デビルサマナー 須賀京太郎 作:マグナなんてなかったんや
書き溜めます。
京太郎の身の丈ほどの大きさを持つ鉄棒がオーガ以上の腕力でフケイに振るわれる。
空気を斬るではなく圧縮し叩きつけると形容すべきか、ぶぉんという鈍い音と共に振り下ろされた鉄棒はフケイを捉えない。
「レベルは遥かに上じゃが……こういう手もあるんじゃよ『シバブー』」
「うお!?」
対象を拘束する魔法シバブーが発動し目に見えない縄が悪魔オニを拘束した!
「覚えておくが良いぞサマナーよ。この状態の悪魔と交渉をするというのも一つの手じゃ。じゃんじゃんマッカをくれる場面でもあるからの」
「お、おう! そうだぜ! 俺ならてめぇの仲魔の悪魔たちより力になれると思うぜぇ? だから、な?」
「が。わし等の地力を考えれば狩る一択じゃ」
フケイが言い終わった瞬間、電撃と火炎と疾風がオニに襲い掛かり、さしものオニもこの攻撃の前には耐えきれず倒れた。
レベルこそ京太郎たちより遥かに上だが絡め手に弱いのが運のつきだった。
桃子たちの救出から約1時間ほど経過しており、京太郎たちのレベルも二桁に到達するほどになっていた。
怒りで覚醒した『マハジオ』も京太郎のレベルが上がったことで制御できるようになっている。
「しかしサマナーよ。素手に普通の服とは準備不足じゃぞ?」
「買い揃えてはいたぞ。でも学校帰りに来たから持ってこれなかったんだ。下手すると銃刀法違反で捕まっちゃうし」
「世知辛い世の中になったのー。ならサマナーが良く持つトランスケースを用意するとええぞ。人間が使う金属探知機やらも回避できるし、二重底にして魔法で封印するなんてこともできるでの」
ほっほっほと笑う人面鳥に京太郎はまだ慣れない。
髭の生えたおっさんの顔ってなんだよと内心突っ込みながら、フケイとばかり話し嫉妬したピクシーの相手をする。
フケイの加入は経験の浅い京太郎にとって、目に見えない部分で大きな助けとなっていた。
レベルこそまだ8と低いが、京太郎の知らない知識、知恵がレベルという目に見える部分以上に重宝する。
ピクシーとカブソもそんなフケイをおかしいと言い、分霊ならば本体はなんだと問いかけたが返ってきたのは「わしが本体と同等に強くなったら教える」というものだ。
「しかしわしも含め悪魔合体を視野に入れた方が良いぞ。確かにレベルこそ上昇するがやはり今のわし等と上位悪魔では基礎が違うからの」
「あ、私は合体まだしないよ! もうちょっと成長すればハイピクシーになれるもん!」
「おらは合体したいだよ! 前も言っただが目指せ破壊神だよ」
「とりあえず了解したけど合体って一体どうなるんだ? 館の主には合体するときに教えるって言われてさ」
京太郎がポルターガイストの頭部を殴り、弾けとばしながら問いかけた。
「基本は違う存在になると思ってええ。ただサマナーと過ごした日々は覚えとるから安心してええぞ」
「……そっか」
「寂しいと思うかもしれん。じゃが心せよサマナー。出会いがあれば別れもある。一期一会、その日々を大切にするのが大切じゃよ」
「分かった」
「さて基本と言うたからには例外もある。わしのように本体が強力な力を持つ分霊とそこなピクシーの様に我の強い悪魔は見た目以外は変化せん」
「そういうこと。だから安心してよ!」
その二体の言葉に京太郎はほっとしつつ、ただ一体カブソだけが表情を曇らせていた。
「おらもおらのままでおれたら良かっただがなぁ」
笠を深くかぶるカブソの背中を京太郎がぽんぽんと叩いた。
「ありがとな。でも、ずっとお前のことは忘れない。お前がどれだけ変わってもさ」
「おうだよ。あぁ、おら主さんに背中ぽんぽんしてもらうの好きだよ。もっと早く知っていればよかっただよ……」
元が動物故かカブソは好いた相手にはすり寄る性質があるようだ。
会ってまだ一週間足らず。
知らないことなんて沢山あって当然なのに、もっともっと一緒に居て知りたいと京太郎は思った。
