デビルサマナー 須賀京太郎 作:マグナなんてなかったんや
真Vの情報やっと来ましたね。
キャラクターに関する情報とか明かされたわけではないにしろ発売日不明から来年に変わったのは喜ばしさと真Ⅲもで10月に発売されるってことで凄い嬉しい。
PS2がスパロボIMPACTに粉砕されて以来プレイしてないので楽しみではありますが、流石にダンテは無理やったかってのと、アバタールチューナーもできれば来てほしいなーと思う次第。あとNINEもな!
コウリュウが重要視されたのは大地の力である龍脈を司る存在だからである。
龍脈が活性すればその土地は豊かになり繁栄する。逆に言えば龍脈が衰えればどれだけ頑張ろうとも成長も、繁栄もすることはないのだ。
この事を踏まえ、他国がその土地の龍脈を統べるためにコウリュウを捉えようとするのは無理もない話であった。
「その事に気づいたライドウはコウリュウを条件付きで送還したのだ。この国の龍脈を取られるということは銃口を突きつけられるも同じことだ。だがそのことに腹を立て開発したばかりであった核ミサイルを落とすに至った」
「八つ当たりかよ……」
「そうまで龍脈を取りたかったのは今後のためであったろうからな。自分たちに、ひいては神と天使に従わねば大地を殺すと」
当時の事情を知らない人々は眉をひそめた。思うことは違うだろうが方向性は一緒だろう。
しかし既に終わったことであると意識を切り替える。核という脅威はあったがそれでも大地は死んでいないのだ。
「それで超力超神ってのはなんですか?」
「正しく言えば戦艦形態を超力戦艦、二足方向が可能な状態を超力超神と呼ぶ。科学と神秘の力の融合という意味では悪魔召喚プログラムの先達と言えるかもしれん」
「え、二足歩行? それって何時の話ですか?」
「大正だ」
「……えぇ」
「今よりもヤタガラスは力を持っていたからな。超力が暴れた事件もその後の事件も表にはでていない」
「……機動兵器が五十年以上前から実現していたと?」
「奇跡の産物ではある。実際に建造計画も立ち上がったが頓挫したぐらいでな」
「でしょうね……。あれ、でも一隻はあるんですよね?」
「普段は封印しているしライドウをして使役するには苦労する代物だ。なにより小回りがきかん。なにせ戦艦ほどの大きさが町中を歩くことになるのだ」
「むしろ超力超神による被害のほうが酷くなりそうだ」
歩くだけで街中がぼろぼろになる。
特撮や戦隊ヒーロー物のように巨大な存在が移動するだけで当然街には被害が出る。
倒れなくても歩くだけでコンクリートで舗装された道は忽ち破壊されクレーターが出来ることだろう。
「なら気にしないで良いのかな。使うわけにはいかないし」
ゴトウからしても超力超神を力として捉えたとしても今ここで使うかというと疑問が残る。
人を強くするためにその経過として帝都が破壊されることは許容していても、最終決戦にそれを用いて帝都の被害を拡大するとは思いたくないものである。
「超力超神についてはそんなもんだ。それで魔界ではその後どうしていた?」
「基本的には戦ってました。あっちの条件っていうのが戦うことだったので」
「……戦うこと?」
「変化のない停滞した状況を嫌うのは人間だけじゃないです。だから俺は恰好の餌だったんですよ、魔界に現れた半人半魔のデビルサマナーなんて興味が唆られるでしょう?」
自嘲気味に京太郎は言った。
その結果力不足解消にも繋がったのだから京太郎からすればプラスとなる面も当然ある。
実際元気よく襲ってきたデュラハンが、逆に京太郎たちの味方になることで新たなる刺激を求めたように命の危険こそあるがメリットの方が多かった。
タカジョーたち曰く、自分たちにもメリットのある話だという。しかし。
「……それだけか?」
「ええ、それだけです」
「……そいつは。いや、しかし……。俺も同じ立場となれば訝しみつつも同じ道を選択するか」
恐ろしいのはタカジョーたちが望んだことがそれだけであったことである。
悪魔にも情はある。
気に入った存在が相手であれば人間であろうが悪魔であろうが手を差し伸ばすかもしれない。しかしタカジョーたちが果たして京太郎に対してそんな感情を抱いていたと言えるだろうか?
