希望があれば続きも書くけどね。
自宅から数駅離れている県立恋ヶ浜高等学校。
俺はそこへ電車通学している。
4ヶ月前、千葉在住の時に通っていた総武高校から転学したのだ。
もともと、中学の奴らと一緒になりたくないという理由で進学校である総武高校を選んだのだから
中学の奴らと会うことがない鎌倉でならばどの高校でも良かったのだが……
鎌倉の高校を調べている時に、以前読んだことのある水嶋ヒカリの小説、『恋染紅葉』の舞台がこの高校だということを思い出し、この高校へ行くことにしたのだ。
この『恋染紅葉』だが……
普段は偏差値25くらいに見える雑誌しか読まない小町が、初めて俺に勧めてくれた小説なのである。
【恋に夢に一生懸命な2人の少女の物語】という完全に女性向け恋愛小説なのだが、
ストーリー構成がとても上手なのだ。
また、ヒロイン2人が醸し出す恋の雰囲気の表現、自分がその場にいると錯覚してしまうほどに引き込まれるような文章力などは男の俺でもすぐに虜になってしまったほどである。
思えば、この小説について小町とよく2人で語り合ったものだ…
ちなみに県立恋ヶ浜高等学校は総武高校よりレベルが下がるので、授業には普通についていける。
あと俺が転学するために受けた試験内容は英語、国語、数学の三科目だった。
国語、英語はまだ得意な科目なので、数学を重点的に勉強したからか、転入学試験も難なくなせた。
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俺は今自宅の最寄り駅いる。
もともと自転車登校だった俺は、電車登校にかかる金額がものすごくもったいないと思っていたのだが、世には定期乗車券なる物が存在し、同じところにずっと通うのであれば大変安い出費で済むというのだ。
まぁそれでもある程度金はかかってしまう…
もちろん俺に数駅先まで毎日自転車をこぐような気力があるわけが無く、現在もこうして1人電車を待っている。
まぁまだ金がもったいないとは思うがな。
(プシューー)
…いかん、そうこう考えている間に電車がきた。
しかも見る限り、電車に乗っている人の数が普段より多い。
こういう時は、切実に女性専用車両が羨ましい。
「はぁ〜」
駅のホームで大きなため息を吐く。
我慢することに関しては、俺が最強
ぼっち舐めんな
そう呟く俺を、誰かが笑っている気がして、顔が少し熱くなった。
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電車で数駅行き、恋ヶ浜駅で降りた。
改札を抜けると同じ制服を着ている人がちらほらと見つかる。
まばらな人の流れに乗り、目的の高校まで進んだ。
校門、昇降口を抜け、教室内に入る。
俺が入ってきたことには誰も気づかなかったので、高性能ステルス能力を使い自分の机に伏せる。
こうすることにより、他人から話しかけられる可能性はほぼ0%になる。
つまりほぼ完全な不干渉空間を作り出すのだ。
大体これで朝は乗り越えている。
午前の授業が終わり、勉強疲れからか、少しだけ虚脱感に襲われた。
どうやら脳内に糖分が足りなかったらしい。
まったく、俺がMAXコーヒーを持っていなかったらどうなっていたことやら。俺の千葉愛にまじ感謝感激雨あられ。
この高校はどこへ行っても騒がしいため、静かに落ち着けるベストプレイスは見つけられなかった。
そのため、俺は教室内で飯を食っている。
他に1人で食う方法はあったんだが…便所飯は嫌なんだよ。
いつもの昼休みの時間となった教室内は少し騒がしいくらいで、携帯を弄ったり、本を読んだり、友達と会話を交わしたりしている奴らがいるだけだ。
まぁ今日は少しどころでなく普通に騒がしいんだがな。
なんでもクラスメイトの1人が昨日一目惚れしたとか。さらに周りの奴らに大声で叫ばれてからかわれてたしな。
かわいそ、同情するわ。
リア充コワーイ。
そんなことを考え、脳内でリア充を馬鹿にして遊んでいたら、昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴った。
はぁ、午後の授業…めんどくせぇ…
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「あ、あのっ!君の!連絡先…ください!」
「えぇと……ごめんね、君、誰、かな?」
「あっ…!かっ…かか葛城翔太…です!」
学校が終わって、帰りの電車に乗ろうと恋ヶ浜駅まで行ったら改札前に一目惚れがどーのとか話してたクラスメイトと、昨日俺が痴態を晒してしまった美少女がなんか話してた。
てか一目惚れしたのってまさかあの美少女?
