獅子劫side
「何? 協会の支援部隊からの連絡が途絶えた?」
晴れる空の下のオープンカフェでセイバーと二人で朝の朝食をとっていると魔術協会からそんな連絡を受けた。
『ああ。今回の聖杯大戦の被害の隠蔽や万が一のバックアップなどの要員として何名か派遣していた協会の魔術師達が昨日の連絡を最後に今朝から連絡が取れなくなった。おそらく全員生きてはいないだろう』
「で? 要件はなんだ? まさか只の世間話や仕事の愚痴って訳じゃないだろう」
俺はこの後の流れを察したがそれを言葉にはせずに二世の話の続きを聞くことにした。
『ああ、まず間違いなく今回の件はサーヴァントが関わっていると私は見ている。ああ、それと先程シロウ神父にも確認したがこちら側のサーヴァントは皆集結しており、ただの一人も魂喰らいはしていないとのことだ』
あのシロウ神父の言葉をすべて信用することはできないがこの件に関して嘘をついてもあちらにメリットはないはずだ。となると殺ったのは・・・
「黒の陣営の仕業か・・それもおそらくアサシンの仕業と言うわけか」
三騎士クラスが有無を言わせず殺った可能性はゼロではないが、おそらく違うだろう。こんな事にわざわざ三騎士クラスを黒側が投入する必要はないはずだろうから残るアサシンの可能性が高いと考える。
情報によれば黒のアサシンはドレスを着た女で、こちらのアーチャーに手傷を負わせた相手らしい。
『そういうことだ。サーヴァントにはサーヴァントでしか対処できない』
はぁと俺はため息をついてから
「了解した。俺としてもアサシンは早めに片付けておきたいからな」
『助かる。では、そちらは任せた』
俺とセイバーは一時間ほど街灯が数個あるだけのぼんやりとした明かりの照らす町を歩いた。
セイバーは警戒の為とすぐに戦闘に入れるように鎧を着込んでいる。
そのためガシャガシャと音がなり何度か警察にも遭遇したが俺の暗示で何とか追い払うことはできていた。
俺はその単著な作業に些か煩わしさを感じていたが先程はつまらないとか暴れたいとか言っていたセイバーが無言なことに気付き話しかける。
「・・・どうしたセイバー」
「・・・悪いマスター、今集中してるから少し黙ってくれ」
セイバーがこれだけ警戒しているということはやはり今回の件はサーヴァントが関わっていると見て間違いないようだな。
と、俺の考えが確信に変わったところで事態はさらに動き始めた。
まず、周囲の空気が一気に重くなり、次に俺の体に異常が起きた。
立っていることすら困難なほどの脱力感に囚われたのだ。
周囲の異変にすぐに気付いたセイバーが俺を背負って走り出した。
「こ、これは結界か・・なら相手はキャスターか、それとも・・・」
「喋るなマスター! 早くここから脱出するぞ!」
そういってセイバーが更に走る速度を上げる。
「よし、抜けたな・・・」
「おい、これからどうわッ!?・・・!?!?!?」
俺が言い終わる前に俺はセイバーに足を払われてその場に倒れ、その後から何か甲高い音が響いた。
俺が上を向くと俺の前にセイバーが陣取り先ほど走ってきた向こう側を睨んでいた。
「あらあら、この奇襲を防がれるとは思いませんでしたわ」
建物の物陰から現れたのは黒のドレスに左右不対象のツインテールの少女、そして手には短銃が握られている。
「ありゃあ情報通りなら黒のアサシンだな。こちらのアーチャーに手傷を負わせたヤツだ」
セイバーは俺の話に耳を傾けつつ黒のアサシンを警戒していた。
「ヘェ〜?アサシンのくせに堂々と俺の前に姿を現わすとはいい度胸だな!」
セイバーがアサシンに向かって突撃する。
アサシンは迎撃の為に短銃を撃つ。
だが、まったく発砲音がしない。