「さぁ! しんみりタイムは終わりじゃ! サマナーよ、ぬしほどの戦闘者ならば感じておるの?」
「オーガの時と同じだ。殺気と威圧感を感じる……」
「本来ならもっとレベルを上げて挑むべきじゃが、あのめんこい女子らを助けるなら不十分でも挑まなければな」
「だいじょーぶっ! 足りない分は気合で補うよ」
「んだ! おらの最後の晴れ舞台、暴れるだよ!」
大丈夫か。なんて言葉はいらない。
京太郎は肉厚で重い扉をその力でこじ開けた。
*** ***
鶴賀学園に出来た異界の最奥。
そこに居座るその悪魔は突如この場所に安置された道具に秘めたマグネタイトに魅せられた。
悪戯や嘘が原因で父たる太陽神に放逐されたその悪魔は、この力があれば父に一矢報いることだってできると考えた。
悪魔の世界は弱肉強食である。
異界に偶々現れたその悪魔より弱い悪魔たちには「できるだけ人間を殺すな」と命じた。
その悪魔は知っていた。やりすぎれば、やりすぎた分それ以上の力でもって報いを受けてしまうと。
だから返しを抑えるためにちまちまと人間を苛めマグネタイトを得ることを選択した。
よく言えば慎重。
悪く言えば小物。
それが悪魔。幻魔イクティニケである。
*** ***
「イクティニケか。気をつけよサマナー! 奴に物理は通りにくいぞ」
「魔法で攻めろってことだな!」
「そういうことじゃ! 氷結系魔法持ちが居ないのがつらいのう……」
京太郎たちの電撃、火炎、疾風がイクティニケに襲い掛かる。
だがそのいずれもイクティニケの翼に阻まれ致命的なダメージを与えるには至らず。
幻魔は魔法の雨の中を突っ切り、ピクシーを蹴り上げた。
「ピクシー!」
「任せるだよ主さん。ディア!」
レベルの上昇により取得したカブソのディアの光がピクシーを包み込む。
京太郎の相手をしていたイクティニケはそれを見るや否や京太郎を無視しカブソへと向かう。
「こやつ回復役を真っ先に狙いおってからに! 悪戯好きゆえ人の嫌がることを察知する奴じゃ! 人じゃなくて悪魔じゃけど!」
フケイのバウンドクローがイクティニケを捉えるも、物理に耐性を持つイクティニケには有効打とはならない。
だがイクティニケはカブソからフケイへと矛先を変えた。
「そうするじゃろうな。万が一にも縛られてはたまらんじゃろ?」
「グ……ぎ……!」
「その身に見合わんマグネタイトを収めた末路か。悪戯小僧じゃが人には英雄と呼ばれし者がこのありさまか。情けない」
京太郎とカブソがそれぞれ魔法を放つがそれさえ無視しイクティニケはフケイを狙い続ける。
イクティニケはもう他者が理解できる言葉を話すことができない。
フケイの言うとおりマグネタイトを吸引し続けた結果だ。
詳しく解説するのなら、『話す』という機能を塗りつぶしその上で無理やりマグネタイトを吸引したのだ。
故にその身体能力は今の京太郎たちを圧倒し続けた。
いかに自称大悪魔の分霊と言えど今はフケイ。慣れない体で動き続けた結果できた隙をイクティニケは見逃さない。
幻魔イクティニケの爪が煌めく。
特殊な効果はない。だが一発一発が京太郎の怒りの一撃と同等の威力を持つダマスカスクローがフケイに向かって振るわれる。
一撃目。耐える。
二撃目。かろうじて耐える。
三撃目は……耐えられない。
三つ目の軌跡がフケイに叩き込まれようというその瞬間、割り込んだのは笠をかぶったカワウソ……カブソだ
「ぬし……!」
最後の三撃目を受け瀕死の重傷を負ったカブソの眼は死んでいない。
「言っただよ……! これがおらの最後の舞台だよ!」
血ではなくマグネタイトを流しながら近距離でザンを放った。
風の刃は翼に阻まれることなく幻魔の腕を見事にとらえ切り飛ばした。
「カブソ!」
「やっぱりだ。あいつ、おらたちの攻撃を翼で受けるようにしていただよ。主さん、翼以外を狙うだよ!あいつの翼は……」
