デビルサマナー 須賀京太郎   作:マグナなんてなかったんや

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『6日目 一つの終わり、そして始まり』

「召喚」

 

 ライドウと京太郎の声が同時に発せられる。

 召喚筒から、京太郎の周りにマグネタイトの光が発せられるがそれ以上は進まない。

 

「なに?」

「すまないが召喚術は阻害させてもらう。勿論悪魔召喚プログラムもだ。私が知りたいのは君たちの力であり悪魔の力ではない」

「召喚の阻害だと、そんなことが」

「悪魔召喚とはつまり陣という構成図によってマグネタイトで肉体を構成することを指す。ならば構成そのものを阻害してやればいい。マグネタイトは元より揮発性の高いエネルギーなのだからな。しかし……」

 

 ゴトウが京太郎を見た。

 京太郎の身体から光の粒子が立ち昇っている。それは京太郎の身体を構成するマグネタイトにほかならない。

 

「う……」

「大丈夫か」

「力が抜けていく感じが……でも、大丈夫っす」

 

 京太郎の身体を構成する半分はマグネタイトだ。構成を阻害しているということは、京太郎の身体にも影響を与えるのは当然の話である。

 

「でもそんなことができるなら悪魔による驚異は大分減るのか」

「……と、言いたいところだが何分未完成の技術だ。かなり繊細な上に必要エネルギーも膨大なものになる。正直なところ技術革新でも起きなければ一時の防衛ならばともかく永続的には使えん」

 

 美味しい話には何かしらの理由があるわけである。

 どの様な技術かは不明だが、どの様な力を使うにしても無から有を作り出すことはできない。

 

「一時の時を手にすることができればそれでいい!」

 

 今回に限っていうのならばゴトウにとってはそれで良かったのである。

 

「それほどまでに我らの力を試すか」

「当然だ。それに、勝機は私もほしいのでな」

 

 ライドウと京太郎が仲魔を召喚し戦った場合、どれだけ相手が強くても9割9分の敵を討ち取ることができるだろう。それにはゴトウも当然含まれている。

 それでもライドウと京太郎の二人がかりだ。当然ゴトウの勝機は少ないのだが……。

 

「それでもゼロでなければよしっ。残念なのは万全な須賀くんの力を体験できないことだが……さもありなん。仕方がないことだ」

 

 と言いつつも、京太郎の体制が整うまでこうして会話をしている辺り公平な戦いをしようとしているのは見て取れる。

 そもそもこの場に立っているのがライドウは確定としても京太郎は不確定であった。更に京太郎が人間をやめようなどと誰が想像できるだろうか。

 そういう意味でゴトウは出来得る限り公平に戦おうとしているのは確かなようである。

 

「長期戦は避けよう。短期で終わらせる」

「うっす」

 

 改めて武器を構えた京太郎たちを、笑みを浮かべてゴトウが迎え撃つ。

 悪魔を用いる事ができないとわかったこれからが本当の戦いの始まりだった。

 

*** ***

 

「ひっ!」

 

 空間が振動するかのような震えが避難所となっている東京国際フォーラムに襲いかかる。そのたびに避難している人々は膝を抱え震え上がる。そうでなくても信頼できる誰かと固まり恐怖を分かち合っている。

 

 その中で問題はないと胸を張って歩くことができているのは言うまでもなくヤタガラスの関係者たちである。

 忙しく駆け回るものもいれば担架で運ばれるものも居る。原因は京太郎たちが戦っている余波によるものだが一番の原因は超力超神のはなった電磁砲が原因だ。アレが直撃し避難所に張られている結界に大きなダメージが加えられ破壊される一歩手前までいったのだ。

 結界を直すために多くの人々が力を発揮し、そして倒れた。

 元より人手が足りないのに消耗していく。ここは戦いの場ではないが確かに戦場であった。

 

「わっ」

 

 その中で一般人にも関わらず例外とも言える冷静さを発揮しているのはヤタガラスの関係者ではなくても異能者の関係者である者たちだ。

 この場には居ないが、宮永照たちも同様に驚くような仕草はするが恐怖は顔に出ていない。自分たちを守ってくれた少年が戦いに行ったことを知っているが故だった。

 知るということは恐怖を増加させる可能性もあるが、同様に恐怖を減退させる可能性もある。そういう意味で須賀京太郎を知っていた彼女たちは幸福であったと言えよう。

 となると問題は自分たちを護ってくれる存在が居ることは知っていても、【自分】を救ってくれる者が居ない者たちだ。

 

