はい!こちらG&K市民相談窓口です!   作:スツーカ

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ネタを思いついたので続きました。


報告書1枚目:ダイナゲートを捕まえて

「こらー!待ちなさーい!」

 

 街の通りに響く少女の叫び。まるでプールで歩いてるかのような遅い走りの身長120cmことKar98kと追いかけられる四つ足ロボットのダイナゲート。子どもでも全速力で走れば捕まえられそうな速さだが、その身長の低さとRF特有の足の遅さも相まってなかなか距離は縮まらない。角をいくつか曲がると完全に見失い、Kar98kは立ち止まってしまった。

 

「ぜぇ……はぁ……は、速すぎますわ……」

 

 何度も言うがKar98kが遅いだけである。どうしてわたくしがダイナゲートを追いかける羽目になったのかと考えながら別行動するゲパードM1に通信を入れた。

 

「ごめんなさい、見失ってしまいましたわ」

 

『あー、むしろ好都合だったよー。そこの道を東に進んで探すふりしながら2つ目の交差点を左に曲がって。そうしたらそこの袋小路に誘導されるから』

 

「わかりましたわ」

 

 なぜ2人のRFがダイナゲートを追いかけまわしているのか。それは1時間ほど前に遡る。

 

 

 

 〇

 

 

 

「ハロー!指揮官!」

 

「ハローじゃない、今何時だと思ってるんだ」

 

「いいじゃんフレックスタイム制なんだからさ。それに仕事はちゃんとクリアしてるから!」

 

 営業開始から1時間ほど経ってようやく出勤してきたのはゲーム好きのRFB。フレックスタイム制を採用しているため、きっちり8時間勤務をこなせば11時までに出勤してもいいが、せめて営業開始時間には来て欲しいと思う指揮官であった。

 

 カランコロン

 

 今日も手続きや相談に来る人で賑わうG&K市民相談窓口。ドアに付けられたベルが来客を知らせる。そこにはキョロキョロと不安そうに見回す小学低学年ほどの女の子がいた。

 

「どうしました? 保護者の方を探しに来たんですの?」

 

 受付のKar98kが駆け寄る。市民相談窓口と書いてあるがやってる事は役所と同じで、戸籍や住民票、保険や手当などの手続きや政務官と住人との調整役、地区運営に対する要望や相談の対応などが主な仕事だ。そのため子連れはいても子ども1人がここにやってくることは珍しい。

 その女の子は驚いたが自分とあまり変わらない背丈の少女に親近感を覚え、すぐに話してくれた。

 

「あのね、わたしのペットがどっかいっちゃったの。だから探すの手伝ってくれる?」

 

「ペットの捜索ですか……」

 

 Kar98kは悩んだ。許可が必要な指定の動物ならまだしも、このような女の子が飼えるようなペットの捜索は受け付けていない。しかし、ここで突っぱねて泣かれたり保護者に言われればどう噂されるか分かったものではない。そう思い、形だけでも協力しようとペットの写真をみせてもらった。

 

「こ、これは……!」

 

 女の子が見せた携帯電話の画面には、可愛くデコレーションされた長方形の体に四つの足、正面のカメラレンズが愛くるしい鉄血のロボット、ダイナゲートが写っていた。

 鉄血が沈静化したとは言え未だ危険なのには変わらず、当然のことながら身元不明のロボットを自律人形やペットいて使役するのは禁止している。適切な処置を施した上でG&Kに申請すれば所持できる可能性はあるが、写真からかろうじて読める型番はデータベースに登録されているものではなかった。すぐさま指揮官を呼び、ついでに鉄血人形への対応なら市民安全課だろうとゲパートM1も連れてきた。

 

「なんでワタシ呼ばれたの?」

 

「鉄血人形の対応はゲパートの仕事じゃろがい。さて、今のところ手が空いてるのはKarちゃんとゲパートだけだ。あのダイナゲートを捕まえてきてくれ」

 

