IS 《神器の少女》   作:ピヨえもん

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マリリン登場

乱入者編は長いです!



23 殺戮人形ノ詩

 IS学園第三アリーナ管制室

 

side 千冬

 

「教員部隊が全滅!?一体何が起きているんだ・・・!」

 

 

 慌ててアーリィに回線を繋ぐ、突入準備が完了していた教員部隊はアーリィより先にアリーナにいたはずだ!医療班として待機していたが為に格納庫まで打鉄を取りに行く手間がかかるアーリィは集合に数分の遅れが生じていたからまだアリーナには到着していないはず!

 

 

「チフユ!どうなってるのサ!?」

 

「私にもわからん、だが、アーリィのほうは無事か!」

 

 

 無事に回線が繋ぎアーリィの安否は確認できた、だが突入するはずだった教員部隊の返信は無い。山田先生が急いでアリーナ内の生きているカメラを操作して映像をサルベージしているが・・・。

 

 

「・・・!?お、織斑先生!こ、これ!!」

 

 

 映し出された映像には驚愕の光景が映っていた。

 

 


 

 アリーナ外周、βが空けた大穴の周りに倒れ伏す教員たち、すでに全員のISがボロボロになっている・・・。

 

 その先に全身が黒、そして一部に金の縁取りがされたドレスのようなISを身に纏った者が映っている。

 

 そいつは大きなパフ・スリーブのような両肩から、折り畳み式フレームアームが伸び、各関節部分に青いクリスタル状のパーツが左右に4個ずつ、計8個、そしてアームの先端には2枚刃のカッターのような大型の武装を持っている。

 

 小柄な女だ・・・ISスーツではなく、束のファッションに通じるような胸元が大きく開けたフリルだらけの黒いドレス姿、そして頭部は目元だけが隠れるスコープ型バイザーと、色素の抜けたような青白いツインテールの髪が流れている、目元は見えないが口元にはニタァっと張り付く残虐な笑み・・・。

 

 

 ぞわっ

 

 全身に鳥肌が立つ、錯覚なのだろうがカメラ越しにも漂うような濃密な血の匂い・・・、一目見て解かった。

 

 

 コイツは危険だ(・・・・・・・)

 

 

 私の本能の部分が激しく警鐘を鳴らす。

 

 確実に今まで出会ったことのないタイプ、人を殺すことなどなんとも思っていないような真性の精神異常者!

 

 

「・・・・嘘・・・、なんで、マリリン(・・・・)が・・・・」

 

 

 由良川(雪華)の小さなつぶやきをマイクが拾う、コイツを知っているのか!?

 

 

「由良川!コイツは誰だ!?」

 

「ッ!・・・、すみません千冬お姉さん・・・。確証はありませんから今は断言、できません・・・。それに狙いが何か、何が起きているのかもわかりません」

 

「おい、雪華!?」

 

 

 私の事を子供の時と同じ呼び方で呼ぶのは学園に入ってからは一度も無かった。公私をきっちりと分けられる聞き分けのいい子のはずだ、雪華は。なのに今はその【私】の部分を見せている。

 

 

「すみません千冬お姉さん、今はまだ説明がつかない状況です。この人が【生きてるはずがない】のに・・・。ですが放置していい相手じゃないのは確かなんです!私の記憶通りなら、この人は最悪の相手です・・・!一分一秒を争う緊急事態です、急がないと・・・死者が出ます!」

 

 

 何なのだ!雪華がこれほど狼狽するほどの相手なのか・・・!?雪華はコイツのことをマリリンと言った、だが【生きてるはずがない】とは・・・?

 

 過去に何があった・・・?私は別世界での雪華たちの歴史を知らない、ほんのさわりの部分しか聞かされていないからだ、だが壮絶な体験をしていることだけは理解している。

 

 戦争、か。

 

 私も、真耶も、アーリィも、IS学園に所属する誰もが戦争を知らない。この世界はISという超兵器がもたらされても尚、戦争には突入していないからだ。だがそれは本当はどうなのだ?ひょっとしたら私たちの与り知らぬ所ではすでに戦争に突入しているのではないのか・・・?

 

 画面の中のコイツは、我々を戦争へと導く者なのではないのか・・・?

 

 

「チフユ!!!」

 

 

 突如アーリィの叫びが聞こえた。

 

「どうしたアーリィ!何があった!?」

 

「こっちにもお客さんだヨ!第三格納庫に所属不明の【男】が一人!ISは纏っていないサ!・・・でも、強い!!」

 

「!?アーリィ!制圧は出来るか!?」

 

「・・・できる!・・・って言いたいところだけどネ、正直言ってまったく自信がないサ・・・!」

 

 

 なんだと!?アーリィほどの手練れでも後れを取るような相手がいるなど、ぐっ!どうする、私は・・・・!