「そんなに怖がらなくてもいいと思うけど……」

 

 と言ってのほほんとしているのは知っている側の東横桃子である。時折発生する振動に少々驚く様子を見せるがそれだけで、はたから見れば心臓に毛が生えているよう。

 

「いや、怖いに決まっているだろう……」

 

 というのは桃子の先輩加治木ゆみ。彼女も忘れた悪魔への恐怖がなければもう少し堂々としていただろうがそれも無理な話である。

 

 この場に集っているのは清澄を中心とした面々である。そういうと阿知賀も居ると思うかもしれないが、彼女たちは千里山女子の面々と共にいる。

 

「やれやれな状況だな」

「パラさん。珍しいっすね、外に出るなんて」

「この子が出たがってな。さて、私はここで少し用があるからな。光を頼めるか?」

「かしこまりました」

 

 メイド服を着た造魔が無表情に頭を下げ、光を連れて行く。

 

「それで……」

「モモ?」

「あぁ! えっとこの人は……なんですっけなんかの主ですっけ?」

「知らないのか!?」

「いやー、私にはあまり関係のないことですし……」

「いや、その人に悪いだろうそれは……」

 

 二人のやり取りを見て思わず小さく笑ってしまっていたパラケルススだが、じっと睨まれ「すまないな」と軽く謝罪をした。

 

「私は邪教の館と呼ばれる施設の主さ。用事とはつまり一度でいいからしっかりと見ておくべきだと思ったのさ。彼が今のように戦えるのはきっとその御蔭なのだから」

 

 と言って、じっと見回す……フリをして注視したのは清澄の面々だ。

 

「みておくべき?」

「そういうものだと、そういうものがあると頭の片隅にでもあったからこそすんなりと受け入れ今に至るのだろうからね。もし冷静になるのに時間がかかったりすればそれこそボタンの掛け違いは起きただろう」

「それって」

「だからこそ言いたいんだ。ありがとうと」

 

 それは咲には嫌味に聞こえる……そうであるはずの言葉であった。しかして記憶はなくなり京太郎を知らない咲がその言葉の真実に至ることはない。

 

「む」

 

 大きな振動が再び避難所を襲い、ありとあらゆる場所から悲鳴が起きる。

 

「京太郎くんは大丈夫っすかね……」

「問題はない。と、言いたいがさてどうだろうか。ゴトウだけであればよいがそれだけではないようだからな。どちらにしろ今の私達にできることは祈るしかない」

 

 大げさに手を広げ。

 

「ああ、弱き身であるわたくしたちをお救いください。とね」

「……それは誰に祈ってるんすか?」

「神、と言いたいがそうではないな。今戦っている者たちに失礼だ」

 

 同意するように桃子が頷いた時、少し離れた場所から初老の男性の荒ぶる声が聞こえた。

 頭をかきむしり、クソッタレがと愚痴る声さえも聞こえるほどである。

 

「何かおきてるんすかね?」

「さて、な。あまり良くないことのようだが……どれ聞いてくるとしよう」

 

 自分から離れていく男を見送りながら遠く、振動の発生源と思われる方向へと顔を向ける。

 負けても良い。ただ生きて帰ってきてほしい。そう祈りながら。

 

*** ***

 

 京太郎にしろ、ライドウにしろサマナーである以上戦い方には一定の共通点というものが存在する。

 特に根幹部分は同じなのだ。それは悪魔の力を用いて相手を制すること。

 多人数を相手にするか。それとも自分よりも少ない相手と戦うか。状況に違いはあれど少なくとも仲魔の一体は召喚して戦うことになる。

 しかし召喚を阻害されている今はそれができず、加えてライドウと京太郎は共闘したことなどないのだからコンビネーションという意味でも万全ではない。

 だがゴトウはどうであったのか。

 京太郎たちからすればどの様に鍛えていたのか知る由はないが京太郎たちを相手にできている現状ゴトウはおそらくたった一人で自分よりも多くの敵と戦ってきたのだとわかる。

 