「捕縛? 破壊ではなくて?」

 

「君たち一応退役扱いで銃持てないから破壊できないでしょうが。あと破壊するとあとで面倒になるから、捕まえて処置して所持許可の申請をする。これでいいかなお嬢さん?」

 

 3人の話について行けずポカンと口を開けていた女の子が我に返りコクリと頭を下げて肯定の意を示した。

 

「ではゲパートとKarちゃんはダイナゲートの捕縛を。では始め」

 

 ゲパートM1は面倒くさそうにあくびしながら準備を始め、Kar98kもStG44に受付を頼むと動きやすいいつもの服に着替えてゲパートM1と共にオフィスを出発した。そして手掛かりがないまま街中を聞いて回りながら数十分探し回り、一時中断して昼食にしようかと思った矢先に路地裏を歩く特徴的なダイナゲートを発見した。そして10分ほどKar98kは全力疾走(何度も言うがこの遅さでも全力)で追いかけ回し冒頭に至る。

 

「とりあえずゲパートの言う通りにしましょう」

 

 どこ行ったのかしら~とわざとらしく見回しながらゲパートM1の言う通りに進むと、ゲパートM1の言う通りダイナゲートが角を曲がる姿が見えた。曲がった先はゲパートM1の言うところでは行き止まりであり、ようやく捕まえることができると安堵しながら後を追う。案の定、高い壁で囲まれ立ち往生するダイナゲートがいた。派手なピンクや花柄のシールでデコレーションされたダイナゲートは観念したらしく、大人しくKar98kに捕まった。Kar98kがダイナゲートを抱えて袋小路から出ると疲れた表情のゲパートM1がいた。

 

「あなたどこにいらしたの?」

 

「いろいろ」

 

「いや、色々ってどういうことですの」

 

「企業秘密。早く帰って仕事終わらそ。残業やだし」

 

 心底面倒くさそうに溜息吐いてそそくさとオフィスに戻るゲパートM1とKar98k。2人を知る人たちはこの奇妙な組み合わせを不思議そうに見ていた。

 

 

 

 〇

 

 

 

「ただいま戻りました」

 

「わーい! ダーちゃんだ!」

 

「ダーちゃんって……」

 

 相談窓口のオフィスに戻るとKar98kに抱えられたダイナゲートは、飼い主を見るや否や即座に飛び出し嬉しそうに飼い主の周りを飛び跳ねた。今はいいが、いつ人に危害を加えるかわからない代物を置いておく訳にもいかないので、指揮官はダイナゲートを持ち上げると検査のために地下室の資料庫に持って行った。女の子をいったん帰らせ詳しく検査したところ、武装や通信モジュールは全て壊され再び付けれないよう入念に接続端子も潰されていた。普通の鉄血人形ならこのような改造はされるはずはなく、誰が何の目的で行ったのか皆目見当もつかなかった。だがこれなら申請が通りそうだとG&K本部に書類と証明の写真を送った。

 後日、G&Kのお墨付きをもらったダイナゲートは改めて新しい家族の元へ送られた。

 

 なおゲパートM1はいつもの3倍の速さで残った仕事を終わらせ定時で帰宅した。

 





登場人物紹介

Kar98k
市民相談窓口の受付を担当する元戦術人形。生産時のミスで他のKar98kよりかなり背が低く作られてしまった欠陥品。性能は他と同じだが背の低さと足の遅さが致命的で徐々に煙たがれついに市民相談窓口に左遷された。仕事の優秀さと可愛らしい見た目で市民相談窓口から歓迎され、今では生き生きと受付嬢をこなす。

ゲパートM1
市民相談窓口の市民安全課を担当する元戦術人形。前任の部隊の仲間や指揮官とそりが合わず、無能を演じて相談窓口に左遷された。面倒くさがりだがかなり優秀で戦闘能力も優れていたため、治安や鉄血人形対策をする市民安全課の担当となった。意地でも残業はしない主義。
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