FAIRY TAIL 〜Those called clowns〜   作:桜大好き野郎

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チーム結成

 

 

 

「みんなー!今日から仕事の受注再開するわよー。仮説の受付カウンターだけどガンガン仕事やろーね!」

 

 ミラジェーンの一言をきっかけに、担いでいた木材を投げ捨てて男たちが待ってましたとばかりに受付ボードへと駆け寄る。

 ここはフェアリーテイル。少し前に吹き曝しにされたギルドでもいつも通り元気すぎる、素敵なギルド。

 

「うおぉおおぉっ‼︎」

 

「仕事だ仕事ーーー‼︎」

 

 我先にと受付ボードに駆け寄れば、始まる始まるクエストの取り合い。

 俺が先だ、いや俺だ。と気がつけば殴り合いに発展していた。普通誰かしら止めに入るかもしれないが、ここではこの光景こそ普通。むしろもっとやれと野次を飛ばす者さえいる。

 

「なにアレ」

 

 そんな光景を見て零すのはルーシィである。

 先のギルド間戦争の元凶とも言うべき人物だが、そんなことを気にする者はフェアリーテイルにいない。むしろ、よく帰ってきてくれたと歓迎されていたほどだ。

 

 それはさておき。

 

「普段はお酒飲んでダラダラしてるだけなのにィ」

 

「あはは」

 

 ルーシィの軽口にそれもそうだとばかりにミラジェーンが応える。

 確かに普段は仕事なんてしない、酒と飯にありつければいいとばかりにだらけ切っているが、しかしだからといってここ数日仕事ができず、変わりにあるのは慣れない力仕事ばかり。

 この場からの逃走もでき、さらには金が手に入るというのは救いであった。

 

「そういやロキいないのかなぁ」

 

「あーあ……ルーシィもとうとうロキの魔手にかかっちゃったのね」

 

「違います!」

 

 ロキとは女性購読者の多い週刊ソーサラと言う雑誌で“彼氏にしたい魔導士ランキング”に毎週上位に食い込むフェアリーテイルの男看板。

 しかし、それゆえにというべきか、その女癖はかなり悪く一つの街にロキの彼女(自称)は最低10人はいると言われるほどだ。本人曰く一線は超えてないと言っているが、そんなものが信用されるわけはない。

 

「なんか、鍵見つけてくれたみたいで。一言お礼したいな、って」

 

「うーん……カイト、ロキ見かけた?」

 

「………あー、見てないねぇ……」

 

「てか、なんでカイトはそんなに落ち込んでるの?」

 

 ミラジェーンの隣、ガスコンロに鍋を置きぐつぐつとシチューを煮込むカイトにいつもの笑顔はなく、珍しく哀愁漂う表情をしていた。

 こんな姿をルーシィは見たこともなく、何事かと心配しているとミラジェーンがそれに答える。

 

「なんでもギルドのキッチンが修復不可能なまで壊れてたのが、ショックみたいなの」

 

「そんなことで‼︎⁉︎」

 

「そんなこととはなんだい、ルーシィ。いいかい?壊れた中にはそれは見事なシステムキッチンがあってだね。火加減の調整も抜群、備えつきのオーブンだって食材の旨味を逃さないように火の当たり方を計算されて作られた、それはもう見事なものがーーー」

 

「ごめん。あたしが悪かったから、それ以上はやめて」

 

 これは話が長くなるやつだ。

 直感的にそう捉えたルーシィはいち早く話題を切り上げる。 まだ語り足りなかったのか、若干不服そうにしながらも口をつぐんでシチューの味見をする。

 

「そういえばルーシィ。星霊は鍵の管理にうるさいって聞いたことがあるけど、怒られなかったの?」

 

 黒胡椒を少々足して再び味見をしながらも、カイトがそんなことを問う。 それを聞いてあー、と答えたルーシィはその時のことを思い出したのかカウンターにうつ伏せる。

 

「そりゃあ、もう………怒られるなんて騒ぎじゃなかったワヨ……。思い出しただけで尻が痛く………」

 

「カッカッカ、そりゃ災難だね。さすってあげようか?」

 