「そんなものか、デビルサマナー! 人間一人殺せないというのか!」

 

 ゴトウの挑発に何が人間だよと愚痴るのは京太郎だ。刀を持つ右手が痺れ本気で振るうことができないのはゴトウと京太郎では力に差があるためだった。

 もうお前が日本護れよと心のなかで悪態をつきながら右腕が回復するまで拳銃で、もしくは魔法で牽制をする。

 電撃と弾丸の中をかいくぐりながらゴトウとライドウは肉薄し刀と刀がぶつかり合う。

 悪魔に対して絶大な力を発揮する退魔刀も、目の前にいるのは覚醒し一般人とは隔絶した力を持つとはいえ人間であり、鋭利な刃物扱いとなっている。

 とはいえ鋭利な刃物の時点で十分な力を持った武器であるのだがゴトウの獲物も悪魔特化されてはいないが十分すぎるほどの名刀である。

 ゴトウがライドウとぶつかりあえば、京太郎の攻撃を回避するために距離を取り、回避に専念する。シンプルであるがゆえに回避行動を押し止める事ができない。

 それでも果敢にライドウは攻め立てる。一瞬のうちに振られた剣閃は十をも超えるがゴトウもまた迎え撃ち振り上げた一撃がライドウを吹き飛ばす。

 態勢を崩したライドウを追撃するために前傾姿勢を取れば、それを邪魔するのは京太郎だ。多少は回復した右手を補うように両手で刀を振るい、ライドウと同様弾き飛ばせばそれをカバーするようにライドウが往く。

 コンビネーションはできずとも、どの様に戦えば補えるのか。それは分かっているのだ。しかしてそれが決定打となるかといえばそうではない。

 その一手をくれる存在がやはり仲魔であった。加えていうならば、今後を考えないのであれば一手ぐらいは埋めることができるのだができない理由がある。

 京太郎が現れる前にライドウに逐一攻撃を仕掛けていた不可視の、恐らくは衝撃魔法と思われる攻撃がゴトウとの戦いの中で襲いかかってこない。さらにいうのであればハギヨシを倒し龍門渕透華をさらったと思われる若の存在も気がかりだ。

 仲魔も居ない今、無理をすることもできず安全手を打ち続けているのも事態が硬直している理由の一つとなっている。

 

「日和るか。それもいいだろう。ならばそのまま倒れてゆくが良い」

 

 それがいけないことは京太郎たちにも分かっている。

 ゴトウがこれから果敢に攻めてくるだろうことも理由の一つだが、長期戦は今の京太郎に多大な負荷をかけいずれ戦線が崩壊する。

 

だから無理筋を通すことがこれより必要な一手となる。

 

「頼みがある」

 

 京太郎とすれ違う合間になんとか聞き取れる声でライドウが言う。

 しかしあくまで一瞬だ。然しもの覚醒者でも早口には限界があり、ゆっくりと会話をする時間も取れない以上何度もすれ違う必要が出る。

 今まで踏みとどまってきたゴトウからの一撃を、力を抜くことで吹き飛ばされるようにいなす。そうして代わりに前に出てきて一言だけつぶやいていく。異常にはゴトウも気づいているが、先程までの軽度の怒りの表情から一点面白いと微笑んでいる。

 ライドウが言葉を伝え終わった時「でも!」と京太郎が叫ぶ。

 

「頼む」

 

 冷静な顔に似合わず無茶をする。なんて、京太郎にだけは言われたくないであろう台詞を心のなかで抱きながら時を待つ。

 とはいえそれを京太郎も自覚はしていて、ああ無茶をする人を見る気分はこういうものなのだなと苦笑いをするほどだった。

 今後どの様な事態が訪れるにしてもこの場においては多少の無茶はどうしてもしなければならない。

 京太郎とライドウ。二人が行おうとしているのはとどの詰まり、人間と悪魔。どれだけ強くなろうとも人間では持ち得ないものを突くことだった。

 

「……行く」

「来るのはライドウか。さて、何をしてくる」

 

 退魔刀、ではなく拳銃の弾丸がゴトウを襲う。それを先程までのように、躱しそして刀で弾くが。

 

