IS 《神器の少女》   作:ピヨえもん

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ゆっくりゆっくり本筋に寄り添う


09 第二回モンド・グロッソの闇(前編)

〔20XX年 夏 地球:ドイツ 第二回モンド・グロッソ会場〕

 

side 本音

 

 もぐもぐ・・・、ごきゅごきゅ・・・ぷはぁ。せっちゃんの手作りパネトーネおーいしー♪水筒に容れてきたホットカフェオレを飲み一息ついてみると隣に座ってたお姉ちゃんがハンカチを取り出して私の口元を拭ってきた、むぷっ。こ、これじゃあ続き食べれないよぉ~~~・・・。

 

「もう、本音ってば。口元にいっぱい付いてるわよ?ほら、動かないで」

 

 えっへへー♪相変わらずお姉ちゃんてば世話焼きさんなんだからー♪今日は皆でモンド・グロッソの会場に来てるのだ~。由良川かいちょーが招待してくれて私たちは特別席?で観戦してるの。ここは見晴らしもいいし、せっちゃんの膝の上は座り心地がいいし♪余は満足なのじゃ~♡

 1回目のモンド・グロッソから3年たって私たちは中2に進学して、お姉ちゃんは今年からIS学園に進学して高1、お嬢様(刀奈様)は中3になったの~。お姉ちゃんは春から寮生活になったからちょっと寂しいんだ・・・だからちょっとだけ、こうやって甘えちゃうんだよ~♪えへへ///背中にせっちゃんの体温、右にかんちゃん、左にお姉ちゃんの鉄壁の布陣なのだよ、ふははー♪

 

 それにしても、織斑選手ってば強いね~、さっきから徹底的にメタ張られてるのに強引にねじ伏せてるよ~。しかも零落白夜使わずに、だよ。この調子だと今回も優勝しちゃうんじゃないかな~?それくらい強いんだよ、すごいよね~?

 

 


 

 

 ----時間が進み準決勝戦----

 

 

side 千冬

 

 

 雪片を振りぬきシールドを弾き飛ばし返す刀で対戦相手をアリーナの壁に叩きつける。そのまま崩れ落ちるISの姿、残心を取りつつゆっくりと距離を取る

 

 

 ------・・・シールド・エネルギー0!よって勝者は日本代表《織斑千冬》!!

 

 アナウンスが宣告されるとアリーナは一際大きな歓声に包まれる。当然という納得の感情、誰も止められるものがいないのかという困惑の感情、そしてねばつくような嫌な負の感情をひしひしと感じる・・・。

 

 私は第二回モンド・グロッソの準決勝を勝ち上がった。前回よりも全体のレベルは遥かに上がり、私自身日本の代表戦では後輩の山田真耶になかなか苦戦を強いられた。どうやら世間では《織斑千冬対策》を徹底的に行ってきているらしい。

 フフッ・・・面白い!そうでなくては張り合いがない!奇しくも決勝の相手は前回と同じアリーシャ・ジョセスターフ、あの時以来何度も親善試合を重ねお互いの手の内は解り切っている・・・、だが私は負けるわけにはいかない、なぜならば

 

 

 

 

 

 

 

 この決勝戦にはなぜか私の貞操が懸かっているからだ!!!

 

 

 

 


 

 ----同時刻、アリーナ外周にて----

 

side ???

 

 

「---ッがっは!?ゲホッ!ゲホッ・・・!!」

 

 なんなんだ・・・!なんなんだよコイツは・・・!!この私がまったく手も足も出ねぇだと!?んなこと、あってたまるか!!

 

 眼前の正体不明の黒い全身装甲のIS()を睨みつける。さっきからヤツは武器を一切使っていない、拳と蹴りのみで私を追い詰めているッ!!それになぜか《アラクネ》の動きが悪い・・・まるで枷を付けられているかのように重い・・・、そしてシールドバリアがまったく仕事をしてねぇ!どうなってやがる!?

 

「・・・もう、実力差はお分かりになったでしょう?そろそろ諦めて帰ってくださいませんか?」

 

 黒いISの操縦者が涼やかな声でそう告げる。

 

 私はその言葉にカチンときた。完全に私を、この《オータム》様を見下してやがるッ!!!

 

「ふ・・・っざけんなああああああああ!!!!」

 

 この!オータム様を・・・!!馬鹿にするんじゃねぇぇぇぇえええ!!!