すべてを言い終えることはできずカブソは二度目のダマスカスクローで息絶えた。
今まで倒してきた悪魔と同様マグネタイトの光に還っていく。
これは京太郎にとって初めて仲魔が死亡した瞬間だった。
「あ……」
「呆けるな! あやつの思いを無駄にする気か!」
フケイの言葉で京太郎の眼に光が、力が戻る。
カブソが命をかけたのは何のためか。
決まっている。主である京太郎の願いをかなえるためだ。
ここで呆けている暇なんてありはしない。
「アギ――!」
蹴り飛ばされて意識を失っていたピクシーが、ダマスカスクローを放ち隙を作っていたイクティニケの残った左腕を燃やす。
翼で防御できず仰け反るイクティニケに向かい京太郎は駆けだす。
アギの炎を腕を振るい消したイクティニケを見据えるのはフケイの両眼。
「まさかこの歳になってカブソに教えられるとはの。世の中は広い」
カブソと同様懐に踏み込んだフケイが放つバウンドクローはイクティニケの腹部に刺さり、悪魔の動きを縛る。
一撃目のバインドクローも、京太郎たちが放った魔法と同様に翼で受け止めたのをフケイは思い出したのだ。
緊縛されたイクティニケは人以上の速度で駆けよる京太郎に対応できない。
京太郎はイクティニケのくちばしの上下を掴むと上と下に思いっきり引き伸ばした。
「う、がぁぁぁぁ!!!」
口が裂けた瞬間声にもならぬイクティニケの叫び声が異界をこだました。
それを至近距離から聞いていたにも関わらず京太郎は怯むことなく裂けた口に手を突っ込み叫ぶ。
「ジオ!」
腕を斬り飛ばされ、口が裂け、外からではなく内側から電撃を浴びせられたイクティニケはその最後の力を振り絞った。
狙うは京太郎の腹部。
「させると思うか? ザン!」
だがフケイの疾風魔法がそれを防ぐ。
腕がなくなり浴びせられ続ける電撃の前にイクティニケは次第に意識を失い、最後に眼から光が消えた。
電撃を放出し続けた京太郎は肩で息をしながらイクティニケから離れた。
十秒、二十秒と時が経つにつれイクティニケの身体が光に包まれそして消えた。
その様子を見てから一分後、終わったのだと京太郎はしりもちをつき周りを見渡した。
「主を倒したのに異界が壊れない……?」
「これはおかしいのう。サマナーは何か知っておるか?」
「ピクシー、ドリーカドモンそのあたりにある?」
「ちょっと待っててね!」
気休めだが京太郎にディアをかけていたピクシーは彼から離れドリーカドモンを探し始めた。
ようやく息が落ち着き始めた京太郎はアームターミナルを確認する。
自分もピクシーもフケイも体力と魔力はギリギリで、カブソの状態『死』に眼を細めた。
「心配するでないぞ。我ら悪魔は消滅せんかぎり消えはせん。カブソとはまた会える」
「今日の戦いでよく分かったよ。俺、弱い。力もだけどずっとフケイに、皆に助けられた」
「サマナーになって一週間じゃろ? 十分じゃよ」
「ううん。駄目なんだそれじゃ」
京太郎が思い出すのはコボルトに痛めつけられた少女たちと、目の前で消えたカブソ。それに自分の代わりに指示を出してくれたフケイだ。
もっと強ければ、少女たちをもっと早く助けられたはずだ。
もっと強ければ、カブソだって死なずに済んだ。
もっと勤勉になっていれば、フケイに負担をかけずに済んだかもしれない。
「ピクシーにもずっと心配をかけた。支えてくれた……」
「それでサマナーよ。ぬしはどうする? 後悔しても何もならんぞ」
「後悔はするよ。それで反省する。『次は』もっと上手くやる」
「後悔を次につなげると?」
「うん。ドリーカドモンがあるなら、今回の件はこれで終わりじゃない筈」
「ドリーカドモン? 異界に? その話、後で聞かせてもらっても良いかの?」
「もちろん! 母さんが居るから縁側で、とは言えないけどお茶と茶菓子は用意するからそこで話そう」
「ほっほっほ。忘れておったらザンしておったぞ」
しばし談話に勤しんでいると、ドリーカドモンを見つけたピクシーが京太郎を呼びに来た。