「むっ」

「氷結弾、だ」

 

 氷が刃を伝い腕へと向かっていく。

 舌打ちをすると刀を放り捨てると振りあげられた刃の側面を拳で打ち払い、連撃が始まる。

 余裕をもって対処していた先程までと違い、量の拳があるとは言え刃を打ち払うことは至難の業である。少しずつ、少しずつゴトウは押されていく。

 これはたまらんと一旦距離を取るために、刀を奮っているライドウの腕を掴み投げ飛ばす。だがただ投げられるライドウではない。投げられるその前に取り出していた弾丸をゴトウの方へと投げると通常の弾丸で撃ち貫ぬく。弾丸に込められていた魔力が衝撃で破裂し防御態勢をとった腕が焼け付いた。

 だがゴトウも吹き飛ばされた反動で落としていた刀の元へと降り立っている。氷漬けになった柄を握力で握りつぶせば氷だけが砕け散った。

 

「むっ」

「だらぁ!」

 

 低い体勢から走り込んできた京太郎がそのまま刀を振り上げた。そのまま刀で受け止めるが、焦げ付いた腕の痛みがゴトウの態勢を僅かながら崩し、京太郎の腕力がゴトウの肉体を空へと跳ね上げた。

 跳ね上げられたゴトウの頭上から襲いかかるのは葛葉ライドウ。

 一方だけでは足りない力を補うために自分を跳ね上げるかと楽しそうに笑い、受けて立つというように刀を頭上へと向ければ。

 

「ジオダイン」

 

 地上から放たれた京太郎の稲妻が天へと登る。それに気づいたゴトウは身を捩れば眉をひそめる。

 その先に居るのはライドウだ。

 

 同士討ちをするなんてなんとつまらない……。

 

 そんなことを思ったその時だった。

 ジオダインがライドウの刀へと吸い込まれるように動き、退魔刀が稲妻を宿しそのまま振るわれた。

 本来であれば仲魔と行う技を京太郎と行ったのである。

 稲妻の刃はゴトウの太刀をすり抜けゴトウの肉体を捉え、眩い光が収まった時地上にはライドウと京太郎と、胸から下を斜めに切り裂かれ満身創痍となったゴトウの姿があった。

 

「素晴らしき技だった。これほどの力があるのであれば安心だ……」

 

 血を吐き出して咳き込む。

 悪魔にあって人間にないもの。それは生命力だ。

 京太郎も体の半分を砕く選択をした事がある。だがそれは仲魔の回復があってこそ。流石に覚醒者でも身体が半分なくなれば、回復魔法で治療しない限り死へと向かう。

 だが悪魔は身体が半分なくなっても生きる可能性がある。だからこそ念入りに殺さなければいけないのだが。

 

「それだけの力と意思があれば国さえも変える事もできたはずだ」

「……かもしれない。だが時間がないと思ったのだ」

 

 ずるずると腕だけで、匍匐前進のように進んでいく。その先に居たのは、あったのはゴトウが連れてきた人間の欠片だ。

 

「いかに力があっても毒を持たなければ止められない事もあった。第二次世界大戦などはその典型例だ。国を護るためであれば使うべきであったのだ、悪魔の力を……」

「そうなれば天使と悪魔と人の戦いになっていた。それを避けるために」

「それは厄介事を未来に押し付けただけにすぎんのだ。押し付けた結果、核は落ち今そのツケを払おうとしている。だから私は……」

「「それでも」」

 

 二人の少年の声が重なった。

 顔を見合わせて。

 

「それでも方法を模索するべきだったと俺は思う。だってそのために死んだり夢を捨てなきゃいけない人たちが居るんだから」

「お前も、彼女たちも急ぎすぎたのだろう。その志を表だけではなくヤタガラスにも示してほしかったと私は思う。お前はその伝手もあったのだから」

 

 京太郎とライドウ、二人の若者の言葉は最後にこう締められた。

 

「そうであったなら、手を取り合えたのに」

 

 ゴトウは少しだけ肩を震わせる。

 

「そうか。そうだったか……もう少し腰を据えていればという未来。それもまた良い未来だったろう……だが私は後悔はしていない。だから」

 

