戦闘描写は難しいですね・・・
「TS-DEMON、起動・・・システム、オールグリーン」
ジェニオンのTS-DEMONを起動させていがみ合う双子のスフィアを同調させる。スフィアの輝きが一際増して淡い翡翠色の光の粒子がジェニオンの両手マニピュレーターから溢れ出る。
本来ジェニオンのパイロットは【ヒビキ・カミシロ】と【スズネ・サイジョウ】。アカシック・レコードに収められているヒビキさんのデータからジェニオンの【記憶】を呼び出し、同じくスズネさんのデータからTS-DEMONを制御する【共鳴】データを呼び起こす。
「さあ・・・いきましょう!」
織斑さんは零落白夜を発動させた雪片弐型を右袈裟に構えて振り下ろしてくる、その太刀筋は織斑先生とは比べるべくもありませんが、ISでの戦闘時間が1時間にも満たない素人のそれではありませんね!
零落白夜はシールドバリアを切り裂く刃、ですが恒星に由来する破壊と再生を司り、全ての事象を制御する次元力を切り裂くことは不可能です。
特にこの【地球】においては!
ジェニオン《本来》の動きを寸分たがわず再現し、迫りくる零落白夜のエネルギー刃を右手で受け流す。その反動で織斑さんの右側に回り込み脇腹に左手で打撃を叩き込み距離を取る。
「織斑さん、零落白夜は触れたシールドバリアを切り裂く刃です!通常のブレードと違ってその効果は触れるだけで発揮します!発動中はもっと小さく、鋭くブレードを振るってください!」
「ぐっ!!・・ま、だまだああ!」
少し吹き飛ばされたところで踏みとどまった織斑さんは、振り抜いたブレードを返して横薙ぎを仕掛ける、これはさっきよりも速いですね!
「でえぇぇぇぇああああアアアア!!!」
裂帛の気合とともに迫りくる斬撃を柄を握っている右手の下から蹴って撥ね上げる。お互い徒手による格闘と零落白夜による斬撃の応酬を至近距離で繰り出しあう。
私は次元力を纏った両拳を使いブレードの軌道を変え、捌き、打撃でカウンターを入れる。
スフィアを発動しているジェニオンは斬撃を紙一重で回避し続けるが、織斑さんは急成長中とはいえ数々の命のやり取りを潜り抜けてきた動きには追い付けずに被弾を重ねる。
零落白夜は発動してるだけでSEを消費していく諸刃の剣、尚且つ私の打撃によるダメージでみるみるうちに白式のSEが減っていく、試合時間も残りわずか、私はフィニッシュをかけるべくTS-DEMONでスフィアの次元力を引き出す。
「TS-DEMON、フルアクション!・・・パニッシャー、セット!コード《ストームブリンガー》発動!!」
拡張領域に収納していたパニッシャーを呼び出し背部スラスターに内蔵されているグレイヴに連結、大きなカッターナイフ状に一体化したグレイヴをTS-DEMONで遠隔操作し私の両サイドから展開、次元力を纏ったグレイヴとパニッシャーは翡翠色に輝き光の粒子を溢れさせながら浮遊している。
これが次元力を使った疑似ビット兵器です!
「さあ、織斑さんはこれをどうやって凌ぎますか?」
光の軌跡を残しつつグレイヴを超高速で撃ち出し、続いて私も瞬時加速で先行しているグレイヴを追いかける。
「なっ!?はや、ぐぅ!!」
先ほどのパニッシャーとは比べ物にならない、流星のような速度の攻撃に織斑さんは避けきれず、グレイヴに被弾し体勢を大きく崩す。続けてゼロ距離に詰めた私の右掌による掌底で織斑さんを撃ちあげる。
ほんの一瞬時が止まり、再び静から動へと、ビットとなったグレイヴが軌道を変え織斑さんに殺到し再び白式の装甲を切り刻む。
私は再び距離を詰めて腹部に膝蹴り、そして瞬時加速で背後に回り後ろ回し蹴りを撃ちこむ。私が掌に集めた次元力を打ち込むたびに一瞬だけ織斑さんの時が止まる。
片方のグレイヴは織斑さんが纏っているスラスター部分に突き刺さる、そして私はもう片方のグレイヴを右手に掴んで斬撃を繰り出す。左手で刺さっているグレイヴを引き抜き両手にもったグレイヴで交互に切り裂く。
そしてグレイヴと連結しているパニッシャーをそのまま腰だめに構えゼロ距離から連射。
「ぐああああああああああっ!!!」
織斑さんは反応が追い付かない超高速の連撃になす術もなく、新品の純白の装甲はすでにボロボロになりSEも残りわずか、すでに零落白夜を発動できるほどのエネルギーもなく雪片弐型は元の形状に戻っている。私は両掌に次元力を集中してエネルギーに変換し織斑さんの懐に飛び込み左掌を密着させる。
「これで・・・終わりです!」
密着させた左掌、そして腰だめに構えている右掌に次元力を集める。高密度の次元力の影響で私の周囲の時間は一瞬止まったようになる。
そして右手を突き出し両掌に集めたエネルギーを白式に掌打で撃ち込む。
ガアァァァアン!!!