「セクハラよ、それ」

 

「カイト?」

 

「ミラちゃん、こわーい♪包丁は人に向けるものじゃないからね?」

 

「冷やしてやろうか?」

 

「それもセクハラだから、グレイ」

 

「ルーシィ、赤いお尻見せてー」

 

「堂々としたセクハラだから、ハッピー!」

 

「もっとヒリヒリさせたらどんな顔すっかな、ルーシィ」

 

「鬼か、おまえは‼︎‼︎」

 

 どこで話を聞いていたのか、いつの間にやらグレイ、ハッピー、ナツの3人が集まっていた。 ナツとハッピーに至っては好奇心といたずら心が合わさったようにワクワクと、ニヤニヤとしている。

 

 その時だった。

 

「もういっぺん言ってみろ‼︎‼︎」

 

 エルザの怒号が聞こえたや否や、飛んできたテーブルがナツに直撃する。 しかし、周囲の視線はナツにではなくエルザ、ひいてはその対面にに座る人物へと集まる。

 

「この際だ、ハッキリ言ってやるよ。弱ェ奴はこのギルドに必要ねェ」

 

 エルザの怒号を受けても尚怯む事なく、それどころか煽るかのようなセリフを吐く青年。彼の名はラクサス。フェアリーテイル最強候補に挙げられる1人である。

 性格は大胆不敵、豪胆無比といった言葉が似合い、最強を豪語する。故に、今回のファントムの件には我慢ならないようだ。

 

「オメーだよ、オメー」

 

 ラクサスに指差されて矢面に立たされたのはチームシャドウギア。今回の戦争の引き金ともいえる3人を見て、ラクサスは傲慢に笑う。

 

「元はと言えばオメーらがガジルにやられたんだって?つーかオメーら名前知らねえや、誰だよ? 情けなぇなァ、オイイ」

 

 レビィたちを罵倒しながら高笑いするラクサス。言い返そうにも言われていることが全て事実であり、反論することもできないチームシャドウギアの3人。

 

「ひどいことを………」

 

「これはこれは、さらに元凶のねーちゃんじゃねーか」

 

 仲のいいレビィがやられているのを見て思わず口から不満を零すルーシィ。それが聞こえたのかラクサスが噛みつくが、それを後ろにいたミラジェーンが止める。

 

「ラクサス! もう全部終わったのよ。誰のせいとかそういう話だって初めからないの。戦闘に参加しなかったラクサスにもお咎めなし、マスターはそう言ってるのよ」

 

「そりゃそうだろ、オレには関係ねえ事だ。ま、オレがいたらこんな無様な目には合わなかったがな」

 

 仲間を仲間とも思わない発言。然しものミラジェーンも怒りを隠そうとせず、エルザに至っては剣を換装しようとしていた。

 しかし、それよりも早く動いたのはナツだった。

 

「ラクサス、てめえ‼︎‼︎」

 

「ナツ‼︎」

 

 怒りを露わに、拳を振るナツを見てもラクサスは笑みを崩さない。

 ナツの愚直なまでの素直さは好ましくもあるが、だが所詮はその程度。実力も足りなければ、その拳さえこの身に届きはしない。

 

 余裕綽々とした笑みを浮かべ、身体を雷に変えて移動する魔法を使おうとするが、謎の違和感がラクサスを襲う。

 

(魔法が発動しねぇ?)

 

 いや、発動しないというよりは何かに引っ張られて足止めを食らっているような感覚。 違和感の元を辿り足元を覗けば影から出た手がラクサスの脚を掴んでいる。

 それを振り払うよりも早くナツの拳がラクサスの頬を叩いた。

 

 衝撃により飛ぶ、ラクサスのつけていたヘッドフォン。しかし、ラクサス本人は下半身だけでその衝撃を受け止めてナツを睨む。

 

「てめぇ……」

 

 お返しとばかりにナツを視界の隅に殴り飛ばすと、下手人をにらみつけた。

 

「何のつもりだ、カイト‼︎」

 

「カッカッカ♪」

 