 

 

「織斑先生、黒いISのほうは私が行きます!織斑先生はアリーシャ先生の援護に!」

 

「由良川!・・・・くそっ!私は教師失格だな・・・!すまんが頼む、・・・山田先生、私はアーリィの援護に向かう!この場は任せる!」

 

 

 生徒に気を使われるとは、情けない教師だ私は・・・。

 

 

「わかりました、先輩、どうかご無事で!」

 

 

 すまん、真耶。恩に着るぞ!

 

 


 

 IS学園避難用シェルター前

 

side セシリア

 

 

「これで生徒の避難は全て完了ですわね、ラウラさん、そっちはいかがですの?」

 

 

 私は生徒会が率先して行っていた避難誘導の手伝いをしております。ラウラさんもドイツ軍時代に、何度も民間人の避難訓練を行っていたので非常に頼りになりますわね♪

 

 特に大きな混乱もなく、無事に全員が第三アリーナからの撤退を完遂できたのは大きなことですわ。

 

 

「こちらも完了だ、思っていたより速やかに任務が終わった、刀奈達の指示はなかなかに的確だな!」

 

「あら、ラウラちゃんありがと♪こっちこそ手伝ってもらって助かったわ~。それにしてもあの乱入者は一体何なのかしら?パッと見た感じはロボットみたいだったけれど・・・」

 

「それはわたくしも思いましたわね、どちらかというとISというよりMS、あるいはラウラさんの元のレーバのようにASという可能性も?」

 

 

 以前雪華さんに見せてもらったデータにあった、AS(アーム・スレイヴ)と呼ばれる人型兵器と同じくらいのサイズでしたわね・・・。ですがなぜIS学園のアリーナに乱入を?どこの組織でしょうか、不可侵のIS学園に干渉したりすれば国際的な非難は免れ得ないはず。

 

 

「一体、何の得があるのでしょう・・・、今回の事件、腑に落ちませんわね」

 

 

「何者かが新型のテストを、というにも、撃破される危険性もあれば得られるものとの釣り合いが取れん。現にこのIS学園には世界的に有名なセシリアを始め、実力で一年生で生徒会長の座を勝ち取った刀奈もいる。何よりモンド・グロッソ二連覇のブリュンヒルデ、織斑先生に、二大会連続準優勝のヴァルキリーであるアリーシャ・ジョセスターフ、織斑先生の影に隠れがちだが間違いなく世界トップクラスの銃央矛塵(キリング・シールド)、山田先生と錚々たる顔ぶれだ」

 

「そうよね・・・、今IS学園には世界中の操縦者の実力順でトップ10に入る人たちがゴロゴロいるのよね~。新型の1機や2機投入したところで返り討ちに会って捕縛&鹵獲されるのがオチよね。私が悪の組織ならそんな無謀なことしたりしないわね、アリーナ乱入なんて目立ちすぎじゃない?」

 

「あるいは、アリーナに乱入した2機が本命ではない?目的はもっと別の何かで、攪乱目的か陽動でしたら?」

 

 

 現にIS学園の戦力は二手に分散しています。乱入者のいるアリーナ側、そしてわたくし達の避難した生徒側。考えれば考えるほど分かりませんわね、情報をシェアしなければ・・・。

 

 その時、避難の完了したシェルターから青い顔をした虚さんが慌てて走ってきました。いつも冷静な虚さんがあんなに慌てるなんて、一体・・・?

 

 

「虚ちゃん?どうしたの、そんなに慌てて?」

 

「大変ですお嬢様!1年1組の生徒が一名足りません!」

 

「は!?な、なんですって!?」

 

 

 わたくしは耳を疑いました、あの時観客席に居た1組の生徒は、皆さん避難したのを確認しておりますわよ!?

 

 

「あ・・・!まさか!」

 

 

 心当たりが一つ、ですがまさかそんな・・・、そういえば彼女は、織斑さんのピットに・・・!

 

 

「1組の、篠ノ之箒さんの行方が分かりません!」

 

 

 やはり、箒さん・・・!?

 

 

「セシリア、刀奈!そこ(・・)に何かいる!気をつけるんだ!」

 

 

 !?くっ!!

 

 考えるより先にISを展開し即座に体を捻ると、ドゴオッ!と何かが斜め後方の上空から私の横を通り過ぎて地面を抉りました。通常の砲弾とは明らかに弾速が違う、威力もずっと上・・・!NT能力が開花したラウラさんの咄嗟の警告に体が反応し、辛うじて回避に成功しましたわ!