確かに見た目は可愛いよな、小町に引けを取らないぐらいには。
「あのごめ「あっ…比企谷…」ん」
美少女が話していたところを遮ってクラスメイトが俺の名前を呼んだ。
それで美少女はこちらに気づいたのか手を振って来た。
一度頭を下げ、素通りした。
面倒ごとには関わりたくない。
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私が連ドラの撮影のために、鎌倉の様子を見に来た時、私は初めて、彼に出会った。
私がドラマの役作りのために恋愛経験が必要と言われ、男の人のことで悩んでた時、
目の前にある海岸沿いの歩道を、おやつを片手に歩いていた子供をトビが襲おうとした。
その時に自らの体を盾にして、子供を抱き抱え、子供をトビから守ったのが彼。
突然目の前に現れたものにびっくりしたのか、トビは上空に戻っていった。
トビがいなくなったことを確認した彼は、
まだ状況の整理がついていなくて、驚いて涙目になってしまった子供に、何かを伝えていた。
注意をしたのだろうか、子供が少し泣いてしまっていた。
でも本当に危なかったんだよね…
トビの爪もクチバシもとても鋭かった。
彼が助けていなかったら、あの子供は怪我をしていたのかもしれない。
泣いている子供を見て、彼はその子の頭を撫でて笑った。
口を動かしていたからまた何かを伝えたんだろう。
いつの間にか子供は笑顔を取り戻していた。
そして、その時の彼の顔はとても優しい笑顔だった。
その笑顔を見たとき、私の胸はポカポカした。
こういう人なら…いいかも…
無意識のうちに、私は呟いていた。
あの日から私は、彼を見かけると、つい目で追ってしまうようになった。
そして昨日、勇気を出して、彼に声をかけた。
その彼は、私の声かけに反応せず、何もなかったように歩き始めたから、
無視されちゃった⁉︎ってヘコんだんだ。
でもせっかく勇気を出したのだから意地でもと、腕を掴んで強引に引き止めてもう一回頼んでみた。
あの時の私はちょっとはしたなかったかなと思う。
でも反応しないで歩き出す彼も悪い。
結果的に写真は撮ってもらえたんだけど、お名前は教えてもらえなかった。
それに逃げられちゃったし…
私何か変だったかなぁ…
笑っちゃったからかな…
でも真顔で「にゃんですか?」なんて言われたんだからしょうがないよね。
あれはちょっとずるいと思うんだ。
…次話す時には絶対お名前を教えてもらおう。あともう少しお話がしたいな…
私と彼はいつも同じ駅で遭遇している。彼は気づいていないけどね。
きっと通学時間が重なっているんだと思う。
私の家の近所に住んでいるのかな?なんて考えたりすることもある。
今朝は彼が電車が来た途端に真面目な顔で「ぼっち舐めんな」とか言い出しちゃうから、思わず笑ってしまった。
この時の彼の顔は少し赤くなっていて、
笑い声聞こえちゃったのかな、私に気づいちゃったかな、と不安に駆られたのを覚えている。
でもなぜか少し嬉しかった。
なんでだろう?
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舞台の下見をもう一度しようかなぁと思い、
恋ヶ浜駅の改札を出たら、私の目の前に彼の着ている制服と同じ制服を着た、顔の真っ赤な男の人が走ってきた。
「あ、あのっ!君の!連絡先…ください!」
「えぇと………ごめんね、君、誰、かな?」
「あっ…!かっ…かか葛城翔太…です!」
あんまり怖そうじゃない男の人だけど…
知らない人に連絡先は教えられないかなぁ…
「あのごめ「あっ…比企谷…」ん」
私がお断りの言葉をかけようとしたら、葛城くんの声に遮られてしまった。
比企谷?くんがきたらしい…
比企谷くんって誰?
彼だった…
とりあえず手を振っておこう。
昨日はありがとうございます、という意味も込めて。
彼は一度頷くと行ってしまった。
せっかく話せたかもしれないのに、と考えてしまうと、もったいないことをした気分になる。
でも彼の名前が「比企谷」ということはわかった。
それを知れただけでも、少し、彼に近づけた気がして、ちょっと嬉しい。
あっ、葛城くんのことを忘れてた。
「ごめんね葛城くん。連絡先は…ちょっと今は無理かなぁ…京子さ…ちょっといろいろ相談しておくから、またの機会でもいい?」
「あっは、はい!あ、あの、お名前を教えていただけませんか?」
「いいよ。私、紫之宮紗菜。よろしくね!」
「っはい!」
この後は舞台の下見をするつもりだったけど、今日は帰ろう…
「じゃあねっ!葛城くん!」
「さよならっ!紫之宮さん!」
次はこそは比企谷くんと話したいな…
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ifストーリーの続き、二話じゃあ!
感想待ってるで。みんなの好きなヒロインとか教えてね!