デビルサマナー 須賀京太郎   作:マグナなんてなかったんや

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多くのお気に入り登録、感想、評価ありがとうございます。
それと誤字報告を下さった三名の方大変感謝してます。

投稿前に確認はしてるので、気づいた部分は直せますが漢字力不足も実感させられますね……。

次話も今日か明日には投稿したいですね


『約束を胸に』

「……どういうことかしらハギヨシ」

「なんのことでしょう?」

「須賀京太郎が全然捕まらないのですけど」

「えぇ。ちなみに最初お嬢様に報告した日には近くにいらっしゃった様ですね」

「いらっしゃったようですね……ではありませんわ! なぜ言わないのです!」

「聞かれませんでしたから。お嬢様、貴方は確かに私の主人ですが雇い主は貴方のお父様です。お忘れでしょうか」

「……これも修行ということですわね」

「えぇ! さすがはお嬢様です」

 

 理解は出来るが心から納得できるほど透華は大人ではなかった。

 自分を睨みつける透華の視線もなんのその。ハギヨシは軽く受け流しつつ、懐に仕舞っていた仕事用のスマホが震えたため透華に断り電話に出た。

 電話に出たハギヨシを透華は睨み続けていたが、ハギヨシの人の好い笑みが消えたのを見た。

 

「お嬢様」

「何かあったのかしら?」

「異界が発生したようです。悪魔の強さ的には商店街より少々強いぐらいでしょうか」

「あら丁度いいですわね。(はじめ)たちを鍛えるのによさそうですわ。それでどこに発生したのかしら?」

「鶴賀学園です」

「……え?」

 

 一瞬透華の思考が止まった。

 透華にとって知り合いが悪魔関連の事件に巻き込まれるのはこれが初めてという訳ではない。

 親戚が悪魔に呪われたり、とある宗教団体が海外で暴走し知り合いが巻き込まれ死亡したこともある。

 けれど今回は同い年のそれもこの間会ったばかりの友人が巻き込まれた可能性があるのだ。それを一瞬で察知してしまえば思考が止まるのも無理はない。

 

「ヤタガラスの配下組織が対処し事件を隠蔽したようですが早期の対応が必要です」

「……そう。では、行きますわよハギヨシ!」

「はい。畏まりました、お嬢様」

 

*** ***

 

「サマナー……! サマナー!」

「起きてくれだよ主さんー」

「ぐ……。俺、なんで……いったー!」

 

 うつ伏せで倒れていた京太郎はピクシーたちの声で起き上がろうとしたところ机に頭をぶつけた。

 

「くそっ、なんで机の下に俺……。ってそうだ! 異界が出来たっていったぁ!」

 

 意識を失う前のことを思い出し一気に意識が覚醒した京太郎は再び立ち上がろうとし、先ほど以上の勢いで頭をぶつけた。

 

「天丼はいらないよサマナー」

「実は芸人体質だったんだなぁ主さん」

「そんなこと望んでいない……!」

 

 うつぶせのままずるずると這いずり出て机の下から出てきた。

 たんこぶのできた後頭部を抑えながら笑うピクシーたちの頭を軽く叩く。

 周りを見渡すが先程まで一緒に居たはずの桃子たちが居なくなっており、それどころか京太郎たちが今いる場所は麻雀部部室ですらない。

 

「異界が構成されたときにバラバラになっちゃったみたいね」

「それだいぶまずいじゃないか……!」

 

 学園の中には桃子たち以外にも数多くの生徒たちが居たはずだ。

 京太郎は後頭部の痛みさえ忘れ鞄に入れていた前腕を覆うガントレットを取り出した。

 これはノートパソコンにインストールしてあった悪魔召喚プログラムをスマホに移行した際に手に入れた装備品だ。これは防御性能こそ低いがスマホをセットすることが出来戦闘中にスマホを操作することが容易となる。

 ガントレットを左の前腕に取り付け次にスマホをセットした。

 外でこんな格好をすれば友人の誠に笑われること間違いなしだが、異界で戦うサマナーとしてはピッタリである。

 京太郎は鉄製の扉が肉質に変化した扉に手をかけ外に出ようとするのだが。

 

「待ったサマナー!」

 