可能性としてはオメテオトルの存在である。
タカジョーが一体どの様な悪魔であるか不明だが、オメテオトルの本体に従う悪魔であるならば話は別だがそんな様子はなかった。
知り合いであるのは確か。けれどそのために京太郎に手を差し伸ばすかと言うと中々に疑問を抱く話であった。
*** ***
「……これで良かったのか?」
京太郎たちが首を傾げている時、そう問いかける者が居て、タカジョー・ゼットは何がだい? と答えた。
「あの方のお気に入りとはいえ優しくしすぎではないかと言っているんだ。最終的にそうする必要はあるかもしれないが、俺たちが舐められては意味がない」
「ふふ。舐めるなんてとんでもない! むしろすごく警戒して、終わった今でもすごく頭を悩ませていると思うよ。それにこれは投資なんだ」
「投資だと?」
「まず一つ。かの宰相へのご機嫌取りの面があるのは否めない。しかしこれは閣下も望んでいることさ」
ソーマが入った盃をぐいっと飲み干しながら言う。
見た目だけで言えば褐色肌の小学生ぐらいの少年である。しかしその飲みっぷりは中々様になっているように見える。
「閣下の心情を我らが全て汲み取ることは難しい。最終目標こそ同じだが、こう考える奴も居る。なぜ人に目をかけるのか」
「む……」
「お前もその一人だな? ……信じられるかい? かの半人半魔はこの世界に足を踏み入れて半年も経っていない。それほどまでの死闘を繰り広げることこそ稀だろうけど、人はそれほどの可能性を持ちうる。だから天使も人を簡単には見捨てず利用しているだろ? 信者として騎士として、あらゆる形で」
「確かにそうだが、それはどれほどの確率だ? かつての神話の時代や科学が発展する前であれば兎も角現在の人に頼るなぞ正気の沙汰ではない」
「悪魔が正気を語るのも面白い話だ……っと話がそれたな」
クスクス笑いながらタカジョーは言う。
「僕たちはうつろわざるものであり。彼ら人は良くも悪くもうつろうものだ。故に我らに変化を与えることが出来る存在であり、停滞しがちな我らに変化を促す存在を簡単に捨てることはできないさ」
「それが人だと?」
「かの宰相も知識こそあれどそれを知らない。だから今、彼が得ている経験は閣下に、そして僕たちに掛け替えのない財産になるはずさ」
「そのきっかけが我らが仕事を押し付けていた結果とはな」
「知らないなぁ! ともかく。だからあいつが人を知るのはいい機会なんだ。それはあの方も認めてらっしゃる……ココまではいいかな?」
「まぁ、な」
不承不承といった様子で頷く。
仕方がないなぁと思いつつタカジョーは話を続ける。
「後は居場所があるということを知らしめるためだ。半人半魔である彼が何時までも人の世に居れると思うかい?」
「いや、思わんな」
これに対して一切迷うこと無くうなずいた。
「今はまだいいと思う。人であった頃の彼を知り、庇う者たちが居るはずだ。けれど……彼らが居なくなった後はどうだろう?」
人は自分と違うものを排他する生き物だ。
時として思想を。時として肌の色を。
きっかけは様々だが自分と違うものを排斥し自身の心の安寧を求めるのだ。恐ろしいのはその行動をしている者たちは自分が間違っているなぞ考えることはない。
大抵悪事を働く人間はたとえそれでもやらなくてはいけないと考え行動するものだ。しかしそれさえ思い浮かぶことなく行動する人間にブレーキはない。
どこまでも止まることはなく、果てまで行くことだろう正義の名のもとに。今回に限って言えば、半人半魔須賀京太郎を拒絶するという形で。
「果たして彼はどこまで生きることだろう。百年? 二百年? その時彼に居場所はなく、その受け皿が天使たちであることだけは避けたい」
「だからこその措置というわけか」
「味方にする必要はない。敵にならなければいい。見た所薄情者というわけではなさそうだ。だから今回、刺激と戦いを望む者たちをぶつけた。少しでも情が湧けば儲けものだね」
「たかが半人半魔を警戒するものだな」
「念の為さ。全く、考えること無く本能で動くやつが多すぎるから僕みたいに考えて動くやつは少しぐらいいないとね!」
「……と、他の奴らも考えていそうだ」
「なにか言ったかい?」
「別に何も」
「そうかい? 兎も角僕たちは急ぐ必要はないーーそれに見ていて面白いと思わないか?」
――愚かなる人が自ら守護を手放す、その時を。
*** ***
「まぁいい」
頭をかきつつため息をついた大沼が言った。
「考えても仕方がないからな。そんなもん取り敢えず投げとくのが正解だな。事情は理解した。それでコウリュウはどうしている?」
「それについてはコウリュウとの契約で話せるのはライドウだけです。そしてライドウにも他者に居場所を話すことは禁じる契約をした上で話します」
「それはコウリュウの意思か?」
「そうだけど。正しくはコウリュウと十四代目の意思だ。変わりゆく世界の中で自身が知らないヤタガラスにその他を信用しきることは難しいが、少なくとも【葛葉ライドウ】は変わっていないはずだと」