よく見ればあの短銃には呪符のようなモノが貼ってある。
おそらくあの呪符のようなモノで音消しの効果を発揮しているのだろう。
見た目からの判断だがあのドレスから見て中国や日本の英霊ではないだろうから、あの呪符はあの黒のアサシンのマスターが用意したモノと判断するのが妥当か、と俺が分析しているとセイバーがこちらを振り返り叫ぶ。
「避けろ!マスター!!」
セイバーの言葉を理解するよりも早く、足に強烈な痛みが走り俺はその場で膝をついた。
「アサシンてめぇ・・・」
「あらあら、そちらは何やら誤解なさっているようですが、これは騎士の決闘ではなく戦争ですのよ?よーいドンで始めるお遊戯ではありませんわ。なら、か弱いアサシンのサーヴァントである私は目の前にいるマスターから狙うのは当然のことではありませんか」
そう言ってアサシンはニヤリと笑みを浮かべながら再び銃の引き金を引く。
そして発射された弾丸をセイバーが切り裂いた。
「そうそう、そうやってマスターを守っていて下さいな」
アサシンはセイバーを狙わず俺のみを必要に狙ってきている。
そのせいでセイバーは間合いを詰められずアサシンは自身の有利な間合いに少しづつ距離を取っていく。
「はっ!何度そんなモン撃ってきても無駄だ!アサシン」
「ええ、ええ、どうやらその様ですわねぇ。ですから私も別の手を見せて差し上げますわ!」
その掛け声共にアサシンの足元から広がるように影が俺とセイバーの足元まで伸びた。
そして影から無数の手が俺の足を掴んでその影に引き込もうとしてきた。
「なっ!何だ!こりゃ」
「なっ、マスター!」
「だから、先ほども申しましたようにこれは戦争。アサシンである私が手っ取り早くマスターを狙うのは当然でしょう」
影から手でくる無数の手は見た目は細腕だが、かなりの力で俺を影に引きずり込もうとしてくる。
さらに、アサシンは俺に向けての銃撃の手を緩めない。
こりゃあ、かなりヤバいな。
どうにかしてセイバーをアサシンに接近させないと拙いとは言っても手はあるにはあるが・・・そこでセイバーは俺を見てから一度頷いた。
「ならこっちも手を打つしかない!令呪を持って命ずる。セイバー!アサシンの前に跳べ!」
するとセイバーは俺の前から消えてから一瞬でアサシンの目の前に現れた。
これにはアサシンも驚きを隠せないようで動きが一瞬止まったように見えた。
「くたばりやがれ!アサシン!!」
セイバーの上段に構えた剣がアサシンに吸い込ませるように叩き落とされた。
そしてアサシンは声も出せずに大量の血を吹き出して倒れてから消滅していった。
狂三side
はぁ、やられたフリをして後ろから狙うつもりでしたが。やらなくてどうやら正解のようですわね。
私と赤のセイバーとの戦闘はどうやら監視されているようでしたし。
あの赤のセイバーかマスターを運んでいる間に分身からのこちらの使い魔ではないハトの使い魔を発見したという話を聞いていなければ危うく私の手札を晒す所でした。
今日のところはこの赤のセイバーのマスターが身につけていたこのサングラスで良しと致しますか。これを刻々帝で調べて赤のセイバーの真名が知れればいいのですが、まぁ、少なくとも令呪を一画消費させたことで今回は良しとしましょうか。
そして、私は誰にも見つからない様に影に潜りマスターの元へと帰還した。
狂三ちゃんは赤のセイバーとの戦闘で獅子劫のサングラスを手に入れた。
・・・果たしてこれは割に合うのだろうか。
PS.言い訳をさせてもらうと戦闘シーンを書けば書くほど説明的になってしまうのでこんな感じ短めです。
すいません
さて、一応書く気はあるので気長に待っていただけると嬉しいです。