京太郎はピクシーの後を追い商店街と同じく六芒星の魔法陣の上に置かれたドリーカドモンを取り上げた――。
*** ***
「ハギヨシ」
「はいお嬢様。サーチが完了しました。やはり商店街よりレベルが少し高いですね。ですが、一さんたちにはちょうど良いかと」
「不幸中の幸いという奴ですわね。鶴賀の方々を助け一たちも強くなる……かんっぺきですわ!」
鶴賀学園の異界の前に居るのは龍門渕グループの工作員と、透華の私兵である『国広一』『井上純』『沢村智樹』だ。
工作員たちは学園周辺の人払いと人々の記憶を弄り隠ぺいするのが主な仕事だ。
対悪魔用装備に身を包んだ彼女たちはそれぞれ緊張した面持ちの中、最も大切な装備である悪魔召喚プログラムを内封した通称『COMP』の最終確認を行っていた。
「……それではみんな異界探索ですが気を付けてください」
「お待ちくださいお嬢様。異界の様子が……」
「へ?」
透華の言葉を遮ったのはハギヨシだ。
彼に促されるように異界『鶴賀学園』を見ると、異界が歪み捻じれそして破裂した。
透華も映像でのみだが知る異界の破壊現象だ。
突如として破壊された異界にその場に居た者たちは呆気にとられたが、真っ先に我を取り戻したハギヨシが工作員に指示を出した。
「工作部隊。学園に居る者たちの記憶処置と救命作業を。それと鶴賀学園の修復作業をお願いします。指示を聞かない方が居る場合はこちらに連絡を」
「承知しました!」
本来はこれも透華の役目だが、裏の世界で活動し始めたばかりの彼女に咄嗟に動けというのも酷な話だ。これから成長していけばよいとハギヨシは考える。
しばらくしてほぼ全ての生徒・教師に対する記憶措置と医療措置が完了した。
ただ三人……いや、正しくは一人の生徒が記憶に関する措置を嫌がった。
「約束したのにそれを忘れるなんて絶対いやっす!」
暴れる桃子を宥めようとしているのは加治木ゆみと蒲原智美だ。
彼女たちからしてみれば記憶措置をしてもらった方が精神衛生上良く、桃子に対しても受けるように説得していた。
「モモ!」
「こればかりは先輩のお願いでも聞けないっすよ! 京太郎くんはどこっすか? 学園が元に戻ったならきっと戻してくれたのは京太郎くんっすよ」
京太郎の名前に透華たちは顔を見合わせた。
透華とハギヨシだけでなくはじめたちにも京太郎に関する情報は共有されている。
万が一外で見かけたら京太郎を捕まえて連れてきてほしいと透華がお願いしたのだ。
「東横さんでしたわね?」
「そっすけどって。龍門渕のお嬢様っすかどうしてここにいるっすか?」
「……金持ちには裏がある、か?」
腕を組み透華をにらみつけるゆみを軽くいなし「似たようなものですわね」と答えた。
「それで須賀京太郎が居るとは本当ですの?」
「ワハハ。本当だぞー、なんせうちらが招待をしたからな」
「なるほどなるほど……」
すれ違い続けた自分とさくっと会うことに成功している目の前の三人。
その事実を認識し理不尽ながらにまだ見ぬ少年に対しイラっとしつつ京太郎の情報を得るために問いかける。
「モモの話では事態を解決するために動いたそうだ。まだ姿は見かけないが……」
その時だった。
三階の窓から飛び降りてくる人影があった。
着地の鈍い音と砂の音を立てながら降り立ったのは金髪の少年だった。
近くには妖精と人面鳥が控えており、彼の姿を捉えた桃子は彼に駆け寄った。
「京太郎くん! 大丈夫っすか?」
「な、なんとか。ちょっと強かったけど、なんとかなった。約束は守れたな」
「……はいっす!」
「ほんとはさ、もっと話したいんだけど、ごめん、もうガス欠でさ。ちょっと眠い――」
桃子の方には倒れないように前ではなく後ろに倒れていく京太郎を支えたのはハギヨシだった。
ハギヨシは京太郎の体調をCOMPを用い確認するが、体力と精神力が異常に減っているのを確認できるのみで異常は見当たらないため「大丈夫です」と答えた。