 それを止めたのはピクシーだった。

 「なんでだよ!」と声を荒げる京太郎に対して「深呼吸して」と言った。

 

「主さん全然冷静じゃないだよ。主さんが冷静じゃなきゃすぐに全滅しちゃうだよ」

「……ぐっ」

「いつでも、どんなときでも冷静にだよ。頼りにしてるんだからね」

「あー……。うん。ごめん」

 

 友人を失う可能性を思うと体の震えは止まらず心が早く行けと騒ぎ立てる。

 

 それでも。

 

 ピクシー。

 カブソ。

 

 会ってまだ一週間も経っていないが、それでも異界を共に破壊した仲魔で、桃子たち同様……もしかしたらそれ以上に大切な存在だ。

 そんな仲魔の期待を裏切ることも京太郎には出来ない。

 

 無理にでも深呼吸をして、少しは冷静になった頭で二人に向かって頷いた。

 

「いよーしっ! 行ってみよう! 大丈夫だよサマナー。きっと友達は無事だよ」

「んだ! 主さん気をつけて行くだよ」

 

 意気揚々と扉を開けた瞬間、真っ黒の瞳と目が合った。

 

「へ? ブヘッ!?」

「大丈夫ー?」

 

 反射的にまんまるな顔をぶん殴ってそれを吹き飛ばした。

 吹き飛ばした悪魔と同型の悪魔が吹っ飛ばされた悪魔を心配して向かう。

 運よくできた隙を突き、京太郎はスマホで悪魔をアナライズする。

 

 悪魔の名前はポルターガイスト。

 弱点属性は不明だが物理攻撃でも問題ないと判明し京太郎は物理での一斉攻撃の指示を出した!

 

 『京太郎たちは一生懸命戦っている』

 

「……なんとかなるな」

 

 椅子でぶん殴られたときは京太郎も多少怯んだ。

 実際商店街の異界に居た悪魔と比べると強力だが問題なく対処可能だ。

 

「発言が子供だで多少罪悪感あるだなぁ」

「そーお? 気にしなくない?」

「やりにくかったのは否定しないなぁ……。気にしないようにはするぞ」

 

 異界となっても学園の構造自体は余り変わっていないようだ。

 廊下と教室と窓と校庭が視界に広がっている。

 今居る廊下から校庭を見ると数こそ多くはないが犬の顔をし二足歩行で歩く悪魔の姿を見かけた。

 それ自体は良いのだが、壁や床が肉質っぽく変化しぐねぐねとしており嫌悪感が先にくる。

 

 だがこの学校のテンプレと言える構造は悪魔の襲撃も直線的になり対処しやすい。

 それは京太郎たちにも言えることだが運がいいことにピクシーもカブソもそんなに大きい悪魔ではない。

 京太郎が前線に立つことで耐久力のない仲魔に攻撃が行くことを防げるし、仲魔もまたそんな京太郎を援護しやすいのだ。

 

 その時だ。少女の叫び声があたりに響いた。

 

「行くぞ」

「あの三人の声じゃないよ?」

「それでもほっとけないって。行くぞ」

 

 京太郎たちはその叫び声に向かい全力で走っていくのだった。

 

*** ***

 

 どうしてこんな事になったのか。

 目の前で繰り広げられている光景を見ながら教室の隅に居るとある悪魔は思う。

 

 自分はただバカンスをしに来ただけなのにと。

 

 雑事は全部自分に流せば良いと考えている主や頭の足りない同僚たちから逃避するため裏技を駆使し地上へ来た。

 だというのに悪魔たちが少女たちを痛めつけるという心休まらない光景が広がっていた。

 

 教室にいる十人以上の少女たちを悪魔コボルトたちは安易に殺しはせず少しずつ痛めつけている。

 恐怖の感情から出るマグネタイトを味わい、楽しんでいるのだ。

 それは弱肉強食を理想とする混沌に属する悪魔にとって正しい生き方なのだが。この悪魔の望む光景ではなかった。

 

「くっ、やめろ!」

 

 順番待ち扱いの一人の少女が勇ましく、いたぶられている少女を庇おうと行動するが足りない。

 