 

 

 


 

 

 ----準決勝開始前まで時は遡りアリーナ特別席では----

 

 

side 雪華

 

 モンド・グロッソの準決勝が始まる前に私はこの会場に流れる【悪意】を感じ取りました。それを向けられているのは私ではなく、アリーナ内で試合開始を待つ日本国家代表(織斑千冬さん)でもない。もっと純粋な悪意、無抵抗な相手をいたぶるかのようなドス黒い感情です。

 

「なんだかいやな気配がするよ・・・どこだろう・・・?アリーナ内や客席じゃない・・・ゆっくり移動して・・・すこし離れてる?」

 

「どうしたの雪華?もう準決勝始まっちゃうよ?」

 

 一緒に観戦してたシャロが声をかけてきます、刀奈ちゃんやかんちゃんは怪訝な表情で顔をこちらに向ける。本音はさっきから私の膝の上でお菓子をモキュモキュと頬張っていて虚ちゃんはそんな本音の口元をハンカチで拭っています。

 

「なんか、誰かの悪意を感じるの・・・対象がどこか、会場内ではあるんだけど・・・ここじゃないみたいで」

 

 悪意の先は一つなのに、悪意の元は複数感じるあたりが無視できない予感がするんです。こういうときの感覚は100%当たるんです、サイコドライバーの思念探知とNTの精神感応力がそう告げています。

 

「ちょっと探してくるね・・!こういう勘って当たるんだよ」

 

「じゃあお姉さんがついていくわね。皆はここで待っててちょうだい、雪華ちゃんいいわよね?」

 

 刀奈ちゃんが一緒に探してくれると言ってくれたので二人で席を離れ悪意の元に向かいます。私はいろいろチートな能力がありますが、更識家の人間は男女問わず高度な戦闘術を習得しているのでとても頼りになります!

 

 

 私と刀奈ちゃんは一緒になって小走りに感じる方向に進んでいきます。するとだんだんと人気が無くなってきました、なるほど、皆試合が気になってアリーナのほうに集まっているからですね。なのにこの悪意だけはアリーナから離れていきます、これは絶対になにかある!

 

「刀奈ちゃん、ひょっとしたら少し危ない目に遭うかもしれないから・・・何か護身用にもってる??」

 

「一応、専用機は待機状態だけど武装が一つしかないわよ・・?あとはこの扇子に鉄心が入ってるくらいで」

 

 刀奈ちゃんが最近持ち歩くようになった扇子にはそんなものが入ってたんですね・・・あれって一発芸用じゃなかったんだ・・・。

 

「いざとなったら奥の手がいくつかありますから、心構えだけしといてくださいね・・・!そろそろ、悪意がすぐ近くまで・・・ッ!刀奈ちゃん、こっち隠れて!」

 

 私は刀奈ちゃんの手を咄嗟に引いてスタジアムの柱の陰に隠れます。私たちの視線の先には中学生くらいの男の子一人をいかにも悪人です!といった格好の大人が6人、周囲を警戒する様子で取り囲んでいます。その中に一人だけ、赤味がかった茶色のロングヘアの女性・・・この人、ISを所持しています・・・。

 

「(刀奈ちゃん、あの女の人、ISもってます。どうもこの人たち・・・あの男の子を拉致しようとしてるのでは?)」

 

 私はISのコア・ネットワークを使って刀奈ちゃんに話しかけます、刀奈ちゃんも同じ感想で。

 

「(確実にそうね、挙動が完全に誘拐犯のそれだわ・・・それにあの男の子、織斑選手の弟さんよ。資料で見たことあるわ)」

 

「(・・・・なるほど、すごくわかりやすいアクションですね・・・、織斑選手が優勝するのを快く思っていない人たちの差し金でしょうか?)」

 

「(おそらくね、このままだと織斑選手の優勝はまず間違いないし。いくらでもお金になりそうだもの、気に入らないわね)」

 

 まったくです、抗う術を持たない一般人に対してこういうことをするような悪い人たちにはお仕置きをしないといけませんね・・・!

 

「(刀奈ちゃん、シャロとかんちゃんにコア・ネットワークで連携とって織斑選手の弟さんを逃がしてあげてください。あの悪い大人たちは私が厳しく躾しときますから)」

 

「(・・・・・ええ、雪華ちゃんが非常識に強いのは知ってるけれど無理はしないようにね?危ない目に遭いそうだったら一目散に撤退するように、ね?それとやりすぎないように)」

 

「(は~い、それじゃあ・・・・行きます!)」

 

 突入態勢に入る頃には織斑選手の弟さんは悪い大人たちに拳銃で殴られ後ろ手に縛られて担がれるところでした。躊躇している暇などありません!最大速度で、突撃します!!