「それだけ激しい戦いだったのでしょう。彼もそうですが二体の悪魔たちの精神力もギリギリですね。良く勝てたものです」
「二体じゃないよ!」
抗議の声を上げたのは妖精だった。
「もう一体。カブソが居なきゃ勝機は見えなかったもん」
「そうじゃの。見事に最後の晴れ舞台を飾ったわけじゃからの」
仲魔を立てるその姿にハギヨシは京太郎と仲魔たちの関係を察した。
「そうなのですね。失礼しました」
ハギヨシはこれから行う提案を円滑に受けてもらうため頭を下げた。
「それでご相談なのですが私どもの方には彼を休ませる準備があります。もう一体の悪魔とあなた方にも休養が必要でしょう。どうですか? お休みになられませんか?」
「ふむ。メリットは明白じゃな。デメリットはぬしらの勧誘活動に付き合うことかの?」
「そうなります。それ以上のデメリットはつけないとお約束いたしましょう。よろしいですか、お嬢様」
「え、えぇ! もちろんですわ!」
透華を見て「金髪、経験不足の若輩者……サマナーと似ておるの」などとフケイは心中思いながら、車に運ばれてゆく京太郎の後をピクシーと共に追った。
京太郎たちを見送ったあと、ハギヨシは「さて」と桃子たちに向き直った。
「記憶の件ですが」
「いやっすよ!」
速攻で否定する桃子に妙な晴れやかさを感じ苦笑いを浮かべながらハギヨシは続ける。
「えぇ。本来なら無理にでも処置を行うのですが少し事情が入り組んでおりまして……」
「どういうことだ? いや、そうか。須賀くんの機嫌を損ねたくないのか」
「察しが良いですね。まず須賀くんの機嫌を損ねたくない理由ですが、将来有望なサマナーであるというのが主な理由です。彼が私たちの仲間となるかは分かりませんが、良い関係を築けたらと思っています。なにせ最近人手不足でして、短期間に二個も異界を破壊する人材は貴重なのです」
「義理などではなく仕事上の理由なのか」
「それ以外にもありますよ。ですがまぁこれは置いておきましょう」
そこで言葉を区切りハギヨシは二本の指を立てた。
「あなた方には二つの道があり、それぞれにメリットデメリットがあります。これをご説明しましょう」
二本立てていた指の一本を下ろした。
「まず一つ目。記憶を消すこと。メリットは異界での出来事を忘れ日常に帰れます。デメリットはそうですね……万が一同じような出来事に巻き込まれた場合また新鮮な恐怖を味わうことになります。今であれば私たちの様な存在が助けてくれるかもと希望が持てるでしょう?」
「そう、だな……。なんだったら化け物に見つからないよう行動だってできる。知っていれば教室の扉を机で塞ぐとかはしたな」
「えぇ。二つ目。記憶を残す。これのメリットの一つは加治木さんがおっしゃった様に二度目であれば今回と比べ心構えと対応ができるでしょう。デメリットについては端的に言えばとある書類にサインしていただき暫くとある組織の監視下に置かれます」
「このことを一般の人に話すなってことっすね」
「えぇ。もし知った場合世界は混乱に陥るでしょう……いえ、その前に狂人扱いされますか。もし破った場合は記憶を消されたうえで契約により行動を縛られるかもしれません」
ハギヨシはそこで言葉を区切ると「不条理かもしれませんがこれがルールですので」と前置きし。
「それではご決断を」
決断を促した。
桃子、ゆみ、智美の三人はそれぞれの道を選択し、それはそれで一悶着あったのだが。
最終的にそれぞれの選択を尊重することになった。
カブソ頑張った。
というかフケイのせいでアナライズがいらねぇ。
京太郎も素手で口を引き裂き始めた。まだまだ序盤なのに修羅の戦い方。基本戦闘はノリです。
レベルも二桁になったのでそろそろ中級呪文なども出せるようになるころあいです。
話としてはたぶんあと10話ぐらいで長野編完結かなと。
実際書くと増えたり減ったりしますが。