 戦うという意思が決定的に足りないのだ。

 もしこの少女が他者をかばいその上で拳を振るう覚悟を決めて実行したならば、その意思に呼応するかのように覚醒しただろう。

 

 だがそこまで至らなかった少女はコボルトに動きを封じられ、棍棒を腹部に叩きつけられた。

 痛みで蹲る少女を見て口角を釣り上げたコボルトは少女を壁に投げつけた。

 

 動けなくなった少女を見てコボルトは満足そうに頷くと再び目の前の少女をいたぶり始めた。

 自分たちに反抗するほどの意思を持った人間の心が折れ、絶望した時に出るマグネタイトがコボルトたちは好きだった。

 このコボルトたちは好物を後にとっておくタイプだった。少女を放置したのはそれだけのことである。

 

「先輩……! 大丈夫っすか!」

 

 影の薄い少女が先程の少女に駆け寄る。

 彼女が無事なのは単に順番が回ってきていないだけだ。

 いずれ、少女たちが息絶えていけば彼女の番になる。

 

 悪魔――凶鳥フケイは考える。

 フケイからすれば契約を行えない人間に興味はない。

 いずれ現れるサマナーの一人にでも媚を売ればいいのだ。

 思考しフケイが少女たちを見捨てたその瞬間だった。

 

 棍棒を振り上げたコボルトの頭部が消し飛んだ。

 

 少なくともコボルトたちに恐怖し泣き叫ぶことしか出来ない少女たちからはそう見えた。

 事実首を失ったコボルトの肉体からは低級の悪魔とは思えぬほどの大量のマグネタイトが噴出していた。

 

 しかしフケイの眼は捉えていた。

 鬼と見間違えるほどの怒り狂った金髪の人間がコボルトの頭を蹴り飛ばした瞬間を。

 

「蒲原さん……」

 

 鬼の眼が人の眼に戻り倒れている少女を気遣っている。

 

「え、えっとディアするね」

「任せた」

 

 ディアの光が少女の身体を包み込んだのを見ると人から鬼の眼と化した人間は、残る三体のコボルトと、端にいるフケイを見据えた。

 

「ゆる、さない――っ!」

 

 鬼の眼をした少年は手を前に突き出すと「マハジオ」と叫んだ。

 先程までの少年では全体攻撃魔法が使えないことをフケイは知らない。

 これは少年の怒りと噴出した大量のマグネタイトが呼応し少年の魂を揺さぶった結果である。

 本来はもう少し先のレベルにならなければ覚えない魔法を少年は怒りにより喚起したのだ。

 

 フケイは回避に専念したため窮地を脱したが、三体という数の暴力を行おうとしたコボルトたちはその稲妻の被害にあった。

 

「ガ――ァ」

 

 弱点属性ではないが少年の怒りが起因するのか、見事に三体とも痺れ動きが取れなくなったところを、少年の仲魔の攻撃が直撃した。

 一体は弱点を突かれ灰となり、もう一体は腕を風の刃で切り飛ばされたがまだ生きている。

 

 魔法の行使を終えた京太郎は、唯一仲魔の攻撃から逃れたコボルトに接敵し怒りのまま腹部に向けて拳を振るった。

 

 怒りの一撃。

 

 これがコボルトの頭部を吹き飛ばした少年の物理攻撃スキルである。

 頭部を吹き飛ばした一撃は同様に腹部も貫通し、切り飛ばされ痛みに叫ぶコボルトに向かって少年は腕を振るった。

 

 穴の空いたコボルトが振るわれ、隻腕のコボルトと激突する。

 そのあまりに都合のいい状況にニヤリと笑うピクシーは、倒れ、重なるコボルトに向かって炎を浴びせた。

 

 炎による熱がコボルトを灰塵へと変容させ断末魔が教室の窓を震わせた。

 

 あとに残ったのは、コボルトの肉体を構成していたマグネタイトの光だけだった。

 

 少年は残ったフケイを睨みつけるも、カブソに見張りを指示しピクシーに少女たちの回復をお願いし、影の薄い少女のもとへ向かう。

 ふわふわと浮きながら近づいてきたカブソは。

 