 ラクサスの睨みもなんのその。陽気に笑うカイトは肩を竦めて答える。

 

「何のつもりも何も、流石に言い過ぎだよ。今回はナツの一発で手打ち、そんな物語(ストーリー)でいかがかな?」

 

 カラカラと笑うカイトを見て忌々しげに舌打ちをする。

 この場でやり合ってもいいが、昔からこいつとの戦闘で決着がついた試しはない。必ず引き分けに持ち込まれるのだ。

 面倒な戦闘を起こすくらいならばと、ラクサスはその場から背を向ける。

 

「俺がギルドを継いだら最強のギルドを作る!てめぇら雑魚どもを削除した、最強のギルドだ!」

 

「そう、それは素敵な夢だね♪けど、妄想も過ぎれば痛いだけだよ」

 

「黙れ!カイト、てめえは真っ先に消してやる。首を洗って待ってろ!」

 

 それだけ言い残すとラクサスの身体が雷となり、その場から立ち去る。緊張の糸が解けたように、その場にいた全員がため息をこぼした。

 

「継ぐって………何ぶっ飛んだこと言ってんのよ」

 

 あんな男にマカロフがマスターの座を譲るはずがない、そんな確信めいたことを呟くルーシィ。だが、それがそうでもないのだとミラジェーンがため息混じりに口を挟む。

 

「それがそうでもないのよ。ラクサスはマスターの実の孫だからね」

 

「えーーーーーーーーっ‼︎⁉︎」

 

「だからマスターが引退したら、次のマスターはラクサスの可能性がすごく高いの」

 

「そ、そんな………」

 

「まぁ、マスターは世襲制じゃなくて指名制だから希望はあるけどねぇ」

 

 含みのある言い方をしながらシチューを味見するカイト。

 確かに世襲制ではないが、不慮の事故又は指名せずに天寿を全うした場合その親族にマスターの権限が与えられることは法律にある。滅多にないとはいえ、前例がないわけでもない。

 早く次のマスターを決めればいいのに、と他人事のようなセリフを零しながらコンロの火を止めた。

 

「だーーー‼︎まだ勝負はついてねエぞ、ラクサス‼︎」

 

「もう行っちゃったよ、ナツ」

 

「なに⁉︎あんのヤロォ………‼︎」

 

「もういい。あいつに関わると疲れる」

 

 遅い復活を果たしたナツにそう声をかけるハッピー。未だ怒りが収まらないナツをエルザが制し、そうだと思いついたように提案した。

 

「それよりどうだろう、仕事にでも行かないか?」

 

「え?」

 

「もちろん、グレイとルーシィも一緒だ」

 

「え‼︎⁉︎」

 

「はい⁉︎」

 

鉄の森(アイゼンヴァルト)の件から一緒にいる気がするしな。この際チームを組まないか? 私たち5人で。………ハッピーを入れて6人か」

 

 エルザの提案。それはラクサスショックを覆すには十分なニュースだった。 周囲の者たちはそれに賛成。お前らが最強チームだ、と口々に囃立てる。

 いがみ合うナツとグレイもエルザの一声で承諾。それと、と付け加えてカウンターの裏に手を伸ばす。

 

「当然、お前も頭数に入っているぞ。カイト」

 

「カッカッカ………お聞きしても?」

 

「今回のことで目を離せないことがよくわかった。不服だが、私自らお目付役を買ってやろう」

 

「拒否権は?」

 

「新型のキッチン機材でどうだ?」

 

「喜んでついてくよ♪」

 

 現金な反応に、思わずそれでいいのかとツッコむ一同。エルザが怖いので心の中でだが。

 

「早速仕事だ。ルピナス城下町で暗躍している魔法教団をたたく。いくぞ」

 

「「「おおおおおおおっ!!」」」

 

 掛け声高らかに目的地を目指す5人と1匹。

 ここにフェアリーテイル最凶チームが結成されたのだった。

 

 

 

 余談であるが、その後案の定やりすぎた面々が街を半壊させ、引退を考えていたマカロフが引退なんかしていられるかと躍起になったとのことである。

 

 

 

 

 

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