その場から消し飛ばされるように一瞬で壁に打ち付けられて白式の展開が解除される。
S.E.E.Dを解除し一息つくと視界に入るのは、ぴくりとも動かない織斑さんの姿。
周囲を恐る恐る伺うと・・・、《あちゃー・・・》という表情で首を振るシャロたちの姿。観客席にいるクラスメイトは唖然とした表情で固まっています。それに管制室にいる先生たちの声も聞こえないですね・・・。
あれ、これは・・・私、やっちゃいました?(冷や汗)
〔・・・・・はっ!?・・・え?ええと・・・び、白式SEゼロ!?よってこの試合は由良川さんの勝利です!〕
山田先生の呆けたような声が聞こえます。ちょっとやりすぎちゃいました・・・ど、どうしましょう。
とりあえず織斑さんを保健室へ運ばないと~~~!
side シャルロット
雪華のあまりにハイになった戦闘シーンに全員開いた口が塞がらない、ボクは織斑君のご冥福を祈りつつ(死んでない)とりあえず現実逃避することにしたんだ・・・。
「ボク、なにもみてないよ・・・」
「ええ、私も何も見ていないわ・・・」
「私も・・・何も見てない・・・とおもう・・・」
「皆様、現実を見てください」
「せっちゃん少しは手加減しなきゃ~・・・」
「うむ、やはり雪姉さんはすごいな!」
一人だけピントのずれたことを言ってる妹がいるけれど気にしちゃダメだ。
この惨劇をどうすればいいのか、見学しに来ていた1組のクラスメイト数名は完全に固まってしまっている。どうしよう・・・?何かフォローしたほうがいいのかなぁ?でもボク違うクラスだし・・・そうだ!セシリアに任せよう(妙案)
おたおたと織斑君を担ぎピットへと戻っていく雪華の後ろ姿を見送りながら、ボクたちはこれから起こるであろう雪華への《織斑先生の尋問》を想像し身震いした。
side 束
「はぇ~・・・せっちゃん強すぎじゃないかなー。零落白夜ってエネルギーブレードだから余波に触れただけでSE削られるんだけど、それも含めて紙一重で回避しきるなんてねー・・・。これはちーちゃんもお手上げの技量だね!さっすがせっちゃん♪」
隣のくーちゃんはあんぐりと口を開けたまま固まってるね。そんなくーちゃんのほっぺをぷにぷに突っつきながら束さんは思案する。
今回は練習試合だから見学者もごく少数、そしてカメラは束さんがハッキング中だから資料映像も残らない、あとはちーちゃん経由で見学者に口止めをしてもらえばせっちゃんの秘密は守れるね!
「・・・もすもすひねもすぅ~?ちーちゃんの恋人の束さんだよ~!・・って切らないで切らないで!真面目な話なんだからー!!」
電話を掛けた瞬間すぐに切られそうになって慌てて止める、まったくちーちゃんってば!束さんだって真面目に話をするときだってたま~にはあるんだよ!
「うん、そう、せっちゃんのこと。・・・そうだね、だからクラスメイトにはこれ口止めしといたほうがいいよちーちゃん。・・・うん。映像のほうは任せて!すでに対処してデータは束さんしかもってないから♪褒めて褒めて~♪ああああ!切らないで!!!って・・・切れてる」
まったくちーちゃんてば照れ屋さんなんだからも~・・・、いつのまにか我に返ってるくーちゃんが心配そうに束さんのほうを見ている。
「大丈夫だよくーちゃん、せっちゃんのことはちーちゃんに任せたからね」
「クロエは心配です・・・束様、雪華お姉様は文字通り異次元の技術と知識の宝庫です。それがバレれば世界中から狙われるのは目に見えています・・・、世の中には自分たちのためなら他人の命や財産などどうとも思わないゴミのような人々がいるんです。私の瞳がその証左ですから」
くーちゃんの両目は普段は閉じている、これはせっちゃんの義妹のラウラちゃんと同じ・・・、【オーディンの瞳】を含めた強化実験の失敗でくーちゃんの瞳は白目部分が黒く、瞳は金色になってしまった。くーちゃんは強化試験体として生まれたが失敗作としてドイツに捨てられた子だ、恨みも大きい。
せっちゃんの元で血を分けた本当の姉妹と言えるラウラちゃんと出会ったときに二人で泣きながら抱きしめあってた。束さんももらい泣きしちゃったよ、どうにもせっちゃんと接触してからというもの、今まで興味がわかなかった他人に対して大きく歩み寄ることができるようになった気がするね。皆が言うにはせっちゃんの影響らしいんだけど、この気持ちは束さん嫌いじゃないな~。
「くーちゃん、心配しないで。束さんがそんなことさせないから!それに由良川の家も、ちーちゃんたちも、何よりせっちゃんママが黙っちゃいないからね♪」
side 千冬
「お前は何をしているんだ・・・?」
私は管制室に呼び出した由良川を見て思わずそう声をかけた。由良川は試合後シャワーを浴び、ISスーツを着替えて現在は制服姿。少ししっとりした艶やかな髪と私より身長が高いのに小さく縮こまっている影響で、子犬が叱られているような妙に可愛らしい姿に見える。