「静かにしてる方がいいだよ。主さんがあんなに怒ってるの初めて見ただよ……付き合いは短いだがな」

「そうさせて貰うとするかのう……ちと後でぬしの主と会話させてもらってもよいかの?」

「分かっただよ」

 

*** ***

 

「うん。大丈夫。体力までは回復できないからこのまま眠ったままだけどね」

「そっか。良かった」

 

 念のため服をめくり攻撃を受けたという腹部を見たが、痣すら見当たらない。

 京太郎はしゃがんだまま周りを見渡す。

 コボルトたちが消滅し自分たちを脅かす存在が消えたはずなのに少女たちの怯えは消えていない。

 それもそのはずだ。自分たちを傷つけた化け物以上の武力を振るった京太郎に少女たちは怯えている。

 

 それはゆみを抱きしめる桃子も同じで。

 それに気づいた京太郎は彼女に「ごめん」と頭を下げた。

 

「な、なんで須賀さんが謝るんすか」

「これが理由なんだよ」

「何がっすか……?」

「桃子が見える理由だよ」

「そうだったんっすね……」

 

 沈黙が場を支配する。

 そんな状況を打ち破ったのは震える体を抑え疑問を問いかける桃子だった。

 

「こんなことになった原因は須賀さんなんすか?」

「それは違う! 俺だってどうして異界……あ、今のこの世界のことなんだけど。とにかく異界がなんで出来たかなんて分からないんだ」

 

 京太郎は「俺が異界のことを知ったのは一週間前だから」と説明した。

 

「そう、なんすね……あの、須賀さんは怖くないんすか? 一緒にいるのもさっきの奴らと同じ存在っすよね」

 

 桃子が見ているのはピクシーとカブソだ。

 ピクシーは少女たちに怖がられていることに気づいている様だがそんなこと気にせず回復しに回っている。

 

「……最初は少し。でも今では大切な仲魔だと思ってる。俺、もう行くよ、怖がらせてごめん……せめて、この状況だけはなんとかするから」

 

 京太郎は立ち上がり少女たちの治療を終えたピクシーを伴いカブソのいる教室の端へと向かった。

 

「主さん主さん。こいつが話があるらしいだ」

「……こいつが?」

「ちょ、待ってほしいんじゃが!」

 

 問答無用で殺しにかかろうとした京太郎をフケイは必死に押し止める。

 

「わしなんもしとらんし、見とっただけじゃし!」

「本当か……?」

 

 避けたくはあったが、周りを見渡すと涙目になりながらも皆必死に頷いていた。

 

「ほんとっすよ。ほんとうに見てただけで助けてもくれなかったっす」

「へぇ……?」

「待つんじゃ! 年寄りは労ってほしいんじゃが!? 大体四対一になる状況で知らんやつを助けようと思うか!」

「……まぁそりゃそうか」

 

 怒気を鎮め始めた京太郎を見てフケイはホッとした。

 人間のほうが悪魔より怖いと冗談交じりに言っていた悪魔が居るが「間違いないわい」と悪魔は納得した。 

 

「それでなんの御用」

「う、うむ。実はの、契約をお願いしたいんじゃが」

「契約かぁ……ちょっとまって」

 

 フケイから離れると京太郎はすーはーと深呼吸を繰り返した。

 未だ怒りは無くならないけど、それでも交渉をするなら今よりも冷静にならなければならない。

 

「よし! 条件は?」

「適切な勤務を要求する! 年中無休で働くのは嫌なんじゃよ! 温かいお茶と茶菓子があればなおよしじゃ!」

「……ん?」

 

 耳を指でほじくりトントンと軽くジャンプし、京太郎は再び「で、条件は!」言った。

 

「ホワイトな勤務! お茶! 菓子! 縁側があれば泣いて喜ぶぞ!」

「幻聴じゃないのか……」

 

 京太郎は目頭を押さえなんとしたもんかと悩んだ。

 ピクシーたちから事前に聞いた交渉での物品は、マッカ、宝石、アイテム。もしくは体力や精神力を要求されるときがあると言われていた。

 それが要求されたのは斜め上のものである。

 

「えっと、うん。年中無休で異界に潜るわけじゃないから休みはあるぞ」

「……ほぉ」

「異界に行くときは頑張ってもらうけど、そうじゃない日はお茶と茶菓子支給でいい?」

 