 

 射撃の元に目をやると、上空に1機の正体不明機が。右手が大型の鉤爪のようになって、掌部分に見える砲口・・・あれが今の弾丸を?全体的に薄い青緑色とくすんだ黄色の装甲、ISとは明らかに違う大型の全身装甲の機体・・・

 

 

「何者ですの!(ISの反応がない?一体・・・)」

 

 

 雪華さんのデータにもなかった機体、MSよりもさらに大きい・・・!あのサイズで通常飛行ができるなんて、一体どれほどの技術力ですの!?

 

 

「ラウラちゃん!篠ノ之さんを探しに行って!コイツは私とセシリアちゃんが引き受けるわ!」

 

 

 刀奈さん・・・。

 

 

「くっ・・・・!了解した、気をつけろ二人とも!ソイツは只ならぬ気配がする!」

 

 

 わたくし達はコア・ネットワークの通信を広域に切り替え、教師陣と雪華さん達との共有を行いデータのやり取りを開始しました。どうやら現在のIS学園は完全に後手に回っている状態ですわね・・・、悔しいですが完全に罠にはまったと言うことでしょう。

 

 

 アリーナに突入するはずの教員部隊は【黒いIS1機】相手に全滅、雪華さんが救援に。後詰のアリーシャ先生も格納庫で【たった一人の生身の男性】に足止めを食らい、こちらの救援は織斑先生が。そしてアリーナの乱入者は修理の済んだ簪さんとシャルロットさん、織斑さん、鈴さんの4人が対応。

 

 MS由来の無人機、正体不明のIS、生身の人間、そして大型の人型兵器、それぞれまったくタイプの違う敵と対峙しているのが気になるところです。

 

 これ以上の時間は割けませんわね、速やかに撃破してしまわなければ、ですが!

 

 

「(刀奈さん、あれはおそらく・・・別世界の機体ですわ)」

 

「(でしょうね、昔雪華ちゃんが言ってたわ。あれほどの巨体を通常飛行させるのは相当な技術力が必要で、この世界ではIS以外不可能だって)」

 

 

 MSのサイズは大きくても20m以下、対して目の前の機体は明らかに25m以上あります。この質量なら搭載している武装の威力もIS以上と思っておかなければ!

 

 

「美しい・・・・、ああ、なんて美しい金髪だ・・・・!まるで彼女(・・)のような・・・。ああ、そうか!あなたは彼女にとてもよく似ている!これはいい!まさかこんなところで(・・・・・・・)再びキミに出会えるとはね!フフ、フフフハハハハハハハハ!!」

 

「なんですの!?」

 

 

 ぞわっ、と鳥肌が立つように纏わりつくような奇妙な感覚。濃密な殺気、蛇に睨まれた蛙のように体が凍り付く!?

 

 はっ!?

 

 

「さあ!今度こそ私と死のダンスを踊ってくれたまえ!私の愛するテュッティ(・・・・・)!!!!!」

 

 

 なんですの!?体が、動かない!?

 

 


 

「つまらないつまらな~~~~い!なんなのコイツら~、まったく歯ごたえないじゃないの!怒っちゃうぞ!プンプン!」

 

 

 黒いISの少女は両手を腰に当てて地面に倒れ伏す教員たちを見下ろしている。その姿と言動はこの光景に似つかわしくないほどで、実際とてつもなくシュールである。

 

 

「ぐ・・・う・・・・、ば、化け物・・・め」

 

 

 教員の一人がうめき声を上げる。辛うじて絶対防御のおかげで重傷を免れてはいるものの、文字通り蹂躙され尽くしたボロボロのISが物語るようにすでに体を動かすだけの体力もない、そんな教員のつぶやきを黒いISの少女は拾い上げる。

 

 

「んー?今なんかと~っても失礼なこと言わなかった~?こ・の、カワイイかわい~い♪マリリンちゃんのこと!ひょっとして、ひょっとしちゃうよ?【化け物】とか、言わなかった?ねえ、言わなかった??」

 

 

 トテトテ、と可愛らしい仕草で教員に近寄る少女、しかしその表情に無邪気さなど欠片も存在しない。あるのはただ、【悪意】のみ。

 

 

「ひっ!」

 

「ねぇね~え、おねーさん、今私の事なんて言った?ねえ、何て言った?ホラ、言ってみな?こ・ね・こ・ちゃ・ん?」

 

 

 目はスコープ型バイザーのおかげで見えないが、ただ一つ、悪魔のように歪んだ笑みを浮かべる口が全てを物語っている。

 

 

 ギュイイイイイ!

