態で立っていた。

 

「……ッ!!………」

「あいつは鎧も何も付けてないから確実に骨の一つや二つくらい折れてるはずだ……。これで形勢は変わった……後はリアスたちが来てくれればまだ勝機はある!」

 

 その時だった。バオーが顔を地面に向け顔を隠した。

 

ウォォォォオオオム!

 

 傷が塞がっていく!バオーの!折れた左腕が回復していく!

 

「そんな!再生能力まであるのか!」

 

 その光景を見て青年は驚愕する。ここまでしてダメージを与えたのに回復されるのだ。

 

「させるかぁあああああああ!龍剛の戦車(ウェルシュ・ドラゴニック・ルーク)!!」

『Change Solid Impact!!!!』

 

 薄い装甲が肉厚になり、オーラを噴き上げながら拳の勢いを上げる。そして拳をバオー目掛けて振り降ろす!

とてつもない衝撃が廃ビルを襲い瓦礫が崩れていく。

 

「!?」

「…………」

 

 拳をバオーは受け止めていた。片手で青年はもう片方の腕を振り降ろす気には成らなかった。ここで振り降ろしてもバオーに受け止められる……。ならば。

 

「……本気で戦うしかない!ドライグ!!」

『Cardinal Crimson Full Drive!!!』

 

 できるか分からない……ヘタをしたら死んでしまうかもしれない。だがここで死んで彼女たちの悲しむ姿を見たくはない。

青年は自身の最高の力を引き出せる真紅の赫龍帝(カーディナル・クリムゾン・プロモーション)である真・女王の駒へと変化させる。それは先ほどよりも纏っているオーラの量が増え、なおかつ鎧の色が赤から紅へと変化しているのが一目で分かる。真なる赤龍神帝の細胞で構成された身体ということもあって以前よりも力が上がっているのではないだろうか。

 

 バオーは跳ね上がった青年のオーラを前に青年の腕を離しバックステップで後ろに下がる。

 

 その瞬間青年はバオーとは反対に突き進んだ。全速力でバオーの顔に拳を振り抜く。

 

「くらぇぇぇ!!!」

 

 青年の拳がバオーを捉えたと思った瞬間の出来事だった。バオーは無理矢理、体を捻じ曲げ青年の拳を回避した。そしてその反動を利用して青年の体を蹴り飛ばした。そして反発しあった二人はお互い反対方向に吹き飛ばされる。蹴られた青年は壁に叩きつけられるが鎧のおかげで命に別状は無かった。それに対しバオーは身体能力をフルに使い受け身を取る。

 

「くそ!なんて反射神経してやがる!」

『落ち着け、相棒。まだ俺たちが押している』

「だけど……!』

 

 青年が落胆の息を吐いているとバオーは瓦礫を掴んで指で弾いて飛ばしてくる。だが鎧を纏った青年に対しては瓦礫など目くらましにしかならない。青年は鎧を纏ったまま背中のブースターを吹かして突撃をする。全ての能力が底上げされた彼のバオーに対して最後の攻撃だった。バオーは手首の刃を青年目掛けて飛ばした。放たれた刃は高速回転し青年の右肩に突き刺さる。青年は激痛に顔を歪めるがそのまま突撃する。

 

「うおりゃああああああああ!!」

「!!!

 

 青年の拳とバオーの拳が交差する。バオーの拳は反射的に突き出したモノだった。刃を本来は顔面に飛ばしたはずだったのだ。だが青年は体をほんの少し横に移動させた。その些細なことでバオーと青年の戦いが変わったのだ。

 

 バオーの拳は青年の頬を捉えていた。そして青年の拳もバオーの頬を捉えていた。だがバオーは痛みを忘れ怯みもせずに青年を捉えた腕とは反対の腕の刃で青年の体に浅くだが斜めに切れ込みを入れた。浅く……というのは青年が後ろに倒れ掛かったため切る範囲が浅くなってしまったのだ。

 青年の鎧は解除され、斜めに切り裂かれた青年の切り傷からは大量の血が流れ出ており1分も放置すれば死ぬだろう。だがバオーは青年に近づいた。そして自分の皮膚を切り裂きそこから流れ出た数滴の血液を青年の口に含ませた。すると青年の斜めに切り裂かれた傷が急速に回復していった。

 するとさきほどの男女たちが入ってきた。そして青年の姿を見るとバオーに対し敵意を向けるが今度はバオーは何もしなかった。バオーは何もせずに廃ビルから出ていった。

 

☆ ☆ ☆

 

『寄生虫バオー』に取りつかれた青年、橋沢育郎は湖底に沈んでいた。そしてほんの数秒だけ意識を保っていた。

 

 

今のは……夢……?

 

いや……違う……これは……夢じゃあ………ない。

 

僕の………冒険……そして……経験…………。

 

それにしても……眠い………もう少し………もう少しだけ………眠ろう………。

 

 

 

 

でも、必ず………。

 

 

 

必ず、起きて君に会いに行く。

 

 

 

また会おう。

 

 

 

 

 

 

 

            THE END

 




バオーはうっかりさん。そうに違いない。
いつか育郎は目覚めてスミレちゃんに会いに行くんでしょうね。

ちなみに今回登場した猛獣ははぐれ悪魔が作ったって設定になってます。
それを始末しに来たグレモリー眷属が偶然バオーに出くわして敵意を向けたら戦闘開始……というバオーうっかり話です。

別に誰が悪いとかは無いですよね。グレモリー眷属は得体のしれない生物に出くわして敵意を向けたら襲われて、バオーは嫌いな匂いのするやつ片っ端からやっつけるだけですし。

こんな短編物がもっと増えたらいいのに。

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