 フケイはピクシーを見た。

 

「この前ケーキ買ってもらった! 街も案内してもらったよ」

 

 次にカブソを見た。

 

「主さんの家ってプールがあるんだが、そこでカビパラとゆっくりしただよ」

 

 フケイは思い出す。

 自身の『本体』に年中無休で雑事をお願いする輩を。

 ふらりと気づいた時には消える主。

 ただただ暴れるばかりの同僚。

 彼らは本体が居れば裏方なんてやらないでいいわと問答無用で丸投げした。

 結果、フケイの本体は強制的に働くことになり分霊を作り出しフケイが生まれた。

 そのことを思えば京太郎の言う環境はフケイから見るととても魅力的なものに見えた。

 

「契約しよう……!」

「お、おう」

 

 こうして京太郎に新しい仲魔フケイが加わった。

 レベルは6と京太郎と同じ……いや、先程上昇したようでひとつ下だが、相手を阻害するスキルを持つはじめての仲魔だ。

 

「凶鳥フケイじゃ。コンゴトモヨロシクお願いしますぞ、サマナーよ 」

 

 真顔で自分を見つめる人面鳥に慣れない京太郎は少し引きつつも頷いた。

 これで準備は整った。

 たとえ桃子たちに嫌われていても、嫌われても絶対に助けてやる。そんな信念のもと歩き出した京太郎を桃子が呼び止めた。

 

 踵を返して振り向いた京太郎の視界に入った桃子は俯いていた。

 

「正直須賀さんのこと怖いっす」

「……うん」

 

 その真っ直ぐな言葉は京太郎の心にチクリと刺さった。

 逃げたい。聞きたくない。そんな感情が京太郎を支配しようとする。だが。

 

「でもその力があったから私と須賀さんは友達になれたんっすよね?」

「……うん」

 

 桃子の言葉通りだ。

 桃子と出会ったあの日。もし同じ道を通っていても、覚醒していなければ京太郎に桃子を見つけることはできなかった。

 電話番号やメアドの交換をすることもなく、友だちにすらならず精々お互い顔は知っているぐらいの仲で終わっただろう。

 

「私は須賀さんと友達になれて嬉しかったっす。周りから何か言われても気にするなって言ってくれたの覚えてるっす。もしその力が私と須賀さんを繋いでくれたのなら……」

 

 恐怖を押し殺し桃子は前を向いた。

 

「だから、その……時間がほしいんすよ! 須賀さんを受け入れられるか分からないっすけど、それでもそのための時間が、チャンスがほしいっす! だから、その……」

「うん」

 

 突然降り注いだ異界化という事件に巻き込まれ大切な先輩たちが化物に痛めつけられた。

 その化物を瞬殺し化物と共に居る京太郎もまた桃子にとって恐怖の対象のはずだ。

 

「私たちが助かるだけじゃないっす! 須賀さん……ううん。京太郎くんに生きて帰ってきてほしいっす! ……だから、気をつけて」

 

 それでも恐怖を押さえつけて受け入れたいと言って、自分の身さえ案じてくれる桃子の言葉は今の京太郎の心に深く、深く染み込み、力が湧いた。

 

 冷えていた心に灯がともったように暖かくなった。

 その暖かさを実感し、京太郎は言う。

 

「分かった。絶対に帰ってくる。ありがとう、行ってくるよ」

 

 京太郎は仲魔たちと共に最奥部へ向かう。

 少女たちを救うという決意と少女と結んだ約束を胸にして。




目の前で熊やらライオンやらを素手でぶん殴ってぶち殺す奴がいれば怖いと思います。
なんせ自分に振るわれれば簡単に命を奪われるってことですし。

そしておじいちゃん参入。
フケイの本体ですが本作において名前は出てませんが『存在している』ことは既に示唆されています。
分かりやすいかもですね。

一ちゃんの名前は勿論「はじめ」ですが文章にすると読みにくいかなって気がします。
名前だけしか登場してませんが、読みにくいと判断したら何かしら読みやすいように対策するかもしれません。ひらがなにするとか、振り仮名を記載するとか。


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