葛葉ライドウはヤタガラスに所属する退魔師だが、その本質は帝都を守護する者だ。それだけは変わらないはずであると十四代目は信じたのである。
そして、帝都を守護するライドウであるならばコウリュウの力が帝都に降りかかるはずはない、そう考えたのである。
「……となると流石に無理強いはできねぇか」
「契約は絶対だからねぇ。とはいえ穴はあるだろうけどそれをしようとすれば」
カチャリ。と音がなった。
音源は須賀京太郎の持つ刀である。彼の左手が刀の鞘を掴んでいた。
斬るようなことはしないはずだ。と思いつつも彼が人ではなくなった事が頭から離れようとしない。
「いいさ、でだ。ハギヨシをやった男について来ていた女が居るだろう? 今そいつに尋問中だが、余程悪くなければ明日決着をつけることになる」
「あした……」
ぎゅっと胸の前で拳を握り呟いたのは石戸霞だ。
彼女の本願である神代小薪の救出が目前へと迫っている事を実感する事ができたのだ。
「須賀京太郎。お前にも助力を頼むが問題はないか? 魔界からの帰りだ、体調が悪ければ結界の解除だけ頼んでバックアップとして待機してもらってもいい」
「大丈夫です。ただ魔界で戦って少しは強くなったので悪魔合体をしたいと思いますけど、それが間に合うかですかね」
「高レベル悪魔となりゃ素材の用意も大変だわな。万が一マッカが足りなければ言え前借りは出来るだろうさ」
「分かりました」
「バックアップという話が出るということは全員で挑むわけではないのだな?」
「あたりまえだろ。お前達の戦いの余波で帝都がめちゃくちゃにならないようにしなきゃならん。だから少数精鋭で行く」
大沼が見たのは霞たち……ではなく、葛葉ライドウと須賀京太郎だった。
「少数精鋭。となりゃ任せられるのはな」
「待ってください! 小蒔ちゃんを助けるのは私達の役目です!」
「役目なんざ関係ない。今必要なのは力だ。不服であるならその力を示してもらおうか。須賀京太郎と戦い勝利することができたならばお前達と須賀京太郎を変えても良い」
キッ! と霞が京太郎を睨みつけた。
対する京太郎は戸惑うこともなくただそれを受け止めた。
机を挟んだ距離にして4メートルほどの距離。やろうと思えばすぐさま距離を詰めて戦うことも出来る。
そのはずなのに。
京太郎の瞳に映る自身の姿を見る。
殺し合いにもなるかもしれないのに、少年の瞳には恐怖も何もない。
「ぁ」
薄墨初美の言葉を思い出す。
確かに京太郎の行動が此度の事件のトリガーの一つになったかもしれない。だが多くの人々を殺害する事になった原因は自分たちが神代小蒔を護れなかったからではないか。と。
加えて巻き込んでしまった自分たちに対して彼は一体どんな感情を抱いているだろう。もし悪感情を抱いていて好機と見て自分たちを殺すことを選択したならば。殺すことが成功したのならば、神代小蒔さえ手にかけるのではないか。
神代小蒔の役割が一体なんなのか現状では分かっていない。けれど力及ばず助けること叶わず、そしてその結果多くの被害が出るのであれば迷わず殺すことを選択するのではないか?そうなれば自分を殺すことさえ厭わないのではないか。そう考えてしまった時点で。
ゾッとするような未来への可能性に至り、身体が硬直してしまった時点で結果は決まっていた。
京太郎の刀が煌めき数本の髪がパラパラと地面へと落ちていく。
それを見た大沼はため息を付きながら言った。
「決まりだな。ライドウ、須賀京太郎。明日のために早めに休め。巫女たちも何もしないわけじゃねぇ。救った後の神代小蒔と龍門渕透華を安全地帯に運ぶのだって人手はいるんだ。油断はすんなよ」
腰が砕けた霞の様子を見ながら大沼はそう締めくくった。
大丈夫ですかーと声をかける初美と頷く霞を少しだけ見た後、京太郎は踵を返してこの場を去ろうとする。
霞が何を考えていたのか彼は知らない。けれどそれが自分にとって良いものではないというのは彼女から向けられる視線が物語っていた。
半人半魔になったしなと。全く関係ない理由に至り納得する京太郎に声をかけたのはライドウだった。
「須賀京太郎」
「ん、ライドウ?」
「この後少し時間をもらいたい」
「あの話か。しかしライドウ、その話は後でも良いのではないか?」
「いや、駄目だ」
黒猫の言葉を拒絶したライドウは続けて言う。
「急ぐ必要はない。君の用事が済んだ後来てくれればいい」
「……丁度いいです。俺も話というか、少し相談したいことがあって」
誰に話すべきか悩むところだがライドウであれば、常に傍にいる業斗童子からもアドバイスを貰えるはずだと考えたのである。
相談の内容は、身体が弱い未来を視る関西弁の少女についてだ。
「わかった。では待っている」
ライドウが去り、年寄りたちが去り巫女たちも去り誰も居なくなった一室で京太郎もまた居なくなり部屋には誰も居なくなった。