 

「ブースト・アップ!!」

 

 軸足で地面を蹴り集団に向かってISの瞬時加速(イグニッション・ブースト)並の加速で突っ込む。瞬間、私は蒼い光の粒子に包まれ一気に距離を0にする。黒の英知に触れたヒビキさんが得た力です・・・!10秒程度とはいえ見切れると、思わないでください!

 

「スフィア・アクト・・・【欲深な金牛】、【立ち上がる射手】発動!!」

 

 スフィアの事象制御を顕現させ、織斑さんを担ぎあげようとしていた黒ずくめの大きな人の顎を蹴り飛ばす!ついでにもう一人隣にいたSMGを持った人の鳩尾に肘を叩き込む!

 

「がッ!?」「げェッ・・・!」とうめき声をあげ倒れ伏す、これでまず2人・・・

 

 さすがに【欲深な金牛】のアクトは威力が増しますね・・・非力な子供の攻撃でこの大ダメージです。そして動きを止めずに背後にいた拳銃を持った覆面の男を回し蹴りで壁に叩きつけます、これで3人!

 

「・・・ッ!?な、なんだテメェ!!くそ!邪魔者は消せぇ!!」

 

 ようやく現状に反応した女の人の号令に残りの2人が慌てて懐に手を入れて武器を取り出そうとします。

 

「遅い!」

 

 だけどブーストアップした私には止まって見えるんですよ!女の人の右側にいた覆面の顎に膝蹴りを入れ、そのまま無防備な胴体を蹴り飛ばします、背後では刀奈ちゃんが織斑さんを回収し現場から離れていくのを感じます。が、

 

 振り返ったときには女の人はISを展開していました。

 

 これは・・・!?紫を基調としたカラーリングに8本の機械の足・・・アメリカの【アラクネ】!?じゃあこの誘拐犯はアメリカの??

 

「邪魔すんなこのガキがああああああ!!!」

 

 アラクネを纏った女の人は一人残った覆面の背後から諸共私に向かって蜘蛛の脚を振りぬいてきました。さすがにこの距離は避けれない・・・!それなら!

 

 

 

「(きて!【シュロウガ】!)」

 

 

 ドガァァァアアアアアアア!!!

 

 

「ッハハハハハ!!ガキがこのオータム様の邪魔をするから死ぬことになるんだよォ!・・・・・っ!んな!?」

 

 

 

 

 アラクネの脚に巻き込まれた覆面は無残にも柱に叩きつけられて崩れ落ちていました・・・。

 

 

 

 

 

 私は無事ですが。

 

 

 

 

 

「まったく・・・アラクネ程度で私をどうにかできると思っているんですか?そういうセリフはフラグですよ。お・ね・え・さ・ん?」

 

 

 

 ええ、相手がISを使ってくるなら私もISを使うしかありませんよね!

 

 




パネトーネ:イタリアの甘いパン

IS学園:いろいろ矛盾してるISを学ぶ学校

雪華の膝の上:本音と身長差20cm以上でジャストフィット!

ちーちゃんの貞操:相変わらず狙われている、今回は大会前にアーリィに乗せられ賭けてしまった

アラクネ:よく破壊される

オータム様:ネタ枠としか言えない不憫な人

悪意:だいたいは一夏君が誘拐される部分だけど一部ちーちゃんの貞操を狙ってる人の感情も入ってる

サイコドライバー:スパロボオリジナル。「汎超能力者」と呼ばれる念動力、精神感応能力、透視能力、予知能力など様々な超能力を持つ者を指す。

刀奈ちゃん:忘れがちだけど原作でも有能キャラ

コア・ネットワーク:内緒話に便利、でも盗聴はされる。雪華のISはコアから自作なので束さんですら管轄外

織斑選手の弟:やっと登場できた原作主人公。まだ日の目は見れない

厳しく躾:なお、命は保証されていない

ブーストアップ:スパロボZでヒビキ・カミシロが黒の英知に触れたことで得た技能、10秒前後だけ身体能力・思考速度などを10倍以上にはね上げる、1時間に1回だけしか使えないうえ身体に負担がかかる

欲深な金牛:スフィア・アクトにより周囲により大きなダメージを与える

立ち上がる射手:スフィア・アクトにより周囲の戦闘能力を下げる

SMG:サブ・マシン・ガンの略

シュロウガ:ようやく出てきたオリ主のIS、スパロボZのアサキムが乗っていた黒いサイバスターもどき。

フラグ:ヤムチャしやがって・・・!

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