そしてなぜか首から下げられた手作り感満載のパネル。
【私は新品のISをスクラップにしたダメな生徒です】
「すみませんでしたー!」
由良川はその場でそれはそれは美しいDOGEZAを披露した、こいつは何をしているんだ・・・?私は訝しんだ。
「由良川、とりあえず何をしている?そのパネルは・・・?いや、いろいろ聞きたいことがあるがとりあえずその土下座をやめるんだ」
私は由良川の手を引いて立ち上がらせ椅子に座らせる。由良川は小さく縮こまったままの姿勢で器用にちょこん、と座って上目遣いに私を見る。
うっ・・・可愛いな・・・////
「とりあえず、白式の件は気にしなくていい。IS同士のバトルにはよくあることだ。むしろ倉持技研のやつらが中途半端な強度の装甲を使うからこうなるんだ。織斑のやつも気にしてはいないだろう、それに時間一杯を有効に使って上手く潜在能力を引き出してくれた、むしろ礼を言わねばならんだろう」
「そうですよ由良川さん!先生びっくりしちゃいましたよ!オルコットさんも相当な実力があるのは知っていましたが由良川さんも引けを取らない強さで!それに無茶を言ったのは私たち教師の側なのですから気にしなくていいんですよ~♪」
うむ、真耶の言う通りだ。それに束のやつが後でジェニオンの分析データと映像を持ってきてくれると言っていた。
「さて由良川、まず聞きたいことだが・・・」
私はジェニオンのこと、そして次元力のこと、オルコットが言っていた能力のことを聞き始めた。
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「・・・そうか。束が言っていたのはこれのことか・・・」
由良川から聞き出した内容に私は頭痛を覚えた。まさか目の前にいる少女が文字通り【神の生まれ変わり】だなどと・・・、隣の真耶も引き攣った表情で固まっている・・・若干涙目だな。
「すみません織斑先生、山田先生。お二人には苦労を掛けてしまうでしょう・・・。今この世の技術の粋を集めたISですら私たちの居た世界では通用しないレベルの兵器です。先ほど私がスクラップにしてしまった白式は束さん謹製の雪片弐型という世界初の第四世代兵器を搭載して尚、リミッターを掛けたジェニオンに手も足も出ないほどです」
「そしてシャロやかんちゃん、刀奈ちゃんのISはコアこそ束さんの作成した純正のものですが、ISは私が別世界の技術を駆使して組み上げたものです。その性能は定義上第三世代を名乗ってはいますが実際のところは遥か先のオーバーテクノロジーの塊です。特に2組にいる義妹のラウラのIS、あれは3人のとはまた違って《コアから私が組み上げたもの》です。その性能は現状のジェニオンよりずっと上、ある一機を除いて実質世界最強の兵器です」
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もはや言葉も出ない・・・由良川がいう《ある一機》のことも気にはなる、だが今は2組のボーデヴィッヒのISだ。なるほど、2組の代表に立候補しなかった理由はそれか・・・。ボーデヴィッヒはドイツ軍を除籍されてはいるが由良川グループのおかげでその動向は未だに注視されている。出来る限り表舞台に出さないように、なおかつ自力で自分の身を守れるように・・か。
「やれやれ・・・・、仕方がない、可愛い生徒のためだ。我々がなんとかせねばなるまい。なあ、山田先生?」
「そう、ですね・・・。ええ、私も覚悟を決めました!由良川さんもボーデヴィッヒさんも、皆さんこの学園の生徒ですからね!」
まったく・・・、世話のかかるやつらだな!だが、この学園の生徒である以上、外部の人間に手出しなどさせはせんさ!
スズネ・サイジョウ:スパロボZのキャラ、西条涼音。世話好きで人当たりがよくメガネ美人、そしてドエロいパイロットスーツと巨乳の二重人格先生。属性てんこ盛り
地球での次元力:太陽の通り道である黄道、特に地球は強い次元力を集めている
ストームブリンガー:ジェニオンの技の一つ、技名の由来は小説『エルリック・サーガ』に出てくる「殺した者の魂を喰らう剣」の名前。ゲームのカットイン演出では涼音先生のどエロスーツ姿+パイスラが拝める
パニッシャー+グレイヴ:本来ジェニオンの武装では一体化した状態でスラスターとしてマウントされている
疑似ビット:ゲーム動画を見ればわかるけど異様に速い
やっちまった感:よく一夏君は生きていたと思う
くーちゃん:もうほんと好き、どうしてくれよう?
子犬が叱られているような:大きな女の子がちっちゃくなってる姿に悶える
DOGEZA:今も昔も変わらぬ最高級の謝罪の意
ISバトルにはよくあること:あってたまるか
山田先生:まやせんせーは女神である
ラウラのIS:どう考えても盛りすぎた感があるが後悔はしていない
ある一機:由良川さんの自宅にあるよね・・・