 

 

 肩部パーツから伸びるアーム、その先にある2枚刃のブレードが高速回転を始める。アームが上に伸び、倒れ伏す教員の上にブレードの影が掛かる。

 

 

「あっ・・・・ああっ・・・・!たす、け」

 

「ホーラ、早く言わないと~、首ちょんぱ♪ダヨ~♪」

 

 


 

side 雪華

 

 

「!!」

 

 

 愉悦の表情のマリリンにいたぶられている教員を救うべく、私はジェニオンを最大速度で加速させてグレイヴを振るいます。

 

 

 ガギイィィ!!

 

 鈍い金属音が響き黒いIS、【パールファング】のアームが弾き飛ばされる。一瞬驚いた顔のマリリンですがさすがに踏んだ場数の違いか、即座に反応して私から離れます。

 

 

「あららー、援軍かしらー?で・も、ウフ♡小動物と遊ぶのってダ~イスキ!」

 

「あなたは!なんで存在している!!!」

 

「ん~?何を言ってるのかな?訳の分からないことを言う子猫ちゃんネ!」

 

「(マリリンは手段を選らばない、先生たちを人質にとることも考えられます・・・、ここは別の場所に移動しなきゃ!)」

 

 

 パールファングはアークセイバーシリーズ【パールネイル】の発展型、ディメンション・エクストラクターが搭載されてるならば、その性能は現行ISを遥かに凌駕する性能になっているはず!

 

 人のいない、広い場所へ・・・!

 

 

「行きますよ!」

 

 

 ジェニオンで次元力を引き出し、一瞬でトップスピードに持っていきます!

 

 

「!!・・ちいっ!」

 

 

 即座に反応し、フレキシブルアームに搭載された【スピナー】を盾にしてジェニオンの打撃を防ぐ。さすがに実力はある!ジェニオンの加速についてこれるなんて!

 

 

「へえ、やるじゃない子猫ちゃん!でも、駄目よ?オイタしちゃ!」

 

 

 マリリンはフレキシブルアームの関節部分に搭載された青いクリスタル、【アーチャー】を展開してビームを撃ってきます。ISになってるおかげで全ての動きが鋭い!パールファングをIS化するとこんなに厄介だなんて!ですが、私はパールファングを全て《知っている》!条件はこちらが断然有利です!

 

 

「マリリン!あなたには聞きたいことが沢山ありますからね、覚悟してください!!」

 

「ッ!おまえ、何で私の名前を知ってる!答えろ!」

 

 

 端正な顔を歪ませて打ち合うマリリン、彼女は私を知らない。でも私は彼女を知っている、彼女の全てを、彼女の最後(・・)を見届けた!

 

 

「あなたの事はなんでも知っていますよ!知りたかったら私を倒してみなさい!」

 

 

 だから再び彼女を送るのは、私の仕事です!

 

 


 

  「笑っちゃうね……染み付いた傭兵の癖で……簡単に死ぬことも……出来ないなんてさ……」

 

  「でも……いい潮時……かな……傭兵稼業も……暇に……なりそう……だし……」

 

  「ファイヤバグの名前は……フラフラちゃんが……継いで……くれるし……ね……」

 

  「………そういえば……幸福の……皇子の話って……

   最後は……ツバメも……死んじゃうん……だっけ……?」

 

  「自己満足で……独りよがりだったけど……

   幸せ……だったのは……王子だけじゃ……ないよ……」

 

  「ツバメ……も……きっ……と…………」

 

 


 




サブタイトル【殺戮人形ノ詩】:スパロボZ再世編、マリリン・キャットの専用BGM

マリリンの服装:やはりここは・・・本来の王道を征く、黒と赤のゴスロリ、でしょう!

マリリンの外見:薄い青のツインテールと小柄ながら豊満なバスト、まぶしい太もも。年齢には触れちゃダメだぞ♪

マリリンの性格:初登場時はスパロボ史上最低最悪とまで言われた、シナリオ終了時、敬愛と共に君主に絶対の忠誠を捧げる忠義の女将軍として忠臣のまま最後を迎えるというギャップ

アーリィの相手:金髪丸眼鏡の優しい風貌のお父さん、その正体は・・・

もっぴぃ:まさか放送室にはいかないよねえ・・・?

セシリア達の交戦相手:スパロボOG史上、最低最狂の金髪眼鏡

テュッティ:OG、魔装機神シリーズに登場、テュッティ・ノールバック。水の魔装機神ガッデスの操縦者で優しくて芯の強い金髪美女、抜群のスタイルの持ち主。

とっても可愛いマリリンちゃん:ファイヤバグ隊員には姫と呼ばれている。それってヲタサーの姫では?

パールファング:マリリンの専用機、アークセイバーシリーズ【真珠】。ジャミング機能がとにかく厭らしい超高性能機。

最後の文章:マリリンの最後の想い


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