 暗がりだった太陽が更に暗くなる。

 一体何がと周りを見渡せば見るからに一般人ではない男たちが、二人の少女と一人の老婆を注連縄で縛り連れてきていた。

 透華に関してはまだ顔色はよく見える。だが微動だにしない慶弔と真っ青な顔で荒く息をしている小蒔に関しては見るからに体調が悪い。

 集団の一番前にいる男を京太郎は見たことがあった。

 

「山縣命……?」

「はじめまして、須賀京太郎。そして十六代目葛葉ライドウ……なんというか不思議な感じだ」

 

 面白そうに笑う命の笑みはどこか獰猛な獣のように見えた。

 

「最後の言葉になる。今ならばまだ間に合うが、どうする? 彼らならば手を貸してくれるだろう」

「……それも悪くはない話だが。お前と同じだ。もう決意している」

「そうか」

 

 命は懐から珠を取り出すと京太郎たちの方へ、正しくはその近くで倒れているゴトウの胴体へと投げ込んだ。

 

「離れろ!」

 

 それが何であるか即座に理解したライドウの言葉に従い離れる。発動したのは万能属性魔法。それがゴトウの肉体を焼き尽くした。

 

「なんで!」

「残しておけば遺体を辱められる」

 

 そんなことはしないと誰も言えなかった。京太郎たちはしなくても誰かがやったかもしれない。可能性の話だが、それさえも許さないという空気を感じる。

 

「ゴトウは死んだのだ。もう終わってもいいだろう」

「そうはいかないさ、ゴウトの旦那。本番はこれからってもんだ」

 

 眉を顰めたゴウトを尻目に命の眼が京太郎とライドウを見据えた。

 

「これまではこの国に生きる人の話だった……。だがこれからは俺たちも混ぜてもらう」

「人と自身を区別するか。ならばお前はやはり……」

「ああ。もう演技する必要はないな。お察しの通り命という人間は存在しない。俺は命を食って、今こうしてここにいる」

「ならばお前は誰だ。何を目的とする!」

「生存競争さ。そして、俺が誰であるか。それは後少し取っておくとしようぜ」

 

 「おい」と言葉をかければ少女たちと老婆が無造作に投げ捨てられる。

 助けるチャンスだと駆け出そうとした京太郎たちに襲いかかったのはマハガルダインだ。吹き飛ばされないように踏ん張ることに必死で動くことができない。

 

「まだ助けられるわけにはいかない。これからが本番ってやつなんだよ。さて、あまりこの方式は好きじゃないんだが……」

 

 衝撃魔法が地面に方陣を刻まれ、陣が完成した瞬間光が発せられる。その光は悪魔を召喚する際に発せられるものと同一のものだ。

 それと同時に陣の内部に居る老婆と少女たちの甲高い悲鳴が上がる。

 「小蒔ちゃん!」と叫び向かってくるのは石戸霞だ。それを一瞥すると京太郎たちにやったときと同様の……。いや、それ以上の力を持った衝撃魔法が霞を吹き飛ばし初美たちが霞を受け止めた。

 

「一体何を召喚しようとしているんだ!」

 

 衝撃魔法を無理やり切り裂いた二人のうちの一人が叫ぶ。

 

「……ツクヨミ、アマテラス。まさかもう一人、龍門渕透華はスサノオか。だとすれば喚ぶのはイザナギか?」

「イザナギって国生み神話の?」

「恐らくは。だがイザナギを喚んでどうするというのだ」

「さてな。だが断言しておいてやるよ。人には良くないことだってな」

 

 イザナギほどの大神を召喚するには多くのマグネタイトが必須となる。そんな大量のマグネタイトを消費してしまえば瀕死の慶弔は勿論未覚醒の透華に、今の小蒔では命を落としてしまう。

 そんなことさせるわけには行かないと、刀を手に新たな戦いに挑む。

 




・召喚術阻害装置について
 新たな悪魔の召喚は防ぐことが出来るが既に存在している悪魔を完全に分解することなどはできない。とはいえ多少の弱体化などは可能だが問題は装置を動かすためのエネルギーで、常時動作させて悪魔の出現を阻害することは現時点では不可能。
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